19年度 法改正トピックス(健康保険法に関する主要改正点)
 療養の給付関係   療養の給付療養の給付に要する費用
 入院時食事療養費入院時生活療養費保険外併用療養費訪問看護療養費の額
 一部負担、高額療養費  一部負担金一部負担金の額の特例自己負担額
 高額療養費算定基準額高額療養費の現物給付化
  多数回該当高額 療養費長期高額疾病(特定疾病)の高額療養費
 現金給付  傷病手当金出産育児一時金出産手当金埋葬料家族埋葬料
 資格喪失後の出産育児一時金
 保険医療機関、保険組合  保険医療機関・保険薬局の指定をしない場合地域型健康保険組合
 標準報酬月額  標準報酬月額等級上限の弾力的調整標準賞与額
 定時決定随時改定育児休業終了時の改定
 日雇特例被保険者  標準賃金日額入院時生活療養費
 傷病手当金出産育児一時金出産手当金埋葬料
 その他  特例退職被保険者の資格の喪失
 被保険者証に臓器提供意思表示欄
 健康保険組合  地域型健康保険組合
 注1:入院時生活療養の導入により、入院時食事療養費に関連して多くの条文が改正されたが、自動的に読み替え可能なものや重要度が低いと思われるものは省略してある。
 注2:特定療養費の廃止、特定承認保健医療機関の廃止と保険外併用療養費の新設に関連して多くの条文が改正されたが、自動的に読み替え可能なものや重要度が低いと思われるものは省略してある。
 注3:そのほかに多くの条文が改正されている。必要に応じて追加することがあります。
  改正後 改正ポイント








 療養の給付(63条2項)(H18.10.1施行)
 「次に掲げる療養に係る給付は、療養の給付に含まれないものとする。
1  食事療養:食事の提供である療養であって、入院時の療養と併せて行うもの(特定長期入院被保険者)に係るものを除く) 
注1:入院時の療養とは、病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
注2:特定長期入院被保険者とは「入院時の療養であって、当該療養を受ける際、65歳に達する日の属する月の翌月以後である被保険者」
2  生活療養:次に掲げる療養であって、入院時の療養と併せて行うものもの(特定長期入院被保険者に係るものに限る)
 食事の提供である療養
 温度、照明及び給水に関する適切な療養環境の形成である療養
3  評価療養:厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、療養の給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養として厚生労働大臣が定めるもの
4  選定療養:被保険者の選定に係る特別の病室の提供その他の厚生労働大臣が定める療養

改正前
 「2項 食事療養と選定療養に係る給付は、療養の給付に含まれないものとする」

1.食事療養:入院時食事療養費の支給対象(従来から)
2.生活療養:入院時生活療養費の支給対象(新設)
3.評価療養:従来は特定療養費の支給対象であったが、保険外併用療養費の支給対象(新設)に移行
4.選定療養:従来は特定療養費の支給対象であったが、保険外併用療養費の支給対象(新設)に移行。

 療養の給付に要する費用(76条5項)(H19.4.1施行)
 「保険者は、前項の規定による審査及び支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会に委託することができる」

 いわゆるレセプトの審査・支払に関する事務の委託先として、国民健康保険団体連合会が追加された。

入院時
食事療養費

入院時生活
療養費

 入院時食事療養費(85条) (H18.10.1施行)
 「被保険者(特定長期入院被保険者を除く)が、厚生労働省令で定めるところにより、保険医療機関等のうち自己の選定するものから入院時の療養 の給付と併せて受けた食事療養に要した費用について、入院時食事療養費を支給する」
 「同2項 入院時食事療養費の額は、当該食事療養につき食事療養に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額)から、平均的な家計における食費の状況を勘案して厚生労働大臣が定める額(ただし所得の状況その他の事情をしん酌して厚生労働省令で定める者については、別に定める額 。これらを食事療養標準負担額という)を控除した額とする」

  標準負担額から、
  食事療養標準負担額に変更。

 ⇒ 被保険者が負担するのは、食事療養標準負担額

 入院時生活療養費(85条の2) (H18.10.1 新設)
 「特定長期入院被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、保険医療機関等のうち自己の選定するものから入院時の療養の給付と併せて受けた生活療養に要した費用について、入院時生活療養費を支給する」
 「2項 入院時生活療養費の額は、当該生活療養につき生活療養に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該生活療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に生活療養に要した費用の額)から、平均的な家計における食費及び光熱水費の状況並びに病院及び診療所における生活療養に要する費用について介護保険法に規定する食費の基準費用額及び居住費の基準費用額に相当する費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める額(ただし、所得の状況、病状の程度、治療の内容その他の事情をしん酌して厚生労働省令で定める者については、別に定める額。これらを生活療養標準負担額という)を控除した額とする」

⇒ 被保険者が負担するのは、生活療養標準負担額(食事費+居住費)

背景 介護保険とのバランスを考慮して、保険医療機関に入院する65歳以上の者については、食費のほかに、エアコンや照明など光熱水道料などを考慮し た居住費(1日につき320円)も本人負担させることにした。















 保険外併用療養費(86条) (H18.10.1 新設)
 「被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、保険医療機関等のうち自己の選定するものから、評価療養又は選定療養を受けたときは、その療養に要した費用について、保険外併用療養費を支給する」
 「2項 保険外併用療養費の額は、1号に掲げる額(当該療養に食事療養が含まれるときは当該額及び2号に掲げる額の合算額、当該療養に生活療養が含まれるときは当該額及び3号に掲げる額の合算額)とする」
療養 @療養(食事療養及び生活療養を除く)につき療養の給付に要する費用の額に関する定めを勘案して、
 厚生労働大臣が定めるところにより算定した費用の額(その額が現に当該療養に要した費用の額を超えるときは、現に要した費用の額)から、
 その額に一部負担金の額の区分において定める割合を乗じて得た額(特例の措置による場合はその額)を控除した額
食事療養 A食事療養につき、
 入院時生活療養費の給付に要する費用の額に関する厚生労働大臣の定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、現に食要した費用の額)から
 食事療養標準負担額を控除した額
生活療養 B生活療養につき、
 入院時生活療養費の給付に要する費用の額に関する厚生労働大臣の定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該生活療養に要した費用の額を超えるときは、現に要した費用の額)から
 生活療養標準負担額を控除した額

 評価療養の例 
1  先進医療
2  医薬品の治験に係る診療
3  医療機器の治験に係る診療
4  薬価基準収載前の承認医薬品の投与
5  保険適用前の承認医療機器の使用
6  薬価基準に収載されている医薬品の適応外使用
改正前 特定療養費
「被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、特定承認保険医療機関のうち自己の選定するものから受けた療養、又は保険医療機関等のうち自己の選定するものから受けた選定療養 その療養に要した費用について、特定療養費を支給する」
狙い 健康保険では、保険が適用されない保険外診療があると、原則として、保険が適用される診療も含めて、医療費の全額が自己負担となる。
 ただし、厚生労働大臣の定める「評価療養」と「選定医療」に限っては、保険診療との併用が認められている。
 すなわち、通常の治療と共通する部分の費用は、保険診療と同様に扱われ、その部分については一部負担金のみを支払うこと で済む。(残りの部分は保険外併用療養費として現物給付がなされる)
 ただし、残りの保険外診療とされる部分については、全額本人負担となる。
 被扶養者についても同様である。
旧特定療養費との違い

 高度先進医療部分に加えて、 保険給付の対象とすべきものであるか否かについて評価を行うことが必要なものを、評価療養として加えた。
 なお、選定療養については、従来と同じと考えてよい。
自己が負担する額

@療養のみ
 ⇒ 評価価療養・選定療養(保険外部分)全額+保険部分の一部負担金相当額
A療養+食事療養の場合
 ⇒ @+食事療養標準負担額
B療養+生活療養の場合
 ⇒ @+生活療養標準負担額
訪問看護療養費  訪問看護療養費の額(88条4項) (H18.10.1 施行)
 「訪問看護療養費の額は、当該指定訪問看護につき指定訪問看護に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定めるところにより算定した費用の額から、その額に一部負担金の割合を乗じて得た額(一部負担金の特例措置(減額、免除、猶予の措置)が採られるべきときは、当該措置が採られたものとした場合の額)を控除した額とする」

 一部負担金特例措置の導入









  高額療養費算定基準額 ((H18.10.1 施行)
 被保険者または被扶養者が70歳以上の場合
 所得区分  70歳以上各自外来療養合算額について  入院を含む70歳以上世帯全員合算額について
一定所得者(一部負担金が3割の)  44、400円  80,100円+(医療費合算額‐267,000円)×0.01
 一般  12,000円  44、400円
  市町村民税非課税者   8,000円  24,600円
 基準所得が0円の者   8,000円  15,000円
 医療費合算額とは医療費全体の額のことで、一部負担金等の額に保険給付額を加えた額 
 被保険者まはた被扶養者が70歳未満の場合
 所得区分   世帯全員の合算額について  
上位所得者(標準報酬月額53万円以上)  150,000円+(医療費合算額‐500,000円)×0.01
 一般   80,100円+(医療費合算額‐267,000円)×0.01
 市町村民税非課税者    35,400円

 高額療養費の現物給付化(H19.4.1施行)
 高額療養費は1か月単位での請求、後払い方式が原則である。
 70歳以上の被保険者に対する入院時の高額療養費に限っては、現物給付化されていたが、このたびの法改正で、70歳未満の者についても現物給付化されることにな った。
 すなわち、70歳未満の者が入院するに当たっては、予め全国健康保険協会又は健康保険組合に申請して 認定を受け、「限度額適用認定書」(又は所得区分の応じた「限度額適用・標準負担額減額認定証」) の交付を受け、これを医療機関に提示する。
 これにより、高額療養費支給分を控除した自己負担限度額だけを窓口で支払えばよいことになった。
 多数回該当の場合の高額医療費算定基準額(H18.10.1施行)
 「当該療養のあった月以前の12月以内に既に高額療養費が支給されている月数が3月以上ある場合を高額療養費多数回該当の場合という。 この場合の高額療養費算定基準額は次による」
 所得区分 多数回該当
 上位所得者(標準報酬月額53万円以上) 83,400円
 一般 44,400円
 市町村民税非課税者等 24,600円

 長期高額疾病(特定疾病)の高額療養費算定額(施行令42条6項)(H18.10.1施行)
 「高額療養費算定基準額は、次の各号の額とする」
1  2号に掲げる者以外の者: 1万円
2  標準報酬月額が53万円以上の70歳未満被保険者又はその70歳未満被扶養者で、人工腎臓を実施している慢性腎不全(人工透析)の療養を受けた者 : 2万円
改正前(改正後も同じは除く)
   外来  入院を含む
一定所得者(標準報酬月額28万円以上)  40,200円  72,300円+(医療費合算額‐361,500円)×0.01
 一般  12,000円  40,200円
 

 
 所得区分  世帯全員の合算額につい 
上位所得者(標準報酬月額56万円以上)  139,800円+(医療費合算額‐466,000円)×0.01
 一般   72,300円+(医療費合算額‐241,000円)×0.01

 


改正前(改正後も同じは除く)
 所得区分 多数回該当
上位所得者(標準報酬月額56万円以上) 77,700円
 一般 40,200円

長期高額疾病(特定疾病)の高額療養費算定額は一律1万円であった。










 保険医療機関・保険薬局の指定をしない場合(65条3項)
 「厚生労働大臣は、保険医療機関・保険薬局の指定の申請があった場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、保険医療機関、保険薬局の指定をしないことができる」
1  保険医療機関若しくは保険薬局に係る指定を取り消され、その取消しの日から5年を経過しないものであるとき
2  保険給付に関し診療又は調剤の内容の適切さを欠くおそれがあるとして重ねて、厚生労働大臣の指導を受けたものであるとき
3  開設者又は管理者が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
4  開設者又は管理者が、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。
5  保険医療機関又は保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき。
 保険医療機関・保険薬局の指定をしない場合として、 左記の3号、4号が追加された。
 71条2項 「保険医、保険薬剤師の登録をしない場合」の規定に、左記の3号、4号が追加された。
 80条 「保険医療機関又は保険薬局の指定の取消し」の規定に、左記の3号、4号 ならびに、次の号が追加された。
 「保険医又は保険薬剤師が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるもの又はこれらの法律に基づく命令若しくは処分に違反したとき」
 81条 「保険医又は保険薬剤師の登録の取消し」の規定に、左記の3号、4号ならびに、次の号が追加された。
 「保険医又は保険薬剤師が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるもの又はこれらの法律に基づく命令若しくは処分に違反したとき」








 一部負担金(74条)(H18.10.1施行)
 「保険医療機関又は保険薬局から療養の給付を受ける者は、その給付を受ける際、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該給付につき療養の給付に関する費用の規定により算定した額に当該各号に定める割合を乗じて得た額を、一部負担金として、当該保険医療機関又は保険薬局に支払わなければならない」 
1  70歳に達する日の属する月以前の場合  100分の30
2  70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合(次号に掲げる場合を除く)  100分の10
3  70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合であって、報酬の額が政令で定める額(28万円)以上であるとき(年収入額が520万円、70歳以上の被扶養者がないときは383万円未満の者は除く)  100分の30

 3号の条件の詳細については、施行令34条(H18.10.1施行)により、
  「標準報酬月額が28万円以上であること。ただし、被保険者及びその被扶養者(70歳に達する日の属する月の翌月以後である者又は老人保健法の規定による医療を受けることができる者に限る)について収入の額が520万円(被扶養者がいない者にあっては、383万円)に満たない者については、適用しない」
 一部負担金の額の特例(75条の2)(新設、H18.10.1施行)
 「保険者は、災害その他の厚生労働省令で定める特別の事情がある被保険者であって、保険医療機関又は保険薬局に第74条第1項の規定による一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対し、次の措置を採ることができる。
 @ 一部負担金を減額すること。
 A  一部負担金の支払を免除すること。
 B 保険医療機関又は保険薬局に対する支払に代えて、一部負担金を直接に徴収することとし、その徴収を猶予すること。
 「2項 前項の措置を受けた被保険者は、
 1号の措置を受けた被保険者にあってはその減額された一部負担金を保険医療機関又は保険薬局に支払うをもって足り、
 2号又は3号の措置を受けた被保険者にあっては、一部負担金を保険医療機関又は保険薬局に支払うことを要しない」
改正前
3  70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合であって、報酬の額が政令で定める額(28万円)以上であるとき(年収入額が621万円、70歳以上の被扶養者がないときは484万円未満の者は除く)  100分の20
⇒ 70歳以上であっても、現役並みの所得を有する者については、2割負担から3割負担とした。










 
一部負担金の額の特例
⇒ 災害とか厚生労働省令で定める特別の事情がある被保険者については、一部負担金の減額や支払の免除・猶予することができるようにした。

背景:国民健康保険法には同一趣旨のものが従来から規定されていたので、現役並み 所得を有する70歳以上の者の一部負担金の3割化にともなって、国民健康保険とのバランスを考慮して、特例を設けた。








 自己負担額(110条2項)(18.10.1施行)
 被扶養者については、一部負担金という名称はなく、家族療養費の支給割合が規定されている。この規定に基づいて残りの自己負担額の割合を表でしめすと、次のようになる。
   対象は療養(食事療養及び生活療養を除く)に要した費用の算定額
1  原則(3歳以上で70歳未満)  100分の30
2  被扶養者が3歳に達する日の属する月以前である場合   100分の20
3   被扶養者が70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合(次号に掲げる場合を除く)  100分の10
4   被扶養者が70歳に達する日の属する月の翌月以後であって、その被保険者が70歳以上(又は老人保健法の規定による医療を受けることができる者)かつ、 標準報酬月額が28万円以上である場合(年収入額が520万円未満の者は除く)  100分の30
改正前
   対象は療養(食事療養を除く)に要した費用の算定額
4  被扶養者が70歳に達する日の属する月の翌月以後であって、 その被保険者が70歳以上でかつ報酬の額が28万円以上(年収入額が621万円未満のものは除く)  100分の20
 家族療養費の額の特例(110条の2) (新設 18.10.1施行)
 「保険者は、75条の2に規定する被保険者の被扶養者に係る家族療養費の支給について、前条2項1号の1から4までに定める割合を、それぞれの割合を超え100分の100以下の範囲内において保険者が定めた割合とする措置を採ることができる」
 自己負担額の原則3割化に伴い、一部負担金の額の特例措置適用者の被扶養者に対しても、減免措置を講じることにした。






















 標準報酬月額(40条)(H19.4.1施行)
 「標準報酬月額は、被保険者の報酬月額に基づき、47等級区分(次項の規定により等級区分の改定が行われたときは、改定後の等級区分)によって定める」
⇒ 39等級から47等級へ
 等級上限の弾力的調整(40条2項)(H19.4.1施行)
「毎年3月31日における標準報酬月額等級の最高等級に該当する被保険者数の被保険者総数に占める割合が100分の1.5を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の9月1日から、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる。
 ただし、その年の3月31日において、改定後の標準報酬月額等級の最高等級に該当する被保険者数の同日における被保険者総数に占める割合が100分の1を下回ってはならない」
⇒ 100分の3から100分の1.5へ
等級 標準報酬月額 報酬月額
1   58,000      〜63,000
2   68,000   63,000〜 
   73,000
3   78,000  73,000〜 
   83,000
4   88,000   83,000〜 
   93,000
5
旧1
  98,000   93,000〜 
   101,000
6
旧2
 104,000  101,000〜 
   107,000
     
43
旧39
 980,000  955,000〜 
  1,005,000
44 1,030,000 1,005,000〜 
  1,055,000
45 1,090,000 1,055,000〜 
  1,115,000
46 1,150,000 1,115,000〜 
  1,175,000
47 1,210,000 1,175,000〜 
 
 標準賞与額(45条)(H19.4.1施行)
 「保険者は、被保険者が賞与を受けた月において、その月に当該被保険者が受けた賞与額に基づき、これに千円未満の端数を生じたときは、これを切り捨てて、その月における標準賞与額を決定する。
 ただし、その月に当該被保険者が受けた賞与によりその年度(毎年4月1日から翌年3月31日までをいう)における標準賞与額の累計が540万円を超えることとなる場合には、当該累計額が540万円となるようその月の標準賞与額を決定し、その年度においてその月の翌月以降に受ける賞与の標準賞与額は零とする」
 従来は、支給毎の金額(同じ月に複数回支給されたときは、1月の合計値)が200万円を超えるときは、200万に。
 ⇒ 支給毎の金額(同じ月に複数回支給されたときは、1月の合計値)には上限額はなく、年度合計が540万を超えるときは、年度合計値が540万 頭打ちに。

準報酬月額の
決定
1.定時決定(41条)(H18.7.1施行)
 「保険者は、被保険者が毎年7月1日現に使用される事業所において同日前3月間(その事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が17日未満である月があるときは、その月を除く)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する」
 報酬支払基礎日数20日以上が17日以上に。  
 厚生年金保険法も同様。  

 背景
@「通常の就労者の所定労働時間及び所定労働日数のおおむね4分の3以上である就労者については、原則として健康保険及び厚生年金保険の被保険者として取り扱うべきものであること」(S55.6.6各都道府県保険課長あて内かん)
A週休2日制が普及してきたこと
ことから、Tomeさんが推測すると、通常の労働者の1週平均労働日は5.2日、1月あたりは22.3日。この4分の3とすると16.7日。
 

 注意 完全月給制の者の賃金支払基礎日数は1月の暦日数である。あくまでも欠勤控除付き月給制、日給制、時間給制等の者に対して適用される。

2.随時改定(43条)(H18.7.1施行)
 「保険者は、被保険者が現に使用される事業所において継続した3月間(各月とも、報酬支払の基礎となった日数が、17日以上でなければならない)に受けた報酬の総額を3で除して得た額が、その者の標準報酬月額の基礎となった報酬月額に比べて、著しく高低を生じた場合において、必要があると認めるときは、その額を標準報酬月額として、その著しく高低を生じた月の翌月から、標準報酬月額を改定することができる」
 
3.育児休業終了時の改定(43条の2) (H18.7.1施行)
 「保険者は、育児・介護休業法に規定する育児休業、育児休業の制度に準ずる措置による休業又は政令で定める法令に基づく育児休業(以下「育児休業等」)を終了した被保険者が、
 @ 終了した日において育児休業に係る3歳に満たない子を養育する場合において、
 A 事業主を経由して、保険者に申出をしたときは、定時決定の規定にかかわらず
 B 終了日の翌日が属する月以後3月間(終了日の翌日以降、継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払基礎日数17日未満である月を除く)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として
 C 標準報酬月額を改定する」






 傷病手当 金(99条)(H19.4.1施行)
 「被保険者(任意継続被保険者を除く)が療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金として、1日につき、標準報酬日額(標準報酬月額の30分の1に相当する額で、5円未満は切り捨て、5円以上10円未満は10円に切り上げ)の3分の2に相当する金額(50銭未満は切り捨て、50銭以上1円未満は1円に切り上げ)を支給する」
 任意継続被保険者に対する傷病手当金(出産手当金も同じ)に係る経過措置
 「平成19年3月31日において傷病手当金の支給を受けていた任意継続被保険者には、引き続き傷病手当金が支給される」
@一般被保険者時代から受給し、その後も任意継続被保険者として受給していた者
⇒ 任意継続被保険者の標準報酬日額の3分の2を継続支給
A任意継続被保険者時代に受給し始めた者
⇒ 任意継続被保険者の標準報酬日額の6割を継続支給
改正前
 「被保険者が療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金として、一日につき、標準報酬日額(端数処理等は同じ)の100分の60に相当する金額を支給する」
任意継続被保険者が新たに傷病手当金を受けることはできなくなった
⇒金額は、6割から3分の2に
 
(賞与に対する保険料の一部を給付に反映させるため)

 

 出産育児一時金(101条)(H18.10.1施行)
 「被保険者が出産したときは、出産育児一時金として、政令で定める金額(35万円)を支給する」
 家族出産育児一時金手当金(114条)(H18.10.1施行)
 「被保険者の被扶養者が出産したときは、家族出産育児一時金として、被保険者に対し、政令で定める金額(35万円)を支給する」
出産育児一時金
家族出産育児一時金
 30万円から35万円に。


 

 出産手当金(102条)(H19.4.1施行)
 「被保険者(任意継続被保険者を除く)が出産したときは、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前42日(多胎妊娠の場合においては、98日)から出産の日後56日までの間において労務に服さなかった期間、出産手当金として、1日につき、標準報酬日額の3分の2に相当する金額(50銭未満の端数は切り捨て、50銭以上1円未満の端数は1円に切り上げ)を支給する」
 任意継続被保険者に対する経過措置は傷病手当金と同様。
改正前
 「被保険者が出産したときは、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前42日(多胎妊娠の場合においては、98日)から出産の日後56日までの間において労務に服さなかった期間、出産手当金として、1日につき、標準報酬日額の100分の60に相当する金額を支給する」
 任意継続被保険者が新たに出産手当金を受けることはできなくなった。
⇒ 金額は、6割から3分の2に
 
(賞与に対する保険料の一部を給付に反映させるため)
 埋葬料(100条)
 「被保険者が死亡したときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として、政令で定める金額(5万円)を支給する」
 家族埋葬料(113条)
 「被保険者の被扶養者が死亡したときは、家族埋葬料として、被保険者に対し、100条で定める金額(5万円)を支給する」
埋葬料は
 標準報酬月額(最低保障10万円付き)から、定額5万円に。

埋葬費は5万円を限度とする実費に。

家族埋葬料は10万円から5万円

資格喪失後
給付
 資格喪失後の出産育児一時金(106条) (19.4.1施行)
 「被保険者の資格を喪失した日(任意継続被保険者の資格を喪失した者にあっては、その資格を取得した日)の前日まで、引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く)であった者が、被保険者の資格を喪失した日後6月以内に出産したときは、被保険者として受けることができるはずであった出産育児一時金の支給を最後の保険者から受けることができる」
 資格喪失後6か月以内に出産の場合の出産手当金の廃止にかかる経過措置
 「平成19年3月31日において、資格喪失日(任意継続被保険者の場合は元の被保険者の資格喪失日)の前日までに被保険者期間が継続して1年以上あり、改正前の資格喪失後出産手当金を受けているもの、あるいは受けることができる者には、資格喪失時の標準報酬日額の6割を継続支給される」
 ⇒平成19年5月11日(多胎の場合は7月6日)までに出産しかつそれが資格喪失後6か月以内であれば、平成19年3月31日は産前の休業期間にかろうじて該当するので、出産手当金を受け取ることができる。
 改正前
 「被保険者の資格を喪失した日(任意継続被保険者の資格を喪失した者にあっては、その資格を取得した日)の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く)であった者が被保険者の資格を喪失した日後6月以内に出産したときは、出産につき被保険者として受けることができるはずであった保険給付を最後の保険者から受けることができる」
 ⇒「保険給付」から「出産育児一時金」に
 ⇒ 
つまり、出産手当金は支給されないことになった。
日雇特例被保険者への給付  標準賃金日額(124条)(H19.4.1)
標準賃金日額等級
標準賃金日額 
     賃金日額      
第1級
3,000円
3,500円未満            
第2級
4,400円
3,500円以上  5,000円未満
第3級
5,750円
5,000円以上  6,500円未満
第4級
7,250円
6,500円以上  8,000円未満
第5級
8,750円
8,000円以上  9,500円未満
第6級
10,750円
9,500円以上  12,000円未満
第7級
13,250円
12,000円以上  14,500円未満
第8級
15,750円
14,500円以上  17,000円未満
第9級
18,250円
17,000円以上  19,500円未満
第10級
21,250円
19,500円以上  23,000円未満
第11級
24,750円
23,000円以上            
 13区分から11区分
 (旧1級と2級を廃止し、3級と合わせて新1級に)
 入院時生活療養費(130条の2) 法改正(H18.10.1新設)
 「 特定長期入院日雇特例被保険者が保険医療機関等のうち自己の選定するものに受給資格者票を提出して、そのものから療養の給付と併せて受けた生活療養に要した費用について、入院時生活療養費を支給する」
 
⇒ 従来の入院時食事療養費が、
 @特定長期入院日雇特例被保険者以外の者に対する「入院時食事療養費」と
 A特定長期入院日雇特例被保険者に対する「入院時生活療養費」とに分かれた。
 傷病手当金(135条2項)(H19.4.1施行)
 「傷病手当金の額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、1日につき、当該各号に定める金額とする。
 ただし、次の各号のいずれにも該当するときは、いずれか高い金額とする」 
1  初めて療養の給付を受けた日の属する月の2月間に通算して26日分以上の保険料が納付されている場合 ⇒ その2月間において、保険料が納付された日の標準賃金日額の各月ごとの合算額のうち最大のもの45分の1に相当する金額
2  初めて当該療養の給付を受けた日の属する月の前6月間に通算して78日分以上の保険料が納付されている場合 ⇒ その6月間において、保険料が納付された日の標準賃金日額の各月ごとの合算額のうち最大のものの45分の1に相当する金額
 傷病手当金の額は
 50分の1から45分の1になった。(月合算値÷30×2/3=1/45)
 出産育児一時金(137条) (H18.10.1施行)
 「日雇特例被保険者が出産した場合において、その出産の日の属する月の前4月間に通算して26日分以上の保険料がその者について納付されているときは、出産育児一時金として、政令で定める金額(35万円)を支給する」
 出産手当金(138条2項) (H19.4.1施行)
 「出産手当金の額は、1日につき、出産の日の属する月の前4月間の保険料が納付された日に係る当該日雇特例被保険者の標準賃金日額の各月ごとの合算額のうち最大のものの45分の1に相当する金額とする」  
 出産育児一時金は
 30万円から35万円になった。

 出産手当金の額は
 50分の1から45分の1になった。(月合算値÷30×2/3=1/45)

 埋葬料(136条) (H18.10.1施行)
 「日雇特例被保険者が死亡した場合において、
 @その死亡の日の属する月の前2月間に通算して26日分以上若しくは当該月の前6月間に通算して78日分以上の保険料がその者について納付されているとき 、
 Aその死亡の際その者が療養の給付若しくは保険外併用療養費、療養費若しくは訪問看護療養費の支給を受けていたとき、又は
 Bその死亡が療養の給付、保険外併用療養費の支給若しくは訪問看護療養費の支給を受けなくなった日後3月以内であったときは、
 その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、政令で定める金額5万円の埋葬料を支給する」
 @保険料納付要件を満足する者が死亡
 ⇒ 標準賃金日額合算値から5万円に
 A療養の給付等を受けている途中で死亡
 ⇒ 10万円から5万円に
 B療養の給付等を受けなくなってから3月以内に死亡
 ⇒ 10万円から5万円に 
その他  特例退職被保険者の資格の喪失(附則3条6項) H18.10.1施行
 「特例退職被保険者は、この法律の規定(任意継続被保険者の資格喪失38条のうち、2号、4号及び5号を除く)の適用については、任意継続被保険者とみなす。この場合において、38条1号の「任意継続被保険者となった日から起算して2年を経過したときはその日の翌日に喪失する」とあるのは、「老人保健法の規定による医療を受けることができるに至ったとき、又は国民健康保険法に規定する退職被保険者であるべき者に該当しなくなったときは、その翌日に喪失する」と、同条3号の「保険者」とあるのは、「特定健康保険組合」とする」
 法改正により、資格喪失の要件として、38条の3号が適用されることになった。この結果、
 従来は、保険料を納期限(当月10日)までに納付しなかったときでも資格喪失しなかったが、
⇒ H18.10.1からは、任意継続被保険者と同じく、納期限までに納付しなかった場合は、翌日に喪失することとなった。
 臓器提供意思表示
 平成19年4月より、全国健康保険協会健康保険被保険者証の裏面に臓器提供意思表示欄を設けることになった。
 (1)脳死判定後提供、心臓停止後提供、提供せずの意思表示と、提供する場合の臓器・組織の内容を自由意志で記入し、年月日を添えて署名する。
 (2)臓器提供に関する意思表示を変更する場合は、「健康保険被保険者証滅失・き損再交付申請書」により、被保険者証の再交付を受けて行なう。