27年度 法改正トピックス(国民年金法に関する主要改正点
  改正後 改正ポイント









 被扶養配偶者でなくなったことの届出(12条の2) (H26.12.01新規)
 「第3号被保険者であつた者は、第2号被保険者の被扶養配偶者でなくなつたことについて、厚生労働省令の定めるところにより、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない」
 「同2項 前条6項から第9項までの規定は、前項の届出について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める」
 被扶養配偶者でなくなつたことの省令の定めるところによる届出(被扶養配偶者非該当届)(施行規則6条の2の2)
 「法12条の2の規定による届出(3号被保険者の配偶者である2号被保険者が2号被保険者でなくなつたこと又は3号被保険者が法8条4号(被用者年金各法の被保険者、組合員又は加入者の資格を取得したとき)若しくは9条1号(死亡したとき)に該当するに至つたことによる届出を除く)は、当該事実があつた日から14日以内に、次の各号に掲げる事項(氏名、基礎年金番号、被扶養配偶者でなくなつた年月日及びその理など)を記載した届書又はこれらの事項を記録した光ディスクに、国民年金手帳その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類を添えて、これを機構に提出することによつて行わなければならない」
 2号被保険者の被扶養者には該当しなくなった、すなわち3号被保険者でなくなった者は、新たに2号被保険者にならない限り、1号被保険者となるはずであるが、自らが市区町村に出向いて1号被保険者への種別変更届を提出することを怠る者が多かった。
 そこで、以下の場合は、事業主経由で被扶養配偶者非該当届を提出することに。
 @3号被保険者の収入が基準額以上に増加し、扶養から外れたとき
 A離婚したとき
 ただし、全国健康保険協会管掌の健康保険の適用事業所に使用される2号被保険者は「被扶養者異動届」により配偶者が被扶養者からはずれたことを事業主経由で機構に届出るので不要。
 基礎知識と過去問学習はこちらを
 3号被保険者の資格取得届(施行規則1条の2の3項)(H26.10.01)
 「3号被保険者の資格の取得の届出を行う者にあつては、届書又は光ディスクに、次の各号に掲げる書類を添えなければならない」
・配偶者の基礎年金番号を明らかにすることができる書類、 ・主として配偶者の収入により生計を維持していることを明らかにすることができる書類、
・ローマ字により氏名を表記した書類(日本国籍を有しない者である場合に限る)
 3号被保険者の資格取得届において、被扶養配偶者が外国人であるときは、「ローマ字氏名届」が必要( 
 基礎知識と過去問学習はこちらを 








 訂正の請求(14条の2) (H27.03.01新規)
 「被保険者又は被保険者であつた者は、国民年金原簿に記録された自己に係る特定国民年金原簿記録(被保険者の資格の取得及び喪失、種別の変更、保険料の納付状況その他厚生労働省令で定める事項の内容をいう)が事実でない、又は国民年金原簿に自己に係る特定国民年金原簿記録が記録されていないと思料するときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に対し、国民年金原簿の訂正の請求をすることができる」
 「同2項 前項の規定は、被保険者又は被保険者であつた者が死亡した場合において、次の表の上欄に掲げる者について準用する。この場合において、同項中「自己」とあるのは、同表の上欄に掲げる者の区分に応じ、同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする」
 未支給の年金の支給を請求することができる者  死亡した年金給付の受給権者
 遺族基礎年金を受けることができる配偶者又は子  死亡した被保険者又は被保険者であつた者
 寡婦年金を受けることができる妻  死亡した夫
 死亡一時金を受けることができる遺族  死亡した被保険者又は被保険者であつた者

 訂正に関する方針(14条の3) (H27.03.01新規)
 「厚生労働大臣は、前条1項(同条2項において準用する場合を含む)の規定による請求(訂正請求)に係る国民年金原簿の訂正に関する方針を定めなければならない」
 「同2項 厚生労働大臣は、前項の方針を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、社会保障審議会に諮問しなければならない」
 訂正請求に対する措置(14条の4)(H27.03.01新規)
 「厚生労働大臣は、訂正請求に理由があると認めるときは、当該訂正請求に係る国民年金原簿の訂正をする旨を決定しなければならない」
 「同2項 厚生労働大臣は、前項の規定による決定をする場合を除き、訂正請求に係る国民年金原簿の訂正をしない旨を決定しなければならない」
 「同3項 厚生労働大臣は、前2項の規定による決定をしようとするときは、あらかじめ、社会保障審議会に諮問しなければならない」
 H19年に年金記録問題が明らかになった後、当時の社会保険庁、社会保険事務所において、過去の年金記録問題の処理がなされ、今日までに至ってきた。
 そこでは主として、基礎年金番号とは異なる年金記録を基礎年金番号に統合することによって、いわゆる浮いていた年金記録を年金の受給に結びつけるという、過去の記録の事実関係に基づく作業が行われてきた。
 また、同年6月には、総務省において「年金記録確認第三者委員会」が臨時的に設置され、「社会通念に照らして、明らかに不合理でなく、一応確からしい」という基準に基づき、記録の訂正を総務大臣が厚生労働大臣にあっせんするという形で記録訂正が行われてきた。
 これらを受けて、今回の改正では、日常的に起きる可能性がある記録誤りを含め、記録訂正全般を処理する恒久的な制度を設けることになった。
 具体的には、被保険者あるいは過去において被保険者であった者が記録の訂正を請求する権利を認め、一定のルールに基づいて、その妥当性を調査・認定することになった。  
 基礎知識と過去問学習はこちらを
 不服の申立て(101条) (H27.03.01施行)
 「被保険者の資格に関する処分、給付に関する処分(共済組合等が行った障害基礎年金に係る障害の程度の診査に関する処分を除く)又は保険料その他この法律の規定による徴収金に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。
 ただし、14条の4(訂正請求に対する措置)の1項又は2項の規定による決定については、この限りではない」
 不服の申立て(101条)
 国民年金原簿記録の訂正請求に対する処分については、社会保障審議会(実際には地方厚生局におかれる地方年金記録訂正審議会への諮問を経て行われるので、その処分に不服がある場合は社会保険審査官に対する審査請求ではなく、行政不服審査法に基づいて厚生労働大臣に審査請求する。
 基礎知識と過去問学習はこちらを
 地方厚生局長等への権限の委任(109条の9) (H2703.01施行)
 「この法律に規定する厚生労働大臣の権限(109条の5の1項及び2項(財務大臣への委任)並びに10章(国民年金基金及び国民年金基金連合会)に規定する厚生労働大臣の権限を除く)は、厚生労働省令(14条の4(訂正請求に対する措置)に規定する厚生労働大臣の権限にあっては、政令)で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる」
 「同3項(H2703.01新規) 1項の規定によりり(14条の4(訂正請求に対する措置)に規定する厚生労働大臣の権限が地方厚生局長に委任された場合(前項により地方厚生支局長に委任された場合を含む)には、同条3項中「社会保障審議会」とあるのは、「地方厚生局に置かれる政令で定める審議会(地方年金記録訂正審議会)」とする」
 地方厚生局長等への権限の委任(109条の9)
 訂正請求に対する措置に関する権限は地方厚生局長に委任され、細部は政令で定められている。
基礎知識と過去問学習はこちらを
基礎年金額  老齢基礎年金(年金額)(27条) 法改正 (H27.04.01)
 「老齢基礎年金の額は、780,900円に改定率を乗じて得た額とする。ただし、保険料納付済期間の月数が480に満たない者に支給する場合は、780,900円×改定率に、次の各号に掲げる月数を合算した月数(480を限度とする)を480で除して得た数を乗じて得た額とする」
・27年度改定率は0.999、よって本則上の満額の老齢基礎年金額は780,100円 
・物価スライド特例水準を上回ったので、これが実際の年金額
・2級の障害基礎年金、遺族基礎年金も同じ。
  基礎知識と過去問学習はこちらを








 資料の提供(108条) (H27.03.01)
 「厚生労働大臣は、被保険者の資格又は保険料に関し必要があると認めるときは、被保険者若しくは被保険者であつた者(被保険者等)、国民年金基金の加入員若しくは加入員であつた者、農業者年金の被保険者若しくは被保険者であつた者、国家公務員共済組合法若しくは地方公務員等共済組合法の短期給付に関する規定の適用を受ける組合員若しくは組合員であつた者、私立学校教職員共済法の短期給付に関する規定の適用を受ける加入者若しくは加入者であつた者又は健康保険若しくは国民健康保険の被保険者若しくは被保険者であつた者の氏名及び住所、資格の取得及び喪失の年月日、保険料若しくは掛金の納付状況その他の事項につき、官公署、109条2項に規定する国民年金事務組合、国民年金基金、国民年金基金連合会、独立行政法人農業者年金基金、共済組合等、健康保険組合若しくは国民健康保険組合に対し必要な書類の閲覧若しくは資料の提供を求め、又は銀行、信託会社その他の機関若しくは被保険者等の配偶者若しくは世帯主その他の関係人に報告を求めることができる」
改正の概要
・「被保険者の資格」だけでなく「保険料」を追加
・「被保険者」だけでなく、「被保険者であった者」を追加。
・「氏名及び住所」だけでなく、「資格の取得及び喪失年月日、保険料・掛金の納付状況」を追加
・「国民年金事務組合、国民年金基金、国民年金基金連合会、農業者年金基金、国民健康保険組合、銀行、信託会社等、配偶者、世帯主その他の関係人など」を明記。
 基礎知識と過去問学習はこちらを










 学生納付特例の事務手続に関する特例(109条の2、現109条の2の2)(H26.10.01施行)
 「国及び地方公共団体並びに国立大学法人、公立大学法人及び私立学校法に規定する学校法人その他の政令で定める法人であつて、
 厚生労働大臣がこれらの法人からの申請に基づき、
 90条の3の1項の申請(学生納付特例申請)に関する事務を適正かつ確実に実施することができると認められるものとして指定するもの(学生納付特例事務法人)は、その設置する学校教育法に規定する大学その他の政令で定める教育施設において当該教育施設の学生等である被保険者(学生等被保険者)の委託を受けて、学生等被保険者に係る学生納付特例の申請をすることができる」
 「同2項 学生等被保険者が学生納付特例事務法人に学生納付特例申請の委託をしたときは、90条の3の1項(学生納付特例)の規定及び同条2項において準用する90条2項の規定の適用については、当該委託をした日に、学生納付特例申請があつたものとみなす」
 「同3項 学生納付特例事務法人は、学生等被保険者から学生納付特例申請の委託を受けたときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、当該学生納付特例申請をしなければならない」
1項:
・太字を挿入  
・「当該被保険者に係る同項の申請」を「学生等被保険者に係る申請」に.(本質的な改正点はない)
2項、3項追加(旧2項は4項に、3項は5項に、4項は6項に)
 基礎知識と過去問学習はこちらを
















 延滞金の割合の特例(附則9条の2の5) (H27.01.01施行)
 「97条1項(134条の2の1項において準用する場合及び137条の21の2項において読み替えて準用する場合を含む)に規定する延滞金の年14.6パーセントの割合及び年7.3パーセントの割合は、当分の間、97条1項の規定にかかわらず、各年の特例基準割合(租税特別措置法に規定する特例基準割合をいう)が年7.3パーセントの割合に満たない場合には、その年中においては、年14.6パーセントの割合にあつては当該特例基準割合に年7.3パーセントの割合を加算した割合とし、年7.3パーセントの割合にあつては当該特例基準割合に年1パーセントの割合を加算した割合(当該加算した割合が年7.3パーセントの割合を超える場合には、年7.3パーセントの割合)とする」
 原則は、
A:納期限の翌日から3か月を経過する日までの期間は年7.3%、
B:その後の期間は年14.6%
 であるが、これまでは、特例基準割合が年7.3%未満であるときはその年内は、Aは7.3%ではなく特例基準割合であったところ、改正後は、
特例基準割合が年7.3%未満であるときはその年内は、
A:特例基準割合+年1%(年7.3%を超える場合は7.3%)
B:特例基準割合+年7.3%、
 また、特例基準割合の定義も「各年の前年の11月30日を経過する時における日本銀行法の規定により定められる商業手形の基準割引率に年4パーセントの割合を加算した割合」から、「各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における短期貸付(貸付期間1年未満)の平均利率の合計÷12として財務大臣が告示する割合+1.0%」に。
 基礎知識と過去問学習はこちらを