18年度 法改正トピックス(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法)

 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法
  1.法の名称と目的(1条)の変更
 「この法律は、我が国における労働時間等の現状及び動向にかんがみ、
 @労働時間等設定改善指針を策定するとともに、
 A事業主等による労働時間等の設定の改善に向けた自主的な努力を促進するための特別の措置を講ずることにより、
 労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、もって労働者の健康で充実した生活の実現と国民経済の健全な発展に資することを目的とする」 
1' 定義(1条の2)(新設)
 「この法律において、「労働時間等」とは、労働時間、休日及び年次有給休暇その他の休暇をいう」
 「2項 この法律において「労働時間等の設定」とは、労働時間、休日、年次有給休暇を与える時季その他の労働時間等に関する事項を定めることをいう」
 「労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法」 から「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」に名称変更。
 その主旨は、「年間総実労働時間1800時間」を目標とする労働時間の短縮の推進を図る法律から、労働時間等の設定を労働者の健康と生活に配慮したものへ改善するための法律に改めた 」ものである。
 具体的には、
 「労働時間短縮推進計画」から「労働時間等設定改善指針」へ
 「労働時間の短縮」から「労働時間等の設定の改善」へ
 「労働時間の短縮の円滑な推進を図り」から「労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし」へ 
2.事業主等の責務(2条)(1項改正、2項新設)
 「事業主は、その雇用する労働者の労働時間等の設定の改善を図るため、業務の繁閑に応じた労働者の始業及び終業の時刻の設定、年次休暇を取得しやすい環境の整備、その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない」
 「2項 事業主は、労働時間等の設定に当たっては、その雇用する労働者のうち、その心身の状況及びその労働時間等に関する実情に照らして、健康の保持に努める必要があると認められる労働者に対して、休暇の付与その他の必要な措置を講ずるように努めるほか、その雇用する労働者のうち、その子の養育又は家族の介護を行う労働者、単身赴任者、自ら職業に関する教育訓練を受ける労働者その他の、特に配慮を必要とする労働者について、その事情を考慮してこれを行う等その改善に努めなければならない」
 1項に関しては、
 「労働時間の短縮を計画的に進めるため、休日数の段階的な増加」から、
 労働時間等の設定の改善を図るため、業務の繁閑に応じた労働者の始業及び終業の時刻の設定、年次休暇を取得しやすい環境の整備」へ
3.労働時間等設定改善指針の策定(4条)
 「厚生労働大臣は、2条に定める事項に関し、事業主及びその団体が適切に対処するために必要な指針(労働時間等設定改善指針)を定めるものとする」  
 国が閣議決定により目標を掲げる「労働時間短縮推進計画」から、
 厚生労働大臣が事業主の参考となるよう定める「労働時間等設定改善指針」へ
4.労働時間等の設定の改善の実施体制の整備(6条)
 「事業主は、事業主を代表する者及び雇用する労働者を代表する者を構成員とし、労働時間等の設定の改善を図るための措置、その他労働時間等の設定の改善に関する事項を調査審議し、事業主に対し意見を述べることを目的とする、全部の事業場を通じて一の又は事業場ごとの委員会(労働時間等設定改善委員会)を設置する等、労働時間等の設定の改善を効果的に実施するために必要な体制の整備に努めなければならない」 
 「労働時間短縮」から「労働時間等の設定の改善」へ
 「労働時間短縮推進委員会」を「労働時間等設定改善委員会」に改め、事業場における労使の自主的取組を促進することとした。

5.労働時間等設定改善委員会の決議に係る労働基準法の適用の特例等(7条)(1項改正、2項新設)
 「労働時間等設定改善委員会が設置されている場合において、その委員の5分の4以上の多数による議決により、
 @変形労働時間制、A一斉休暇の適用除外、B時間外・休日労働、C年次有給休暇の計画的付与、D事業場外みなし労働時間、E専門業務型裁量労働制
について、決議が行われたときは、その決議は労働基準法中の労使協定とみなして適用される」


 「2項 労働時間等設定改善委員会が設置されていない事業場において、事業主が労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は労働者の過半数を代表する者)との書面による協定により、労働安全衛生法に規定する衛生委員会(安全衛生委員会を含む)であって、一定の要件に適合するものに、事業場における労働時間等の設定の改善に関する事項を調査審議させ、事業主に意見を述べさせることを定めたときは、当該衛生委員会を労働時間等設定改善委員会とみなして、その決議を労使協定に代えることができる」
 「労働時間等設定改善委員会」における決議について、従前の労働時間短縮推進委員会における決議と同様に労使協定に代えることができるようにした。
 労働時間等設定改善委員会が設置されていない事業場においても、労働組合等との書面協定に基づき、一定の要件に適合する衛生委員会に労働時間等の設定の改善に関する事項を調査審議させ、事業主に意見を述べさせることとしたときは、衛生委員会を労働時間等設定改善委員会とみなして、その決議を労使協定に代えることができることにした。
 
6.労働時間等設定改善実施計画の承認(8条)
 「同一の業種に属する二以上の事業主であって、労働時間等の設定の改善の円滑な実施を図るため、労働時間等設定改善指針に即して、業務の繁閑に応じた営業時間の設定、休業日数の増加 その他の労働時間等の設定の改善が見込まれる措置(労働時間設定改善促進措置)を実施しようとするものは、共同して、労働時間等設定改善実施計画を作成し、これを厚生労働大臣及び当該業種に属する事業を所管する大臣に提出して、その労働時間 設定改善実施計画が適当である旨の承認を受けることができる」
 労働時間短縮実施計画
 ⇒ 労働時間等設定改善実施計画
 労働時間の短縮
 ⇒ 労働時間等の設定の改善
 営業時間の短縮
 ⇒ 業務の繁閑に応じた営業時間の設定
 労働時間短縮促進措置
 ⇒ 労働時間等設定改善促進措置
7.労働時間短縮支援センターの廃止
 「指定法人である労働時間短縮支援センターを廃止する」
 公益法人改革の観点から、指定法人である労働時間短縮支援センターを廃止した。