19年度  法改正トピックス(厚生年金法に関する主要改正点)

   標準報酬月額  定時決定随時改定育児休業等終了時の改定
 併給調整  受給権者の申出による支給停止
 老齢厚生年金、在職老齢年金関連  老齢厚生年金の繰下げ届出在職老齢年金
 遺族厚生年金  遺族厚生年金の額複数の遺族給付がある場合年金額の改定支給停止失権事由の追加中高齢寡婦加算
 国庫負担  国庫負担
 旧現況届  社会保険庁長官による障害厚生年金の受給権者の確認等本人確認情報の提供を受けることができない障害厚生年金の受給権者に係る届出
 加給年金額の対象者がある老齢厚生年金の受給権者等の届出
 老齢厚生年金の受給権者に係る障害の現状に関する届出
 離婚時  標準報酬の改定の特例按分割合当事者等への情報の提供等標準報酬の改定又は決定記録老齢厚生年金等の額の改定
 注:そのほかにも多くの条文が改正されている。必要度に応じて追加することがあります。
 

改正後

改正ポイント

算定基礎
日数
の短縮
1.定時決定(21条)(H18.7.1施行)
 「社会保険庁長官は、被保険者が毎年7月1日現に使用される事業所において同日前3月間(報酬支払の基礎日数が17日未満である月を除く)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する」
 「報酬の支払基礎日数17日以上ある月」を対象   
  従来は、20日以上
背景
@「通常の就労者の所定労働時間及び所定労働日数のおおむね4分の3以上である就労者については、原則として健康保険及び厚生年金保険の被保険者として取り扱うべきものであること」(S55.6.6各都道府県保険課長あて内かん)
A週休2日制が普及してきたこと
ことから、Tomeさんが推測すると、通常の労働者の1週平均労働日は5.2日、1月あたりは22.3日。この4分の3とすると16.7日。
 注意 月給制の者の賃金支払基礎日数は1月の暦日数である。あくまでも日給、時間給等の者に対して適用される。
 
健康保険法についても同様の改正有り。
 
2.随時改定(23条)(H18.7.1施行)
 「社会保険庁長官は、被保険者が現に使用される事業所において継続した3月間(各月とも、報酬支払の基礎となった日数が、17日以上でなければならない)に受けた報酬の総額を3で除して得た額が、その者の標準報酬月額の基礎となった報酬月額に比べて、著しく高低を生じた場合において、必要があると認めるときは、その額を報酬月額として、その著しく高低を生じた月の翌月から、標準報酬月額を改定することができる」
3.育児休業等終了時の改定(23条の2)(H18.7.1施行)
 「保険者は、育児・介護休業法に規定する育児休業、育児休業の制度に準ずる措置による休業を終了した被保険者が、
 @ 終了した日において育児休業に係る3歳に満たない子を養育する場合において、
 A 事業主を経由して、保険者に申出をしたときは、定時決定の規定にかかわらず
 B 終了日の翌日が属する月以後3月間(終了日の翌日以降、継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払基礎日数が17日未満である月を除く)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として
 C 標準報酬月額を改定する」
併給調整   併給調整(38条)((H19.4.1施行)
 「障害厚生年金は、その受給権者が他の年金たる保険給付、国民年金法による年金たる給付(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される障害基礎年金を除く)又は他の被用者年金各法による年金たる給付(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される障害共済年金を除く)を受けることができるときは、その間、その支給を停止する。
 老齢厚生年金の受給権者が他の年金たる保険給付(遺族厚生年金を除く)、国民年金法による年金たる給付(老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金を除く)又は他の被用者年金各法による年金たる給付(退職共済年金及び遺族共済年金を除く)を受けることができる場合における当該老齢厚生年金及び
 遺族厚生年金の受給権者が他の年金たる保険給付(老齢厚生年金を除く)、国民年金法による年金たる給付(老齢基礎年金及び付加年金、障害基礎年金並びに当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される遺族基礎年金を除く)又は他の被用者年金各法による年金たる給付(退職共済年金及び当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づいて支給される遺族共済年金を除く)を受けることができる場合における当該遺族厚生年金についても、同様とする」  

 併給調整の内容が変わったわけではない。
 受給権者の申出による支給停止(38条の2)(H19.4.1新設)
 「年金たる保険給付(この法律の他の規定又は他の法令の規定によりその全額につき支給を停止されている年金たる保険給付を除く)は、その受給権者の申出により、その全額の支給を停止する。
 ただし、この法律の他の規定又は他の法令の規定によりその額の一部につき支給を停止されているときは、停止されていない部分の額の支給を停止する」
 「2項 前項ただし書のその額の一部につき支給を停止されている年金たる保険給付について、この法律の他の規定又は他の法令の規定による支給停止が解除されたときは、前項本文の年金たる保険給付の全額の支給を停止する」
 「3項 1項の申出は、いつでも、将来に向かって撤回することができる」
 「4項 1項又は2項の規定により支給を停止されている年金給付は、政令で定める法令の規定の適用については、その支給を停止されていないものとみなす」
 従来の38条の2の「老齢基礎年金と遺族厚生年金の併給特例」は60条に組み込まれた。
自ら申し出て、年金の受給を辞退する制度である。世の中には、奇特な人も結構いるもので、今の制度だと辞退する方法がないという意見があって作られた。
 ⇒ 在職老齢年金の仕組みなどにより一部支給停止されている部分は、辞退しようとしまいと支給されないので、辞退できない。
 現状

 裁定請求をしないと、年金は支給されない(永遠の辞退)。途中で気が変わったか、気がついたかして、たとえば68歳で裁定請求すると、65歳までさかのぼって(最大5年さかのぼり可能)全額支給される。又は19年4月からは、繰下げ支給と見て増額される選択もある。
 ⇒ いずれにしてもこれまでは、辞退というのはなかった(許されなかった?) 
老齢厚生年金の繰下げ
 
1.老齢厚生年金の繰下げ(44条の3)(H19.4.1施行)
 「老齢厚生年金の受給権を有する者であってその受給権を取得した日から起算して1年を経過した日前に当該老齢厚生年金を請求していなかったものは、社会保険庁長官に当該老齢厚生年金の支給繰下げの申出をすることができる。
 ただし、その者が当該老齢厚生年金の受給権を取得したときに、他の年金たる保険給付、国民年金法による年金たる給付(老齢基礎年金及び付加年金並びに障害基礎年金を除く)若しくは他の被用者年金各法による年金たる給付(退職を支給事由とするものを除く)の受給権者であったとき、又は当該老齢厚生年金の受給権を取得した日から1年を経過した日までの間において他の年金たる保険給付、国民年金法による年金たる給付若しくは他の被用者年金各法による年金たる給付の受給権者となったときは、この限りでない」
 「4項 1項の申出をした者に支給する老齢厚生年金の額は、老齢厚生年金の受給権を取得した日の属する月の前月までの被保険者期間を基礎として43条(老齢厚生年金額)の規定の例により計算した額並びに46条(60歳台後半の在職老齢年金)の規定の例により計算したその支給を停止するものとされた額を勘案して政令で定める額を加算した額とする」
 ⇒ 繰下げは老齢厚生年金額−60歳台後半の在職老齢年金制度による支給停止額に対してのみ行われる。
 改正前
 平成12年に60歳台後半の退職老齢年金制度が導入されたとき、老齢厚生年金の(増額を伴う)繰下げ支給は廃止された。
 ⇒ 在職老齢年金の仕組みにより減額されるより、後年度(たとえば70歳になったとき)に繰下げ受給して増額を狙う選択をすることを封じてきた。
 改正後
 後年度に繰下げ受給したときは、老齢厚生年金全額に加えて、(老齢厚生年金額−60歳台後半の在職老齢年金制度による支給停止額)に対する増額分(増額率は1月あたり0.7%)が支給される。
 ⇒ 在職中に支給されるであろう減額調整後の年金額のみが増額対象となる。
7
0歳
以上の者の在職老齢年金
 届出(27条)(H19.4.1施行)
 「適用事業所の事業主又は任意単独被保険者になることに同意をした事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者(70歳以上の使用される者を含む)の資格の取得及び喪失(70歳以上の使用される者にあつては、厚生労働省令で定める要件に該当するに至つた日及び当該要件に該当しなくなつた日)並びに報酬月額及び賞与額に関する事項を社会保険庁長官に届け出なければならない」
 背景
 70歳以降で使用されている者は被保険者でなくなる(ただし、受給資格期間不足のために高齢任意加入被保険者になった場合は、引き続き被保険者である)が、
 平成19年4月1日からは、たとえ被保険者でなくても、60歳台後半の在職老齢年金のしくみが適用されるようになった。
 従って、70歳以降も、退職とか報酬月額、賞与額などの届出が必要になった。
1.在職老齢年金(46条)(H19.4.1施行) 
 「老齢厚生年金の受給権者が被保険者である日もしくはこれに相当するものとして政令で定める日(資格喪失日)又は70歳以上の使用される者である日若しくはこれに相当するものとして厚生労働省令で定める日(資格喪失日)が属する月において、
 @標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額(総報酬月額相当額。70歳以上の使用される者については、標準報酬月額に相当する額とその月以前の1年間の標準賞与額及び標準賞与額に相当する額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額)及び老齢厚生年金の額(加給年金額、経過的加算額を除く)を12で除して得た額(基本月額)との合計額が支給停止額を超えるときは、
 A総報酬月額相当額と基本月額との合計額から支給停止額を控除して得た額の2分の1に相当する額に12を乗じて得た額(支給停止基準額)に相当する部分の支給を停止する。
 Bただし、支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部の支給を停止する」 (太字分追加)

@現行の60歳台後半の在職老齢年金の仕組みが、70歳以上の在職者にも適用される。
A70歳以上の在職者は厚生年金被保険者ではないので標準報酬月額とか標準賞与額は設定されていないが、仮に設定した場合の金額を適用して、支給停止額を求める。
Bよって、70歳以上の者を使用している適用事業所事業主は、これらの者の保険料を納付する義務はないが、報酬及び賞与に関する届出義務が課せられる。
Cこの70歳以上在職者老齢年金の仕組みは施行日(平成19年4月1日)において70歳以上の者には適用されない。
遺族厚生年金の見直し  
 遺族厚生年金の額(60条)(H19.4.1施行)
 「遺族厚生年金(次項の規定が適用される場合を除く)の額は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額とする。
 ただし、遺族厚生年金の受給権者が当該遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく国民年金法による遺族基礎年金の支給を受けるときは、第1号に定める額とする」 
 
1号 遺族(次号を除く)が遺族厚生年金の受給権を取得したとき、死亡した被保険者又は被保険者であつた者の被保険者期間を基礎として 老齢厚生年金の額の規定により計算した額の4分の3に相当する額。(ただし、短期要件による場合は、被保険者期間の月数が300に満たないときは300として計算)」 
 
2号 遺族のうち、老齢厚生年金、老齢・退職を支給事由とする年金たる給付であつて政令で定めるもの(老齢厚生年金等)のいずれかの受給権を有する65歳以上の配偶者が、遺族厚生年金の受給権を取得したとき、aとbでどちらか多い方の額」 
a  1号又は
b  1号×2/3+(受給権者の老齢厚生年金等の額−政令で定める額)×1/2

 「60条3項 被保険者期間の全部又は一部が厚生年金基金の加入員であつた場合の1項2号における老齢厚生年金等の額については、厚生年金基金の加入員であつた期間についても被保険者期間であるとして計算した老齢厚生年金の額とする」

 38条の2の併給特例がここに組み込まれた。
 よって、実際の額の変動はない。
 通常の遺族厚生年金⇒ 
 老齢厚生年金(報酬比例部分、加給は除く)×3/4(短期要件のときは300月補償あり)

 65歳以上の配偶者で自分の老齢厚生年金等も受給できる者⇒ 
 以下で、1番高い額

@ 自分の老齢厚生年金のみ
A 死亡配偶者の遺族厚生年金
B 死亡配偶者の遺族厚生年金×2/3+自分の老齢厚生年金×1/2

 

支給停止(64条の3)(H19.4.1新設)
 「遺族厚生年金(その受給権者が65歳に達しているものに限る)は、その受給権者が老齢厚生年金等のいずれかの受給権を有するときは、当該老齢厚生年金等の額の合計額から政令で定める額を控除した額に相当する部分の支給を停止する」
 施行日前受給権者の取り扱い(附則44条)
 「平成19年4月1日前において支給事由の生じた遺族厚生年金(その受給権者が昭和17年4月1日以前に生まれたものに限る)の額の計算及び支給の停止については、なお従前の例による」

 

支給停止
 遺族厚生年金の実際の支給額は、自分の老齢厚生年金は全額支給され、残りの差額分のみが、遺族厚生年金として支給されることになった。
@支給額は改正前と同額である。
Aその内訳として、まず自分が納付し保険料に基づく老齢厚生年金を全額受給し、不足があるときは、夫の遺族厚生年金からもってきて補うということ。
 ⇒これは現ナマではなく意識の問題です。納付した保険料と給付の関係をはっきりさせたいというのが、時代の趨勢のようです。
 複数の遺族給付がある場合(60条2項)
 「長期要件の遺族厚生年金の受給権者でかつ老齢厚生年金の受給権を有する65歳以上の配偶者であって、
 他に同一支給事由に基づいて支給される年金たる給付であつて政令で定めるもの(施行令3条の10の5:国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法などによる長期要件の遺族共済年金)
 の受給権を有する者の遺族厚生年金の額は、
 次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額とする」
  
 a:合算遺族給付額(受給権者の遺族厚生年金額(報酬比例部分のみからなる老齢厚生年金×3/4)
   +遺族共済年金など他の遺族共済年金額の合計額
 b:(合算遺族給付額−政令で定める額(施行令3条の10の7:職域加算額)×2/3+(受給権者の老齢厚生年金や退職共済年金の額−政令で定める額(職域加算額)×1/2)+政令で定める額(職域加算額)
1号  aがb以上であるときは、
  受給権者の遺族厚生年金額(報酬比例部分のみからなる老齢厚生年金×3/4が厚生年金から支給される 
 ⇒各制度からも遺族共済年金がそれぞれ支給される。
2号  aがb未満であるときは、
(合算遺族給付額−職域加算額)×2/3+(受給権者の老齢厚生年金や退職共済年金の額−職域加算額)×1/2)を全体の額として、それに、遺族厚生年金額/(合算遺族給付額−政令で定める額)をかけた額が厚生年金から支給される 
 ⇒各制度からも、(合算遺族給付額−職域加算額)×2/3+(受給権者の老齢厚生年金等の額−職域加算額)×1/2)にそれぞれの按分比率をかけた額が支給される。
 
 基本:
@長期要件の遺族厚生年金、遺族共済年金は併給される。
A本人の老齢厚生年金額、退職共済年金額が優先して支給され、不足分がある場合に、遺族厚生年金と遺族共済年金から補填される。 
 夫が死亡し、妻が遺族厚生、遺族共催、老齢厚生、退職共済をあわせて受給可能な場合
 (ただし、職域加算額は単純化するため、無視してある)

1号:夫の合算遺族給付額≧ 夫のが合算遺族給付額×2/3+妻の老齢厚生年金等の額×1/2
 ⇒ 夫の合算遺族給付額すなわち、遺族厚生年金、遺族共済年金がそれぞれから支給される
 夫の合算遺族給付額< 夫の合算遺族給付額×2/3+妻の老齢厚生年金等の額×1/2
  
 ⇒ 全体の受給額が(夫の合算遺族給付額×2/3+妻の老齢厚生年金×1/2)になるように、
 遺族厚生年金と遺族共済年金から按分して支給される。

いずれの場合も、まずは、妻の老齢厚生年金額、退職共済年金額が優先して支給され、不足分がある場合に、夫の遺族厚生年金と遺族共済年金から補填される。 
 年金額の改定(61条)(19.4.12項、3項新規)
 「2項 60条1項1号の規定によりその額が計算される遺族厚生年金(配偶者に対するものに限る)の受給権者が老齢厚生年金等のいずれかの受給権を取得したにおいて、同項2号a及びbに掲げる額を合算した額が同項1号に定める額を上回るとき、又は同条2項第1号bに掲げる額が同号aに掲げる額を上回るときは、それぞれ同条1項2号a及びbに掲げる額を合算した額又は同条2項b号に定める額に、当該老齢厚生年金等の受給権を取得した日の属する月の翌月から、年金の額を改定する」  


 「同3項 60条1項2号又は同条2項の規定によりその額が計算される遺族厚生年金は、その額の算定の基礎となる老齢厚生年金等の額が43条3項(退職改定)などにより改定されたときは、当該老齢厚生年金等の額が改定された月から当該遺族厚生年金の額を改定する。
 ただし、前条1項1号又は同条2項第1号aの規定により計算される額が、それぞれ当該改定後の老齢厚生年金等の額を基礎として算定した同条1項第2号a及びbに掲げる額を合算した額又は同条2項1号bの額以上であるときは、この限りでない」

⇒ 65歳以上配偶者の老齢厚生年金等の金額が改定され、大小関係関係がひっくり返るなど遺族厚生年金の額に影響を及ぼすこととなった場合は、翌月から自動的に遺族厚生年金の額を改定する。(これまでは、受給権者の選択にまかされていた)

 
 ⇒ 老齢厚生年金等の金額が退職改定などによって増額になり、遺族厚生年金額に影響を及ぼすこととなった場合は、改訂のあった月から、自動的に遺族厚生年金の額を改定する。(これまでは、受給権者の選択にまかされていた)
 遺族厚生年金の失権事由の追加(63条1項5号)(H19.4.1施行)
 「次ののイ又はロに掲げる区分に応じ、当該イ又はロに定める日から起算して5年を経過したとき。
 遺族厚生年金の受給権を取得した当時30歳未満である妻が同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を取得しないとき(一定の子がいないときなど):遺族厚生年金の受給権を取得した日
 遺族厚生年金と、同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を有する妻が30歳に到達する日前に遺族基礎年金の受給権が消滅したとき(一定の子がいなくなったときなど):当該遺族基礎年金の受給権が消滅した日
 夫が死亡したときに、妻が30歳未満の場合の遺族厚生年金は、
@遺族基礎年金の受給資格がないとき ⇒ 死亡後5年間で打ち切り
A遺族基礎年金を受給できていたが、30歳未満で子がいなくなったとき、⇒ 遺族基礎年金失権後5年間で打ち切り
 子のいない若い未亡人は、年金をあてにせず、自分で働けということ。
  従来は、死亡や婚姻などで失権するまで受給できた。
 中高齢の寡婦加算(62条)(H19.4.1施行)
 「遺族厚生年金(長期要件で、被保険者期間の月数が240未満であるものを除く)の受給権者である妻であって、
@受給権を取得した当時40歳以上であるとき、又は、
A受給権を取得した当時40歳未満で、かつ遺族基礎年金を受給できていたが、40歳以上になってから遺族基礎年金を受給できなくなったときは、
 65歳になるまで、遺族厚生年金の額に遺族基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額を加算する」 
 「従来は、受給権を取得した当時
@35歳以上、又は、
A35歳未満でかつ遺族基礎年金を受給できていたが、35歳以上になってから遺族基礎年金を受給できなくなったときは、40歳以上65歳未満の間、加算する」
⇒ 死亡当時、40歳以上のとき、又は、40歳以上まで遺族基礎年金を受給していたとき、加算あり。
⇒ 
加算期間は40歳以上65歳未満で変更はない。ただし、遺族基礎年金を受給しているときは支給停止。
 国庫負担(基礎年金拠出金の国庫負担に関する経過措置(平成16年改正法附則32条6項)(H19.4.1施行)
 「平成19年度から特定年度の前年度までの各年度における7条の規定による改正後の厚生年金保険法80条1項の規定の適用については、同項中「の2分の1に相当する額」とあるのは、「に、3分の1に1,000分の32を加えた率を乗じて得た額」とする 」
 ⇒ 19年度は基礎年金拠出金の額 ×(3分の1+1,000分の32) 
 18年度値は3分の1+1000分の25
 19年度値は3分の1+1000分の32

現況届
1 社会保険庁長官による老齢厚生年金の受給権者の確認等(施行規則35条) (H18.10.1施行)
 「社会保険庁長官は、支払期月の前月において、住民基本台帳法の規定による当該支払期月に支給する老齢厚生年金の受給権者に係る本人確認情報の提供を受け、必要な事項について確認を行うものとする。ただし、当該 老齢厚生年金の額の全部につき支給が停止されているときは、この限りでない」
 「2項 社会保険庁長官は、前項の規定により本人確認情報の提供を受けるために必要と認める場合は、老齢厚生年金の受給権者に対し、当該受給権者に係る住民票コードの報告を求めることができる」
 「3項 社会保険庁長官は、1項の規定により必要な事項について確認を行つた場合において、老齢厚生年金の受給権者の生存の事実が確認されなかつたとき(次条1項に規定する場合を除く)又は社会保険庁長官が必要と認めるときには、当該受給権者に対し、当該受給権者の生存の事実について確認できる書類の提出を求めることができる」
  「4項 前項の規定により同項に規定する書類の提出を求められた受給権者は、社会保険庁長官が指定する期限 までに、当該書類を社会保険庁長官に提出しなければならない」 
 毎年誕生月までに提出する現況届(生存確認)は原則廃止になった。
 
⇒ 障害厚生年金受給権者の確認等(施行規則51条)も同様。
⇒ 遺族厚生年金受給権者の確認等(施行規則68条)も同様

 
2 本人確認情報の提供を受けることができない老齢厚生年金の受給権者に係る届出(施行規則35条の2)(H18.10.1新設)
 「社会保険庁長官は、住民基本台帳法の規定による老齢厚生年金の受給権者に係る本人確認情報の提供を受けることができない場合には、当該受給権者に対し、次の各号に掲げる事項を記載し、かつ、自ら署名した届書を毎年社会保険庁長官が指定する日 までに提出することを求めることができる」
1  受給権者の氏名、生年月日及び住所
2  基礎年金番号
3  老齢厚生年金の年金証書の年金コード
 「2項 前項の規定により同項に規定する届書の提出を求められた受給権者は、毎年、指定日までに、当該届書を社会保険庁長官に提出しなければならない。
 現況届(生存確認)は原則廃止であるが、以下の者は従前通り、現況届の提出が求められる。
@社会保険庁が管理している年金受給者の基本情報(氏名、生年月日、性別、住所)が住基ネット住民票)に保存されている基本情報と相違している者
A住基ネットに参加していない市区町村(杉並区、国立市、矢祭町)に住む者
B外国籍(外国人登録)の者
C外国に住む者
⇒ 本人確認情報の提供を受けることができない障害厚生年金の受給権者に係る届出(施行規則51条の2)も同様
⇒ 本人確認情報の提供を受けることができない遺族厚生年金の受給権者に係る届出(施行規則68条の2)も同様
3 加給年金額の対象者がある老齢厚生年金の受給権者等の届出(施行規則35条の3)(H18.10.1新設)
 「加給年金額の対象者がある老齢厚生年金の受給権者(特別支給の老齢厚生年金の受給権者で加給年金額の対象者がある者を含む)は、毎年、指定日までに、次の各号に掲げる事項を記載し、かつ、自ら署名した届書を、社会保険庁長官に提出しなければならない。ただし、当該老齢厚生年金の額の全部につき支給が停止されているときは、この限りでない」  
1  受給権者の氏名、生年月日及び住所
2  基礎年金番号
3  老齢厚生年金の年金証書の年金コード
4  加給年金額の対象者の氏名及び生年月日並びにその者が引き続き受給権者によつて生計を維持している旨
 「2項 前項の届書には、指定日前1月以内に作成された次の各号に掲げる書類等を添えなければならない」
1  加給年金額の対象者のうち、1級又は2級の障害の状態にある子であつて、その障害の程度の診査が必要であると認めて社会保険庁長官が指定したものがあるときは、その障害の現状に関する医師又は歯科医師の診断書 受給権者の氏名、生年月日及び住所
2  前号の障害が別表に掲げる疾病又は負傷によるものであるときは、その障害の現状の程度を示すレントゲンフィルム  
 「3項 第1項の規定は、次の各号のいずれかに掲げる日以後1年以内に指定日が到来する年には、これを適用しない。
1  老齢厚生年金の裁定が行われた日
2  老齢基礎年金の裁定が行われた日
3  その全額につき支給が停止されていた老齢厚生年金の支給の停止が解除された日(その前日に老齢厚生年金の受給権者が老齢基礎年金(その全額につき支給を停止されているものを除く)の受給権を有していた場合を除く)
4  当該受給権者の老齢基礎年金(受給権者が70歳未満であるものに限る)について昭和60年改正法附則第17条第1項の規定により年金の額が改定された日
 旧現況届の規定においては、加給対象者がある場合は、現況届に生計維持証明を添えることになっていた。
 現況届の規定の改正に伴って、生計維持証明に関する届出の義務を課す条文を新設した。

⇒ 加給年金額の対象者がある障害厚生年金の受給権者等の届出(施行規則51条の3)も同様

4 老齢厚生年金の受給権者に係る障害の現状に関する届出(施行規則35条の4)(H18.10.1新設)
 「老齢厚生年金の受給権者であつて、その障害の程度の診査が必要であると認めて社会保険庁長官が指定したものは、社会保険庁長官が指定した年において、指定日までに、指定日前1月以内に作成されたその障害の現状に関する医師又は歯科医師の診断書を社会保険庁長官に提出しなければならない。ただし、当該老齢厚生年金の額の全部につき支給が停止されているときは、この限りでない」  
 「2項 前項の障害が別表に掲げる疾病又は負傷によるものであるときは、同項の書類に、指定日前1月以内に作成されたその障害の現状の程度を示すレントゲンフィルムを添えなければならない」
 旧現況届の規定においては、障害の程度の審査が必要であると認めて社会保険庁長官が指定した者については、現況届に障害の状態を確認する医師の診断書等を添えることになっていた。
 現況届の規定が改正されるに伴って、障害の状態を確認する必要がある場合は医師の診断書等の届出義務を課す条文を新設した。

⇒ 障害者特例の適用者がこれに該当する。
⇒ 障害厚生年金の受給権者に係る障害の現状に関する届出(施行規則51条の4)も同様
⇒ 遺族厚生年金の受給権者に係る障害の現状に関する届出(施行規則68条の3)も同様

離婚時の年金分割 1.離婚等をした場合における標準報酬の改定の特例(78条の2)(H19.4.1新設)
 「1号改定者(婚姻期間中の標準報酬総額が多い者)又は2号改定者(1号の配偶者であった者)は、離婚等(離婚、婚姻の取消しなど)をした場合であって、次のいずれかに該当するときは、社会保険庁長官に対し、離婚等について対象期間(婚姻期間その他の厚生労働省令で定める期間)に係る被保険者期間の標準報酬の改定又は決定を請求することができる。ただし、当該離婚等をしたときから2年を経過したときその他の厚生労働省令で定める場合に該当するときは、この限りでない」
1  当事者が標準報酬の分割合について合意しているとき。
2  家庭裁判所が 分割合を定めたとき
 分割することにより、
@、分割された後の自分の標準報酬に基づいて、老齢・障害厚生年金(報酬比例部分)が支給される。
 ⇒1号は分割分を引き、2号は分割分を足す。
A自分自身が受給資格期間を満たし、受給できる年齢に達したときから自分が失権(死亡等)するまで支給される。
 ⇒分割は、年金額には反映されるが、原則として受給資格期間には算入されない。

@H19.4.1以降に離婚等が成立した場合に限る。
Aいわゆる内縁関係にあったものがそれを解消しても離婚等には該当しない。
B当事者同士の話し合いあるいは家庭裁判所の定めにより、按分割合が合意できていなければならない。
C合意が成立すれば、障害厚生年金も分割の対象となる。
D婚姻期間中に相当する年金額は、最大限譲歩した場合には、夫婦合計額の半分づつとなる。

 
2.按分割合(78条の3)(H19.4.1新設)
 「分割合は、当事者それぞれの対象期間標準報酬総額(婚姻期間中の各月の標準報酬月額と標準賞与額に婚姻期間の末日において適用される再評価率を乗じて得た額の総額)の合計額に対する、2号改定者の対象期間標準報酬総額の割合を超え2分の1以下の範囲内で定められなければならない」
 婚姻期間中のものだけが分割対象となる。分割後において、
 1号(旧持分が多い側)は 旧持分以下で二人の合計値の半分以上
 2号(旧持分が少ない側)は、旧持分以上で二人の合計値の半分以下
 上記に、それぞれの婚姻前及び離婚後のものが加算される。 
 
 当事者等への情報の提供等(78条の4)H19.4.1新設)
 「当事者又はその一方は、社会保険庁長官に対し、厚生労働省令で定めるところにより、標準報酬改定請求を行うために必要な情報であつて次項に規定するものの提供を請求することができる。
 ただし、当該請求が標準報酬改定請求後に行われた場合又は離婚等をしたときから2年を経過したときその他厚生労働省令で定める場合においては、この限りでない」
 「同2項 前項の情報は、対象期間標準報酬総額、 按分割合の範囲、これらの算定の基礎となる期間その他厚生労働省令で定めるものとし、同項の請求があつた日において対象期間の末日が到来していないときは、同項の請求があつた日を対象期間の末日とみなして算定したものとする」
 標準報酬の改定又は決定(78条の6) (H19.4.1新設)
 「社会保険庁長官は、標準報酬改定請求があつた場合において、第1号改定者が標準報酬月額を有する対象期間に係る被保険者期間の各月ごとに、当事者の標準報酬月額をそれぞれ次の各号に定める額に改定し、又は決定することができる」 
第1号改定者  改定前の第1号改定者標準報酬月額×(1−改定割合)
第2号改定者  改定前の第2号改定者標準報酬月額+改定前の第1号改定者の標準報酬月額×改定割合
 注1:標準報酬月額は、3歳に満たない子を養育する被保険者にあっては従前標準報酬月額の保障を考慮  注2:改定割合とは、按分割合を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した率。
 「同2項 賞与も同様に取扱う」
 「同3項 前2項の場合において、対象期間のうち第1号改定者の被保険者期間であつて第2号改定者の被保険者期間でない期間については、第2号改定者の被保険者期間であつたものとみなす」
 記録(78条の7) (H19.4.1新設)
 「社会保険庁長官は、被保険者に関する原簿に前条3項の規定により被保険者期間であつたものとみなされた期間(離婚時みなし被保険者期間)を有する者の氏名、離婚時みなし被保険者期間、離婚時みなし被保険者期間に係る標準報酬その他厚生労働省令で定める事項(基礎年金番号、生年月日など)を記録しなければならない」
 老齢厚生年金等の額の改定(78条の10)(H19.4.1新設)
 「老齢厚生年金の受給権者について、標準報酬の改定又は決定が行われたときは、対象期間に係る被保険者期間の最後の月以前における被保険者期間及び改定又は決定後の標準報酬を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、当該標準報酬改定請求のあつた日の属する月の翌月から、年金の額を改定する」
 「同2項 障害厚生年金の受給権者について、当該障害厚生年金の額の計算の基礎となる被保険者期間に係る標準報酬が改定され、又は決定されたときは、改定又は決定後の標準報酬を基礎として、当該標準報酬改定請求のあつた日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。
 ただし、300月保障が適用されている障害厚生年金については、離婚時みなし被保険者期間は、その計算の基礎としない」