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 育児・介護休業法(所定外労働・時間外労働・深夜労働の制限、所定労働時間の短縮措置等、職業家庭両立推進者、苦情の自主的解決、調停の委任、勧告・公開・罰則)
 別ページ掲載:目的育児休業介護休業子の看護休暇介護休暇
 関連過去問 16-3B令4-4B
 関連条文等 育児休業不利益取扱いの禁止(10条)、介護休業不利益取扱いの禁止(16条)、所定外労働の制限(16条の8)、介護労働者に対する所定外労働の制限(16条の9)、所定外労働の制限不利益取扱いの禁止(16条の10)
 時間外労働の制限(17条)、深夜業の制限(19条)、妊娠又は出産等についての申出があった場合における措置等(21条)、育児休業等に関する定めの周知等の措置(21条の2)、雇用環境の整備及び雇用管理等に関する措置(22条)、育児休業の取得の状況の公表(22条の2)、所定労働時間の短縮措置等(23条)、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者等に関する措置(24条)、職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置(25条)、労働者の配置に関する配慮(26条)、再雇用特別措置等(27条)、職業家庭両立推進者(29条)
 苦情の自主的解決(52条の2)、紛争の解決の促進に関する特例(52条の3)、紛争の解決の援助(52条の4)、停の委任(52条の5)、調停(52条の6)、報告の徴収並びに助言・指導及び勧告(56条)、公表(56条の2)、罰則(66条) 
















 不利益取扱いの禁止
 育児休業に対して(10条)法改正(R04.10.01、太字部分追加)
 「事業主は、労働者が育児休業申出等(育児休業申出及び出生時育児休業申出をいう)をし、若しくは育児休業をしたこと又は9条の5の2項(出生時育児休業期間の申出)の規定による申出若しくは同条4項(就業の同意)の同意をしなかったことその他の同条2項から5項までの規定に関する事由であって厚生労働省令で定めるものを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」
 介護休業に対して(16条)法改正(R04.10.01、準用規定から前面改定)
 「事業主は、労働者が介護休業申出をし、又は介護休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」
 看護休暇に対して(16条の4) 「16条の規定は、子の看護休暇の申出及び子の看護休暇について準用する」
 介護休暇に対して(16条の7) 「16条の規定は、子の介護休暇の申出及び子の介護休暇について準用する」
 所定外労働の制限に対して(16条の10)
 「事業主は、労働者が16条の8(所定外労働の制限)の規定による請求をし、又は同規定により当該事業主が当該請求をした労働者について所定労働時間を超えて労働させてはならない場合に、当該労働者が所定労働時間を超えて労働しなかったことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」
 時間外労働の制限に対して(18条の2)、
 「事業主は、労働者が17条1項(時間外労働の制限)の規定による請求をし、又は当該事業主が当該請求をした労働者について制限時間を超えて労働時間を延長してはならない場合に当該労働者が制限時間を超えて労働しなかったことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」
 深夜業の制限に対して(20条の2)
 「事業主は、労働者が19条1項(深夜業の制限)の規定による請求をし、又は当該事業主が当該請求をした労働者について深夜において労働させてはならない場合に当該労働者が深夜において労働しなかったことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」
 所定労働時間の短縮措置等に対して(23条の2)
 「事業主は、労働者が23条(所定労働時間の短縮措置等)の規定による申出をし、又は同規定により当該労働者に措置が講じられたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」  
 そのほかに、職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等(25条)、紛争の解決の援助(52条の4)、調停の委任(52条の5)などにも、これらと同様の不利益取扱いの禁止の規定が設けられている。
   
   





・時










1.1 所定外労働の制限(16条の8)法改正(22.6.30新設、ただし100人以下の企業にあってはH24.07.01から)
 「事業主は、3歳に満たない子を養育する労働者であって、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で次に掲げる労働者のうちこの項本文の規定による請求をできないものとして定められた労働者に該当しない労働者が
 当該子を養育するために請求した場合においては、所定労働時間を超えて労働させてはならない
 ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない
@当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
A前号に掲げるもののほか、当該請求をできないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの(1週間の所定労働日数が2日以下の者など)

@事業主は、3歳未満の子を養育する労働者が請求した場合、2項の制限期間の間、事業の正常な運営を妨げる場合を除いて、所定外労働を(法定労働時間だけでなく所定労働時間を超えた労働も)させてはならない。
Aただし、以下の者は除く。
 ・日々雇用される者
 ・勤続年数1年未満あるいは週所定労働日数が2日未満の者であって、労使協定により対象外と定めた場合
 「2項 前項の規定による請求は、厚生労働省令で定めるところにより、その期間中は所定労働時間を超えて労働させてはならないこととなる一の期間(制限期間:1月以上1年以内の期間に限る)について、
 その初日(制限開始予定日)及び末日(制限時間終了予定日)とする日を明らかにして、制限開始予定日の1月前までにしなければならない。
 この場合において、この項前段に規定する制限期間については、17条2項前段に規定する制限期間(時間外労働時間の制限についての制限期間)と重複しないようにしなければならない」
請求は何回行ってもよいが、請求の都度、1か月前までに、1か月以上1年以内の期間を区切って請求する
 「4項 次の各号に掲げるいずれかの事情が生じた場合には、制限期間は、当該事情が生じた日(3号の場合は、その前日)に終了する」
 @制限終了予定日とされた日の前日までに、子の死亡その他の労働者が、請求に係る子を養育しないこととなった事由として厚生労働省令で定める事由が生じたこと。
 A制限終了予定日とされた日の前日までに、請求に係る子が3歳に達したこと。
 B法改正(R04.10.01,出生時育児休業期間を追加) 制限終了予定日とされた日までに、請求をした労働者について、労働基準法65条の規定による産前・産後の休業期間、育児休業、出生時育児休業期間又は介護休業期間が始まったこと。
 介護労働者に対する所定外労働の制限(16条の9)法改正(H29.01.01新規)
 「前条1項から3項まで及び4項(2号を除く)の規定は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者について準用する。この場合において、同条1項中「当該子を養育する」とあるのは「当該対象家族を介護する」と、同条3項及び4項1号「子」とあるのは「対象家族」と、「養育」とあるのは「介護」と読み替えるものとする」

@「事業主は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者が、当該対象家族を介護するために請求した場合においては、所定労働時間を超えて労働(法定労働時間だけでなく所定労働時間を超えた労働も)させてはならない。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない」
A労使協定により、適用除外者を定めることができる(3歳に満たない子を養育する労働者の場合と同じ)
B請求は何回行ってもよいが、請求の都度、1か月前までに、1か月以上1年以内の期間を区切って請求する(3歳に満たない子を養育する労働者の場合と同じ)
C一定の事由が発生した(介護しないことになった、産前産後の休業期間、育児休業期間、出生時育児休業期間又は介護休業期間が始まった)ときは、当然終了となる。
1.2 時間外労働の制限(17条) 法改正(22.6.30)
 「事業主は、労働基準法36条1項の規定により同項に規定する労働時間を延長することができる場合において、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者であって、次の各号のいずれにも該当しないものが当該子を養育するために請求したときは、制限時間(1月について24時間1年について150時間)を超えて労働時間を延長してはならない。
 ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない」
1  当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
2  前号に掲げるもののほか、当該請求をできないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの(1週間の所定労働日数が2日以下の者など)

 「2項 前項の規定による請求は、厚生労働省令で定めるところにより、その期間中は制限時間を超えて労働時間を延長してはならないこととなる一の期間(制限期間:1月以上1年以内の期間に限る)について、その初日(制限開始予定日)及び末日(制限終了予定日)とする日を明らかにして、制限開始予定日の1月前までにしなければならない。
 この場合において、この項前段に規定する制限期間については、16条の8の2項前段に規定する制限期間と重複しないようにしなければならない」
 「3項 1項の規定による請求がされた後制限開始予定日とされた日の前日までに、子の死亡その他の労働者が当該請求に係る子の養育をしないこととなった事由として厚生労働省令で定める事由が生じたときは、当該請求は、されなかったものとみなす。
 この場合において、労働者は、その事業主に対して、当該事由が生じた旨を遅滞なく通知しなければならない」
 「4項 次の各号に掲げるいずれかの事情が生じた場合には、制限期間は、当該事情が生じた日(3号に掲げる事情が生じた場合にあっては、その前日)に終了する」
@制限終了予定日とされた日の前日までに、子の死亡その他の労働者が1項の規定による請求に係る子を養育しないこととなった事由として厚生労働省令で定める事由が生じたこと。
A制限終了予定日とされた日の前日までに、1項の規定による請求に係る子が小学校就学の始期に達したこと。
B法改正(R04.10.01,出生時育児休業期間を追加) 制限終了予定日とされた日までに、1項の規定による請求をした労働者について、労働基準法65条(産前産後の休業)1項若しくは2項の規定により休業する期間、育児休業期間、出生時育児休業期間又は介護休業期間が始まったこと」
 「18条 前条1項、2項、3項及び4項(2号を除く)の規定は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者について準用する。
 この場合において、同条1項中「当該子を養育する」とあるのは「当該対象家族を介護する」と、同条3項及び4項1号中「子」とあるのは「対象家族」と「養育」とあるのは「介護」と読替えるものとする」
⇒要介護状態の対象家族を介護する労働者についても、時間外労働の制限を請求できる。
1.3 深夜業の制限(19条)
 「事業主は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者であって次の各号のいずれにも該当しないものが当該子を養育するために請求した場合においては、午後10時から午前5時までの間において労働させてはならない。
 ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない」
1  引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
2  深夜において、常態として当該子を保育することができる当該子の同居の家族その他の厚生労働省令で定める者がいる場合
3  請求できないことについて合理的な理由があると厚生労働省令で定めるもの

 「同2項 前項の規定による請求は、その期間中は深夜において労働させてはならないこととなる一の期間(1月以上6月以内の制限期間)について、その初日(制限開始予定日)及び末日(制限終了予定日)とする日を明らかにして、制限開始予定日の1月前までにしなければならない」
 「4項 次の各号に掲げるいずれかの事情が生じた場合には、制限期間は、当該事情が生じた日(3号に掲げる事情が生じた場合にあっては、その前日)に終了する」
@制限終了予定日とされた日の前日までに、子の死亡その他の労働者が1項の規定による請求に係る子を養育しないこととなった事由として厚生労働省令で定める事由が生じたこと。
A制限終了予定日とされた日の前日までに、1項の規定による請求に係る子が小学校就学の始期に達したこと。
B法改正(R04.10.01,出生時育児休業期間を追加) 制限終了予定日とされた日までに、1項の規定による請求をした労働者について、労働基準法65条(産前産後の休業)1項若しくは2項の規定により休業する期間、育児休業期間、出生時育児休業期間又は介護休業期間が始まったこと」
 「20条 前条の規定は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者について準用する」
 ⇒要介護状態の対象家族を介護する労働者についても、深夜業の制限を請求できる。
   
   













































2. 事業主が講ずべき措置
  妊娠又は出産等についての申出があった場合における措置等(21条) 法改正(R04.04.01新規)
 「事業主は、労働者が当該事業主に対し、当該労働者又はその配偶者が妊娠し、又は出産したことその他これに準ずるものとして厚生労働省令で定める事実を申し出たときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者に対して、育児休業に関する制度その他の厚生労働省令で定める事項を知らせるとともに、育児休業申出等に係る当該労働者の意向を確認するための面談その他の厚生労働省令で定める措置を講じなければならない」

 育児休業申出とは、育児休業申出及び出生時育児休業申出をいう。
 「2項 事業主は、労働者が前項の規定による申出をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」
 育児休業等に関する定めの周知等の措置(21条の2)  法改正(21条新設に伴う繰下げ) 法改正(H29.10.01)
 「前条1項に定めるもののほか、事業主は、育児休業及び介護休業に関して、あらかじめ、次に掲げる事項を定めるとともに、これを労働者に周知させるための措置(労働者若しくはその配偶者が妊娠し、若しくは出産したこと又は労働者が対象家族を介護していることを知ったときに、当該労働者に対し知らせる措置を含む)を講ずるよう努めなければならない」
@労働者の育児休業及び介護休業中における待遇に関する事項
A育児休業及び介護休業後における賃金、配置その他の労働条件に関する事項
B前2号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項

・「労働者若しくはその配偶者が妊娠し、若しくは出産したこと又は労働者が対象家族を介護していることを知ったときに、当該労働者に対し知らせる措置」としてはたとえば、「仕事と育児・介護等の両立を支援するさまざまな制度」を知らせることなど。
・@については、たとえば、休業中の賃金その他の経済的給付、教育訓練の実施など
・Aについては、たとえば、昇進、昇格、年次有給休暇など
・Bについては、たとえば、介護休業期間中に負担すべき社会保険料を事業主に支払う方法など。

 「21条の2の2項 事業主は、労働者が育児休業申出等又は介護休業申出をしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者に対し、前項各号に掲げる事項に関する当該労働者に係る取扱いを明示するよう努めなければならない」 
 雇用環境の整備及び雇用管理等に関する措置(22条) 法改正(R04.04.01、1項新規追加、2項繰下げ)
 「事業主は、育児休業申出等が円滑に行われるようにするため、次の各号のいずれかの措置を講じなければならない」
@その雇用する労働者に対する育児休業に係る研修の実施
A育児休業に関する相談体制の整備
Bその他厚生労働省令で定める育児休業に係る雇用環境の整備に関する措置
 「2項 前項に定めるもののほか、事業主は、育児休業申出等及び介護休業申出並びに育児休業及び介護休業後における就業が円滑に行われるようにするため、育児休業又は介護休業をする労働者が雇用される事業所における労働者の配置その他の雇用管理、育児休業又は介護休業をしている労働者の職業能力の開発及び向上等に関して、必要な措置を講ずるよう努めなければならない」
 育児休業の取得の状況の公表(22条の2) 法改正(05.04.01新規)
 「常時雇用する労働者の数が千人を超える事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、毎年少なくとも1回、その雇用する労働者の育児休業の取得の状況として厚生労働省令で定めるものを公表しなければならない」

 法22条の2の規定による公表の方法(施行規則71条の3)
 「法22条の2の規定による公表は、インターネットの利用その他の適切な方法により行うものとする」
 法22条の2の厚生労働省令で定めるもの(施行規則71条の4
 「法22条の2の厚生労働省令で定めるものは、次に掲げるいずれかの割合とする」1。
@その雇用する男性労働者であって,公表を行う日の属する事業年度の直前の事業年度(公表前事業年度)において配偶者が出産したものの数に対する、その雇用する男性労働者であって公表前事業年度において育児休業等をしたものの数の割合
Aその雇用する男性労働者であって公表前事業年度において配偶者が出産したものの数に対する、その雇用する男性労働者であって公表前事業年度において育児休業等をしたものの数及び小学校就学の始期に達するまでの子を養育する男性労働者を雇用する事業主が講ずる育児を目的とした休暇制度(育児休業等及び子の看護休暇を除く)を利用したものの数の合計数の割合

@育児休業等を行った男性労働者数/配偶者が出産した男性労働者数。又は
 (育児休業等を行った男性労働者数+育児を目的とした休暇制度を利用した男性労働者数)
/配偶者が出産した男性労働者数のいずれかを公表しなけれならない。
A育児休業等とは、育児休業(1歳未満、1歳6か月まで、または2歳までの子を対象とした休業)及び23条2項による育児休業に関する制度に準ずる措置又は24条1項2号による育児休業に関する制度に準じて講じる措置による3歳に満たない子を対象とした休業。
B「小学校就学の始期に達するまでの子を養育する男性労働者を雇用する事業主が講ずる育児を目的とした休暇制度」とは、24条によるもので、
 「労働者の申出に基づく育児に関する目的のために利用することができる休暇であって、子の看護休暇、介護休暇及び労働基準法による年次有給休暇として与えられるものを除き、出産後の養育について出産前において準備することができる休暇を含むもの。

 所定労働時間の短縮措置等(23条) 法改正(H22.6.30、ただし100人以下の企業にあってはH24.07.01から 法改正
 「1項(H22.6.30全面改訂) 事業主は、その雇用する労働者のうち、その3歳に満たない子を養育する労働者であって育児休業をしていないもの(1日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるもの(1日当たり6時間)を除く)に関して、
 厚生労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づき所定労働時間を短縮することにより当該労働者が就業しつつ当該子を養育することを容易にするための措置(育児のための所定労働時間の短縮措置)を講じなければならない。
 ただし、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうち育児のための所定労働時間の短縮措置を講じないものとして定められた労働者に該当する労働者については、この限りでない」
@当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
A前号に掲げるもののほか、育児のための所定労働時間の短縮措置を講じないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの(1週間の所定労働日数が2日以下の者) 
B前2号に掲げるもののほか、業務の性質又は業務の実施体制に照らして、育児のための所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者

・3号に該当する者の例としては、国際線の客室乗務員、流れ作業あるいは交代勤務による製造業であって短時間勤務者を勤務体制に組み込むことが困難な場合など。
・3号の者に対しては代替措置のいずれかが必要。

@事業主は、3歳未満の子を養育する労働者が希望した場合に利用できる短時間勤務制度を設けなければならない。
 その際、単に運用で行うだけでなく、就業規則で規定されるなど、制度化されたものでなければならない。
Aただし、以下の者は除く。
 ・日々雇用される者
 ・1日の所定労働時間が6時間以下の者(さらに短くしてはいけない)
 ・勤続年数1年未満の者、週所定労働日数が2日未満の者等であって、労使協定により対象外と定めた場合
B短時間勤務制度は、1日の所定労働時間が原則として6時(これよりも時間が短かければよいというものではない。所定労働時間が7時間45分の場合は5時間45分でもよい)とする措置を含むものとしなければならない。
 上記以外に、たとえば1日の所定労働時間を7時間とする措置、隔日勤務の措置など選択肢を増やすのはよい。          
 「23条2項(H22.6.30新規) 事業主は、その雇用する労働者のうち、前項ただし書の規定により同項3号に掲げる労働者であってその3歳に満たない子を養育するものについて育児のための所定労働時間の短縮措置を講じないこととするときは、当該労働者に関して、厚生労働省令で定めるところにより、
 労働者の申出に基づく育児休業に関する制度に準ずる措置又は労働基準法32条の3(フレックスタイム制)の規定により労働させること、その他の当該労働者が就業しつつ当該子を養育することを容易にするための措置(始業時刻変更等の措置)を講じなければならない」
 「23条3項 法改正(H29.01.01)事業主は、その雇用する労働者のうち、その要介護状態にある対象家族を介護する労働者であって介護休業をしていないものに関して、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づく連続する3年の期間以上の期間における所定労働時間の短縮その他の当該労働者が就業しつつその要介護状態にある対象家族を介護することを容易にするための措置(「介護のための所定労働時間の短縮等の措置」)を講じなければならない。
 ただし、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうち介護のための所定労働時間の短縮等の措置を講じないものとして定められた労働者に該当する労働者については、この限りでない」
@当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
A前号に掲げるもののほか、介護のための所定労働時間の短縮等の措置を講じないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
  「23条4項 法改正(H29.01.01追加) 前項本文の期間は、当該労働者が介護のための所定労働時間の短縮等の措置の利用を開始する日として当該労働者が申し出た日から起算する」

 事業主は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者に関して、介護休業日数とは関係なく単独で連続3年の期間(あるいは3年の間に2回以上)、介護のための所定労働時間の短縮等の措置(所定労働時間の短縮その他就業しつつ対象家族を介護することを容易にするための措置)を講じなければならない。

 所定労働時間の短縮等の具体的措置(施行規則74条)(旧施行規則34条) 法改正(H22.6.30)
 「法23条1項に規定する所定労働時間の短縮措置は、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むものとしなければならない」
⇒1日の所定労働時間の短縮のほか、週又は月の所定労働日数の減少、勤務しない日または勤務しない時間を個別に請求できる制度なども含む。
 「施行規則74条2項 法23条2項に規定する始業時刻変更等の措置は、当該制度の適用を受けることを希望する労働者に適用される次の各号に掲げるいずれかの方法により講じなければならない。
@労働基準法32条の3の規定による労働時間の制度(フレックスタイム制度)を設けること。
A1日の所定労働時間を変更することなく始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度を設けること
B労働者の3歳に満たない子に係る保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与(ベビーシッターの手配や費用の援助など)を行うこと。
 「施行規則74条3項 法改正((H29.01.01) 23条3項の介護のための所定労働時間の短縮等の措置は、2回以上の利用をすることができる措置とし、次の各号に掲げるいずれかの方法により講じなければならない。
 ただし、3号の方法により介護のための所定労働時間の短縮等の措置を講ずる場合には、二回以上の利用ができることを要しない」  
@当該勤務に就くことを希望するものに適用される所定労働時間の短縮の制度を設けること。
A当該制度の適用を受けることを希望する労働者に適用される前項1号(フレックスタイム制度)又は2号(1日の所定労働時間を変更することなく始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度)いずれかの制度を設けること。
B要介護状態にある対象家族を介護する労働者がその就業中に、当該労働者に代わって当該対象家族を介護するサービスを利用する場合、当該労働者が負担すべき費用を助成する制度その他これに準ずる制度を設けること。
 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者等に関する措置(24条) 法改正(H29.10.01)、法改正(H22.6.30) 努力義務
 
「事業主は、その雇用する労働者のうち、その小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関して、労働者の申出に基づく育児に関する目的のために利用することができる休暇(子の看護休暇、介護休暇及び労働基準法による年次有給休暇として与えられるものを除き、出産後の養育について出産前において準備することができる休暇を含む)を与えるための措置及び次の各号に掲げる当該労働者の区分に応じ当該各号に定める制度又は措置に準じて、それぞれ必要な措置を講ずるよう努めなければならない」
@その1歳(5条3項による場合にあっては1歳6か月、5条4項による場合にあっては2歳)に満たない子を養育する労働者(23条2項に規定する労働者を除く)で育児休業をしていないもの:始業時刻変更等の措置
Aその1歳(1歳6か月あるいは2歳)から3歳に達するまでの子を養育する労働者:育児休業に関する制度又は始業時刻変更等の措置
Bその3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者:育児休業に関する制度、16条の8による所定外労働の制限に関する制度、育児のための所定労働時間の短縮措置又は始業時刻変更等の措置
⇒「育児目的のために利用ができる休暇」とは、たとえば、配偶者も取れる出産休暇、子の行事参加のための休暇など
 「2項 事業主は、その雇用する労働者のうち、その家族を介護する労働者に関して、介護休業若しくは介護休暇に関する制度又は介護のための所定労働時間の短縮等の措置に準じて、その介護を必要とする期間、回数等に配慮した必要な措置を講ずるように努めなければならない」
 以上まとめ
 育児に関するもの
(1)1歳に満たない子を養育しているが育児休業していない者
 @時間外労働の制限と深夜業の制限(義務)
 A所定外労働時間の制限(義務)
 B所定労働時間の短縮措置(義務)、ただし除外者に対しては、始業時刻変更等の措置(義務)
 C子の看護休暇(義務)
 C始業時刻変更等の措置(努力義務)
  ここで、始業時刻変更等の措置とは、
  ・フレックスタイム制
  ・始業、終業時刻の繰上げ繰下げ
  ・保育施設の設置運営あるいは便宜供与のいずれか。
(2)1歳から3歳までの子を養育している者
 @時間外労働の制限と深夜業の制限(義務)
 A所定外労働時間の制限(義務)
 B所定労働時間の短縮措置(義務)、ただし除外者に対しては、育児休業制度に準ずる措置又は始業時刻変更等の措置(義務)
 C子の看護休暇(義務)
 D始業時刻変更等の措置/育児休業制度/に準じて必要な措置(努力義務)
(3)3歳から就学始期までの子を養育している者
 @時間外労働の制限と深夜業の制限(義務)
 A子の看護休暇(義務)
 A所定外労働時間の制限/所定労働時間の短縮/始業時刻変更等の措置/育児休業制度/に準じて必要な措置(努力義務)
 C育児目的のために利用ができる、配偶者も取れる出産休暇、子の行事参加のための休暇など(努力義務)
 介護に関するもの
(1)要介護状態の対象家族を介護している者で介護休業していない者
 @時間外労働の制限と深夜業の制限(義務)
 A介護休暇(義務)
 B連続して3年間あるいは3年の間に2回以上の介護のための所定労働時間の短縮等の措置(所定労働時間の短縮、フレックスタイム制度、始業、終業時刻の繰上げ繰下げ、介護費用助成制度など)の利用 (義務)
(2)要介護状態の対象家族の介護のため介護休業したが介護状態が続く者
 介護休業とは別途に上記Bと同じ措置の利用 (義務)
(3))その他の厚生労働省令で定める世話を行う労働者
 @介護休暇(義務)
(5)その他の家族を介護している者
 @介護休業制度/介護休暇/所定労働時間の短縮その他介護を容易にするための措置/に準じて、介護期間、回数等に配慮した必要な措置(努力義務)
3.事業主が講ずべき措置(雇用管理、配置、再雇用等)
 職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置(25条)法改正(H29.01.01全面改定)
 「事業主は、職場において行われるその雇用する労働者に対する育児休業、介護休業その他の子の養育又は家族の介護に関する厚生労働省令で定める制度又は措置の利用に関する言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない」

@事業主は、いわゆる育児休業・介護休業に関わるハラスメントを防止するための適切な措置を講じる義務がある。
A「厚生労働省令で定める制度又は措置」とは、施行規則76条により、
 育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、育児・介護のための所定労働時間の短縮、育児休業制度に準ずる措置、始業時刻変更等の措置。
B雇用管理上必要な措置とは、「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針」(H29.09.27厚生労働省告示307号)の第2,14によれば、
 ・事業主の方針の明確化及びその周知・啓発、 相談・苦情に適切に対応するために必要な体制の整備、事後の迅速かつ適切な対応、原因や背景となる要因を解消するための措置など。
 労働者の配置に関する配慮 (26条)
 「事業主は、労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、就業場所の変更により、就業しつつ子の養育又は家族の介護を行うことが困難となる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない
 再雇用特別措置等(27条)
 「事業主は、妊娠、出産若しくは育児又は介護を理由として退職した者について、必要に応じ、再雇用特別措置(退職の際に、就業が可能となったときに再び雇用されることの希望を有する旨の申出をしていたものについて、事業主が募集又は採用に当たって特別の配慮をする措置)その他これに準ずる措置を実施するよう努めなければならない」

4
4B
 事業主は、職場において行われるその雇用する労働者に対する育児休業、介護休業その他の子の養育又は家族の介護に関する厚生労働省令で定める制度又は措置の利用に関する言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

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正しい 誤り
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3B
 育児・介護休業法に基づき、育児又は家族介護を行う労働者に関して、転勤を命ずる場合には、当該労働者の同意を得る必要がある。

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正しい 誤り
職業家庭両立推進者 4.職業家庭両立推進者(29条)
 「事業主は、21条1項、21条の2、22条、23条1項から3項、24条、25条1項、25条の2の2項、26条及び27条に定める措置及び子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために講ずべきその他の措置の、適切かつ有効な実施を図るための業務を担当する者(職業家庭両立推進者)を選任するように努めなければならない」
   
   












5.紛争の解決等
 苦情の自主的解決(52条の2)法改正(H22.04.01新設)
 「事業主は、2章から8章まで、21条、23条、23条の2及び26条に定める事項に関し、労働者から苦情の申出を受けたときは、苦情処理機関(事業主を代表する者及び当該事業所の労働者を代表する者を構成員とする当該事業所の労働者の苦情を処理するための機関)に対し当該苦情の処理を委ねる等その自主的な解決を図るように努めなければならない」
⇒具体的には、育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、妊娠又は出産等についての申出があった場合における措置等所定労働時間の短縮措置等同不利益取扱の禁止労働者の配置に関する配慮に関する苦情が対象となる。
 紛争の解決の促進に関する特例(52条の3)法改正(H22.04.01新設)
 「前条の事項についての労働者と事業主との間の紛争については、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律4条、5条及び12条から19条までの規定(は適用せず、次条から第52条の6までに定めるところによる」
 紛争の解決の援助(52条の4)法改正(H22.04.01新設)
 「都道府県労働局長は、52条の2に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる」
 調停の委任(52条の5)(H22.04.01新設)
 「都道府県労働局長は、52条の3に規定する紛争について、当該紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法の紛争調整委員会に調停を行わせるものとする」
 ⇒都道府県労働局長による助言、指導、勧告並びに調停の委任の対象となる紛争は、苦情の自主的解決(52条の2)で規定されたものに限る。
 調停(52条の6)法改正(H22.04.01新設) 
 「男女雇用機会均等法19条、20条第1項及び21条から26条までの規定(調停の手続き等の規定)は前条第1項の調停の手続について準用する」に必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法の紛争調整委員会に調停を行わせるものとする」
   
   
 勧






6.勧告・公開・罰則
 報告の徴収並びに助言、指導及び勧告(56条)
 「厚生労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる」
 公表(56条の2) 法改正(R05.04.01)、法改正(H22.04.01新設)
 「厚生労働大臣は、6条1項(育児休業の申出があった場合における事業主の義務)、9条の3(出生時育児休業申出があった場合における事業主の義務等)、10条(不利益扱いの禁止)、12条1項(介護休業の申出があった場合における事業主の義務)、16条(介護休業に対する不利益取扱いの禁止)、(16条の3(子の看護休暇の申出があった場合における事業主の義務等)、16条の6(子の介護休暇の申出があった場合における事業主の義務等)、16条の8(所定外労働の制限)、16条の10(所定外労働に対する不利益取扱いの禁止)、17条(時間外労働の制限)、18条の2(時間外労働に対する不利益取扱いの禁止)、19条(深夜業の制限)、20条の2(深夜業の制限に対する不利益取扱いの禁止)、21条(妊娠又は出産等についての申出があった場合における措置等)、22条(雇用環境の整備及び雇用管理等に関する措置)、22条の2(育児休業の取得の状況の公表)23条(所定労働時間の短縮等の措置)、23条の2(所定労働時間短縮に対する不利益取扱いの禁止)、25条(職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置)又は26条(労働者の配置に関する配慮に違反している事業主に対し、前条の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる」
 罰則(66条) 法改正(H22.04.01新設)
 「56条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、20万円以下の過料に処する」
 ⇒罰則は、従来からも育児・介護休業中の労働者を補充をする場合の労働者募集事業になどに関連して、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金をはじめとし、いくつかの規定があったが、育児・介護休業を行う労働者を使用する一般の事業主に対する罰則 はこれが初めてである。