1C 国民年金法  基礎知識と関連過去問 Tome塾Homeへ
 老齢基礎年金(繰上げ支給、繰下げ支給、寡婦年金の消滅)
 関連過去問 11-5C12-5D12-7A13-4C13-9C14-3D14-1A14-3E14-6C14-7C15-8B16-1C17-4A17-4B17-4C17-4D17-4E17-8A17-8E18-8C19-1E19-8A21-6A21-8B21-8D22-2D23-1B23-8A23-8B23-8C23-8D23-8E24-1C24-8D26-1A26-1B26-1C26-1D26-1E27-3C27-7C29-6C29-6E29-8B30-4C令元ー4C令元ー4D令元-5B令元ー5C令元ー8C令2-5A令2-5D令4-7E令5-4D令5-6C
 21-1選択21-2選択30-3選択
 関連条文 全部繰上げ(附則9条の2)、 老齢・退職年金の受給権者に係る老齢基礎年金の支給の一部繰り上げの特例(H6改正法附則27条)、老齢厚生年金の支給繰上げの請求ができる者等に係る老齢基礎年金の一部繰り上げに関する特例(附則9条の2の2)、
 寡婦年金との調整(附則9条の2の5項)、障害基礎年金等の特例(附則9条の2の3)
 繰下げ支給(28条)、65歳到達後に受給権を取得した場合の繰下げ(60年改正法附則18条5項)
 支給の繰下げの際に加算する額(施行令4条の5)、支給の繰上げの際に減ずる額(施行令12条)、政令で定める額(施行令12条の4)、老齢基礎年金の支給の繰下げの際に加算する額等に関する経過措置





0.支給開始時期(原則)(26条) (再掲)
 「老齢基礎年金は、保険料納付済期間又は保険料免除期間を有する者が65歳に達したときに、その者に支給する。ただし、その者の保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が10年に満たないときは、この限りでない」
























1.老齢基礎年金の繰上支給 老齢厚生年金の繰上げについてはこちらを
1.1 全部繰上げ (附則9条の2) 
 「保険料納付済期間又は保険料免除期間を有する者であって、60歳以上65歳未満であるもの(任意加入被保険者でないものに限るものとし、附則9条の2の2の1項により長期加入者特例、船員・坑内員特例等に該当し、一部繰上げの請求をすることができる者は除く)は、当分の間、65歳に達する前に厚生労働大臣に老齢基礎年金の支給繰上げの請求をすることができる。
 ただしその者が、その請求があつた日の前日において、受給資格期間を満足しないときはこの限りでない」
⇒任意加入中の場合は、繰上げ請求に伴いそれ以降任意加入できなくなる。
⇒長期加入者特例、船員・坑内員特例等に該当し一部繰上げできる者は、一部繰上げと全部繰上げはどちらか一方を選択すること。

 「同2項 前項の請求は、厚生年金保険法附則7条の3の1項(特別支給の老齢厚生年金がない者による老齢厚生年金の繰上請求)若しくは13条の4の1項(特別支給老齢厚生年金の支給開始年齢の繰下げ実施中の年代の者が支給開始年齢前に行う老齢厚生年金の繰上請求)の規定により支給繰上げの請求をすることができる者にあつては、当該請求と同時に行わなければならない」
⇒老齢基礎年金の全部繰上げを行う場合、厚生年金保険法による繰上げ請求できるときは、必ず一緒に繰上げを行うことになる。
 「3項 1項の請求があったときは、その請求があった日から、その者に老齢基礎年金を支給する」  
注意して 
@紛らわし記述である。正しい意味は「請求があつた日に受給権が発生し、その翌月分から支給する」
Aこの場合の「翌月分から」とは、「翌月」に支給されるという意味ではなく、遅れるかも知れないが、「翌月分もふくめてそれ以降の年金が支給される」
 「4項 支給する老齢基礎年金の額は、27条に定める額から政令で定める額を減じた額とする」

 減額率=0.4%×(繰上げ請求月から65歳到達月の前月までの月数)(1年で4.8%、最大5年で24%の減額)
 「5項 寡婦年金の受給権は、受給権者が3項の規定による老齢基礎年金の受給権を取得したときは、消滅する」
 「6項 4項の規定は、付加年金の額について準用する」
⇒ 付加年金は老齢基礎年金と運命をともにする。 
 繰上支給と老齢基礎年金(H6改正法7条)
 「繰上支給の規定は、昭和16年4月1日以前に生まれた者であって国民年金の被保険者であるものについては、適用しない」 
 「2項 繰上支給の規定による老齢基礎年金は、その受給権者(昭和16年4月1日以前に生まれた者に限る)が国民年金の2号被保険者であるときは、その間、その支給を全額停止する」
 繰上支給と特別支給の老齢厚生年金(H6改正法24条) 
 「2項 特別支給の老齢厚生年金(受給権者が昭和16年4月1日以前に生まれた者であるものに限る)は、その受給権者が国民年金法による老齢基礎年金(7条2項の規定によりその支給が停止されているものを除く)の支給を受けることができるときは、その間、その支給を停止する」
 生年月日  老齢基礎年金  特別支給の老齢厚生年金
 昭和16年4月1日以前生まれ ・任意加入被保険者、2号被保険者である間は、繰上げ請求できない
・繰上げ請求後に2号被保険者になった場合は、減額老齢基礎年金は全額支給停止
・任意加入被保険者、2号被保険者でない者は老齢基礎年金の繰り上げ請求ができるが、繰り上げ請求すると、特別支給の老齢厚生年金は全額支給停止。
・繰上げ請求後に2号被保険者になった場合は、老齢厚生年金が在職老齢年金の適用を受け、減額老齢基礎年金の方が全額支給停止
・上記の者が、2号被保険者でなくなると、減額老齢基礎年金の支給が復活するが、特別支給の老齢厚生年金は全額支給停止。
 昭和16年4月2日以後生まれ ・任意加入被保険者のみ繰上げ請求できない
 (2号被保険者であっても繰上げ請求できる)
・任意加入被保険者を除いて、老齢基礎年金の繰り上げ請求ができ、繰り上げ請求しても、特別支給の老齢厚生年金は併給される。 (ただし、定額部分は調整される)
・2号被保険者の場合は在職老齢年金の仕組みが適用される。
 注:任意加入被保険者
・老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていないため任意加入中の者は当然ながら、繰上げ請求できない。
・老齢基礎年金の受給資格期間を満たしているが任意加入している者は、繰上げ請求時に任意加入を辞める必要がある。
全部繰上げ
@老齢基礎年金だけ受給できる者は、当然のことながら老齢基礎年金の全部繰り上げを請求できる。
⇒減額老齢基礎年金を受給。
A特別支給老齢厚生年金の定額部分と全部繰り上げによる老齢基礎年金の両方を併給することはできない
 よって、昭和16年(女子は21年)4月2日以降生まれの者で報酬比例部分60歳から、定額部分はその後遅れて65歳までに支給される者は、定額部分が若干でもあるので一部繰上げが可能である。
 しかし、それでは金額的に満足できないものは、全部繰り上げも請求できる。
 全部繰上げを請求すると、定額部分のうち老齢基礎年金相当額は全額支給停止になる。
⇒減額老齢基礎年金+経過的加算部分(定額部分の中の老齢基礎年金相当額は支給停止)+報酬比例部分を受給
B昭和24年(女子は29年)4月2日以降生まれの者で報酬比例部分のみが60歳から支給される者は、老齢基礎年金の全部繰り上げを請求できる。
⇒減額老齢基礎年金+報酬比例部分を受給することになる。
C昭和28年(女子は33年)4月2日以降生まれの者で報酬比例部分のみが60歳から遅れて支給される者は、老齢基礎年金の全部繰り上げと老齢厚生年金の繰上げを請求できる。
⇒減額老齢基礎年金+減額老齢厚生年金(報酬比例部分)を受給(報酬比例部分支給開始年齢後であればこの部分の減額はない)
1.2 一部繰上げ
1.2.1 老齢・退職年金の受給権者に係る老齢基礎年金の支給の一部繰り上げの特例(H6改正法附則27条)
  「次の各号のいずれかに該当する者(任意加入被保険者でないものに限る)は、厚生労働大臣に同法による老齢基礎年金の一部の支給繰上げの請求をすることができる。
 ただし、その者が附則9条の2による全部繰り上げの請求をしているときは、この限りでない
@昭和16年4月2日から24年4月1日生まれの者(1号女子にあっては5年遅れ)の者で、定額部分の支給開始年齢年齢に達していない者
A一元化前退職共済年金の受給権者(昭和16年4月2日から24年4月1日生まれの男子、女子であって、定額部分の支給開始年齢年齢に達していない者
⇒報酬比例部分は60歳から、定額部分は61歳以降の支給開始年齢からの特別支給の老齢厚生年金が支給される者であり、定額部分の支給開始年齢前であれば、老齢基礎年金の一部繰上げが請求できる。
⇒これらの者は、「全部繰上げ」と「一部繰上げ」のいずれかを選択できる
1.2.2 老齢厚生年金の支給繰上げの請求ができる者等に係る老齢基礎年金の一部繰り上げに関する特例(附則9条の2の2)
 「保険料納付済期間又は保険料免除期間を有する者であつて、厚生年金保険法附則8条の2の3項(3種被保険者の特例)に規定する者その他政令で定めるもので支給開始年齢に達していないもの(60歳以上の者であつて任意加入被保険者でない者に限る)は、当分の間、厚生労働大臣に老齢基礎年金の一部の支給繰上げの請求をすることができる。ただし、その者が、その請求があつた日の前日において、受給資格期間(10年)を満足しないときはこの限りでない」
⇒老齢厚生年金の一部繰り上げの請求ができる対象者は、
@加入期間15年以上の坑内員・船員(厚生年金法権法附則8条の2の3項による者)
A3級以上の障害状態にある者叉は厚生年金の被保険者期間が44年以上ある者であって、いずれも繰上げ請求の当時、厚生年金保険の被保険者でない者(国民年金法施行令12条の2による者)
⇒これらの者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分と報酬比例分が61歳から64歳までの間に同時受給できる者であり、その受給開始年齢前に繰り上げ請求する場合は、老齢基礎年金の一部繰上げとなる。。  
注:ただし、これら特例の該当する者は理屈上では全部繰上げも可能ではあるが、保護の必要性(せっかく定額部分も同時支給という特例で優遇しようとしているのに、定額部分はいらないとする全部繰上げは、おかしいのではないかということ)から、全部繰上げは請求できないとされている。

 「2項 前項による一部繰上げの請求は、厚生年金保険法の規定で繰上げの請求をすることができる者にあつては、当該請求と同時に行わなければならない」 
 「4項 前項の規定により支給する老齢基礎年金の額は、27条の規定にかかわらず、同条に定める額に政令で定める率を乗じて得た額から政令で定める額を減じた額とする」

 「5項 3項の規定による老齢基礎年金の受給権者が65歳に達したときは、前項の規定にかかわらず、当該老齢基礎年金の額に、27条に定める額(繰上げ前の老齢基礎年金額)に1から前項に規定する政令で定める率を控除して得た率を乗じて得た額を加算するものとし、65歳に達した日の属する月の翌月から、年金の額を改定する」
⇒繰上げ対象とはならなかった残りの老齢基礎年金部分は、65歳になると加算される。
 「6項 全部繰上げの規定における寡婦年金の失権、付加年金の減額率についても準用する」
 一部繰上げとは
@昭和16年4月2日以後生まれであって、60歳台前半の何がしか老齢厚生年金の定額部分を受給できる者は、その定額部分の支給開始年齢前であれば、老齢基礎年金の一部繰り上げを請求することができる。
A老齢厚生年金の定額部分の総額には減額はない。(60歳台前半で支給される定額部分の総額を、繰上げ請求した月の翌月から65歳到達月までの間でならして受け取る)
B定額部分で不足する部分を、老齢基礎年金の一部を繰上げすることによって補う。
 そのときの繰上げした基礎年金部分には減額が発生する。
 一部繰り上げ(減額の対象)となる老齢基礎年金の割合は、(請求月から定額部分の支給開始月の前月までの月数)/(請求月から65歳到達月前月までの月数)できまる。
C要するに一部繰り上げとは、厚生年金の定額部分の原資をできるだけ生かしながら、不足する定額部分の原資を、老齢基礎年金の一部を減額しても繰り上げすることによって、定額部分と基礎年金の両方を受給できるようにした制度である。
Dこれに対して全部繰上げとは、厚生年金の定額部分のうち基礎年金相当分(20歳から60歳までの期間に相当する定額部分)の受給をあきらめて、老齢基礎年金の全額を減額しても受給しようとする制度である。
23
8A
 繰上げ支給及び繰下げ支給は、いずれも国民年金法の附則において当分の間の措置として規定されている。(発展)

解説を見る

正しい 誤り
21
1

 保険料納付済期間又は保険料免除期間(いわゆる「学生納付特例」又は「若年者納付猶予」の期間を除く)を有する者であって、| A |であるもの(| B |でないものに限るものとし、法附則9条の2の2第1項に規定する老齢基礎年金の一部の支給繰上げの請求をすることができるものを除く)は、当分の間、| C |に達する前に厚生労働大臣に老齢基礎年金の支給繰上げの請求をすることができる。
 ただし、当該請求があった日の前日において、当該請求に係る者の保険料の納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が10年に満たないときは、この限りではない。(H30年度改)(基礎)

解答・解説を見る

語群はこちらを

昭和16年4月1日以前生れ 17
4D
 昭和16年4月1日以前に生まれた第2号被保険者は、老齢基礎年金の支給の繰上げの請求をすることができない。(基礎)

解説を見る

正しい 誤り
17
4A
 繰上げ支給による老齢基礎年金は、昭和16年4月1日以前に生まれた受給権者が第2号被保険者になったときは、その間支給が停止される。(17-4Dの応用)

解説を見る

正しい 誤り
支給停止 27
7C
 繰上げ支給の老齢基礎年金を受けている62歳の者(昭和28年4月2日生まれ)が厚生年金保険の被保険者となったときは、当該老齢基礎年金は全額が支給停止される。

解説を見る

正しい 誤り














18
8C
 60歳以上65歳未満の任意加入被保険者は、任意加入期間中であっても厚生労働大臣に老齢基礎年金の繰上げ支給の請求をすることができる。(基礎)

解説を見る

正しい 誤り
26
1A
 任意加入被保険者である者は、支給繰上げの請求をすることはできない。 (18-8Cの類型)

解説を見る

正しい 誤り
17
8E
 繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者は、国民年金に任意加入することはできない。

解説を見る

正しい 誤り
19
8A
 国民年金の任意加入被保険者については、生年月日にかかわらず老齢基礎年金の支給繰上げ請求をすることはできず、また繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者は、任意加入被保険者となることができない。(17-8Eの類型)

解説を見る

正しい 誤り

5
4D
  老齢基礎年金の支給の繰上げをした者には寡婦年金は支給されず、国民年金の任意加入被保険者になることもできない。(17-8Eの発展)

解説を見る

正しい 誤り
同時請求 19
1E
 老齢基礎年金の支給繰上げの請求をする者が、老齢厚生年金の支給繰上げの請求をすることができる場合は、同時に老齢厚生年金の支給繰上げの請求を行わなければならない。(応用)

解説を見る

正しい 誤り
26
1B
 支給繰上げの請求は、老齢厚生年金の支給繰上げの請求ができるときは、老齢厚生年金の支給繰上げの請求と同時に行わなければならない。(19-1Eの類型)

解説を見る

正しい 誤り











14
6C
 繰上げ請求した老齢基礎年金の受給権は、請求を行った日に発生し、年金の支払は受給権の発生した日の属する月の翌月から開始される。(基礎)

解説を見る

正しい 誤り
23
8B
 繰上げ支給の受給権は、繰上げ請求のあった日の翌日に発生し、受給権発生日の属する月の翌月から支給される。(14-6Cの類型)

解説を見る

正しい 誤り
29
6C
 繰上げ支給の老齢基礎年金は、60歳以上65歳未満の者が65歳に達する前に、厚生労働大臣に老齢基礎年金の支給繰上げの請求をしたときに、その請求があった日の属する月の分から支給される。 (14-6Cの類型)

解説を見る

正しい 誤り



























2. 繰上げ支給の結果
2.1 支給の繰上げの際に減ずる額(施行令12条) 法改正(R04.04.01) 老齢厚生年金の場合はこちらを
 「附則9条の2の4項(全部繰上げの場合)に規定する政令で定める額は、法27条(老齢基礎年金の額)の規定によつて計算した額に減額率(1,000分の4に当該年金の支給の繰上げを請求した日の属する月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数を乗じて得た率)を乗じて得た額とする」
⇒減額率=0.4%×(繰上げ請求月から65歳到達月の前月までの月数)(1年で4.8%、最大5年で24%の減額)
 この率は、法改正(R04.04.01)後に繰上げを行う場合の値(パターン3)であり、既に繰上げを行ったあるいは繰上げ可能であった者については、生年月日に応じてパターン1パターン2が適用される。
 「同2項 附則9条の2の6項(付加年金)において準用する同条4項に規定する政令で定める額は、法44条(付加年金額)の規定によつて計算した額に減額率を乗じて得た額とする」
⇒付加年金に適用する減額率は、1項と同じである。
 政令で定める額(施行令12条の4) 法改正(R04.04.01)
 「附則9条の2の2の4項(一部繰上げの場合)に規定する政令で定める額は、法27条(老齢基礎年金の額)の規定によつて計算した額に前条の規定により算定した率を乗じて得た額に減額率(1,000分の4に請求日の属する月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数を乗じて得た率をいう)を乗じて得た額とする」
⇒「前条の規定により算定した率」とは、「一部繰上げにより減額の対象となる老齢基礎年金の割合」であって、「(繰上げ請求月から定額分支給開始年齢到達月の前月までの月数)/(繰上げ請求月から65歳到達月の前月までの月数)、
⇒一部繰上げの場合の減額は
 「一部繰上げにより減額の対象となる老齢基礎年金の割合」×減額率
=(繰上げ請求月から定額分支給開始年齢到達月の前月までの月数)/(繰上げ請求月から65歳到達月の前月までの月数)×0.4%×(繰上げ請求月から65歳到達月の前月までの月数) 
経過措置により、0.5%のままである者もいる。
 老齢基礎年金の支給の全部繰上げ・一部繰上げの際の減額に関する経過措置  法改正(R04.04.01)
 「改正後の施行令12条1項及び12条の4の規定は、施行日(R04.04.01)の前日において、60歳に達していない者(即ち、昭和37年4月2日以後生まれの者)について適用する」
 (実際の数値はこちらを)
施行日(R04.04.01)の前日において、60歳に達している者は、繰上げ請求を施行日以降に行ったとしても、0.5%が適用される。 

  支給の繰下げの際に加算する額及び繰上げの際に減ずる額に関する経過措置(H12政令335号附則2条)
 「昭和16年4月1日以前に生まれた者に対し支給する老齢基礎年金、付加年金の規定による老齢年金の額に係る政令で定める加算額及び減ずる額については、なお従前の例による」
⇒昭和16年4月1日以前生まれの者については、請求時の年齢に応じた年単位の減額率(繰下げの場合は年単位の増額率)となる。
 (実際の数値はこちらを)
2.2 寡婦年金との調整
 「附則9条の2の5項 寡婦年金の受給権は、全部繰上げの規定による老齢基礎年金の受給権を取得したときは、消滅する
 「附則9条の2の2の6項 寡婦年金の受給権は、一部繰上げの規定による老齢基礎年金の受給権を取得したときは、消滅する

@寡婦年金を選択すると、50条にあるように、「夫の1号被保険者としての保険料納付月数績(免除も含む)に応じた老齢基礎年金相当の額×3/4)」が60歳から65歳まで寡婦年金として支給される。
 その後は妻の老齢基礎年金が死ぬまで受給できる。
A妻の老齢基礎年金を60歳から繰上受給すると、「妻の老齢基礎年金額×0.76」が60歳から支給されるが、この減額は死ぬまで続く。一方、寡婦年金の受給権は消滅する(夫による国民年金保険料の納付は無駄になる)
 よく考えて選択すること。  
2.3 繰上げ支給による影響 
 障害基礎年金等の特例(附則9条の2の3)
 「被保険者であった者であって、日本国内に住所を有しかつ60歳以上65歳未満の者の障害基礎年金、事後重症による障害基礎年金、基準障害による障害基礎年金、20歳前の傷病に基づく事後重症による障害基礎年金、その他障害による額の改定、支給停止後のその他障害との併合認定、寡婦年金並びに任意加入の規定は、当分の間、老齢基礎年金の繰上げ支給の規定による老齢基礎年金の受給権者、老齢厚生年金の繰上げ支給の規定による老齢厚生年金の受給権者については、適用しない」
 
1  減額された年金が、生涯支給される。
2  付加年金も同率で減額される。
3  寡婦年金は支給されない。(65歳到達とみなされる)
4  待機者(60歳以上65歳未満の者で国内居住者で被保険者ではない者)の障害基礎年金、事後重症による障害基礎年金、基準障害による障害基礎年金、20歳前の傷病に基づく事後重症による障害基礎年金、その他障害による額の改定、支給停止後のその他障害との併合認定は新たには発生しない。(65歳到達とみなされる) 
 繰上げ後であっても障害基礎年金を請求できるケース
 初診日のときに被保険者(60歳未満あるいは60歳以上であるが厚生年金の被保険者、60歳以上の任意加入者の場合は初診日が繰上げ前に限る)であって、
・障害認定日には2級以上に該当していたと主張する認定日請求の場合
・繰上げ前には初めて2級に該当していたと主張できる場合
 なお、事後重症の場合は、繰上げ直前には事後重症で2級以上に該当していたと主張できる場合であっても、繰上げ前に実際に請求していないとだめである。
⇒いずれの場合も、繰上げ老齢基礎年金と障害基礎年金は65歳前までは併給できない(どちらかを選択)
5  任意加入はできない
⇒繰り上げのときに、任意加入をやめること。
6  振替加算は影響を受けない。(65歳から減額なしで支給される)
13
9C
 昭和16年4月2日以後に生まれた者が繰上げ支給を受ける場合、繰上げを請求した日の属する月から65歳に到達する月の前月までの年数に応じて、6%きざみで年金額が減額される。(基礎)

解説を見る

正しい 誤り
21
8D
 繰上げ支給の老齢基礎年金の額は、本来の老齢基礎年金の額に減額率を乗じて得た額を当該老齢基礎年金の額から減じた額となるが、減額率は1,000分の4(昭和16年4月1日以前に生まれた者を除く)に当該年金の支給の繰上げを請求した日の属する月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数を乗じて得た率である。(R4改)、(H22改)

解説を見る

正しい 誤り
29
6E
 64歳に達した日の属する月に老齢基礎年金の支給繰上げの請求をすると、繰上げ請求月から65歳到達月の前月までの月数が12となるので、当該老齢基礎年金の額は、65歳から受給する場合に比べて8.4%減額されることになる。(21-8Dの類型]

解説を見る

正しい 誤り


4D
 昭和31年4月20日生まれの者が、平成31年4月25日に老齢基礎年金の支給繰上げの請求をした場合において、当該支給繰上げによる老齢基礎年金の額の計算に係る減額率は、12%である。(29-6Eの類型)

解説を見る

正しい 誤り
26
1D
 支給繰上げした場合の減額率について、昭和26年4月1日以前に生まれた者の減額率は年単位、昭和26年4月2日以後に生まれた者の減額率は月単位になっている。(13-9Cの類型)

解説を見る

正しい 誤り



26
1E
 支給繰上げの請求をした場合は、付加年金についても同時に繰上げ支給され、老齢基礎年金と同じ減額率で減額される。(基礎)

解説を見る

正しい 誤り

 

 

 

 

 

 

 

11
5C
 寡婦年金の受給権は、受給権者が繰上げ請求により老齢基礎年金の受給権を取得したときは消滅する。(基礎)

解説を見る

正しい 誤り
12
5D
 寡婦年金の受給権は、受給権者が繰上げ支給による老齢基礎年金の受給権を取得したときは、消滅する。(11-5Cの類型)

解説を見る

正しい 誤り
17
8A
 寡婦年金の受給権は、受給権者が繰上げ請求により老齢基礎年金の受給権を取得したときは消滅する。(11-5Cの類型)

解説を見る

正しい 誤り
26
1C
 寡婦年金の受給権を有する者が支給繰上げの請求をし、老齢基礎年金の受給権を取得すると、寡婦年金の受給権は消滅する。(11-5Cの類型)

解説を見る

正しい 誤り

4
7E
 寡婦年金は、受給権者が繰上げ支給による老齢基礎年金の受給権を取得した場合でも支給される。(11-5Cの類型)

解説を見る

正しい 誤り
23
8D
 繰上げ支給を受けると、寡婦年金は支給停止される。(11-5Cの類型)

解説を見る

正しい 誤り
21
8B
 寡婦年金の受給権は、受給権者が繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権を取得したとき、又は60歳台前半の老齢厚生年金の受給権を取得したときは、消滅する。(11-5Cの応用)

解説を見る

正しい 誤り
13
4C
 老齢基礎年金の繰上げ支給の受給者は、付加年金は受給できるが、寡婦年金の支給は受けられない。(11-5Cの類型)

解説を見る

正しい 誤り
29
8B
 妻が繰上げ支給の老齢基礎年金を受給中に、一定要件を満たした第1号被保険者の夫が死亡した場合、妻には寡婦年金を受給する権利が発生し、繰上げ支給の老齢基礎年金か寡婦年金かのどちらかを受給することができる。(13-4Cの類型)

解説を見る

正しい 誤り
16
1C
 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けると、付加年金も政令で定めた額を減じて繰上げ支給されるが、寡婦年金の受給権は消滅する。(13-4Cの類型)

解説を見る

正しい 誤り






17
4C
 繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者は、20歳前の障害に基づく事後重症による障害基礎年金の裁定請求をすることができない。(基礎)

解説を見る

正しい 誤り
24
1C
 繰上げ支給の老齢基礎年金の支給を受ける者は、65歳に達する前であっても、国民年金法第30条の2の第1項の規定(いわゆる事後重症)による障害基礎年金の支給を請求することはできない。(17-4Cの類型)

解説を見る

正しい 誤り
23
8C
 繰上げ支給を受けると、国民年金法第36条第2項ただし書き(その他障害の程度と併せて障害の程度が2級以上に該当したことによる支給停止解除)に係る請求ができなくなる。(17-4Cの応用)

解説を見る

正しい 誤り
遺族厚生 23
8E
 繰上げ支給を受けると、65歳になるまで遺族厚生年金の2分の1が支給停止される。(応用)

解説を見る

正しい 誤り























2.繰下げ支給(28条) 法改正(H27.10.01) (被用者年金各法を削除)
 「老齢基礎年金の受給権を有する者であって66歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求していなかった者は、厚生労働大臣に当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができる。
 ただし、その者が65歳に達したときに、他の年金たる給付(他の年金給付(付加年金を除く)又は厚生年金保険法による年金たる給付(老齢を支給事由とするものを除く、以下同じ)の受給権者であったとき、又は65歳に達した日から66歳に達した日までの間において他の年金たる給付の受給権者となったときは、この限りでない」

@繰下げの申出とは、「しばらくは年金はいらないから、増額にまわしておいてくれ」ということではなく、「しばらくの間増額にまわしておいた年金を、支給してくれ」ということである。
 その際、「しばらくの間増額にまわしておいた年金について、増額はあきらめ、元の額でいいから支給してくれ」ということもできる。
Aただし、繰下げの申出は、66歳になるまでの1年間はできない。(1年未満の増額はなく、この間は通常請求の遅れとされる)
 また、66歳になるまでに、老齢基礎年金とは併給できない障害基礎年金、遺族基礎年金、障害厚生年金の受給権がある場合、繰下げの申し出はできない。
 (しばらくは、遺族基礎年金の方を選択して受給するから、その間の老齢基礎年金は増額にまわしておいてくれ、とすることはできない)
B申出の方法等:年金機構HP(ページID:170010010-689-952-235)
 「老齢基礎年金は、65歳で受け取らずに66歳以後75歳まで(の間で繰り下げて増額した年金を受け取ることができます。繰り下げた期間によって年金額が増額され、その増額率は一生変わりません。
 なお、老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げすることができます
 :昭和27年4月1日以前生まれの方(または平成29年3月31日以前に老齢基礎年金を受け取る権利が発生している方)は、繰下げの上限年齢が70歳(または権利が発生してから5年後⁾までとなります。
 「2項 法改正(R05.04.01、5項の新設に伴い( )内を追加)、法改正(R04.04.01)、法改正(H26.04.01)、17年度法改正 
 66歳に達した日後に次の各号に掲げる者が前項の申出(5項の規定により前項の申出があったものとみなされた場合における当該申出を除く)をしたときは、当該各号に定める日において、1項の申出があつたものとみなす」
@75歳に達する日前に他の年金たる給付の受給権者となった者:他の年金たる給付を支給すべき事由が生じた日
A75歳にした日後にある者(前号に該当する者を除く):75歳に達した日

◎対象者は、令和4年4月1日以降に
 ・70歳に達する者(昭和27年4月2日以降生まれ)の者、又は
 ・老齢基礎年金の受給権を取得した日から起算して5年を経過する者(受給権発生日が平成29年4月1日以降)
@は、老齢基礎年金とは併給できない年金(障害基礎、遺族基礎、障害厚生、遺族厚生年金など他の年金たる給付の受給権が 75歳前発生したときは、その発生日(当初から全額支給停止の場合は、一部でも支給停止が解除された日)で繰下げ増額期間は終了し、それ以降の繰下げ増額は認めないということ。
 増額された老齢基礎年金の受給が始まると、それとは併給できない障害基礎年金、遺族基礎年金、障害厚生年金は全額支給停止、遺族厚生年金は老齢基礎年金との併給はできるが、老齢厚生年金との調整が必要になる。
Aは、75歳過ぎてから繰下げの申出をしたとしても、75歳になった日に申し出たこととし、年金額は10年間分増額される。(逆にいえば、10年を超える増額はない) 
⇒77歳のときに「繰下げの申出」をした場合、75歳になった日の翌月分から申出月までは遡って一括支給、それ以降の分は毎偶数月に定期的に支給される。
 なお、この場合、5項の適用による別の選択もある。
補足:繰下げと受給権の時効との関係は、H04,03,29、年管発0329-15)により、
 令和4年4月1日以降に70歳に達する者(65 歳に達した日後に受給権を取得した場合は、当該受給権を取得した日から起算して5年を経過した者)が、80歳に達する日(65 歳に達した日後に受給権を取得した場合は、当該受給権を取得した日から起算して15年を経過した日)までの間に老齢基礎年金の支給繰下げの申出(繰下げの申出があったものとみなされる場合を含む)を行う場合は、時効消滅はない。
 「3項 法改正(R05.04.01(5項の新設に伴い( )内を追加)
 1項の申出(5項の規定により1項の申出があったものとみなされた場合における当該申出を含む)をした者に対する老齢基礎年金の支給は、18条1項(年金の支給期間)の規定にかかわらず、当該申出のあった日の属する月の翌月から始めるものとする」
⇒18条1項の規定によれば、「年金の支給は、年金を支給すべき事由が生じた月の翌月から始める」
 つまり、この者は老齢基礎厚生年金の受給権をすでに取得済みであり、受給権取得月の翌月から支給を開始すべきところ、まだ裁定請求をしていないので支分権が発生していない。
 そこで、この者が繰下げの申出をした日に支分権が発生し、その翌月から支給を開始することにした。
⇒この場合「翌月から開始」とは翌月から実際に支給され始めるという意味ではなく、「翌月分から支給される」という意味である。
 「4項 繰下げの申出をした者に対する老齢基礎年金の額は、政令で定める額を加算した額とする」
  繰下げみなし増額(28条5項) 法改正(R05.04.01)新規 厚年法の場合はこちらを
 「1項の規定により老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができる者が、70歳に達した日後に当該老齢基礎年金を請求し、かつ、当該請求の際に同項の申出をしないときは、当該請求をした日の5年前の日に同項の申出があつたものとみなす。
 ただし、その者が次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない」
@80歳に達した日以後にあるとき。
A当該請求をした日の5年前の日以前に他の年金たる給付の受給権者であつたとき。
 65歳到達後に受給権を取得した場合の繰下げ(60年改正法附則18条5項) 法改正(R05.04.01)、法改正(R04.04.01)
@28条1項の読み替え
・「66歳に達する」とあるのは「その受給権を取得した日から起算して1年を経過した日」と、
・「65歳に達した」とあるのは「当該老齢基礎年金の受給権を取得した」と、
・「66歳に達した」とあるのは「1年を経過した」とする。
A28条2項の読替え
・「66歳に達した」とあるのは「1年を経過した」と、
・「75歳に達する日」とあるのは「老齢基礎年金の受給権を取得した日から起算して10年を経過した日」と、
・「75歳に達した日」とあるのは「10年を経過した日」ととする。
B28条5項の読替え
・「70歳に達した日」とあるのは「その受給権を取得した日から起算して5年を経過した日」と、
・「80歳に達した日」とあるのは「当該老齢基礎年金の受給権を取得した日から起算して15年を経過した日」とする。

 補足(繰下げみなし増額)
(1)対象者
 令和5年4月1日以降に、老齢基礎年金の受給権を取得した日から起算して6年を経過する者、すなわち、受給取得日が平成29年4月1日以降の者)
 よって、老齢基礎年金の受給権を65歳到達時に取得した者については、令和5年4月1日以降に、71歳に到達する者(すなわち、昭和27年4月2日以降生まれの者)
(2)繰下げみなし増額規定及び関連規定のケーススタディ
 いずれも老齢基礎年金の受給権を65歳到達時に取得した者とする。
例1:たとえば72歳到達時に繰下げではなく通常の裁定請求をした場合は、67歳到達時に繰下げ請求したとみなされ、2年分(16.8%)増額した年金が、67歳到達月の翌月分から、請求月分までのすでに経過している5年間分はまとめて一括支給、請求月翌月分以降は毎偶数月に支給される。
(参考1) 5項新設前に、72歳到達時に通常の裁定請求をした場合は、67歳までの年金は支分権の時効消滅により支給されず、増額なしの年金が、67歳到達月の翌月分から請求月分まではまとめて一括支給、請求月翌月分からは毎偶数月に支給されていた。
例2:77歳到達時に繰下げではなく通常の裁定請求をした場合は、72歳到達時に繰下げ請求した者とみなされ、7年分増額した年金が、すでに経過している5年間分はまとめて一括支給、請求月の翌月分からは毎偶数月に支給される。
 (参考2) 77歳到達時に繰り下げの申出をした場合、75歳到達時に繰下げ請求した者とみなされ、10年分増額した年金が、すでに経過している2年間分はまとめて一括支給、請求月の翌月分からは毎偶数月に支給される。(こちらの方が、例2よりも単年度の年金額は多いが、支給年数は5年少ない)
例3:82歳到達時に繰下げではなく通常の裁定請求をした場合、5項による繰下げみなし増額は適用されない。よって、増額なしの年金が、すでに経過している17年間分のうち、時効消滅していない5年間分はまとめて一括支給、請求月の翌月分からは毎偶数月に支給されるので、圧倒的に不利となる。
 この場合は、82歳到達時に繰下げの申出を行うのが有利。この場合は2項の適用を受けるので、75歳到達日に繰下げの申出を行ったとみなされ、10年間分増額された年金が、すでに経過している7年間分のうち、時効消滅していない5年間分はまとめて一括支給、請求月の翌月分からは毎偶数月に支給される。
  繰下げ規定の経過措置 
(1)老齢基礎年金の支給の繰下げに関する経過措置(令和2年法附則6条)
 「改正後の国民年金法28条の規定は、この法律の施行日(R04.04.01)のの前日において、70歳に達していない者について適用する」
(2)70歳に達した日後の老齢基礎年金の請求に関する経過措置(令和2年法附則7条)法改正(R05.04.01)
 「改正後の国民年金法28条の規定は、施行日(R05.04.01)の前日において、71歳に達していない者について適用する」
 ただし、65歳に達した日後に老齢基礎年金の受給権を取得した場合にあっては、施行日(R05.04.01)の前日において、受給権を取得した日から起算して6年を経過していない者に適用
⇒結論として、昭和27年4月2日以後生まれの者、又は、老齢基礎年金の受給権を取得した日が平成29年4月1日以降の者に適用、
(3)老齢基礎年金の支給の繰下げの際に加算する額等に関する経過措置 法改正(R04.04.01)
 改正後の国民年金法28条の規定、改正後の国民年金法施行令4条の5の1項の規定は、施行日(R04.04.01)の前日において、70歳に達していない者(すなわち、昭和27年4月2日以後生まれの者)
 ただし、65歳に達した日後に老齢基礎年金の受給権を取得した場合にあっては、施行日(R04.04.01)の前日において、当該受給権を取得した日から起算して5年を経過していない者(すなわち、老齢基礎年金の受給権を取得した日が平成29年4月1日以降の者) (上記(1)と (2)に同じ)
 支給の繰下げの際に加算する額(施行令4条の5) 法改正(R04.04.01、1項、2項とも)、
  「28条4項(法附則9条の3の4項において準用する場合を含む)に規定する政令で定める額は、27条の規定によって計算した額に増額率(1,000分の7に当該年金の受給権を取得した日の属する月から当該年金の支給の繰下げの申出をした日の属する月の前月までの月数(当該月数が120を超えるときは120)を乗じて得た率)を乗じて得た額とする」
⇒増額率は、月単位で1000分の7(120月、84%が限度)である。
 ただし、経過措置があるので、実際の数値はこちらを参照のこと

 「同2項 46条2項(繰下げの場合の付加年金額の増額率)において準用する28条4項に規定する政令で定める額は、44条(付加年金額)の規定によつて計算した額に増額率(1,000分の7に当該年金の受給権を取得した日の属する月から当該年金の支給の繰下げの申出をした日の属する月の前月までの月数(当該月数が120を超えるときは120)を乗じて得た額とする」
⇒老齢基礎年金の支給の繰下げの際の付加年金額の増額率は、老齢基礎年金の場合と同じである。

 期間短縮施行日に老齢基礎年金の受給権が発生した者の繰り下げ(経過措置に関する政令28号(H29.02.04))
@28条1項の読替え「施行日(H29.08.01)から起算して1年を経過した日前に当該老齢基礎年金を請求していなかった者は、厚生労働大臣に当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができる。
 ただし、その者が施行日に、他の年金たる給付(他の年金給付(付加年金を除く)又は厚生年金保険法による年金たる給付(老齢を支給事由とするものを除く)の受給権者であったとき、又は施行日から、1年を経過した日前日までの間において他の年金たる給付の受給権者となったときは、この限りでない」 
A28条2項の読替え「施行日から起算して1年を経過した日後に次の各号に掲げる者が前項の申出をしたときは、当該各号に定める日において、同項の申出があつたものとみなす」
・施行日から起算して5年を経過した日前に他の年金たる給付の受給権者となった者:他の年金たる給付を支給すべき事由が生じた日
・施行日から起算して5年を経過した日後にある者(前号に該当する者を除く):5年を経過した日

(0)65歳到達日あるいはそれから1年間に、他の年金たる給付(国民年金法による付加年金以外の他の年金、厚生年金保険法による老齢厚生年金以外の他の年金)の受給権が発生した者は、繰り下げができない。
 これは、老齢基礎年金との併給調整と関連するもので、これらの他の年金を受給するから、しばらくは老齢基礎年金を請求しない(よって後日請求するときは増額してくれ)というのは許さないということ。
(0)’66歳到達後に、他の年金たる給付の受給権が発生した場合は、繰下げ待機(増額対象期間)はその日で終わりである。すなわち、それ以降もしばらくは老齢基礎年金を請求しない(よって後日請求するときは増額してくれ)というのは許さないということ。
(1)繰下げ支給の申出とは、受給権発生時点(通常は65歳)から申出た月までの年金はいらないから、その翌月から増額された年金を受給したいという意思表示のこと。
 (年金の繰下げをお願いしますというと、翌月から年金を支給してくれと言う意味である。しばらくは年金は要らないから請求しないでおくというのは、繰下げの申出とはいわない
・「66歳に達するまで(あるいは受給権発生後1年経過するまで)請求しなかった者が・・・・できる」とあるのは、65歳以後いつ請求しても年金は支給されるが、少なくとも1年は経過しないと割増の対象にはならないということ。
・割増率の計算は1月単位であるが、1年後の(8.4%)からスタートするのであって、65歳の1か月すぎてから、1月分の割増請求しても認められない。
(2)繰下げ支給を申出たときは、付加年金も同様に繰下げて支給され (46条)、増額も同率で行われる(46条2項)。
 付加年金は老齢基礎年金と運命をともにするのだ。 
 ただし、老齢厚生年金についても繰り下げ支給を申し出るか、あるいは65歳からの通常支給とするかは自由である。
(3)振替加算は増額されず、繰下げを申し出た月の翌月から、もともとの額が支給される。
(4)繰下げをしないで過去にさかのぼって請求することもできるが、5年の時効が成立している分については支給されない。
 例えば、70歳になった月に、65歳からの5年間分の増額しない年金を一括請求することができる。
(5)一方、5年間の支給は求めずに70歳から42%増の年金、あるいは10年間の支給は求めずに75歳から84%増しの年金を受け取ることもできる。
・繰下げの申出はいつでもよいが、申し出た月の翌月分からしか支給されない。(年金額は繰下げ期間に応じて増額される)
(6)ただし、28条2項により、申し出たとみなされる日(他の年金の受給権が発生した日)があるときは少し複雑である。
・75歳到達日前に、老齢基礎年金とは併給できない他の年金の受給権が発生したときは、繰下げ増額期間は、その時点で強制的にストップとなる。
・75歳到達日においても、繰下げ増額期間はその時点で強制的にストップとなる。
 たとえば76歳になった月に繰下げの申し出た場合でも、75歳で繰下げの申出をしたとみなされるので、10年(120月)分増額された(84%増でこれ以上の増額はない)年金が、75歳になった日の翌月分から遡って支給される。
 この場合、80歳より後に申し出た場合は、支分権について5年の時効消滅が適用される。
(7)繰り下げ上限年齢の75歳化に伴う時効の取扱いについてはこちらを
21
2

 老齢基礎年金の受給権を有する者であって66歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求していなかったものは、厚生労働大臣に当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができる。
 ただし、その者が| C |に達したときに、他の年金たる給付(他の年金給付(| D |を除く)又は厚生年金法による年金たる保険給付(| E |を支給事由とするものを除く。以下同じ)の受給権者であったとき、又は| C |に達した日から66歳に達した日までの間において他の年金たる給付の受給権者となったときは、この限りでない。(H27改)(基礎)

解答・解説を見る

語群はこちらを

令元
4C
 65歳に達し老齢基礎年金の受給権を取得した者であって、66歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求しなかった者が、65歳に達した日から66歳に達した日までの間において障害基礎年金の受給権者となったときは、当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができない。21-2選択式の類型)

解説を見る

正しい 誤り
令元
8C
 老齢厚生年金を受給中である67歳の者が、20歳から60歳までの40年間において保険料納付済期間を有しているが、老齢基礎年金の請求手続きをしていない場合は、老齢基礎年金の支給の繰下げの申出をすることで増額された年金を受給することができる。なお、この者は老齢基礎年金及び老齢厚生年金以外の年金の受給権を有していたことがないものとする。

解説を見る

正しい 誤り
65









の受

17
4E
 65歳に達した日以後、老齢基礎年金の受給権を取得した場合、その取得の日から起算して1年を経過する日前に、当該老齢基礎年金を請求していなければ、その老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができる。( 令元ー4Cの類型)

解説を見る

正しい 誤り
30
4C
 65歳に達した日後に老齢基礎年金の受給権を取得した場合には、その受給権を取得した日から起算して1年を経過した日前に当該老齢基礎年金を請求していなかったもの(当該老齢基礎年金の受給権を取得したときに、他の年金たる給付の受給権者でなく、かつ当該老齢基礎年金の受給権を取得した日から1年を経過した日までの間において他の年金たる給付の受給権者となっていないものとする)であっても、厚生労働大臣に当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができない。(17-4Eの類型)

解説を見る

正しい 誤り


令元
5B
 老齢基礎年金の支給の繰上げについては国民年金法第28条において規定されているが、老齢基礎年金の支給の繰下げについては、国民年金法附則において当分の間の措置として規定されている。

解説を見る

正しい 誤り






14
3D
 特別支給の老齢厚生年金の支給を受けていた者は、老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができない。(応用)

解説を見る

正しい 誤り
15
8B
 特別支給の老齢厚生年金の支給を受けていた者は、老齢基礎年金の繰下げ支給を請求することはできない。(14-3Dの類型)

解説を見る

正しい 誤り
17
4B
 特別支給の老齢厚生年金の支給を受けていた者は、老齢基礎年金の繰下げ請求をすることはできない。(14-3Dの 類型)

解説を見る

正しい 誤り
老厚との関係
5
6C
 老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給権を有する者であって支給繰下げの申出をすることができるものが、老齢基礎年金の支給繰下げの申出を行う場合、老齢厚生年金の支給繰下げの申出と同時に行わなければならない。

解説を見る

正しい 誤り




2
5A
  60歳以上65歳未満の期間に国民年金に任意加入していた者は、老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることは一切できない。

解説を見る

正しい 誤り



24
8D
 寡婦年金の受給権者であった者は、老齢基礎年金の繰下げ支給を受けることはできない。(14-3Dの 応用)

解説を見る

正しい 誤り





令元
5C
 合算対象期間及び学生納付特例の期間を合算した期間のみ10年以上有する者であって、所定の要件を満たしている者に支給する振替加算相当額の老齢基礎年金については、支給の繰下げはできない。

解説を見る

正しい 誤り





調









14
1A
 老齢基礎年金の受給権を有する者が、65歳に達したときに、共済組合の一元化前退職共済年金の受給権者であるときは、老齢基礎年金の支給繰下げの申出はできない。(誤問?)

解説を見る

正しい 誤り
14
3E
 障害基礎年金の受給権者は、老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができない。(基礎)

解説を見る

正しい 誤り
14
7C
 障害基礎年金の支給を受けていたが支給停止となり65歳に達して失権した者並びに遺族厚生年金の受給権者は、老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることはできない。(応用)

解説を見る

正しい 誤り
12
7A
 昭和12年4月1日以前生まれの者が老齢基礎年金の支給繰下げの申し出をする場合、厚生年金保険法による老齢厚生年金の受給権を有する者は、老齢厚生年金の支給繰下げの申し出と同時に行わなければならない。(発展)

解説を見る

正しい 誤り
66












21
6A
 66歳に達した日後に他の年金たる給付の受給権者となった者が、他の年金給付たる給付を支給すべき事由が生じた日以後は、老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をすることはできない。(改)

解説を見る

正しい 誤り

2
5D
 老齢基礎年金の受給権者であって、66歳に達した日後75歳に達する日前に遺族厚生年金の受給権を取得した者が、75歳に達した日に老齢基礎年金の支給繰下げの申出をした場合には、遺族厚生年金を支給すべき事由が生じた日に、支給繰下げの申出があったものとみなされる。(R04改)

解説を見る

正しい 誤り





















22
2D
 老齢基礎年金の支給の繰下げの申出をしたときは、当該年金の受給権を取得した日の属する月から当該申出を行った日の属する月までの月を単位とする期間に応じて一定率の加算をした額が支給される。(基礎)

解説を見る

正しい 誤り
30
3

 昭和27年4月2日以後生まれの者が、老齢基礎年金の支給繰下げの申出をした場合、老齢基礎年金の額に増額率を乗じて得た額が加算されるが、その増額率は| D |に当該年金の受給権を| E |を乗じて得た率をいう。(R04改)
解答・解説を見る

語群はこちらを

23
1B
 65歳に達した日に老齢基礎年金の受給権を取得した者(昭和16年4月2日以後に生まれた者に限る)の当該年金額は、68歳に達した日に支給繰下げの申出をしたときは、25.2%増額され、70歳に達した日に支給繰下げの申出をしたときは、42.0%増額される。(22-2Dの応用)

解説を見る

正しい 誤り
27
3C
 65歳で老齢基礎年金の受給権を取得した者(昭和27年4月2日生まれ)が76歳に達した日に繰下げ支給の申出をした場合は、当該申出のあった日の属する月の翌月分から老齢基礎年金の支給が開始され、増額率は92.4%となる。(R04改)

解説を見る

正しい 誤り