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5D 労働時間等の設定改善に関する特別措置法(旧労働時間短縮促進法) 
 経緯:平成18年4月1日から、「労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法」は「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」に名称変更。
 その主旨は、年間総実労働時間1800時間」を目標とし、国自らが音頭をとって一律に労働時間短縮を推進することよりも、労働者の健康と生活に配慮 するとともに多様な働き方に応じた労働時間等の設定と改善が望ましいとして、方針転換したことによる。
 その後、「働き方改革関連法」のひとつとして、平成31年4月に一部規定の改正が行われた。
 関連過去問 11-2E19-2A21-1E


 


 


 


 

1.1 目的(1条) (法改正18年4月1日施行、一部改正)
 「この法律は、我が国における労働時間等の現状及び動向にかんがみ、
 @労働時間等設定改善指針を策定するとともに、
 A事業主等による労働時間等の設定の改善に向けた自主的な努力を促進するための特別の措置を講ずることにより、
 労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、もって労働者の健康で充実した生活の実現と国民経済の健全な発展に資することを目的とする」 
1.2 定義(1条の2)(法改正(18年4月1日施行)、新設)
 「この法律において、「労働時間等」とは、労働時間、休日及び年次有給休暇その他の休暇をいう」
 「2項 法改正(H31.04.01) この法律において「労働時間等の設定」とは、労働時間、休日、年次有給休暇を与える時季、深夜業の回数、終業から始業までの時間その他の労働時間等に関する事項を定めることをいう」
⇒「終業から始業までの時間の設定」とは、勤務終了後、翌日の出社・始業までの間に、一定時間以上の休息時間(いわゆる勤務時間インターバル)を設けるということ。 
1.3 事業主等の責務(2条) 法改正(H31.04.01)、法改正(18年4月1日施行)、1項改正、2項新設)
 「事業主は、その雇用する労働者の労働時間等の設定の改善を図るため、業務の繁閑に応じた労働者の始業及び終業の時刻の設定、健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定、年次休暇を取得しやすい環境の整備、その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない」
⇒「健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定(勤務時間インターバルの確保)は、労働者の健康と福祉の確保に欠くべからざるものであるから、事業主に対する努力義務として、その設定・導入が追加された。
⇒たとえば、インターバルを11時間とした場合、前日の時間外が午後11時までに及んだ場合、翌日の始業時間を本来の8時からを10時からに後ろ倒しにする。(あるいは8時から10時までは実労働を伴わなくても労働したものとみなすなど)
 「2項 事業主は、労働時間等の設定に当たっては、その雇用する労働者のうち、その心身の状況及びその労働時間等に関する実情に照らして、健康の保持に努める必要があると認められる労働者に対して、休暇の付与その他の必要な措置を講ずるように努めるほか、その雇用する労働者のうち、その子の養育又は家族の介護を行う労働者、単身赴任者、自ら職業に関する教育訓練を受ける労働者その他の、特に配慮を必要とする労働者について、その事情を考慮してこれを行う等その改善に努めなければならない」
 「4項 法改正(H31.04.01) 事業主は、他の事業主との取引を行う場合において、著しく短い期限の設定及び発注の内容の頻繁な変更を行わないこと、当該他の事業主の講ずる労働時間等の設定の改善に関する措置の円滑な実施を阻害することとなる取引条件を付けない等取引上必要な配慮をするように努めなければならない」
1.4 労働時間等設定改善指針の策定(4条)(法改正(18年4月1日施行)、一部改正)
 「厚生労働大臣は、2条に定める事項に関し、事業主及びその団体が適切に対処するために必要な指針(労働時間等設定改善指針)を定めるものとする」 
⇒「労働時間等設定改善指針」(H20厚生労働省告示108号。H30.10.30改正)はこちらを
19
2A
 労働時間等の設定の改善に関する特例措置法2条において、「事業主は、その雇用する労働者の労働時間等の設定の改善を図るため、業務の繁閑に応じた労働者の始業及び終業の時刻の設定、健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定、年次休暇を取得しやすい環境の整備、その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない 」と規定されている。 (H31改)

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正しい 誤り
21
1E
 平成20年4月1日から施行されている改正労働時間等の設定の改善に関する特別措置法第4条第1項の規定に基づき、厚生労働大臣は事業主等に対して、労働時間等の設定の改善に関し、適切に対処するために必要な事項について改善命令を発することができるようになった。

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正しい 誤り

2. 労働時間等の設定の改善の実施体制の整備(6条) (法改正(18年4月1日施行)、一部改正)
 「事業主は、事業主を代表する者及び雇用する労働者を代表する者を構成員とし、労働時間等の設定の改善を図るための措置、その他労働時間等の設定の改善に関する事項を調査審議し、事業主に対し意見を述べることを目的とする、全部の事業場を通じて一の又は事業場ごとの委員会を設置する等、労働時間等の設定の改善を効果的に実施するために必要な体制の整備に努めなければならない」 
 労働時間等設定改善委員会の決議に係る労働基準法の適用の特例(7条) 法改正(H22.04.01) 法改正(18年4月1日施行)、1項一部改正、2項新設)
 「前条に規定する委員会のうち事業場ごとのものであって次に掲げる要件に適合するもの(労働時間等設定改善委員会)が設置されている場合において、労働時間等設定改善委員会でその委員の5分の4以上の多数による議決により、労働基準法32条の2の1項(1か月単位の変形労働時間制)、32条の3の1項(フレックスタイム制で、同条2項及び3項の規定により読替えて適用する場合を含む)、32条の4の1項及び2項(1年単位の変形労働時間制)、32条の5の1項(1週間単位の非定型的変形労働時間制)、34条2項ただし書(休憩時間の一斉付与適用除外)、36条第1項(時間外及び休日労働)、同条2項及び5項37条3項(代替休暇の付与)、38条の2の2項(事業場外労働のみなし労働時間)、38条の3の1項(専門業務型裁量労働制)並びに39条4項(有給休暇の時間単位付与)及び6項(年次有給休暇の計画的付与)の規定(これらの規定のうち、1か月単位の変形労働時間制、フレックスタイム制、1年単位の変形労働時間制、時間外及び休日労働の規定にあっては労働者派遣法44条2項の規定により読替えて適用する場合を、事業場外労働のみなし労働時間、専門業務型裁量労働制の規定にあっては、労働者派遣法44条5項の規定により読替えて適用する場合を含む。以下併せて「労働時間に関する規定という)
に規定する事項について、決議が行われたときは、当該労働時間等設定委員会に係る事業場の使用者については、 労働基準法32条の2の1項(1か月単位の変形労働時間制)中「協定」とあるのは、「協定(労働時間等設定改善委員会の決議を含む。32条の2の2項、32条の3の4項、32条の4の4項、32条の5の3項、36条8項及び9項、38条の2の3項並びに38条の3の2項を除き、以下同じ)」と、32条の4(1年単位の変形労働時間制)の2項中「同意」はあるのは、「同意(決議を含む)」と、労働基準法36条の8項中「代表する者」とあるのは、「代表する者(決議をする委員を含む)として、労働時間に関する規定及び労働基準法106条1項(法令等の周知義務)の規定を適用する」
@当該委員会の委員の半数については、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においてはは労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名されていること。
A当該委員会の議事について、厚生労働省令で定めるところにより、議事録が作成され、かつ、保存されていること。(保存期間は3年)
B前二号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める要件(委員会に関する規定が定められていることなど)

 労働時間に関する規定について、4/5以上の賛成により決議が行われたときは、
 その決議は労働基準法中の労使協定とみなして適用される。
 また、一定の決議については、届出も不要である。 詳細はこちらを
 「2項 法改正(H31.04.01削除) 労働時間等設定改善委員会が設置されていない事業場において、事業主が労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は労働者の過半数を代表する者)との書面による協定により、労働安全衛生法に規定する衛生委員会(安全衛生委員会を含む)であって、一定の要件に適合するものに、事業場における労働時間等の設定の改善に関する事項を調査審議させ、事業主に意見を述べさせることを定めたときは、当該衛生委員会を労働時間等設定改善委員会とみなして、その決議を労使協定に代えることができる」
 施行規則1条の2 
 「労働時間等設定改善委員会を設置するときは、事業場管轄の労働基準監督署長に届け出なければならない」
 労働時間等設定改善企業委員会の決議に係る労働基準法の適用の特例(7条の2) 法改正(H31.04.01新規)
 「事業主は、事業場ごとに、当該事業場における労働時間等の設定の改善に関する事項について、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、6条に規定する委員会のうち全部の事業場を通じて一の委員会であって次に掲げる要件に適合するもの(労働時間等設定改善企業委員会という)に調査審議させ、事業主に対して意見を述べさせることを定めた場合であって、労働時間等設定改善企業委員会でその委員の5分の4以上の多数による議決により労働基準法37条3項(代替休暇の付与)並びに39条4項(有給休暇の時間単位付与)及び6項(年次有給休暇の計画的付与)に規定する事項について決議が行われたときは、当該協定に係る事業場の使用者については、同法37条3項中「協定」とあるのは、「協定(労働時間等設定改善企業委員会の決議を含む)、39条4項(有給休暇の時間単位付与)及び6項(年次有給休暇の計画的付与)の規定並びに106条1項(法令等の周知義務)において同じ)」として、37条3項並びに39条4項及び6項並びに106条1項の規定を適用する」
@当該全部の事業場を通じて一の委員会の委員の半数については、当該事業主の雇用する労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、当該労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては当該労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名されていること。
A当該全部の事業場を通じて一の委員会の議事について、厚生労働省令で定めるところにより、議事録が作成され、かつ、保存されていること。
B前二号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める要件
⇒事業場ごとの委員会(正式な労働時間等設定改善委員会)ではなく、全事業所に一つの委員会((労働時間等設定改善企業委員会)を設置した場合の特例である。
 この委員会の4/5以上の多数による決議は、
 ・代替休暇の付与、有給休暇の時間単位付与、年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定の代わりとなる。詳細はこちらを
   
 
設定改善実施計画 3.労働時間等設定改善実施計画の承認(8条)(法改正(18年4月1日施行)一部改正)
 「同一の業種に属する二以上の事業主であって、労働時間等の設定の改善の円滑な実施を図るため、労働時間等設定改善指針に即して、業務の繁閑に応じた営業時間の設定、休業日数の増加その他の労働時間等の設定の改善が見込まれる措置(労働時間設定改善促進措置)を実施しようとするものは、共同して、労働時間等設定改善実施計画を作成し、これを厚生労働大臣及び当該業種に属する事業を所管する大臣に提出して、その労働時間設定改善実施計画が適当である旨の承認を受けることができる」
   
 
労働時間短縮支援センタ 4. 労働時間短縮支援センターによる社会復帰促進等事業関係業務の実施(17条) 法改正(18年4月1日施行)により、労働時間短縮支援センターは廃止)
 「厚生労働大臣は、労働時間短縮支援センターに労災法の社会復帰促進等事業のうち次の各号のいずれかに該当するものに係る業務の全部又は一部を行わせるものとする。
@事業主の団体で労働時間の短縮に関する援助を行うもの又は労働時間の短縮を行う事業主に対して支給する給付金であって、厚生労働省令で定めるものを支給すること。
A事業主等に対する研修、相談その他の援助、啓発活動、その他の事業を行うこと」
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2E
 労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法においては、労働時間短縮支援センターが給付金を支給することができるとされているが、週40時間労働制に係る2年間の指導期間が平成11年3月31日で終了したことに伴い、同年4月以降支給される給付金は存在しなくなった。

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