7B 厚生年金保険法 基礎知識と関連過去問 Tome塾Homeへ
  遺族厚生年金(中高齢寡婦加算、経過的寡婦加算)
別ページ掲載:支給要件年金額死亡の推定老齢基礎と遺族厚生の併給遺族の範囲年金額の改定失権支給停止差止め労基法との調整遺族共済年金との調整生計維持
関連過去問 14-4C15-4D15-10A16-7B17-7A18-1E19-5C21-5D22-10B27-5D27-10D28−2D28-7ア29-1B令3-1A令3-1B令5-4エ令5-4オ
29-2選択
関連条文 中高齢の寡婦加算(62条)、中高齢寡婦加算の支給停止(65条)、経過的寡婦加算(S60法附則73条)、遺族厚生年金の加算の特例(S60法附則74条)

1.中高齢の寡婦加算(62条) 法改正(H19.4.1施行)
 「遺族厚生年金(長期要件により支給されるものであって、その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240未満であるものを除く)の受給権者である妻であって、
・その権利を取得した当時40歳以上65歳未満であったもの又は、
40歳に達した当時、当該被保険者若しくは被保険者であった者の子で国民年金法37条の2の1項(遺族基礎年金の遺族の範囲)に該当するもの(当該被保険者若しくは被保険者であった者の死亡後に同法39条3項の2号から8号までのいずれか(配偶者に支給する遺族基礎年金における子の加算の減額)に該当したことがあるものを除く)と生計を同じくしていたものが65歳未満であるときは、
 遺族厚生年金の額に遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする)を加算する」
  「2項 前項の加算を開始すべき事由又は同項の加算を廃止すべき事由が生じた場合における年金の額の改定は、それぞれ当該事由が生じた月の翌月から行う」  

@短期要件あるいは、被保険者期間が240月以上の長期要件であること。(短期要件の場合は、300月とみなされる)
⇒受給資格期間短縮特例((60年改正法附則61条1項)
 「受給資格期間短縮に関する特例を満足する者で被保険者期間の月数が240に満たないときは、240であるものとみなす」 
A寡婦加算は妻に限られる。
 よって、「当該被保険者若しくは被保険者であった者(死亡した者)」とは夫のこと。
B加算要件
B-1夫が死亡したとき、40歳以上65歳未満である妻。又は
B-2夫が死亡したときは40歳未満であっても、40歳になったときに、夫の子で、遺族基礎年金を受けることのできる(18歳到達年度末未満あるいは2級以上障害の20歳未満の子など)と生計を同じくしている65歳未満の妻
⇒40歳前に子の加算に該当しなくなった(18歳到達年度末終了、2級以上の障害の20歳到達、婚姻などの)場合は、40歳になったときにその子と生計を同じくしても上記要件には該当しない。
C加算要件に該当していても、遺族基礎年金を受給できている間は、支給停止である。
・B-1の場合、夫の死亡時に40歳以上65歳未満であれば、加算要件は満足するが、実際の支給は、遺族基礎年金が受給できている間は支給停止となる。遺族基礎年金の受給権がない場合は、遺族厚生年金の受給権発生時から、同時に支給される。
・B-2の場合、夫の死亡時は40歳未満であるが、40歳時点で遺族基礎年金が受給できている場合に限り、加算加算要件を満足する。実際の支給は、遺族基礎年金の受給権が消滅した月の翌月から。
D65歳以降は、昭和31年4月1日までに生まれたものであれば、経過的寡婦加算が支給される

 中高齢の寡婦加算の額
 本則:遺族基礎年金の額(780,900円×新規裁定者の改定率)×3/4(100円単位)
 ただし、平成26年度までは、物価スライド特例水準による遺族基礎年金の額×3/4(すなわち804,200×3/4=603,200円)×物価スライド率 
 中高齢寡婦加算の支給停止(65条)
 「62条1項の規定によりその額が加算された遺族厚生年金は、その受給権者である妻が当該被保険者又は被保険者であった者の死亡について国民年金法による遺族基礎年金の支給を受けることができるときは、その間、同項の規定により加算する額に相当する部分の支給を停止する」
19
5C
 被保険者期間が240月以上である老齢厚生年金の受給資格期間を満たした者が平成19年4月1日以後に死亡した場合において、死亡した者の妻が遺族厚生年金の受給権を取得した当時、遺族基礎年金の受給権を有する者がおらず、かつ、当該妻がその当時40歳未満であった場合、当該妻の遺族厚生年金に中高齢の寡婦加算が行われることはない。(基礎) 

解説を見る

正しい 誤り
27
10
D
 子のない妻が、被保険者である夫の死亡による遺族厚生年金の受給権を取得したときに30歳以上40歳未満であった場合、妻が40歳に達しても中高齢寡婦加算は加算されない。(19-5Cの類型)

解説を見る

正しい 誤り
22
10
B
 老齢厚生年金の受給資格を満たしていない被保険者が死亡した場合において、死亡した者の妻が遺族厚生年金の受給権を取得したときに、夫の死亡当時遺族基礎年金の支給を受けることができる子がいない場合は、当該妻が40歳に達するまでの間、遺族厚生年金の額に遺族基礎年金の額の4分の3に相当する額が加算される。(19-5Cの類型)

解説を見る

正しい 誤り
16
7B
 被保険者の死亡により遺族厚生年金の受給権が発生した34歳の妻と15歳の子の場合において、その子が成長して年齢に係る失権事由により受給権を失権したときは、その翌月から妻に中高齢の寡婦加算が支給される。(22-10Bの類型)

解説を見る

正しい 誤り
中高齢寡婦加算額 15
4D
 遺族厚生年金の中高齢寡婦加算額は、老齢基礎年金の年金額の3分の2に相当する額になっている。(基礎)

解説を見る

正しい 誤り
29
2
選択
 遺族厚生年金に加算される中高齢寡婦加算の額は、国民年金法第38条に規定する遺族基礎年金の額に| B  |を乗じて得た額(その額に50円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50円以上100円未満の端数が生じたときは、これを100円に切り上げるものとする)として算出される。(15-4Dの類型)

解説を見る

語群はこちらを


3
1A
 夫の死亡により、厚生年金保険法第58条第1項第4号に規定するいわゆる長期要件に該当する遺族厚生年金(その額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものとする)の受給権者となった妻が、その権利を取得した当時60歳であった場合は、中高齢寡婦加算として遺族厚生年金の額に満額の遺族基礎年金の額が加算されるが、その妻が、当該夫の死亡により遺族基礎年金も受給できるときは、その間、当該加算される額に相当する部分の支給が停止される。

解説を見る

正しい 誤り






28
7ア
 被保険者の死亡により妻が中高齢寡婦加算額が加算された遺族厚生年金の受給権を取得した場合において、その遺族厚生年金は、妻に当該被保険者の死亡について国民年金法による遺族基礎年金が支給されている間、中高齢寡婦加算額に相当する部分の支給が停止される。(基礎)

解説を見る

正しい 誤り

5
4エ
 中高齢寡婦加算が加算された遺族厚生年金の受給権者である妻が、被保険者又は被保険者であった者の死亡について遺族基礎年金の支給を受けることができるときは、その間、中高齢寡婦加算は支給が停止される。(28-7アの類型)
解説を見る
正しい 誤り

2.経過的寡婦加算(S60法附則73条) 法改正(18.4.1施行)
 「62条(中高齢の寡婦加算)に規定する遺族厚生年金の受給権者であって、昭和31年4月1日までの間に生まれた者(死亡した厚生年金保険の被保険者又は被保険者であった者の妻であった者に限る)が、その権利を取得した当時65歳以上であったとき、又はその後65歳に達したときは、中高齢寡婦加算額から満額の老齢基礎年金額×生年月日による乗率を控除した額を加算する。
 ただし、当該遺族厚生年金の受給権者が、国民年金法による障害基礎年金又は旧国民年金法による障害年金の受給権を有するとき(その支給を停止されているときを除く)は、その間、当該加算する額に相当する部分の支給を停止する」
 「同2項 前項の場合においては、65条の規定を準用する」
⇒遺族基礎年金の支給を受けることができるときも、経過的寡婦加算は支給停止となる。

@昭和31年4月1日までの間に生まれた者とは、
 「新国民年金法ができた時点(昭和61年4月1日)で既に30歳を過ぎていた者であり、老齢基礎年金が満額よりは少ない者が多いであろう」ということで、経過的寡婦加算が支給される。
Aただし、遺族基礎年金あるいは障害基礎年金が支給される場合は、その額は満額の老齢基礎年金額(障害等級1級の場合は1.25倍)に等しいので、経過的寡婦加算は支給停止となる。
 経過的寡婦加算の額
 本則:
 中高齢寡婦加算額−満額の老齢基礎年金額×生年月日に応じた控除率
 =遺族基礎年金の額(780,900円×既裁定者改定率)の100円単位の値×3/4−満額の老齢基礎年金の額(780,900円×既裁定者改定率)の100円単位の額×生年月日に応じた控除率
 ここで、控除率=(昭和61年から60歳になるまでの年数/加入可能年数) 
 経過的寡婦加算額(令和5年度値)=
 (780,900円×既裁定者改定率1.015)の100円単位の額×3/4(=594,500)ー(780,900円×既裁定者改定率1.015))の100円単位の額(792,600円)×生年月日に応じた控除率 

@経過的寡婦加算は昭和31年4月1日までの間に生まれた者、すなわち、既裁定者に支給されるものである。
Aよって、その額を計算する場合に使用される中高齢寡婦加算額は、62条にある新規裁定者改定率によるのではなく、既裁定者改定率による額である。
 満額の老齢基礎年金の額についても、既裁定者改定率による額である。
 26年度までは、物価スライド特例措置により
 中高齢寡婦加算−満額の老齢基礎年金×物価スライド率×生年月日に応じた控除率
 =(603,200円×物価スライド率)−(804,200円×物価スライド率)×生年月日に応じた控除率 
65歳までで遺族基礎年金と遺族厚生年金を併給していた期間  中高齢寡婦加算は支給停止
65歳以降、遺族基礎年金と遺族厚生年金を併給していた期間  
 経過的寡婦加算は支給停止

 

65歳以降、障害基礎年金と遺族厚生年金の併給に変更した場合
  
経過的寡婦加算の加算 27
5D
 老齢厚生年金の受給権者(その計算の基礎となる被保険者期間の月数は240か月以上)が死亡したことによりその妻(昭和25年4月2日生まれ)に支給される遺族厚生年金は、その権利を取得した当時、妻が65歳以上であっても、経過的寡婦加算が加算される。なお、当該妻は障害基礎年金及び遺族基礎年金の受給権を有しないものとする。

解説を見る

正しい 誤り

3
1B
 昭和32年4月1日生まれの妻は、遺族厚生年金の受給権者であり、中高齢寡婦加算が加算されている。当該妻が65歳に達したときは、中高齢寡婦加算は加算されなくなるが、経過的寡婦加算の額が加算される。

解説を見る

正しい 誤り






14
4C
 遺族厚生年金の受給権者である妻が昭和31年4月1日以前の生まれであるときは、その妻が65歳に達してからは妻自身の老齢基礎年金が支給されるので、中高齢寡婦加算及び経過的寡婦加算は支給停止される。(基礎)
解説を見る
正しい 誤り
28
2D
 経過的寡婦加算が加算された遺族厚生年金の受給権者が国民年金法による障害基礎年金の支給を受ける場合には、遺族厚生年金の経過的寡婦加算の額に相当する部分の支給が停止される。

解説を見る

正しい 誤り

5
4オ
 経過的寡婦加算が加算された遺族厚生年金の受給権者である妻が、障害基礎年金の受給権を有し、当該障害基礎年金の支給がされているときは、その間、経過的寡婦加算は支給が停止される。(28-2Dの類型)

解説を見る

正しい 誤り








17
7A
 遺族厚生年金に加算される中高齢寡婦加算の額は、生年月日等にかかわらず老齢基礎年金の額の4分の3相当額であり、経過的寡婦加算額は中高齢寡婦加算の額から老齢基礎年金の満額にその妻の生年月日に応じた率を乗じて得た額を控除した額である。(基礎:要注意)

解説を見る

正しい 誤り
21
5D
 遺族厚生年金の受給権者である妻で一定の要件を満たす者に加算される中高齢寡婦加算の額は、妻の生年月日に応じた率を使用し算出されるが、経過的寡婦加算の額は、当該妻の生年月日にかかわらず、一定の金額とされている。(17-7Aの類型)

解説を見る

正しい 誤り
15
10
A
 遺族厚生年金に加算される経過的寡婦加算額は、妻の生年月日が昭和31年4月1日以前であるときは、生年月日に応じて最低一定額34,100円から最高一定額603,200円までの額として加算される。(発展)

解説を見る

正しい 誤り

















 遺族厚生年金の加算の特例(S60法附則74条)法改正(H26.04.01)
 「配偶者に支給する遺族厚生年金の額は、当該厚生年金保険の被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その配偶者が59条1項(遺族の範囲)に規定する要件に該当した子と生計を同じくしていた場合であって、その配偶者が遺族基礎年金の受給権を取得しないときは、60条1項(遺族厚生年金額)1号及び62条1項(中高齢の寡婦加算、ただし妻の場合に限る)の規定の例により計算した額に、国民年金法38条(遺族基礎年金額)及び39条1項(子の加算)の規定の例により計算した額を加算した額とする」
⇒遺族の範囲にある生計を同じくする子がいながら遺族基礎年金を受給できない配偶者(夫あるいは妻)に支給する遺族厚生年金額には、国民年金法による遺族基礎年金と子の加算に相当する額を加算する。

 「2項 子に支給する遺族厚生年金の額は、当該厚生年金保険の被保険者又は被保険者であった者の死亡につき、その子が遺族基礎年金の受給権を取得しないときは、60条1項(遺族厚生年金額)1号及び同条4項(子が二人以上である場合は人数で割った額とする)の規定の例により計算した額に、国民年金法38条(遺族基礎年金額)及び39条の2の1項(子の加算)の規定の例により計算した額を加算した額とする」 
⇒遺族基礎年金を受給できない子に支給する遺族厚生年金額には、国民年金法による遺族基礎年金と子の加算に相当する額を加算する。
18
1E
 遺族基礎年金の受給権を取得しない子に支給される遺族厚生年金の額については、遺族厚生年金の額に、遺族基礎年金の額及び子の加算額に相当する額を加算した額とする。(発展)

解説を見る

正しい 誤り
29
1B
 国外に居住する障害等級2級の障害厚生年金の受給権者が死亡した。死亡の当時、この者は、国民年金の被保険者ではなく、また、保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上を満たしていなかった。この者によって生計を維持していた遺族が5歳の子1人であった場合、その子には遺族基礎年金は支給されないが、その子に支給される遺族厚生年金の額に遺族基礎年金の額に相当する額が加算される。(30年度改)(18-1Eの類型)

解説を見る

正しい 誤り

 遺族年金の加算(遺族基礎年金と遺族厚生年金による分担) (令和5年度値)
死亡時に発生する受給権 遺族基礎年金による加算 遺族厚生年金による加算
遺族基礎年金のみ @配偶者が受給
・第1子、第2子に対して 228,700円/人
・第3子以降に対して76,200円/人
 ー
A子が受給
・第2子に対して 228,700円/人
・第3子以降に対して76,200円/人
妻が遺族厚生年金のみ   @妻が受給権を取得した当時、40歳以上65歳未満であるとき
⇒中高齢の寡婦加算596,000円
A同上の妻(S31.04.01以前生まれに限る)が65歳に達したとき
B夫の長期要件の遺族厚生年金の受給権を取得した65歳以上の妻
⇒A、Bいずれも経過的寡婦加算

C配偶者が遺族の範囲に該当する子がいるのに、遺族基礎年金の受給権を取得しないとき
⇒配偶者の遺族厚生年金に、遺族基礎年金と子の加算に相当する額を加算
  D子が遺族基礎年金の受給権を取得しないとき
⇒子の遺族厚生年金に、遺族基礎年金と子の加算に相当する額を加算
妻が遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給権 @遺族基礎年金が支給されている期間
・第1子、第2子に対して 228,700円/人
・第3子以降に対して76,200円/人
・中高齢の寡婦加算は支給停止




A遺族基礎年金が支給されていない(失権後等)期間 @妻が受給権を取得した当時、40歳以上65歳未満であるとき
⇒中高齢の寡婦加算596,000円
A同上の妻(S31.04.01以前生まれに限る)が65歳に達したとき
B夫の長期要件の遺族厚生年金の受給権を取得した65歳以上の妻
⇒A、Bいずれも経過的寡婦加算