29年度 法改正トピックス(育児・介護休業法に関する主要改正点)
  改正後 改正ポイント
定義  育児休業(2条1号)
 「労働者(日々雇用される者を除く)が、その子(民法の規定により特別養子縁組の成立について家庭裁判所に請求した者(当該請求に係る家事審判事件が裁判所に係属している場合に限る)であつて、当該被保険者が現に監護するもの、児童福祉法に規定する養子縁組里親である労働者に委託されている児童及びその他これらに準ずる者として厚生労働省令で定める者に、厚生労働省令で定めるところにより委託されている者を含む)を養育するためにする休業をいう」
 対象家族(2条四号)関連
 施行規則3条 (H29.01.01)
 「法2条4号の厚生労働省令で定める者は、労働者の祖父母、兄弟姉妹及び孫とする」
 育児休業の対象者として、その子以下の(  )を追加。
 すなわち、追加されたのは
@特別養子縁組の成立について家庭裁判所に請求した者であって、家事審判事件が裁判所に係属している(試験的な養育期間中にある)子を監護している場合
A養子縁組里親として委託された子を養育している場合
B児童の親等の反対のため養子縁組里親として委託されることができないので、養育里親として委託された子を養育している場合
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 対象家族
 労働者の祖父母、兄弟姉妹及び孫は同居かつ扶養でないといけなかったが、改正後は、同居・扶養の条件は削除
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有期雇用者の育児休業
 育児休業の申出(5条)(H29.01.01)
 「労働者は、その養育する1歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、次の各号のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができる」
@当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者、でかつ
Aその養育する子が1歳6か月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者
 有期契約労働者の育児休業取得の条件の2号に関して、
 「1歳になった後も雇用継続の見込みがあること(ただし、2歳になるまでの間に期間満了し更新がないことが明らかなものは対象外)」であったのを、
 「1歳6か月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者」(すなわち、1歳6か月になるまで雇用契約が続くかどうかまではわからなくても、それまでに雇用契約がなくなることが決まっていなければOK)
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介護休業の申出  介護休業の申出(11条)H29.01.01
 「労働者は、その事業主に申し出ることにより、介護休業をすることができる。ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、次の各号のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができる」
@当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者
A介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6月を経過する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者」
 「2項 前項の規定にかかわらず、介護休業をしたことがある労働者は、当該介護休業に係る対象家族が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該対象家族については、同項の規定による申出をすることができない」
@対象家族について3回の介護休業をした場合
A当該対象家族について介護休業をした日数(介護休業を開始した日から介護休業を終了した日までの日数とし、2回以上の介護休業をした場合にあっては、介護休業ごとに、当該介護休業を開始した日から当該介護休業を終了した日までの日数を合算して得た日数。「介護休業日数」という)が93日に達している場合
11条1項:有期契約労働者の介護休業取得の条件の2号に関して、
 「介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれる者(93日経過日から1年を経過する日までの間に、その労働契約の期間が満了し、かつ、契約の更新がないことが明らかである者を除く)」とあったのを、
 「介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6月を経過する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者」に
 すなわち、6か月になるまで雇用契約が続くかどうかまではわからなくても、それまでに雇用契約がなくなることが決まっていなければOK
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11条2項:介護休業の分割取得
 1号と2号を書き直すことにより、改正前までは、対象家族1人につき93日まで、原則として(すなわち同じ原因による介護状態である限り)1回取得であったものを、通算93日まで、3回に分割して取得可能とした。
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介護休業
申出
の撤回
 介護休業申出の撤回等(14条)
 「2項 法改正(H29.01.01) 前項の規定による介護休業申出の撤回がなされ、かつ、当該撤回に係る対象家族について当該撤回後になされる最初の介護休業申出が撤回された場合においては、その後になされる当該対象家族についての介護休業申出については、事業主は、12条1項の規定にかかわらず、これを拒むことができる」
介護休業申出の撤回がなされた場合において、当該撤回に係る対象家族についての介護休業申出については、撤回後になされる最初の介護休業申出を除き、事業主は、これを拒むことができる」
 介護休業申出の撤回
 改正前では、取得は1回限りで、休業の申出と撤回を一度行うと、それ以降は申出を行うことができなかった。
 改正後は、取得は3回可能となり、同じ対象家族について、2度続けて介護休業の申出と撤回を行った場合に限り、事業主は3度目の休業の申出を拒むことができる。(1度申出と撤回を行ったが、2度目の申出は撤回せず介護休業を取得した場合は、後1回申出を行うことができる)
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子の看護休暇  子の看護休暇の申出(16条の2)
 
同2項 法改正(H29.01.01追加) 子の看護休暇は、1日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるもの(以外の者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働省令で定める1日未満の単位で取得することができる」 
 「同3項 1項の規定による申出は、厚生労働省令で定めるところにより、子の看護休暇を取得する日(前項の厚生労働省令で定める1日未満の単位で取得するときは子の看護休暇の開始及び終了の日時)を明らかにして、しなければならない」
 16条の3の2項 (H29.01.01)
 「同2項 6条1項ただし書き及び2項の規定は、労働者から子の看護休暇の申し出があった場合について準用する。この場合において(以下は読み直し後の下記の文章を参照のこと」
⇒すなわち、
 「事業主は、労働者からの子の看護休暇の申出があったときは、当該子の看護休暇の申出を拒むことができない
 ただし、事業主と労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、ないときは過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうち子の看護休暇をすることができないものとして定められた労働者からの子の看護休暇の申出があった場合は、この限りでない」
A子の看護休暇をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの又は業務の性質若しくは業務の実施体制に照らして、16条の2の2項の厚生労働省令で定める一日未満の単位で子の看護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者(同項の規定による厚生労働省令で定める一日未満の単位で取得しようとする者に限る)
 16条の2の2項:新設
 子の看護護休暇は介護休暇と同様に、1日単位だけでなく半日単位でも取得可能に(ただし、1日の所定労働時間が4時間以下の者は除く)
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 16条の3の2項
 子の看護休業の申出を労使協定により排除できる者として、2号の後段に「厚生労働省令で定める1日未満の単位で子の看護休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者を追加。
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介護休暇  介護休暇の申出(16条の5)
 「同2項 (H29.01.01) 介護休暇は、1日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるもの以外の者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働省令で定める1日未満の単位で取得することができる」
 介護休暇の半日単位の取得が可能になった。
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時間外労働
の制限
 介護労働者の場合(16条の9)(H29.01.01新規)
 「前条(3歳未満の子を養育する場合の所定外労働の制限)1項から3項まで及び4項(2号を除く)の規定は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者について準用する。この場合において、同条1項中「当該子を養育する」とあるのは「当該対象家族を介護する」と、同条3項及び4項1号「子」とあるのは「対象家族」と、「養育」とあるのは「介護」と読み替えるものとする」
 16条の9:
 3歳未満の子を養育する労働者と同様に、対象家族を介護している労働者が請求した場合は、所定外労働(時間外労働だけでなく所定労働時間を超えた労働)を免除しなければならない。
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労働時間の短縮措置  所定労働時間の短縮措置等(23条)(H29.01.01)
 「同3項 事業主は、その雇用する労働者のうち、その要介護状態にある対象家族を介護する労働者であって介護休業をしていないものに関して、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づく連続する3年の期間以上の期間における所定労働時間の短縮その他の当該労働者が就業しつつその要介護状態にある対象家族を介護することを容易にするための措置(「介護のための所定労働時間の短縮等の措置」)を講じなければならない。
 ただし、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうち介護のための所定労働時間の短縮等の措置を講じないものとして定められた労働者に該当する労働者については、この限りでない」
@当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
A前号に掲げるもののほか、介護のための所定労働時間の短縮等の措置を講じないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
  「同4項 (H29.01.01追加) 前項本文の期間は、当該労働者が介護のための所定労働時間の短縮等の措置の利用を開始する日として当該労働者が申し出た日から起算する」
 所定労働時間の短縮等の具体的措置(施行規則74条)
 「3項 23条3項の介護のための所定労働時間の短縮等の措置は、2回以上の利用をすることができる措置とし、次の各号に掲げるいずれかの方法により講じなければならない。
 ただし、3号の方法により介護のための所定労働時間の短縮等の措置を講ずる場合には、二回以上の利用ができることを要しない」
 23条3項:
 介護休業に代わる短時間勤務等の制度は、これまでは介護休業と合計して93日以上となっていたところ、改正後は介護休業日数とは関係なく、単独で連続3年以上の期間、申出可能となった。
 3年以上とあるが、3年であれば義務達成である。
 また、連続3年とあるが、連続3年のほか、3年間に2回以上の申出もOKである。
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 4項:連続3年以上の期間とは、その制度の利用申出の際に、利用を開始したいと指定した日から起算する。
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 施行規則74条(所定労働時間の短縮等の具体的措置)
 施行規則34条から繰り下がって施行規則74条に。
 措置は2回以上(3年の間に)利用可能とした。基礎知識と過去問学習はこちら
   職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置(25条) (H29.01.01全面改定)
 「事業主は、職場において行われるその雇用する労働者に対する育児休業、介護休業その他の子の養育又は家族の介護に関する厚生労働省令で定める制度又は措置の利用に関する言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない」
 25条(全面改定)
 いわゆる育児休業・介護休業に関わるハラスメントの防止 
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