27年度法改正トピックス(社会保険一般に関する主要改正点)
  改正後 改正ポイント
社会保険労務士法  「2条 社会保険労務士は、次の各号に掲げる事務を行うことを業とする」
 1の6号 「(H27.04.01) 個別労働関係紛争(紛争の目的の価額が120万円を超える場合には、弁護士が同一の依頼者から受任しているものに限る)に関する民間紛争解決手続(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律に規定する民間紛争解決手続)であつて、
 個別労働関係紛争の民間紛争解決手続の業務を公正かつ適確に行うことができると認められる団体として厚生労働大臣が指定するものが行うものについて、
 紛争の当事者を代理すること(紛争解決手続代理)」
 社会保険労務士が弁護士との共同ではなく単独で代理できる紛争の目的の価額が、60万円から120万円に
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 補佐人制度(2条の2)(H27.04.01新規)
 「社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができる」
  「同2項 前項の陳述は、当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなす。ただし、当事者又は訴訟代理人が同項の陳述を直ちに取り消し
 補佐人制度(25条の9の2)(H27.04.01新規)
 「前条1項に規定するもののほか、社会保険労務士法人は、2条の2の1項(補佐人)の規定により社会保険労務士が処理することができる事務を当該社会保険労務士法人の社員又は使用人である社会保険労務士(「社員等」という)に行わせる事務の委託を受けることができる。
 この場合において、当該社会保険労務士法人は、委託者に、当該社会保険労務士法人の社員等のうちからその補佐人を選任させなければならない」  
 報酬の基準を明示する義務(施行規則12条の10)(H27.04.01)
 「社会保険労務士又は社会保険労務士法人は、それぞれ次の各号に掲げる事務を受任しようとする場合には、あらかじめ、依頼をしようとする者に対し、報酬額の算定の方法その他の報酬の基準を示さなければならない」
@社会保険労務士:法2条1項各号に掲げる事務並びに法2条の2の1項(補佐人制度)に規定する出頭及び陳述に関する事務
A社会保険労務士法人:法2条1項1号から1号の3まで、2号及び3号に掲げる業務、法25条の9の1項各号に掲げる業務に関する事務並びに法25条の9の2(補佐人制度)の規定により委託される事務
 補佐人制度に新設により、社会保険労務士が代理人(弁護士)とともに法廷に出頭する場合は、裁判所の許可を得なくても、専門家としても意見を陳述できるようになった。これにより、労働・社会保険に関わる紛争について、それまで社会保険労務士が関与・支援してきた事案が訴訟にまで至った場合でも、引き続き関与・支援することができる。
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 社会保険労務士法人の場合は、
 25条の9の2にあるように、その法人の社員あるいは使用人である社会保険労務士を選任して行う。
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 いずれの場合も、依頼者に対して、予め報酬の基準を明示する義務がある。
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確定拠出
年金法
 政令で定める額(施行令11条) 法改正(H26.10.01)、
 「法20条の政令で定める額は、その月の末日における次の各号に掲げる企業型年金加入者の区分に応じ、当該各号に定める額とする」
1  企業型年金加入者であって下記2以外のもの : 55,000円
2  企業型年金加入者であって、以下の者    :  27,500円
・私立学校教職員共済制度の加入者
・石炭鉱業年金基金法に規定する坑内員
・確定給付企業年金の加入者
 ⇒ただし、存続厚生年金基金の加入員である者も暫定的に、27,500円
 確定拠出年金法における企業型年金の掛金の拠出限度額について、
 1号は、51,000円から55,000円に
 2号は、25,500円から27,500円に
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船員
保険法
 保険料の改定(H27.04.01)
(1)疾病任意継続被保険者の一般保険料率:平成27年4月分保険料(平成27年4月10日納付期限)から、9.95%から9.93%に
(2)2号被保険者としての介護保険料:
 一般被保険者の場合:平成27年3月分保険料(平成27年4月30日納付期限分)から、1.71%から1.67%に。
 疾病任意継続被保険者の場合:平成27年4月分保険料(平成27年4月10日納付期限分)から、1.71%から1.67%に。
(3独立行政法人等職員被保険者
 平成27年3月分から、災害保健福祉保険料率(船舶所有者負担分は、0.29%から0.33% へ
 災害保健福祉保険料率が035%から0.33%に変わったことにより、一般保険料率が9.95%から9.93%に.
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 国民健康保険  「72条の4 (H27.04.01新規)市町村は、前条1項の規定に基づき繰り入れる額のほか、政令の定めるところにより、一般会計から、所得の少ない者の数に応じて国民健康保険の財政の状況その他の事情を勘案して政令の定めるところにより算定した額を国民健康保険に関する特別会計に繰り入れなければならない」
 「2項 国は、政令の定めるところにより、前項の規定による繰入金の2分の1に相当する額を負担する」
 「3項 都道府県は、政令の定めるところにより、1項の規定による繰入金の4分の1に相当する額を負担する」
  市町村は低所得者への保険料料軽減額に応じた額を国保の特別会計へ繰入れるほか、保険料軽減の対象となった被保険者数に応じて、一定額を国保の特別会計へ繰入れなければならないことに。
 この繰入額の内、国は1/2、都道府県は1/4を保険者支援分として負担する。
 この内容は、附則24条を恒久化したものであることから、附則24条は削除。 
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 交付金事業(81条の2) H27.04.01新規
 「国民健康保険団体連合会は、政令の定めるところにより、国民健康保険の財政の安定化を図るため、その会員である市町村に対して次に掲げる交付金を交付する事業を行うものとする」
@政令で定める額以下の医療に要する費用を国民健康保険団体連合会の会員である市町村が共同で負担することに伴う交付金
A前号の政令で定める額を超える高額な医療に要する費用を国、都道府県及び国民健康保険団体連合会の会員である市町村が共同で負担することに伴う交付金。 
 81条の2の新設により、恒久化されたので、暫定的な措置であった附則26条は削除
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 賦課決定の期間制限(110条の2) (H2704.01新規)
 「保険料の賦課決定は、当該年度における最初の保険料の納期(この法律又はこれに基づく条例の規定により保険料を納付し、又は納入すべき期限。当該納期後に保険料を課することができることとなつた場合にあつては、当該保険料を課することができることとなつた日)の翌日から起算して2年を経過した日以後においては、することができない」  
 保険料の納付については、納期限日の翌日から2年を過ぎると徴収権は消滅時効にかかるので、もはや徴収することはできない。このことからこれまでは、所得等において新しい事実がわかった場合であっても、保険料の増減変更は2年以上経過するとできない(2年以内ならできる)として運用されていたが、最近の判例(徴収権と賦課権をめぐる争い)に鑑みて、「賦課決定の変更は納期限から2年を過ぎるとできない」と明文化しておくことになった。
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高齢者医療確保法  保険者協議会(157条の2)(H2704.01新規)
 「保険者及び後期高齢者医療広域連合は、共同して、加入者の高齢期における健康の保持のために必要な事業の推進並びに高齢者医療制度の円滑な運営及び当該運営への協力のため、都道府県ごとに、保険者協議会を組織するよう努めなければならない」

 「2項 前項の保険者協議会は、次に掲げる業務を行う}  
@特定健康診査等の実施、高齢者医療制度の運営その他の事項に関する保険者その他の関係者間の連絡調整
A保険者に対する必要な助言又は援助
B医療に要する費用その他の厚生労働省令で定める事項に関する情報についての調査及び分析
 保険者協議会の設置は努力義務
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