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 60歳台前半の老齢厚生年金(支給開始年齢の特例、定額部分、繰上支給)、障害者・長期加入者特例、3種被保険者特例
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 22-2選択27選択
関連条文 老齢厚生年金の特例(60歳台前半の老齢厚生年金の受給資格要件)(附則8条)、老齢厚生年金の支給開始年齢の特例(附則8条の2)、
  障害者の特例による老齢厚生年金の額の特例(附則9条の2同2項(老齢厚生年金の額)、同2項@号(定額部分の額))、
長期加入者の特例による老齢厚生年金の額の特例((附則9条の3)、坑内員・船員の特例よる老齢厚生年金の額の特例(附則9条の4)、坑内員・船員の特例(平成6年改正法附則15条)、特定警察職員等の特例(附則8条の2の4項
 60歳台前半の老齢厚生年金受給権の消滅(附則10条)、
 定額単価の読替え(平成6年改正法附則19条2項)
二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者に係る特例による老齢厚生年金の特例(附則20条)  
 定額部分の支給開始年齢(昭和16年4月1日以前生まれ(平成6年改正法附則18条)、昭和16年4月2日以降昭和24年4月1日まで生まれ(平成6年改正法附則19条)、昭和21年4月2日以降昭和29年4月1日まで生まれ女子(平成6年改正法附則20条)
 繰上げ・支給停止(昭和16年4月1日以前生まれの者の繰上げ)平成6年法附則24条2項)、一部繰上げ(定額部分の支給開始年齢が61歳から64歳までにある者。男子にあっては昭和16年4月2日以降24年4月1日生まれの者の繰上げ)(平成6年法附則27条)
 全部繰上げ(同上において、定額部分開始前の繰上げ)(平成6年法附則27条16項)
 老齢厚生年金の支給の繰上げの特例(特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢繰下中の年代の者が支給開始年齢前に行う繰上げ。男子にあっては昭和28年4月2日以降36年4月1日生まれの者の繰上げ)(附則13条の4)、同繰り上げ受給者の年金額の改定(附則13条の4の5項)、同加給年金(附則13条の4の7項)、
 退職時改定(附則15条の2)、
 繰上げ(昭和28年4月2日以降36年4月1日生まれで坑内員・船員特例、長期加入者・障害者特例受給権者の繰上げ)(附則13条の5)
 老齢厚生年金の支給の繰上げ(特別支給の老齢厚生年金がない者、男子にあっては昭和36年4月2日以降生まれの者の繰上げ)(附則7条の3)、同繰り上げ受給者の年金額の改定(附則7条の3の5項)、同加給年金(附則7条の3の6項)
 支給の繰上げの際に減ずる額(施行令6条の3施行令8条の2の3
 二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者に係る老齢厚生年金の支給の繰上げの特例(附則18条附則21条)
 障害厚生年金の特例(附則16条の3)
60





















1.60歳台前半の老齢厚生年金
1.1 老齢厚生年金の特例(60歳台前半の老齢厚生年金の受給資格要件)(附則8条)
 「当分の間、65歳未満の者が、次の各号のいずれにも該当するに至ったときは、その者に特別支給の老齢厚生年金を支給する」。
1  60歳以上であること
⇒他の場合も含めて、一般的には支給開始年齢に達していること
2  1年以上の被保険者期間を有すること。

・1号、2号、3号、4号被保険者期間を合算して1年以上あれば、それぞれの号の期間に対応する特老厚の受給権が発生する。(附則20条)
・たとえば、8月の1号被保者期間と4月の2号被保険者期間がある者には、8月分の特老厚が厚生労働省から、4月分の特老厚が国家公務員共済組合連合会から支給される。
3  老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていること
⇒平成29年7月31日までにおいては25年以上。(国民年金法による期間短縮特例にも注意を)
⇒平成29年8月1日以降においては10年以上


 旧法(平成61年3月まで)の老齢厚生年金は、男は60歳から(女は55歳)からの支給となっていた。これを国民年金にあわせるために急に65歳支給開始にするわけもいかず、長い年月をかけて、少しづつ支給開始年齢をずらすことにした。
 よって当面の間は、経過措置として、60歳から65歳の間の有期年金として、しばらくの間は、
 「特別支給の老齢厚生年金」(報酬比例部分は60歳から、定額部分は生年月日に応じて支給開始年齢をすこしづつ下げていく年金)、やがては、
 「報酬比例相当の老齢厚生年金」(報酬比例部分のみの年金で、生年月日に応じて支給開始年齢をすこしづつ下げていく年金)が支給される。
 これらを総称して、「60歳台前半の老齢厚生年金」という。
 老齢厚生年金の支給開始年齢の特例(附則8条の2)法改正(H27.10.01)
 「1項 男子又は女子(2号、3号、4号の被保険者又は被保険者期間を有する者に限る)であつて次の表の上欄に掲げる者について前条の規定を適用する場合においては、「60歳」とあるのは、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする」
 「2項 女子(1号の被保険者又は被保険者期間を有する者に限る)であつて次の表の上欄に掲げる者について前条の規定を適用する場合においては、「60歳」とあるのは、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする」
 「3項 坑内員たる被保険者であつた期間と船員たる被保険者であつた期間とを合算した期間が15年以上である者であつて、次の表の上欄に掲げるものについて前条の規定を適用する場合においては、「60歳」とあるのは、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に、「1年以上の被保険者期間を有する」とあるのは「坑内員たる被保険者であつた期間と船員たる被保険者であつた期間とを合算した期間が15年以上である」と読み替えるものとする」
 「4項 特定警察職員等である者であつて次の表の上欄に掲げるものについて前条の規定を適用する場合においては、「60歳」とあるのは、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする」

 二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者に係る特例による老齢厚生年金の特例(附則20条)
 「二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者については、附則8条(60歳台前半の老齢厚生年金の受給資格)の規定を適用する場合においては、各号の厚生年金被保険者期間に係る被保険者期間ごとに適用する。
 ただし、附則8条2号の規定については、その者の二以上の被保険者の種別に係る被保険者であつた期間に係る被保険者期間を合算し、一の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして適用する」
⇒「1号、2号、3号、4号被保険者期間を合算して1年以上あれば、それぞれの号の期間に対応する特老厚の受給権が発生する。
 「同2項 前項に規定する者であつて、附則8条(60歳台前半の老齢厚生年金の受給資格)の規定による老齢厚生年金の受給権者であるものについては、各号の厚生年金被保険者期間ごとに附則9条の2から9条の4まで(障害者特例、長期加入者特例、坑内員・船員特例)及び11条から11条の6まで(在職老齢年金等による調整)の規定を適用する」

@1号、2号、3号、4号と複数の被保険者期間を持つ者に対する60歳代前半の老齢厚生年金の裁定・支給事務、年金額、支給開始年齢の適用などは、それぞれの号数に応じた実施機関が別々に行う。(年金証書も年金番号も別々)
Aただし、「被保険者期間が1年以上」の要件は、各号の被保険者期間を合算して判定する。
 60歳台前半の老齢厚生年金受給権の消滅(附則10条)
 「附則8条(60歳台前半の老齢厚生年金)の規定による老齢厚生年金の受給権は、45条(死亡消滅)の規定により消滅するほか、受給権者が65歳に達したときに消滅する
⇒60歳台前半の老齢厚生年金は65歳までの有期年金
 65歳からは本来の老齢厚生年金を受給する。 
24
2D
 老齢厚生年金の受給資格要件を満たす65歳以上の者が老齢厚生年金を受給するためには、厚生年金の被保険者期間が1か月以上必要であり、同要件を満たす60歳以上65歳未満の者が特別支給の老齢厚生年金を受給するためには、当該被保険者期間が1年以上必要である。(基礎)

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15
8B
 老齢基礎年金の資格期間を満たしている者で、資格期間のうち6か月が厚生年金保険の被保険者期間である者が60歳になったときは、報酬比例相当の老齢厚生年金が支給される。(24-1Dの類型)

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令元
1D
 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている場合であっても、1年以上の厚生年金保険の被保険者期間を有していない場合には、特別支給の老齢厚生年金の受給権は生じない。

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二以上の種別の被保険者期間 28
7ウ
 国民年金の第1号被保険者としての保険料納付済期間が10年ある昭和31年4月2日生まれの女性が、60歳となった時点で第1号厚生年金被保険者期間を8か月及び第4号厚生年金被保険者期間を10か月有していた場合であっても、それぞれの種別の厚生年金保険の被保険者期間が1年以上ないため、60歳から特別支給の老齢厚生年金を受給することはできない。 (H30改)(24-1Dの応用)

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2
10
 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている60歳以上65歳未満の者であって、特別支給の老齢厚生年金の生年月日に係る要件を満たす者が、特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢に到達した日において第1号厚生年金被保険者期間が9か月しかなかったため特別支給の老齢厚生年金を受給することができなかった。この者が、特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢到達後に第3号厚生年金被保険者の資格を取得し、当該第3号厚生年金被保険者期間が3か月になった場合は、特別支給の老齢厚生年金を受給することができる。なお、この者は上記期間以外に被保険者期間はないものとする。(発展)

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23
9A
 60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢が61歳となる昭和28年4月2日から昭和30年4月1日までに生まれた男子であって、その者が被保険者でない場合、当該老齢厚生年金の定額部分が支給されることはない。(応用)

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20
5A
 昭和41年4月2日以後生まれの1号被保険者期間のみを有する女子の老齢厚生年金の支給開始年齢は、原則として65歳である(基礎)(H28 改)

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1.2 定額部分の支給開始年齢 法改正(H27.10.01)
  1号被保険者期間を有する男子、又は、2号、3号、4号被保険者期間を有する女子
(平成6年改正法附則19条)
1号被保険者期間を有する女子
(平成6年改正法附則20条)

開始年齢

 昭和16年4月1日以前  昭和21年4月1日以前  60歳
 昭和16年4月2日〜昭和18年4月1日  昭和21年4月2日〜昭和23年4月1日  61歳
 昭和18年4月2日〜昭和20年4月1日  昭和23年4月2日〜昭和25年4月1日  62歳
 昭和20年4月2日〜昭和22年4月1日  昭和25年4月2日〜昭和27年4月1日  63歳
 昭和22年4月2日〜昭和24年4月1日  昭和27年4月2日〜昭和29年4月1日  64歳

ケース1 昭和16年4月1日以前生まれ(1号被保険者期間を有する女子にあっては昭和21年4月1日以前生まれ)の場合(平成6年改正法附則18条の概要)
 
附則8条(60歳台前半の老齢厚生年金)の規定による老齢厚生年金の受給権者が、昭和16年4月1日以前生まの1号被保険者期間を有する男子、又は、2号、3号、4号被保険者期間を有する女子、又は昭和21年4月1日以前生まれの1号被保険者期間を有する女子であるときは、老齢厚生年金の額は、60歳から報酬比例分の額のほか附則9条の2の2項(障害者特例の場合)の定額部分の年金額を支給し、加算要件に該当する場合は加給年金額を加算する」
ケース2 昭和16年4月2日以降から昭和24年4月1日までに生まれの1号被保険者期間を有する男子、又は、2号、3号、4号被保険者期間を有する女子の場合(平成6年改正法附則19条の概要)
 「附則8条(60歳台前半の老齢厚生年金)の規定による老齢厚生年金の受給権者には、60歳から報酬比例分の額を支給するほか、上表に掲げる年齢に達したときは、その年齢に達した月の翌月から、附則9条の2の2項(障害者特例の場合と同様)の定額部分の年金額を支給し、加算要件に該当する場合は加給年金額を加算する」
ケース3 昭和21年4月2日以降から昭和29年4月1日までに生まれの1号被保険者期間を有する女子の場合(平成6年改正法附則20条の概要)
 「附則8条(60歳台前半の老齢厚生年金)の規定による老齢厚生年金の受給権者には、60歳から報酬比例分の額を支給するほか、上表に掲げる年齢に達したときは、その年齢に達した月の翌月から、附則9条の2の2項(障害者特例の場合と同様)の定額部分の年金額を支給し、加算要件に該当する場合は加給年金額を加算する」
19
4B
 昭和16年4月2日から昭和24年4月1日までに生まれた男子であって、60歳から支給される60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者については、原則として、生年月日に応じて61歳以上65歳未満である間において定額部分が支給されるが、加給年金額の加算対象者がいるときで、一定の要件を満たしている場合は、加給年金額が加算されて支給される。(基礎)

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17
10
E

 昭和20年4月2日から昭和22年4月1日までの間に生まれた男子が62歳に達したとき、定額部分と報酬比例部分の合計額が支給される者になる。(19-4Bの類型)

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11
6A
 昭和20年4月2日に生まれた男子であって、特別支給の老齢厚生年金(年金額の計算の基礎となる被保険者期間は280月とする)の受給権者が、63歳に達した場合において、その者によって生計を維持している65歳未満の妻があるときは、その翌月から加給年金額が加算される。(19-4Bの類型、応用)

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24
9B
 60歳台前半の女性の老齢厚生年金における定額部分の支給開始年齢は、昭和16年4月2日以降に生まれた者から段階的に引き上げられ、昭和24年4月2日以降に生まれた者については、60歳から65歳に達するまでの間、定額部分が支給されなくなる。(基礎)

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17
10
D

 65歳未満の女子であって昭和20年4月1日以前に生まれた者であるときは、定額部分と報酬比例部分の合計額が支給される者になる。(24-9Bの 応用)

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12
10
E
 昭和26年4月2日生まれの女子が60歳に達して受給権を取得した場合には、60歳以上63歳未満までは報酬比例部分相当の特別支給の老齢厚生年金が、63歳以上65歳未満までは特別支給の老齢厚生年金(定額部分と報酬比例部分)が、65歳以降は老齢厚生年金と老齢基礎年金がそれぞれ支給される。(17-10Dの類型)

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29
10
B
 昭和29年4月1日生まれの女性(障害の状態になく、第1号厚生年金被保険者期間を120月、国民年金の第1号被保険者としての保険料納付済期間を180月有するものとする)が、特別支給の老齢厚生年金における報酬比例部分を受給することができるのは60歳からであり、また、定額部分を受給することができるのは64歳からである。なお、支給繰上げの請求はしないものとする。(17-10Dの類型)

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1.3 報酬比例相当の老齢厚生年金  
  報酬比例部分の支給開始年齢(定額部分は支給されない者)
 男子又は、2号、3号、4号被保険者期間を有する女子
(附則8条の2の1項)
 1号被保険者期間を有する女子
(附則8条の2の2項)

開始年齢

 (昭和24年4月2日〜昭和28年4月1日)  (昭和29年4月2日〜昭和33年4月1日) (60歳)
 昭和28年4月2日〜昭和30年4月1日  昭和33年4月2日〜昭和35年4月1日  61歳
 昭和30年4月2日〜昭和32年4月1日  昭和35年4月2日〜昭和37年4月1日  62歳
 昭和32年4月2日〜昭和34年4月1日  昭和37年4月2日〜昭和39年4月1日  63歳
 昭和34年4月2日〜昭和36年4月1日  昭和39年4月2日〜昭和41年4月1日  64歳
  附則8条により支給されるもので、支給開始年齢のずらしはない。



@1号と 2号被保険者期間を有する女子については、1号被保険者期間に対する特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢と、2号被保険者期間に対する特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢が異なる。
A定額部分が支給されない者であるから、加給要件に該当する場合であっても、加給年金の加算は65歳以降である。
14
6E
 昭和24年4月2日以後に生まれた男子には、報酬比例相当分の老齢厚生年金が支給され、昭和36年4月2日以後に生まれた男子には、65歳になるまで老齢厚生年金が支給されない。(基礎)

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19
2B
 昭和24年4月2日から昭和28年4月1日までの間に生まれた男子については、60歳台前半の老齢厚生年金の支給要件を満たした場合、原則として報酬比例部分のみの60歳台前半の老齢厚生年金が支給される。(14-6Eの類型)

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26
9A
 特別支給の老齢厚生年金は報酬比例部分と定額部分で構成されるが、厚生年金保険の被保険者期間(第3種被保険者期間はない)が30年ある、昭和28年4月2日生まれの男性(障害等級に該当しない)には定額部分は支給されず、60歳から報酬比例部分のみが支給される。(14-6Eの類型)

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26
9C
 特別支給の老齢厚生年金について、厚生年金保険の被保険者期間(1号被保険者期間のみ)30年ある、昭和39年4月2日生まれの女性(障害等級に該当しない)には定額部分は支給されず、63歳から報酬比例部分のみが支給される。 (14-6Eの類型)(H28改)

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24
7
A
B
C
D
E
 厚生年金保険法附則第8条の2に定める「特例による老齢厚生年金の支給開始年齢の特例」につき、一般の男子及び女子の支給開始年齢の読み替えに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
A:男子であって、昭和27年4月2日に生まれた者は、61歳以上に該当するに至ったときに支給される。
B:男子であって、昭和36年4月1日に生まれた者は、64歳以上に該当するに至ったときに支給される。
C:女子であって、昭和33年4月2日に生まれた者は、61歳以上に該当するに至ったときに支給される。
D:1号被保険者期間のみを有する女子であって、昭和36年4月2日に生まれた者は、62歳以上に該当するに至ったときに支給される。
E:1号被保険者期間のみを有する女子であって、昭和41年4月1日に生まれた者は、64歳以上に該当するに至ったときに支給される。(H28改)

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A B C D E

3
3C
  厚生年金保険法附則第8条の2に定める「特例による老齢厚生年金の支給開始年齢の特例」の規定によると、昭和35年8月22日生まれの第1号厚生年金被保険者期間のみを有する女子と、同日生まれの第1号厚生年金被保険者期間のみを有する男子とでは、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢が異なる。なお、いずれの場合も、坑内員たる被保険者であった期間及び船員たる被保険者であった期間を有しないものとする。

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3
3D
 厚生年金保険法附則第8条の2に定める「特例による老齢厚生年金の支給開始年齢の特例」の規定によると、昭和35年8月22日生まれの第4号厚生年金被保険者期間のみを有する女子と、同日生まれの第4号厚生年金被保険者期間のみを有する男子とでは、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は同じである。

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5
6A
  第2号厚生年金被保険者期間のみを有する昭和36年1月1日生まれの女性で、特別支給の老齢厚生年金の受給資格要件を満たす場合、報酬比例部分の支給開始年齢は64歳である。

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3
9A
 昭和35年4月10日生まれの女性は、第1号厚生年金被保険者として5年、第2号厚生年金被保険者として35年加入してきた(これらの期間以外被保険者期間は有していないものとする)。
 当該女性は、62歳から第1号厚生年金被保険者期間としての報酬比例部分の特別支給の老齢厚生年金が支給され、64歳からは、第2号厚生年金被保険者期間としての報酬比例部分の特別支給の老齢厚生年金についても支給される。

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1.4 障害者特例による老齢厚生年金額の特例(附則9条の2)
 「附則8条(60歳台前半の老齢厚生年金)の規定による老齢厚生年金(43条1項すなわち本来の報酬比例部分の規定によりその額が計算されているものに限る)の受給権者が、被保険者でなく、かつ、傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態にあるとき(その傷病が治らない場合(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態にある場合を除く)にあつては、その傷病に係る初診日から起算して1年6月を経過した日以後においてその傷病により障害状態にあるとき)は、その者は、老齢厚生年金の額の計算に係る特例の適用(報酬比例部分に加えて定額部分)を請求することができる」
⇒「「障害の状態の要件」は、障害厚生年金と同じ(47条2項)で、1級、2級、3級)。具体的には施行令3条の8による。ただし、障害年金が受給できない者(被保険者要件あるいは、保険料納付要件などを満たさない者)であってもよい。

(1)対象者;以下の要件いずれも満たす者
・60歳台前半の特別支給老齢厚生年金の受給権者(厚生年金被保険者期間が1年以上、受給資格期間が10年以上で、男子の場合はS36.04.01以前生まれ、女子の場合はS41.04.01以前生まれで、報酬比例部分の支給開始年齢に達した者)
・被保険者でない者
・3級以上の障害状態にある者(3級以上に該当すれば、障害年金が受給できない者(被保険者要件を満たさない、あるいは保険料納付要件を満たさない者)であってもよい)
(2)請求することが要件
・原則として、請求した月の翌月分から、報酬比例部分に加えて定額部分が支給される。(240月以上等の要件を満たせば、加給年金も加算される)
・ただし、5項により、障害厚生年金・障害基礎年金などの受給権がある(あるいは、遡り請求により受給権が発生する)者は、特例要件を満たした月の翌月に遡って支給される。

 あくまでも、請求できるである。障害厚生年金・障害基礎年金と、60歳台前半の特別支給老齢厚生年金とは、併給できないので、いずれかを選択することになる。
 障害者特例による老齢厚生年金額
 「附則9条の2の2項 前項の請求があつたときは、当該請求に係る老齢厚生年金の額は、43条1項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる額を合算した額とするものとし、当該請求があつた月の翌月から、年金の額を改定する」
@1,628円に国民年金法に規定する改定率を乗じて得た額(その額に50銭未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたときは、これを1円に切り上げるものとする)に被保険者期間の月数(当該月数が480を超えるときは、480とする)を乗じて得た額(定額部分の額)
A被保険者であつた全期間の平均標準報酬額の1,000分の5.481に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額(報酬比例分の額)
 「5項法改正(H26.04.01追加) 老齢厚生年金の受給権者又は老齢厚生年金の受給権者であつた者が、次の各号のいずれかに該当するときは、1項の規定にかかわらず、同項の規定による請求をすることができる。この場合において、当該各号に規定する日に同項の規定による請求があつたものとみなす]
@老齢厚生年金の受給権者となつた日において、被保険者でなく、かつ、障害状態にあるとき(障害厚生年金その他の障害を支給事由とする年金たる給付であつて政令で定めるものを受けることができるときに限る)
A障害厚生年金等を受けることができることとなつた日において、老齢厚生年金の受給権者であつて、かつ、被保険者でないとき
B被保険者の資格を喪失した日(引き続き被保険者であつた場合には、引き続く被保険者の資格を喪失した日)において、老齢厚生年金の受給権者であつて、かつ、障害状態にあるとき(障害厚生年金等を受けることができるときに限る)

 年金額の改定時期
(1)報酬比例部分に加えて定額部分が支給される時期
@原則は、障害者特例の適用を請求した日の属する月の翌月分から(1項)
A障害厚生年金・一元化前障害共済年金、障害基礎年金などの受給権がある(あるいは、これらを請求すれば遡って受給権が発生する)者は、障害者特例の請求をしたときには直ちに障害状態が判定できるので、被保険者資格の喪失、障害厚生年金等の受給権取得、報酬比例部分の老齢厚生年金の支給開始年齢到達の3要件を全部満足する日に「請求があつたものとみなされ」その翌月分に遡って支給される(5項) 
(2)加給年金
・加給年金
については、上記の額の改定にあわせて、44条が準用され、加給要件に該当する場合は、加給年金も加算される。
被保険者でないことが要件であるから、再就職して被保険者になると、特例は適用されない(定額部分、加給年金は支給停止になる)
 障害者特例、長期加入者特例の支給開始年齢(報酬比例部分+定額部分)
 通常の受給者の報酬比例部分の支給開始年齢に等しい
 一般男子、又は、2号、3号、4号被保険者期間を有する女子の場合 1号被保険者期間を有する女子の場合

開始年齢

  昭和28年4月1日以前  昭和33年4月1日以前  60歳
 昭和28年4月2日〜昭和30年4月1日  昭和33年4月2日〜昭和35年4月1日  61歳
 昭和30年4月2日〜昭和32年4月1日  昭和35年4月2日〜昭和37年4月1日  62歳
 昭和32年4月2日〜昭和34年4月1日  昭和37年4月2日〜昭和39年4月1日  63歳
 昭和34年4月2日〜昭和36年4月1日  昭和39年4月2日〜昭和41年4月1日  64歳
17
10
A
 被保険者でなく、かつ傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときは、定額部分と報酬比例部分の合計額が支給される者になる。(基礎)

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正しい 誤り


6E
 報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の受給権を有する者が、被保険者でなく、かつ、障害の状態にあるときは、老齢厚生年金の額の計算に係る特例の適用を請求することができる。ただし、ここでいう障害の状態は、厚生年金保険の障害等級1級又は2級に該当する程度の障害の状態に限定される。(17-10Aの類型)

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正しい 誤り
20
10
A
 報酬比例部分のみの60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者(加給年金額の対象者は有していないものとする)が、被保険者でなく、かつ、傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態(以下「障害状態」という)にあるとき(その傷病が治らない場合(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態にある場合を除く)にあっては、その傷病に係る初診日から起算して1年6月を経過した日以後においてその傷病により障害状態のあるときであって、障害年金をまだ請求していない者)は、その者の請求により、当該請求があった月の翌月から、定額部分が加算された年金額に改定される。(H26改)(17-10Aの発展)

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正しい 誤り
27

 昭和30年4月2日生まれの男子に係る特別支給の老齢厚生年金について、報酬比例部分の支給開始年齢は62歳であり、定額部分の支給は受けられないが、
(1)厚生年金保険法附則第9条の2第1項及び第5項各号に規定する、傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態にあるとき
(2)被保険者期間が| A |以上であるとき
(3)坑内員たる被保険者であった期間と船員たる被保険者であった期間とを合算した期間が| B |以上であるとき
のいずれかに該当する場合には、60歳台前半に定額部分の支給を受けることができる。
 上記の(1)から(3)のうち、「被保険者でない」という要件が求められるのは、| C |であり、定額部分の支給を受けるために受給権者の請求が必要(請求があったものとみなされる場合を含む)であるのは、| D |である。
 また(3)に該当する場合、この者に支給される定額部分の年金額(平成27年度)は、| E |に改定率を乗じて得た額(その額に50銭未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたときは、これを1円に切り上げる)に被保険者期間の月数(当該月数が480か月を超えるときは、480か月とする)を乗じて得た額である。(基礎)

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1.5 長期加入者特例による老齢厚生年金の額の特例(附則9条の3)
  「附則8条による老齢厚生年金の受給権者(60歳以上で、1年以上の被保険者期間を有し、かつ受給資格期間10年を満足している者でかつ、報酬比例部分を受給できる者)が被保険者でなく、かつ、その者の被保険者期間が44年以上であるときは、当該老齢厚生年金の額は報酬比例部分と定額部分からなる」
 加給年金:定額部分が支給されるときは、44条が準用されて、加給要件に該当する場合は加給年金が加算される 
報酬比例部分の支給開始年齢に達したときに、定額部分も支給する」ということ。
 44年であるから、たとえば16歳から60歳までずっと厚生年金の被保険者であり続けるなど、大変なことである。よって、特別ボーナスとして、報酬比例部分の受給権があれば、たとえ定額部分の支給開始年齢に達していなくても、あるいは定額部分の年金の支給がない場合であっても、報酬比例部分と定額部分とを合わせた年金が支給されるということ。
・被保険者期間44年以上とは1号、2号、3号、4号単独の期間であって、各号間の合算はない。(附則20条2項)
・被保険者でないことが必要であるので、在職中であればたとえ44年間あっても定額部分は支給停止となる。
・定額部分が支給されるのは、報酬比例部分の開始年齢前に退職し、かつ被保険者期間が44年(528月)以上あれば、報酬比例部分の支給開始と同時に。
 報酬比例部分の開始年齢後に退職し、かつ被保険者期間が44年(528月)以上あれば、退職月の翌月から。
・障害者特例と類似しているが、障害者特例の場合は、本人の請求が必要要件であるのに対し、長期加入者特例の場合は、老齢厚生年金の裁定請求さえすれば(してあれば)自動的に適用される。
被保険者でないことが要件であるから、再就職して被保険者になると、特例は適用されない(定額部分、加給年金は支給停止になる)
13
9A
 厚生年金保険の被保険者期間が44年以上ある者については、60歳以上65歳未満で、かつ被保険者でなければ、生年月日にかかわらず、報酬比例部分と定額部分とを合わせた特別支給の老齢厚生年金が支給される。(基礎)

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正しい 誤り
20
5B
 60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者(昭和29年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれた女子とする)が、その権利を取得した当時、被保険者でなく、かつ、その者の被保険者期間が44年以上であるときは、当該老齢厚生年金の額は、報酬比例部分の年金額に加給年金額が加算されるが、定額部分の年金額は支給されない。(13-9Aの類型、応用)

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17
10
B

 被保険者でなく、かつ被保険者期間が43年以上あるとき、定額部分と報酬比例部分の合計額が支給される者になる。(13-9Aの類型)

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15
2C
 昭和18年7月生まれの男性で、既に退職しており厚生年金被保険者期間が40年以上あるときは、60歳から定額部分と報酬比例部分の老齢厚生年金を請求することができる。(13-9Aの類型、応用)

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11
6C
 昭和29年4月2日に生まれた被保険者である特別支給の老齢厚生年金の受給権者が、被保険者の資格を喪失した場合において、年金額の基礎となる被保険者期間が44年以上であるときは、被保険者の資格を喪失した日の属する月から定額部分が支給される。(13-9Aの類型、応用)

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正しい 誤り
2以上
種別の被保険者期間
28
7エ
 第1号厚生年金被保険者期間を30年と第2号厚生年金被保険者期間を14年有する昭和29年10月2日生まれの現に被保険者でない男性は、両種別を合わせた被保険者期間が44年以上であることにより、61歳から定額部分も含めた特別支給の老齢厚生年金を受給することができる。

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正しい 誤り

3
9B
 昭和33年4月10日生まれの男性は、第1号厚生年金被保険者として4年、第2号厚生年金被保険者として40年加入してきた(これらの期間以外被保険者期間は有していないものとする)。
 当該男性は、厚生年金保険の被保険者でなければ、63歳から定額部分と報酬比例部分の特別支給の老齢厚生年金が支給される。

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正しい 誤り
3















1.6 坑内員・船員の特例 (平成6年改正法附則15条) 
 「坑内員たる被保険者であった期間又は船員たる被保険者であった期間を有する60歳未満の者(昭和21年4月1日以前に生まれた者に限る)が、次の各号のいずれにも該当するに至ったときは、特別支給の老齢厚生年金を支給する」 
1  55歳以上であること
2  坑内員たる被保険者であった期間と船員たる被保険者であった期間とを合算した期間が15年以上であること
3  保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が10年以上あること

 「2項 前項に規定する坑内員たる被保険者であった期間又は船員たる被保険者であった期間の計算については、基金の加入員であった期間に係る被保険者期間の計算の例による」
 すなわち、3分の4倍などをしない、実際の期間が15年以上必要である。
 「3項 坑内員たる被保険者であった期間又は船員たる被保険者であった期間を有する60歳未満の者(昭和21年4月2日から昭和29年4月1日までの間に生まれた者に限る)について準用する。この場合において、1項11号中「55歳」とあるのは、次の表に読み替えるものとする」

生  年  月  日

特別支給の老齢厚生年金(定額分+報酬比例部分)の支給開始年齢
 昭和21年4月2日から昭和23年4月1日まで生まれ 56歳
 昭和23年4月2日から昭和25年4月1日まで生まれ 57歳
 昭和25年4月2日から昭和27年4月1日まで生まれ 58歳
 昭和27年4月2日から昭和29年4月1日まで生まれ 59歳

 坑内員・船員の特例による老齢厚生年金の額の特例(附則9条の4)
 「附則第8条による老齢厚生年金の受給権者(受給資格期間10年を満足している者)がその権利を取得した当時、坑内員たる被保険者であった期間と船員たる被保険者であった期間とを合算した期間(3分の4倍などの加算をしないの実期間)が15年以上であるときは、定額部分と報酬比例分からなる特別支給の老齢厚生年金を支給する」
 加給年金:1項の特例を適用を適用する場合は、44条が準用されるので、加給要件に該当する場合は加給年金が加算される。 
 船員・坑内員の特例による支給開始年齢
生年月日
(平成6年改正法附則15条3項)

開始
年齢

生年月日
(附則8条の2の3項)

開始
年齢

   昭和21年4月1日以前  55歳    昭和29年4月2日〜昭和33年4月1日  60歳
 昭和21年4月2日〜昭和23年4月1日  56歳  昭和33年4月2日〜昭和35年4月1日  61歳
 昭和23年4月2日〜昭和25年4月1日  57歳  昭和35年4月2日〜昭和37年4月1日  62歳
 昭和25年4月2日〜昭和27年4月1日  58歳  昭和37年4月2日〜昭和39年4月1日  63歳
 昭和27年4月2日〜昭和29年4月1日  59歳  昭和39年4月2日〜昭和41年4月1日  64歳

 
・坑内員・船員については、労働が過酷であるなどの理由により、従来から被保険者期間が15年以上あれば55歳から老齢給付がなされていた。しかしこれも、支給開始年齢を少しづつ下げていき、やがては65歳からに統一されることになっている。
 その間は、定額部分と報酬比例部分の支給開始年齢の引き下げが同時になされることに注意。
附則8条の2は60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金を支給する規定である。
・3種(坑内員・船員)被保険者の特例は、1号被保険者期間に基づく特別支給の老齢厚生年金のみに適用される。
 なお、同様の特例である「特定警察職員の特例」は3号被保険者期間に基づく特別支給の老齢厚生年金のみに適用される。
 特定警察職員等の特例(附則8条の2の4項)
 「特定警察職員等(警察官、皇宮護衛官、消防吏員、常勤の消防団員であって一定の階級以下の者で20年以上在職していた者)の支給開始年齢は以下の通り」

生  年  月  日

特別支給の老齢厚生年金
(定額分+報酬比例部分)の支給開始年齢
 昭和34年4月2日から昭和36年4月1日まで生まれ 61歳
 昭和36年4月2日から昭和38年4月1日まで生まれ 62歳
 昭和38年4月2日から昭和40年4月1日まで生まれ 63歳
 昭和40年4月2日から昭和42年4月1日まで生まれ 64歳
附則8条の2は60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金を支給する規定である。
16
4C
 昭和21年4月1日以前生まれで船員たる被保険者期間が15年以上あって、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が10年以上ある者は、55歳から特別支給の老齢厚生年金を受給できる。(H30改)(基礎)

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正しい 誤り
12
10
B

 

  昭和21年4月1日以前生まれの者で、かつ老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている者が、受給権を取得した当時、坑内員たる被保険者であった期間と船員たる被保険者期間とを合算した期間が10年以上ある場合には、60歳から65歳までの間、特別支給の老齢厚生年金(定額部分と報酬比例部分)が支給される。(16-4Cの類型、応用)

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正しい 誤り
20
5C
 昭和21年4月1日以前に生まれた男子で、3分の4倍等される前の実際の船員たる被保険者期間が12年(すべて昭和61年4月1日前の期間とする)あり、かつ、第1種被保険者期間が9年ある場合、この者は、55歳から老齢厚生年金を受けることはできない。なお、他には被保険者期間がないものとする。(16-4Cの類型、応用)

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正しい 誤り

17
10
C

 坑内員としての被保険者であった期間と船員としての被保険者であった期間とを合算した期間がを12年以上あるとき、定額部分と報酬比例部分の合計額が支給される者になる。(12-10Bの類型)

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正しい 誤り


10
 船員たる被保険者であった期間が15年以上あり、特別支給の老齢厚生年金を受給することができる者であって、その者が昭和35年4月2日生まれである場合には、60歳から定額部分と報酬比例部分を受給することができる。(12-10Bの類型

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正しい 誤り


1A
 昭和36年4月2日以後生まれの男性である第1号厚生年金被保険者(坑内員たる被保険者であった期間及び船員たる被保険者であった期間を有しないものとする)は特別支給の老齢厚生年金の支給対象にはならないが、所定の要件を満たす特定警察職員等は昭和36年4月2日以後生まれであっても昭和42年4月1日以前生まれであれば、男女を問わず特別支給の老齢厚生年金の支給対象になる。(発展)

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正しい 誤り
17
6A
 昭和40年4月2日生まれの坑内員たる被保険者期間を15年有する被保険者が老齢基礎年金の受給資格を満たした後は、60歳以降65歳に達する前に老齢厚生年金の支給繰上の請求をすることができる。(発展)

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正しい 誤り














1.7 定額部分の年金額(附則9条の2の2項1号) (報酬比例部分の年金額こちらを)
 「1,628円に国民年金法27条に規定する改定率を乗じて得た額(その額に50銭未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたときは、これを1円に切り上げる)に被保険者期間の月数(当該月数が480を超えるときは、480とする)を乗じて得た額」
⇒令和5年度の改定率はこちらにあるように、新規裁定者(68歳到達前の者)は1.018、既裁定者(68歳到達以降の者)は1.015。
⇒令和5年度の定額部分単価はこちらを

 上記(附則9条の2の2項1号)による定額部分の年金額の計算法は、障害者特例の者に適用するものであるが、平成6年改正法附則19条等により、定額部分の支給開始年齢に到達した者について支給する定額部分の年金額の計算にはすべて適用される。
 「平成16年改正法附則36条 当分の間、上限が480とあるのは、下記とする」
 昭和 4年4月1日以前生まれ 420月
 昭和 4年4月2日〜昭和 9年4月1日まで生まれ 432月
 昭和 9年4月2日〜昭和19年4月1日まで生まれ 444月
 昭和19年4月2日〜昭和20年4月1日まで生まれ 456月
 昭和20年4月2日〜昭和21年4月1日まで生まれ 468月
 昭和21年4月2日〜 480月

 定額単価の読替え(平成6年改正法附則19条2項)
 「昭和21年4月1日以前生まれの者については、定額単価1.628は、1.628×生年月日に応じて政令で定める調整率とする」
 すなわち、昭和21年4月1日以前生まれの者の定額部分は生年月日に応じた割増しがあり被保険者月数も480とは異なる上限もある)
 〔1,628×国民年金法による改定率の円単位の額×生年月日調整率(乗率ともいう)×被保険者期間月数(生年月日による上限あり)。

 定額単価の決め方と被保険者期間の上限
 定額部分の老齢厚生年金額は老齢基礎年金額に対応して設定してある。
@定額単価1,628円は780,900/480に対応している。
A年配者は生年月日に応じて政令で定める調整率が大きいので、それに応じて、被保険者期間の上限がある。
 昭和21年4月2日以降生まれの場合は、生年月日調整率は1.0、被保険者期間の上限は480月で一定である。
1.8 定額部分の支給停止
(1) 被保険者要件
障害者特例による老齢厚生年金額の特例(附則9条の2)あるいは長期加入者特例による老齢厚生年金の額の特例(附則9条の3)の適用は、「被保険者でないこと」が特例の適用条件になって、65歳までの特別支給の老齢厚生年金として、報酬比例部分と定額部分が同時に支給される。(加給年金額が加算されているときは加給年金額もあわせて支給される)
よって、上記の特例対象者が厚生年金保険の被保険者になると、特例が適用されなくなる。つまり、これらの者には、報酬比例部分だけの年金が支給される(よって、加給年金額の加算該当者であっても、加給年金額は支給停止)とある。
・65歳になるまでに再び、被保険者資格を喪失した場合は、復活請求はできる。
(2) 厚生年金被保険者の適用拡大に伴う障害者・長期加入者特例定額部分支給停止に関する経過措置(厚生労働省ホームページより)
 令和4年10月1日施行の法改正により、厚生年金保険の被保険者となった者が、次の条件のいずれにも該当する場合は、「障害者・長期加入者特例に係る老齢厚生年金在職支給停止一部解除届」を提出することで、上記の支給停止は解除される。( ただし、在職老齢年金は適用されるので注意を)
@令和4年9月30日以前から障害者・長期加入者の特例に該当する老齢厚生年金を受給している。
A令和4年9月30日以前から引き続き同一の事業所に使用されており、次のアからウのいずれかの理由により、令和4年10月1日(施行日)に厚生年金保険に加入した者
ア 士業の適用業種追加による資格取得:常時5人以上の従業員を雇用している士業の個人事業所が、適用事業になったことによる。
イ 特定適用事業所の企業規模要件の見直しによる資格取得:短時間労働者を除く被保険者の総数が、常時500人以下であったが101人以上であるため、特定適用事業になったことによる資格取得。
ウ 短時間労働者の勤務期間要件の撤廃・緩和による資格取得;雇用期間が1年以上見込まれることが、雇用
20
6C
 60歳台前半の老齢厚生年金の定額部分の額は、1,628円に国民年金法第27条に規定する改定率を乗じて得た額(その額に50銭未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたときは、これを1円に切り上げる)に被保険者期間の月数を乗じて得た額となる。当該被保険者期間の月数は、生年月日にかかわらず、480が上限とされている。(発展)

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正しい 誤り
21
4C
 60歳台前半の老齢厚生年金の定額部分の年金額の計算の際に用いる被保険者期間の月数は、生年月日に応じて段階的に引き上げる措置が講じられており、昭和4年4月1日以前に生まれた者については440月が上限とされている。(20-6Cの応用)

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正しい 誤り
16
5A
 定額部分の計算の際に用いる被保険者期間の月数は、昭和9年4月2日以後に生まれた者については444月が上限である。(21-4Cの類型)

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正しい 誤り

22
2A

 老齢厚生年金の定額部分の額の計算について、当該老齢厚生年金の受給権者が昭和9年4月2日から昭和20年4月1日までの間に生まれた者である場合には、被保険者期間の月数の上限を444か月として計算する。(21-4Cの類型)

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正しい 誤り
11
6B
 昭和16年4月2日に生まれた男子について、61歳から定額部分が支給される場合においては、その定額部分の額の計算の基礎となる被保険者期間の月数の上限は480月となる。(21-4Cの類型)

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正しい 誤り
17
5E
 昭和20年4月2日に生まれの被保険者に支給される特別支給の老齢厚生年金の定額部分の額は、1,628円に老齢基礎年金の改定率、当該被保険者の乗率1.032及び480月を上限とする被保険者期間の月数を乗じて得た額として計算される。(20-6Cの類型、応用)

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正しい 誤り
25
10
E
 昭和25年4月2日生まれの女子に支給される特別支給の老齢厚生年金の定額部分の額の計算に係る被保険者期間の月数は、456月を上限とする。(21-4Cの類型)

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正しい 誤り
60









































2 (特別支給の老齢厚生年金がない世代の)老齢厚生年金の支給の繰上げ(附則7条の3) 法改正(H27.10.01)
 「当分の間、次の各号に掲げる者であつて、被保険者期間を有し、かつ、60歳以上65歳未満であるもの(国民年金の任意加入被保険者でないものに限る)は、政令で定めるところにより、65歳に達する前に、実施機関に当該各号に掲げる者の区分に応じ当該者の被保険者の種別に係る被保険者期間に基づく老齢厚生年金の支給繰上げの請求をすることができる。
 ただし、その者が、その請求があつた日の前日において、老齢厚生年金の受給資格要件に該当しないときは、この限りでない」
@男子又は女子(2号、3号、4号の厚生年金被保険者であるか被保険者期間を有する者に限る)であつて昭和36年4月2日以後に生まれた者(B及びCに掲げる者は除く)
A女子(1号の厚生年金被保険者であるか被保険者期間を有する者に限る)であつて昭和41年4月2日以後に生まれた者(B及びCに掲げる者は除く)
B坑内員としての被保険者期間と船員としての被保険者期間とを合算した期間が15年以上である者であつて、昭和41年4月2日以後に生まれたもの(Cに掲げる者は除く)
C特定警察職員等(警察官若しくは皇宮護衛官又は消防吏員若しくは常勤の消防団員(これらの者のうち政令で定める階級以下の階級である者に限る)である被保険者又は被保険者であつた者のうち、附則8条(60歳台前半の老齢厚生年金)に該当するに至つたとき(そのときにおいて既に被保険者の資格を喪失している者にあつては、当該被保険者の資格を喪失した日の前日)において、引き続き20年以上警察官若しくは皇宮護衛官又は消防吏員若しくは常勤の消防団員として在職していた者その他これらに準ずる者として政令で定める者をいう)である者で昭和42年4月2日以後に生まれたもの
⇒「老齢厚生年金の受給資格要件に該当」とは、老齢基礎年金の受給資格期間を満たし、かつ厚生年金の被保険者期間が1か月以上ある者

 「同2項 前項の請求は、国民年金法附則9条の2(全部繰上げ)又は9条の2の2(一部繰上げ)に規定する老齢基礎年金の繰上げ請求を行うことができる者にあつては、これらの請求と同時に行わなければならない」
⇒原則として「全部繰上」となる。

 「同3項 1項の請求があつたときは、42条(老齢厚生年金の支給要件)の規定にかかわらず、その請求があつた日の属する月から、その者に老齢厚生年金を支給する」

 「同4項 前項の規定による老齢厚生年金の額は、43条1項(老齢厚生年金の額)の規定にかかわらず、同項の規定により計算した額から政令で定める額を減じた額とする」
 「同5項 同繰り上げ受給者の年金額の改定はこちらを」
 「同6項 同加給年金はこちらを」


@特別支給の老齢厚生年金について、支給開始年令引上完了後(すなわち、特別支給の老齢厚生年金が支給されない)の年代を対象にしたもので、本条により、60歳から65歳までの間に本来の老齢厚生年金を繰上げ請求できる。
A支給開始年令引上実施中の年代の者は、附則13条の4の適用となる。
 二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者に係る老齢厚生年金の支給の繰上げの特例(附則18条)法改正(H27.10.01)
 「二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者について、附則7条の3の1項(老齢厚生年金の繰上げ)の規定を適用する場合においては、当該二以上の被保険者の種別に係る被保険者であつた期間のうち一の期間に基づく老齢厚生年金についての同項の請求は、他の期間に基づく老齢厚生年金についての当該請求と同時に行わなければならない」
 「2項 前項の場合においては、各号の厚生年金被保険者期間ごとに、附則7条の3の規定を適用する。この場合において、同条の規定の適用に関し必要な読替えその他必要な事項は、政令で定める」
⇒1号、2号、3号、4号の複数の種別の被保険者期間がある者の繰上げは、それぞれの実施機関ごとに、同時に請求する。
 実務的には、どこか一つの実施機関に請求すれば、ワンストップサービスで、他の実施機関に請求書等を回してくれる。
 二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者に係る特例による老齢厚生年金の支給の繰上げの特例(附則21条
 「二以上の種別の被保険者であつた期間を有する者について、附則13条の4の1項の規定を適用する場合においては、当該二以上の被保険者の種別に係る被保険者であつた期間のうち一の期間に基づく老齢厚生年金についての同項の請求は、他の期間に基づく老齢厚生年金についての当該請求と同時に行わなければならない」
 「2項 前項の場合においては、各号の厚生年金被保険者期間ごとに附則13条の4等の規定を適用する
 (特別支給の老齢厚生年金がある世代の)老齢厚生年金の支給の繰上げの特例(附則13条の4)
 「附則8条の2(特別支給の老齢厚生年金の支給開始年令が61歳から64歳の間となる者)の各項に規定する者であつて、附則8条(特別支給の老齢厚生年金の受給資格要件)各号のいずれにも該当するもの(国民年金法の任意加入被保険者でないものに限る)は、それぞれ各項の表の下欄に掲げる年齢(支給開始年齢)に達する前に、実施機関に老齢厚生年金の支給繰上げの請求をすることができる」
 「同2項 前項の請求は、国民年金法に規定する支給繰上げの請求を行うことができるものにあつては、これらの請求と同時に行わなければならない」
⇒一般の男子、女子の場合は、全部繰上となる。
 「坑内員」、「特定警察職員等」であって一定の者には、特別支給の老齢厚生年金に定額部分も含まれており、一部繰上が可能である。
 「同3項 1項の請求があつたときは、42条の規定にかかわらず、その請求があつた日の属する月から、その者に老齢厚生年金を支給する」
注意して 
@紛らわし記述である。正しい意味は「請求があつた日に受給権が発生し、その翌月分から支給する」
Aこの場合の「翌月分から」とは、「翌月」に支給されるという意味ではなく、遅れるかも知れないが、「翌月分もふくめてそれ以降の年金が支給される」
 「同4項 前項の規定による老齢厚生年金の額は、43条1項の規定にかかわらず、同項の規定により計算した額から政令で定める額を減じた額とする」
 「同5項 繰り上げ受給者の年金額の改定はこちらを
 「同7項 同加給年金はこちらを

3 「60歳から報酬比例部分が支給される場合の繰上げ」
22
@特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分が60歳から支給されるので、この部分の繰上げはない。
A定額部分については、老齢基礎年金部分との重複部分があるため、老齢基礎年金の繰上げがなされると、重複部分の調整が必要になってくる。 
 一部繰上げについてはこちらを
 全部繰上げについてはこちらを
B老齢基礎年金については、繰上月数1か月当たり0.4%の減額率で減額となる。(国民年金法施行令12条、ただし、R04,04,01の前日において、60歳に達していない者(即ち、昭和37年4月2日以後生まれの者)について適用する。その他の者は0.5%を適用) 
3.1 パターン1(全額支給停止):昭和16年4月1日以前生まれの者(平成6年法附則24条2項)
 「附則8条(60歳台前半の老齢厚生年金の受給資格要件)の規定による老齢厚生年金(その受給権者が昭和16年4月1日以前に生まれた者であるものに限る)は、その受給権者が国民年金法による老齢基礎年金の支給を受けることができるときは、その間、その支給を停止する」
⇒特別支給の老齢厚生年金が60歳から定額部分+報酬比例部分の全額を支給される者:
 老齢基礎年金を繰上請求すると、減額された老齢基礎年金が受給できるかわりに 特別支給の老齢厚生年金は全額支給停止
   これは、繰上げの問題というよりも、昭和16年4月1日以前生まれの者については、老齢基礎年金と特別支給の老齢厚生年金の併給は認めないという、併給調整の問題である。
 老齢基礎年金を繰上げ請求すると
 定額部分  全額停止
 報酬比例分
 老齢基礎年金  60歳以降の請求時から減額された年金額を受給 
 減額される額=老齢基礎年金額×0.5%×A(繰上げ請求月から65歳に達する月の前月までの月数)
 (例)60歳到達月に繰上げ請求すると、0.5%×5×12=30%の減額
 (注)65歳からの受給額:
  減額(全部繰上げに相当)された老齢基礎年金額+本来の老齢厚生年金額(報酬比例部分+経過的加算額)
3.2 パターン2(一部繰上):昭和16年4月2日から24年4月1日生まれ(1号女子は5年遅れ)の者(平成6年法附則27条)
 特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分は60歳から、定額部分は61歳以降の支給開始年齢からの支給される者である場合、老齢基礎年金と特別支給の老齢厚生年金の併給を認めた。
 ただし、特別支給の老齢厚生年金の定額部分は老齢基礎年金部分と重複するため調整が必要であるが、この定額部分の年金額原資をできるだけ利用するために、老齢基礎年金の一部だけの繰上げを希望する一部繰上げとなる。
 繰上げしなかった残りの老齢基礎年金は65歳から受給。
 老齢基礎年金の一部を繰上げ請求すると
 定額部分
 
 繰上げ請求時から、調整された額(繰上調整額)を受給
 繰上調整額= 定額部分の年金額×C(定額部分支給開始年齢到達月から65歳到達月の前月までの月数)/A(繰上げ請求月から65歳到達月の前月までの月数)
 ()62歳から定額部分が支給される者が61歳到達月に請求する場合。
 62歳から65歳までの3年分の総額を61歳から65歳までの4年間で割った額を毎年受給。
 つまり、61歳から65歳になるまでの受取総額は、本来受け取るはずであって62歳から65歳になるまでの額と同じ。
 報酬比例分  60歳から全額受給(そもそも繰上げの必要なし)
 一部繰上げの老齢基礎年金  繰上げ請求時から、全体の老齢基礎年金額を繰上調整額補填部分とその残りにわけ、繰上調整額補填部分について減額された年金額を受給。
 繰上げ調整額補填部分=老齢基礎年金額×B(繰上げ請求月から定額部分支給開始年齢到達月の前月までの月数)/A(繰上げ請求月から65歳到達月の前月までの月数)
 減額される額=繰上げ調整額補填部分×0.5%×A(繰上げ請求月から65歳到達月の前月までの月数)
 =老齢基礎年金額×B/A×05%×A
 受給額=繰上げ調整額補填部分ー減額される額
    =老齢基礎年金額×B/A×(1-0.5%×A)
 (上記の例では、3年分であるところ1年前倒して4年間受給するようにしたので、繰上げ調整額補填部分は老齢基礎年金の1/4
 減額される額はこの1/4部分を4年間前倒しするから、
 老齢基礎年金額×1/4×0.5%×12×4=老齢基礎年金額の6.0%
 結局、受給額=老齢基礎年金×1/4×76%=老齢基礎年金×19%
 (老齢基礎年金のうちその一部(1/4)を4年間繰り上げる(6%減額)。
 後の3/4は繰上げしていないので、65歳になったときから減額なしで受給できる)
 
 (注)65歳からの受給額:
 一部繰上げにより一部減額された老齢基礎年金額+減額されずにおいてあった(繰上げられなかった)残りの老齢基礎年金額+本来の老齢厚生年金額(報酬比例部分+経過的加算額)
上記の例における老齢基礎年金の額は、結局、本来の老齢基礎年金の額の(1/4×76%+3/4=94%)

3.3 パターン3(定額部分開始前全部繰上):昭和16年4月2日から24年4月1日生まれ(1号女子は5年遅れ)の者:(平成6年法附則27条16項)
 「国民年金法附則9条の2(全部繰上げ)の規定は、1項(一部繰上げ)の請求をした者については、適用しない」
 パターン2と対象者は同じであるが、老齢基礎年金全部を減額されてでも受給したいと選択した場合は、重複部分は支給停止となる。
 老齢基礎年金の全部を繰上げ請求すると
 定額部分
 
 定額部分支給開始年齢に到達以後、経過的加算額のみ受給
⇒老齢基礎年金相当額(昭和36年以降でかつ、20歳から60歳までの厚生年金被保険者期間について計算した老齢基礎年金額)は支給停止
 報酬比例分  60歳から全額受給
 全部繰上げの老齢基礎年金  繰上げ請求時から、全体の老齢基礎年金について減額された年金額を受給
 減額される額=老齢基礎年金額×0.5%×A(繰上げ請求月から65歳に達する月の前月までの月数)
 (上記の例では、基礎年金の全体について0.5%×12×4=24%の減額、支給されるのは、76%となる)
 
(注)65歳からの受給額:
  全部繰上げにより減額された老齢基礎年金額+本来の老齢厚生年金額(報酬比例部分+経過的加算額)
 パターン3'(定額部分開始後全部繰上):
 対象者はパターン2、3と同じであるが、既に定額部分の受給が始まった後に、老齢基礎年金の繰上を請求した場合は、全部繰上げしか適用できず、繰上請求後はパターン3と同じ受給内容となる。
3.4 パターン4:昭和24年4月2日から28年4月1日生まれ(1号女子は5年遅れ)で、特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分のみ60歳から支給される者:
 定額部分がないのであるから、一部繰上の余地はない。
⇒60歳から、1階部分は全部繰上げの老齢基礎年金を、2階部分は報酬比例の老齢厚生年金を受給する。
 老齢基礎年金を繰上げ請求すると
 報酬比例分  60歳から全額受給
 全部繰上げの老齢基礎年金  繰上げ請求時点から、全体の老齢基礎年金について減額された年金額を受給
 減額される額=老齢基礎年金額×0.5%×A(繰上げ請求月から65歳に達する月の前月までの月数)
 
 (注)65歳からの受給額:
 全部繰上げにより減額された老齢基礎年金額+本来の老齢厚生年金額(報酬比例部分+経過的加算額)
13
9B
 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けている間は、生年月日にかかわらず、特別支給の老齢厚生年金が支給停止される。

解説を見る

正しい 誤り
6

1













































 61歳以降から報酬比例部分が支給される場合

@報酬比例部分の支給開始年齢前に繰上げ請求した場合、65歳支給の本来の老齢厚生年金についても繰上げとなる。
Aこの場合、同時に老齢基礎年金も繰上げしないといけない(通常は全部繰上げであるが、障害者特例等に該当し、定額部分と報酬比例部分が同時に支給されるものであれば、一部繰上げもある)
 報酬比例部分の支給開始年齢後の繰上げ請求の場合は、老齢基礎年金のみの繰上げとなる。
B報酬比例部分、老齢基礎年金いずれも減額となるが、報酬比例部分にはもともと支給される年数分の原資があるため、繰り上げ月数は老齢基礎年金よりも短い。
B繰上げに伴う減額はこちらの通り。
4.1 パターン5:昭和28年4月2日から36年4月1日生まれ(1号女子は5年遅れ)で特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分支給開始前に繰り上げる場合(附則13条の4による繰上げで、対象者が附則8条の2の1項(男子)又は附則8条の2の2項(女子)の場合
 パターン5の支給形態
 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分のみの部分年金)の支給開始年齢前に繰上げ請求するということは、65歳から受給するはずであった本来の老齢厚生年金も繰上げしないと、原資が足りない。
 よってこの場合は 経過的加算も含めた本来の老齢厚生年金の繰上げも伴う
 さらには、同時に老齢基礎年金の全部繰上げも発生する。 
 報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を支給開始年齢前に繰り上げ請求すると。
 本来の老齢厚生年金(報酬比例部分+経過的加算額)  報酬比例部分についての減額される額
 =報酬比例部分年金額×0.5%×B(繰上げ請求月から報酬比例部分支給開始年齢到達月の前月までの月数) 
 経過的加算額についての減額される額=経過的加算額×0.5%×A(繰上げ請求月から65歳到達月の前月までの月数) 
 よって、受給額=報酬比例部分年金額×(1-0.5%×B)+経過的加算額×(1-05%×A) 
 (例2) 62歳から報酬比例部分が支給される者が61歳到達月に請求する場合。
 減額されるのは、報酬比例部分年金額については、1年の繰上げに伴う減額、経過的加算額については4年の繰上げに伴う減額となるから、
 支給額=報酬比例部分年金額×0.94+経過的加算額×0.76 
 全部繰上げの老齢基礎年金  上記繰上げ請求時に、同時に老齢基礎年金も全部繰上げになり、 全体の老齢基礎年金について減額された年金額を受給
 減額される額=老齢基礎年金額×0.5%×A(繰上げ請求月から65歳に達する月の前月までの月数)
 上記例2の場合は、4年分の繰上げになるので、
 支給額=老齢基礎年金額×076
 減額率の元となる率  昭和37年4月2日から41年4月1日生れの女子の1号被保険者期間については、減額率の元となる率は、0.5%ではなく、0.4%である。
 
 (注)65歳からの受給額:上記とかわらず。
   メモ:実際には、経過的加算に関する減額は報酬比例部分年金額から減額され、経過的加算は満額支給という形をとる。
 繰上げに伴う減額 政令で定める額(施行令8条の2の3法改正(R04.04.01)
 「法附則13条の4(特別支給の老齢厚生年金の支給開始年令前の繰り上げ)の4項に規定する政令で定める額は、同条1項の請求をした日(請求日)の属する月の前月までの厚生年金保険の被保険者期間(請求日前被保険者期間)を基礎として法43条1項の規定によつて計算した額に減額率(1,000分の4に請求日の属する月から支給開始年齢に達する日の属する月の前月までの月数を乗じて得た率(請求日の属する月と支給開始年齢に達する日の属する月が同一の場合には零)を乗じて得た額とする」
⇒報酬比例部分についての減額される額
 =報酬比例部分年金額×0.4%×B(繰上げ請求月から支給開始年齢到達月の前月までの月数) 
 「2項 経過的加算が適用される場合にあつては、政令で定める額は、前項の規定にかかわらず、同項に規定する額に次に掲げる額を加算した額とする」
@請求日前被保険者期間を基礎として計算した経過的加算額に、支給開始年齢に達する日の属する月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数を、請求日の属する月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数で除して得た率(附則13条の5に規定する繰上げ調整額が加算されない場合又は請求日の属する月と特例支給開始年齢に達する日の属する月が同一の場合には、零)を乗じて得た額
⇒繰上げ調整額が加算される場合、支給開始年齢到達月以降65歳到達月前月までは、繰上げ調整額から支給されるため、この部分の経過的加算はなしとする。
A請求日前被保険者期間を基礎として計算した経過的加算額に、イに掲げる率にロに掲げる率を乗じて得た率を乗じて得た額
イ 請求日の属する月から支給開始年齢に達する日の属する月の前月までの月数を請求日の属する月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数で除して得た率(附則13条の5に規定する繰上げ調整額が加算されない場合には1、請求日の属する月と特例支給開始年齢に達する日の属する月が同一の場合には
ロ 1,000の4に請求日の属する月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数を乗じて得た率
⇒経過的加算についての減額される額(繰上げ調整額が加算されないパターン5の場合)
 =本来の経過的加算額×0.4%×A(繰上げ請求月から65到達月前月までの月数) 
⇒経過的加算についての減額される額(繰上げ調整額が加算されるパターン7の場合)
 =本来の経過的加算額×C(支給開始年齢到達月から65歳到達月前月までの月数)/A(繰上げ請求月から65歳到達月前月までの月数)+0.4%×B(繰上げ請求月から支給開始年齢到達月の前月までの月数)

 0.4%が適用されるのは、施行日(R04.04.01)の前日において、60歳に達していない者(即ち、昭和37年4月2日以後生まれの者)である。こちらを参照のこと。 
 パターン5' :対象者はパターン5と同じで、特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分支給開始後に繰り上げる場合:
 報酬比例部分についての減額は当然のことながらない。(本来の老齢厚生年金が支給されるのであるが、原資的には特別支給老齢厚生年金の原資で充当できるため)
 ただし、繰上げに伴い老齢基礎年金と経過的加算が減額されて支給される。
 この場合の減額率はいずれも、0.5%(又は0.4%)×A(繰上げ請求月から65歳に達する月の前月までの月数)  
 (例)62歳から報酬比例部分だけの60歳台前半の老齢厚生年金が支給される者の場合(男子はS30.04.02からS32.04.01まで生まれ、1号女子はS35.04.02からS37.04.01まで生まれで、ともに0.5%の適用者)
(1)60歳から全部の年金が欲しいと繰り上げた場合、
 65歳からもらうはずの本来の老齢厚生年金と老齢基礎年金を同時に繰上げ請求したことになり、
・老齢厚生年金(報酬比例部分)は、原資としては2年分の繰上げでよいから、2年分減額された額(05%×24=12%の減額) 
 経過的加算額は5年分の繰上げとなるから、5年分減額された額(0.5%×60=30%の減額)
・老齢基礎年金は、5年分減額された額(0.5%×60=30%の減額)を受給する。
(2)63歳から、全部の年金が欲しいと繰り上げた場合、
・老齢厚生年金
 報酬比例部分は、既に支給されているので、繰上げできない。(必要もない)
 経過的加算額は2年分の繰上げとなるから、2年分減額された額
・老齢基礎年金は、2年分減額された額を受給する。
 メモ:実際には、経過的加算に関する減額は報酬比例部分年金額から減額され、経過的加算は満額支給という形をとる。
 パターン5(含む5')の場合のその他の重要事項
(1)繰り上げ受給者の年金額の改定(附則13条の4の5項)
 「特老厚の支給開始年齢が61歳から64歳の間となる者であって、支給繰り上げの請求があつた日以後の被保険者期間を有するものが、報酬比例部分の支給開始年齢に達したときは、当該年齢に達した日の属する月前における被保険者であつた期間を当該老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、当該年齢に達した日の属する月の翌月から、年金の額を改定する」
⇒本来の支給開始年齢に達したときは、在職中であっても、被保険者月数の見直しによる年金額の改定がなされる。(報酬比例部分開始前に退職しても、退職改定はしない)
⇒この者が、その後も引き続き被保険者であって65歳に達したときは、65歳時改定がおこなわれる。(附則13条の7の6項)
 報酬比例部分の特老厚がある者が繰り上げた場合の年金額の推移
 繰上げ請求時 ・繰上げ請求時に受給権が発生。
 年金額は繰上げ請求月の前月までの被保険者期間で計算した額(含む経過的加算)から、減額率(繰上げ1か月当たり0.4%)に応じて減額されたもの
 報酬比例部分の支給開始年齢に達したとき 5項により、在職中であったとしても、繰上げ請求月から本来の支給開始年齢到達月前月までの被保険者期間分の年金額(含む経過的加算)が、支給開始年齢到達月の翌月から増額される。(減額対象にはならない)
・支給開始年齢前に退職したとしても退職時の改定はしない。  
 報酬比例部分の支給開始年齢到達後に退職 ・退職して1か月経過したときに、退職改定を行う。
 報酬比例部分支給開始年齢到達月から退職月前月までの被保険者期間分の年金額(含む経過的加算)が、退職月翌月から増額される。(減額対象にはならない)
 65歳到達時 ・報酬比例部分繰上げ請求月から65歳到達月前月までの被保険者期間分(既に行われた退職時改定分は除く)の年金額(含む経過的加算)が65歳到達月の翌月から増額される。  
 65歳より70歳になるまでの
 在職定時改定
・9月1日に被保険者である場合は、8月までの被保険者であった期間月数を、年金額計算の基礎とする被保険者期間に加えて、10月分から年金額が増額される。(毎年実施)
 65歳より70歳になるまでに退職 ・退職して1か月経過したときに、退職改定を行う。
 65歳到達月から退職月前月までの被保険者期間分の年金額(含む経過的加算)が退職月翌月から増額される。
 70歳到達時 ・在職中のまま70歳に到達したときは、70歳時改定を行う。
 65歳到達月から70歳到達月前月までの被保険者期間分(既に行われた退職時改定分は除く)の年金額(含む経過的加算)が70歳到達月の翌月から増額される。

(2)在職定時改定・退職改定の適用に関する特例(附則15条の2)により
 在職定時改定については、
・報酬比例部分の特老厚がある者が支給開始前の繰上げた場合、特老厚がない者の繰上げた場合、65歳に達しているものに限って適用される。
 
退職改定については、
報酬比例部分の特老厚がある者が支給開始前の繰上げた場合は、支給開始年齢に達しているものに限る
特老厚のない者が繰上げた場合は、65歳に達しているものに限る

(3)加給年金(附則13条の4の7項概要)
 「繰り上げ請求を行った老齢厚生年金の受給権者が65歳(特例による定額部分がある者であるときは、定額部分支給開始年齢)に達した当時、その者について生計を維持していたその者の65歳未満の配偶者又は子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子、及び20歳未満で障害等級の1級若しくは2級に該当する障害状態にある子)があるときは、43条に定める額に加給年金額を加算した額とするものとし、65歳(定額部分がある者であるときは、定額部分支給開始年齢)に達した日の属する月の翌月又は被保険者月数が240以上となるに至つた月から、年金の額を改定する」
⇒加給年金額は繰上げ請求したときではなく、
@65歳到達月の翌月から、(もし、特例による定額部分がある者であるときは定額部分支給開始年齢到達月の翌月から)加算が始まる。
Aそのときには厚生年金被保険者期間が240月ないときは(退職改定などにより)240月以上になったときから加算される
B加給対象者が65歳以上であれば、加給年金ではなく振替加算となる。

(4)在職中の場合
・繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者が在職中の場合、65歳前であれば、60歳台前半の在職老齢年金の仕組みが適用される。(附則13条の6)
・高年齢雇用継続基本給付金を受給しているときは、65歳未満であるので、これとの調整による年金額の一部支給停止が適用される。(附則13条の6の4項)
(5)基本手当との調整(附則13条の6の3項)
⇒65歳未満である限り、基本手当との調整による年金の全額支給停止が適用される。  
4.2 パターン6特別支給の老齢厚生年金がない者の繰上げ(昭和36年4月2日以降生まれ(1号女子、坑内員・船員は5年遅れ)の者など(附則7条の3による繰上げ)
 この場合当然のことながら老齢厚生年金も減額となるほか、同時に老齢基礎年金も繰上げ扱い(全部繰上)となる。
 すなわち、支給内容はパターン5と同じである。
 60歳以上65歳未満の間に繰上げ請求すると
 本来の老齢厚生年金(比例部分+経過的加算額)  繰上げ請求時から、減額された年金額を受給。
 報酬比例部分、経過的加算額とも、繰上請求時から65歳到達月前月までの月数に応じて減額 
 全部繰上げの老齢基礎年金  上記繰上げ請求時に同時に老齢基礎年金も全部繰上げになり、 全体の老齢基礎年金について、繰上請求時から65歳到達月前月までの月数に応じて減額された年金額を受給。
 
 (注)65歳からの受給額:上記とかわらず。
 メモ:実際には、経過的加算に関する減額は報酬比例部分年金額から減額され、経過的加算は満額支給という形をとる。
  繰上げに伴う減額
 支給の繰上げの際に減ずる額(施行令6条の3法改正(R04.04.01) 老齢基礎年金の場合はこちらを。
 「法附則7条の3の4項(特別支給の老齢厚生年金がない者の繰上げ)に規定する政令で定める額は、同条1項の請求をした日(請求日)の属する月の前月までの厚生年金保険の被保険者期間(請求日前被保険者期間)を基礎として法43条1項の規定によつて計算した額(昭和60年改正法附則59条2項(経過的加算)の規定が適用される場合にあつては、請求日前被保険者期間を基礎として計算した同項に規定する加算額を加算した額)に減額率(1,000分の4に請求日の属する月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数を乗じて得た率)を乗じて得た額とする」
⇒減額率=0.4%×(繰上げ請求月から65歳到達月の前月までの月数)
 1年で4.8%、最大5年で24%の減額
 経過的加算についても同様。 
⇒ただし、男子及び2号、3号、4号女子で、S37.04.01まで生まれの者は、0.5%を適用)

 繰上げに伴う減額に関する経過措置 法改正(R04,04.01)
 「法附則7条の3の4項(特別支給のがない者の繰上げ)の改正後の厚生年金保険法施行令6条の3及び8条の2の3の規定は、施行日の前日において、60歳に達していない者について適用する」
⇒0.4%が適用されるのは、施行日(R04.04.01)の前日において、60歳に達していない者(即ち、昭和37年4月2日以後生まれの者)である。
 0.4%は、法改正(R04.04.01)後に繰上げを行う場合の値(パターン3)であり、既に繰上げを行ったあるいは繰上げ可能であった者については、生年月日に応じてパターン1パターン2が適用される。
 繰り上げ受給者の年金額の改定(附則7条の3の5項)
 「附則7条の3の3項の規定(支給繰り上げの請求者)による老齢厚生年金の受給権者であって、繰上の請求があつた日以後の被保険者期間を有するものが65歳に達したときは、65歳に達した日の属する月前における被保険者であつた期間を当該老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、65歳に達した日の属する月の翌月から、年金の額を改定する」
⇒繰上げ請求以後も被保険者期間がある場合は、65歳到達時に、自動的に被保険者期間を見直す。(65歳時改定
 特老厚がない者が繰上げた場合の年金額の推移
繰上げ請求時  繰上げ請求時に受給権が発生。
 年金額は繰上げ請求月の前月までの被保険者期間で計算した額(含む経過的加算)から、減額率(繰上げ1か月当たり0.5%)に応じて減額されたもの
65歳になるまで  退職したとしても退職時の改定はしない。 
⇒受給開始年齢(65歳)前であるから。 
65歳到達時  5項による65歳時改定を行なう。
・65歳前に退職していた場合は、繰上げ請求月から退職月前月までの被保険者期間分の年金額(含む経過的加算)が、65歳到達月翌月から増額される。
・65歳到達時に在職中のときは、繰上げ請求月から65歳到達月前月までの被保険者期間分の年金額(含む経過的加算)が65歳到達月翌月から増額される。
・つまり、繰上げ請求以後の被保険者期間に対する年金額は減額されずそのまま加算。
65歳より70歳になるまでの
 在職定時改定
・9月1日に被保険者である場合は、8月までの被保険者であった期間月数を、年金額計算の基礎とする被保険者期間に加えて、10月分から年金額が増額される。(毎年実施)
65歳より70歳になるまでに退職  退職して1か月経過したときに、退職改定を行う。
・65歳到達月から退職月前月までの被保険者期間分の年金額(含む経過的加算)が、退職月翌月から増額される。
70歳到達時  在職中のまま70歳に到達したときは、70歳時改定を行う。
・65歳到達月から70歳到達月前月までの被保険者期間分(既に行われた退職時改定分は除く)の年金額(含む経過的加算)が、70歳到達月翌月から増額される。

 加給年金(附則7条の3の6項概要)
 「繰上げ支給による老齢厚生年金の額について、44条(加給年金の要件)の規定を適用する場合は、44条1項中「受給権者がその権利を取得した当時」とあるのは「附則7条の3のの3項(繰上げ支給)の規定による老齢厚生年金の受給権者が65歳に達した当時」と、「43条の規定にかかわらず、同条に定める額に加給年金額を加算した額とする」とあるのは、「附則7条の3のの4項及び5項の規定にかかわらず、これらの規定に定める額に加給年金額を加算するものとし、65歳に達した日の属する月の翌月又は月数が240以上となるに至つた月から、年金の額を改定する」
⇒「繰上げ支給による老齢厚生年金の額は、繰上げ支給の規定による老齢厚生年金の受給権者が65歳に達した当時、生計を維持していたその者の配偶者又は一定の年齢の子があるとき、本来の年金額から「繰上減額率」を控除した額に加給年金額を加算した額とするものとし、65歳に達した日の属する月の翌月又はその後に月数が240以上となるに至つた月から、年金額を改定する」
 つまり、「加給年金」は繰上げ受給したときではなく、65歳以降、所定の要件を満たしている場合に加算となる。
 パターン6の場合のその他の重要事項
(1)基本手当との調整(附則7条の4)
⇒パターン6の繰上げ支給による老齢厚生年金の受給権者が65歳未満である限り、基本手当との調整による年金の全額支給停止が適用される。
(2)在職中の場合(附則7条の5) 
・パターン6の繰上げ支給老齢厚生年金の受給権者が在職中の場合、65歳前であっても65歳以降に支給される本来の老齢厚生年金を受給していることから、60歳台後半の在職老齢年金の仕組みが適用される。
・高年齢雇用継続基本給付金を受給しているときは、65歳未満であるので、上記に加えて、高年齢雇用継続基本給付金との調整による年金額の一部支給停止も適用される。 


























4.7 パターン7:坑内員・船員特例、長期加入者・障害者特例受給権者の繰上げ(昭和28年4月2日から36年4月1日生まれ(1号女子及び坑内員・船員は5年遅れ)(報酬比例部分については附則13条の4、定額部分については附則13条の5)
 「附則13条の5 坑内員・船員特例、長期加入者・障害者特例の適用を受けることできる者が支給開始年齢到達前に繰上げ請求 をしたとき(坑内員・船員以外にあっては、繰上げ請求したときに、被保険者ではなくかつ被保険者期間が44年以上あるいは障害状態にあるときに限る)は、繰上げ調整額を加算する」
 すなわち、対象者は
 @坑内員・船員(加入期間15年以上)
 A44年以上の長期加入者(被保険者でないこと)
 B3級以上の障害状態にある者(被保険者ないこと)
 であって、特例による特別支給の老齢厚生年金の定額部分と報酬比例分が61歳から64歳までの間に同時受給できる者が、その受給開始年齢前に繰り上げ請求する場合。
 定額部分と報酬比例分の同時支給開始年齢前に繰り上げ請求すると
 定額部分  繰上げ請求時から繰上調整額を受給。
 繰上調整額= 定額部分の年金額×C(支給開始年齢到達月から65歳到達月の前月までの月数)/A(繰上げ請求月から65歳到達月の前月までの月数)
 本来の老齢厚生年金(報酬比例部分+経過的加算額))  報酬比例比例部分については、 繰上げ請求時から減額された年金額を受給。
・報酬比例部分についての減額される額=報酬比例部分年金額×0.4%×B(繰上げ請求月から支給開始年齢到達月前月までの月数)
・経過的加算額についての減額される額=経過的加算額×C/A+B(繰上げ請求月から支給開始年齢到達月前月までの月数)×0.5%)
⇒経過的加算の減額部分は、Cの期間は定額部分から支給される(重複している)のでこの部分の減額と、定額部分とは重複していないBの期間についての繰上げによる減額からなる。

本来の経過的加算額×C(支給開始年齢到達月から65歳到達月前月までの月数)/A(繰上げ請求月から65歳到達月前月までの月数)+A(繰上げ請求月から65歳到達月前月までの月数)×0.5%)

 一部繰上げの老齢基礎年金  繰上げ請求時から、全体の老齢基礎年金を繰上調整額補填部分とその残りにわけ、繰上調整額補填部分について減額された年金額を受給。
 繰上げ調整額補填部分=老齢基礎年金額×B(繰上げ請求月から定額部分支給開始年齢到達月前月までの月数)/A(繰上げ請求月から65歳到達月の前月までの月数)
 減額される額=繰上げ調整額補填部分×0.5%×A(繰上げ請求月から65歳到達月の前月までの月数)
 受給額=繰上げ調整額補填部分ー減額される額
    =老齢基礎年金額×B/A×(1-0.5%×A)
減額率の元となる率  昭和37年4月2日から41年4月1日生れの女子の1号被保険者期間については、減額率の元となる率は0.4%である。
注:
 パターン5とよく似ているが、異なるのは定額部分があること。
・定額部分と老齢基礎年金については、パターン2(一部繰上げ)と同様である。
・経過的加算についても、定額部分があることから、経過的加算の全額が繰上げになるのではなく一部繰上げとなること。 
 メモ:実際には、経過的加算に関する減額は報酬比例部分年金額から減額され、経過的加算は満額支給という形をとる。

 (注)65歳からの受給額については、繰上げにより一部減額された老齢基礎年金額+減額されずにおいてあった(繰上げられなかった)残りの老齢基礎年金額(合計すると、老齢基礎年金×(1-05%×B)+繰上げにより減額された本来の老齢厚生年金額( 本来の老齢厚生年金額×(1−0.5%×B)+繰上げにより一部減額された経過的加算額+減額されずにおいてあった残りの経過的加算額(合計すると、経過的加算額×(1−0.5%×B)
メモ:実際には、経過的加算に関する減額は報酬比例部分年金額から減額され、経過的加算は満額支給という形をとる。
 パターン7の場合のその他の重要事項
(1)繰り上げ受給者の年金額の改定
・繰上げ請求後に被保険者期間がある場合は、パターン5と同様で、比例部分+定額部分の支給開始年齢に達したときに年金額(定額部分+報酬比例部分、いずれも減額対象とはならず)の改定がなされる。
・比例部分+定額部分の支給開始年齢に達した以降も被保険者期間がある場合は、パターン5と同様で、退職後1か月経過後に、新たな被保険者期間に相当する部分(定額部分+報酬比例部分、いずれも減額対象とはならず)が増額される。

(2)繰上げ調整額の支給停止
・障害者特例、長期加入者特例の受給権者が被保険者になったときは、繰上げ調整額は支給停止となる。
・障害者特例の受給権者が障害状態から軽減した場合は、その期間、繰上げ調整額は支給停止となる。

(3)加給年金
・加給年金額は繰上げ請求したときではなく、比例部分+定額部分の支給開始年齢に達した以降でかつ厚生年金被保険者期間が240月以上のときから(加給対象者がそのとき65歳以上であれば、加給年金ではなく振替加算となる)
・繰上げ調整額が支給停止されていることは、加給年金も支給停止となる。

(4)在職中の場合
・繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者が在職中の場合、65歳前であれば、60歳台前半の在職老齢年金の仕組みが適用される。
・高年齢雇用継続基本給付金を受給しているときは、65歳未満であるので、これとの調整による年金額の一部支給停止が適用される
・さらに、長期加入者・障害者特例受給権者の場合は、退職が前提となるので、65歳までの再就職した期間中は、定額部分に相当する繰上調整額は支給停止となる。

(5)基本手当との調整
⇒65歳未満である限り、基本手当との調整による年金の全額支給停止が適用される。








19
1B
 第三種被保険者期間を有していたことがない者で、1か月以上の厚生年金の被保険者期間を有する昭和38年4月1日生まれの男子が、60歳になった場合、その者が、老齢厚生年金の受給資格を満たし、かつ国民年金の任意加入被保険者でないときは、65歳に達する前に老齢厚生年金の支給繰上げの請求をすることができる。(応用)  

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正しい 誤り
22
2

 男子であって| D |に生まれた者(女子及び坑内員たる被保険者であった期間と船員たる被保険者であった期間を合算した期間が15年以上である者は5年遅れ)は、65歳に達する前に老齢厚生年金の支給繰上げの請求をすることができる。
 当該繰上げ支給の老齢厚生年金の請求をした受給権者であって、繰上げ支給の老齢厚生年金の請求があった日以後被保険者期間を有するものが| E |ときは、| E |日の属する月前における被保険者であった期間を当該老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、| E |日の属する月の翌月から、年金額を改定する。(応用)

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29
7C
 被保険者期間の月数を12月以上有する昭和31年4月2日生まれの男性が老齢厚生年金の支給繰上げの請求をした場合、その者に支給する老齢厚生年金の額の計算に用いる減額率は、請求日の属する月から62歳に達する日の属する月の前月までの月数に一定率を乗じて得た率である。なお、本問の男性は、第1号厚生年金被保険者期間のみを有し、かつ、坑内員たる被保険者であった期間及び船員たる被保険者であった期間を有しないものとする。(応用)

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4
5B
 昭和38年4月1日生まれの男性が老齢厚生年金の支給繰上げの請求を行い、60歳0か月から老齢厚生年金の受給を開始する場合、その者に支給する老齢厚生年金の額の計算に用いる減額率は24パーセントとなる。

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27
8A
 老齢厚生年金の支給繰上げの請求は、老齢基礎年金の支給繰上げの請求と同時に行わなければならない。(基礎)

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4
5A
 老齢厚生年金の支給繰上げの請求は、老齢基礎年金の支給繰上げの請求を行うことができる者にあっては、その請求を同時に行わなければならない。(27-8Aの類型)

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退













28
4E
 特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢が61歳である昭和29年4月2日生まれの男性が60歳に達した日の属する月の翌月からいわゆる全部繰上げの老齢厚生年金を受給し、かつ60歳から62歳まで継続して第1号厚生年金被保険者であった場合、その者が61歳に達したときは、61歳に達した日の属する月前における被保険者であった期間を当該老齢厚生年金の額の計算の基礎とし、61歳に達した日の属する月の翌月から年金額が改定される。

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19
3C
 老齢厚生年金の支給を繰上げて受給している者が、当該老齢厚生年金の受給権を取得した日以後65歳に達する日前に被保険者期間を有した場合には、その者が65歳に達した日の属する月から年金額の改定が行われる(発展)

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30
4オ
 繰上げ支給の老齢厚生年金を受給している者であって、当該繰上げの請求があった日以後の被保険者期間を有する者が65歳に達したときは、その者が65歳に達した日の属する月前における被保険者であった期間を当該老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、65歳に達した日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。(19-3Cの類型。?の問題)
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正しい 誤り
21
5A
 厚生年金保険法附則第7条の3に規定する繰上げ支給の老齢厚生年金の受給権者が65歳に達している厚生年金保険の被保険者である場合において、その被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1月を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月前までの被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとする。(19-3Cの類型)

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 繰上げに伴うデメリット 国民年金法の場合はこちらを
 障害厚生年金の特例(附則16条の3)
 「47条の2(事後重症による障害厚生年金)、47条の3(基準傷病による障害厚生年金)、52条4項(その他障害による併合改定)、52条の2の2項(その他障害による障害基礎年金との併合改定)、54条2項ただし書(その他障害による障害厚生年金の支給停止の解除)の規定は、当分の間、附則7条の3(老齢厚生年金の繰上げ)、附則13条の4(特別支給の老齢厚生年金の支給開始年令前の繰上げ)の規定による老齢厚生年金の受給権者又は国民年金法附則9条の2(全部繰上げ)若しくは9条の2の2(一部繰上げ)の規定による老齢基礎年金の受給権者については、適用しない」


3B
 傷病に係る初診日に厚生年金保険の被保険者であった者が、障害認定日において障害等級に該当する程度の障害の状態になかったが、その後64歳のときにその傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至った場合、その者が支給繰上げの老齢厚生年金の受給権者であるときは、障害厚生年金の支給を請求することはできない。

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