22年度 法改正トピックス(労働一般に関する主要改正点)
改正後 改正ポイント
労働時間等の設定改善法  決議に係る労働基準法の適用の特例(7条)H22.04.01
 「労働時間等設定改善委員会が設置されている場合において、委員会委員の5分の4以上の多数による議決により、労働時間に関する規定すなわち 労働基準法32条の2の1項(1か月単位の変形労働時間制)、32条の3(フレックスタイム制)、32条の4の1項及び2項(1年単位の変形労働時間制)、32条の5の1項(1週間単位の非定型的変形労働時間制)、34条2項ただし書(休憩時間の一斉付与適用除外)、36条第1項(時間外及び休日労働)、37条3項(代替休暇の付与)、38条の2の2項(事業場外労働のみなし労働時間)、38条の3の1項(専門業務型裁量労働制)並びに39条4項(有給休暇の時間単位付与)及び6項(年次有給休暇の計画的付与)に規定する事項について決議が行われたときは、当該委員会に係る事業場の使用者については、「協定」は「協定(決議を含む)」と、「同意」は「同意(決議を含む)として、労働時間に関する規定及び106条1項(法令等の周知義務)の規定を適用する」
・限度時間を超える時間外労働に対する割増賃金の率、
・代替休暇の付与、
・有給休暇の時間単位付与
に関しても、5分の4以上の決議がなされれば、労使協定の代わりとなりうる。
賃金支払確保法  未払賃金の立替払(7条) H22.01.01
 「政府は、労災保険の適用事業に該当する事業の事業主(厚生労働省令で定める期間(1年)以上の期間にわたって当該事業を行っていたものに限る)が破産手続開始の決定を受け、その他政令で定める事由に該当することとなった場合において、当該事業に従事する労働者で政令で定める期間内に当該事業を退職したものに係る未払賃金)があるときは、民法の規定にかかわらず、当該労働者の請求に基づき、当該未払賃金に係る債務のうち政令で定める範囲内のものを当該事業主に代わって弁済するものとする」
 当該事業に従事する労働者に、
 船員保険の被保険者も含まれることになった。
 
 基礎知識と関連過去問
労働者派遣法  更新申請手続(施行規則5条) 法改正(H22.03.01)
 「法10条2項の規定による許可の有効期間の更新を受けようとする者は、当該許可の有効期間が満了する日の3月前までに、一般労働者派遣事業許可有効期間更新申請書(様式第1号)を、厚生労働大臣に提出しなければならない」
 一般労働者派遣事業許可の更新は、
 満了日の30日前ではなく「3月前」までに申請しなければならない。
 社会保険の加入状況などを実地調査するための期間確保といわれている。
 基礎知識と関連過去問
 事業報告書の届出(施行規則17条 2項、3項)
 2項 事業報告書様式11号を新11号と11号の2に分割
 3項 新11号の届出期限を、毎事業年度終了後3か月以内を1か月以内に
   11号の2(新設)の届出期限を、毎年6月30日までに












 紛争の解決等
 苦情の自主的解決(52条の2)(H22.04.01新設)
 「事業主は、2章から5章まで、23条及び26条に定める事項に関し、、労働者から苦情の申出を受けたときは、苦情処理機関(事業主を代表する者及び当該事業所の労働者を代表する者を構成員とする当該事業所の労働者の苦情を処理するための機関)に対し当該苦情の処理をゆだねる等その自主的な解決を図るように努めなければならない」
 ⇒育児休業、介護休業、子の看護休暇、時間外労働の制限、深夜業の制限、勤務時間の短縮等の措置等、労働者の配置に関する配慮に関する苦情が対象
 紛争の解決の促進に関する特例(52条の3)(H22.04.01新設)
 「前条の事項についての労働者と事業主との間の紛争については、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律4条、5条及び12条から19条までの規定(は適用せず、次条から第52条の6までに定めるところによる」
 紛争の解決の援助(52条の4)(H22.04.01新設)
 「都道府県労働局長は、52条の2に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる」  
 調停の委任(52条の5)(H22.04.01新設)
 「都道府県労働局長は、52条の3に規定する紛争について、当該紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法の紛争調整委員会に調停を行わせるものとする」
 ⇒都道府県労働局長による助言、指導、勧告並びに調停の委任の対象となる紛争は、苦情の自主的解決(52条の2)で規定されたものに限る。
 調停(52条の6)(H22.04.01新設) 
 「男女雇用機会均等法19条、20条第1項及び21条から26条までの規定(調停の手続き等の規定)は前条第1項の調停の手続について準用する」

 紛争解決のために新設された諸規定は、男女雇用機会均等法における
 苦情の自主的解決(15条)、紛争の解決の促進に関する特例(16条)、紛争の解決の援助(17条)、調停の委任(18条)と同様である。
 そして、調停の手続きについても、男女雇用機会均等法の19条以降が準用されている。

 基礎知識と関連過去問
 公表(56条の2)(H22.04.01新設)
 「厚生労働大臣は、6条1項(育児休業の申出)、10条(不利益扱いの禁止)、12条1項(介護休業の申出)、16条の3の1項(子の看護休暇の申出)、17条1項(時間外労働の制限)、19条1項(深夜業の制限)、23条(勤務時間の短縮等の措置)、26条(労働者の配置に関する配慮)又は52条の4の2項(紛争の解決の援助)の規定に違反している事業主に対し、前条の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる」
 罰則(68条(現68条))(H22.04.01新設)
 「56条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、20万円以下の過料に処する」
 


罰則は、従来からも育児・介護休業中の労働者を補充をする場合の労働者募集事業になどに関連して、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金をはじめとし、いくつかの規定があったが、育児・介護休業を行う労働者を使用する一般の事業主に対する罰則 はこれが初めてである。
 基礎知識と関連過去問  
次世代育成支援対策
 市町村行動計画(8条)(H22.04.01追加)
 「7項 市町村は、定期的に、市町村行動計画に基づく措置の実施の状況に関する評価を行い、市町村行動計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更することその他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない」  
 都道府県行動計画(9条)(H22.04.01追加)
 「都道府県は、行動計画策定指針に即して、5年ごとに、当該都道府県の事務及び事業に関し、5年を一期として、地域における子育ての支援、保護を要する子どもの養育環境の整備、母性並びに乳児及び幼児の健康の確保及び増進、子どもの心身の健やかな成長に資する教育環境の整備、子どもを育成する家庭に適した良質な住宅及び良好な居住環境の確保、職業生活と家庭生活との両立の推進その他の次世代育成支援対策の実施に関する計画(都道府県行動計画)を策定するものとする」
 「7項 都道府県は、定期的に、都道府県行動計画に基づく措置の実施の状況に関する評価を行い、都道府県行動計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更することその他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない」
1.市町村行動計画について、
 定期的に評価する努力義務を追加。

2.都道府県行動計画について、
 「保護を要する子どもの養育環境の整備」を追加。
 また、定期的に評価する努力義務を追加。
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