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  障害厚生年金の額の改定(職権、請求、併合認定、その他障害による併合改定)
別ページ掲載:支給要件事後重症初めて2級年金額支給停止
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関連条文 職権による改定(52条1項)、障害の現状に関する届出(施行規則51条の4)、請求による改定(52条2項)、改定の請求(施行規則47条)、新しい年金額の支給(52条6項)、額の改定の年齢制限(52条7項)
 併合認定(48条)、併合認定による失権(48条2項)、支給停止中の年金との併合認定(49条)、その他障害との併合改定(52条4項)、額の改定の年齢制限(52条7項)、障害基礎年金との併合改定(52条の2)

0.障害厚生年金額の改定のまとめ
  先発障害
後発障害(又は障害状態の変化) 改定後
 事後重症 3級にも該当せず ・65歳前日までに3級以上に該当するまで悪化 ・1級又は2級又は3級の受給権発生。
(65歳前日までに請求しなければならない)
 基準障害
(はじめて2級)
3級又は3級にも該当せず ・基準障害(3級以下)が発生し、
 65歳前日まで
に前後発障害とあわせて2級以上
・1級又は2級の受給権発生
職権・請求による改定 3級以上 ・自然的な悪化、軽減
 ただし、一度も2級以上になったことがない者は65歳前日までに2級以上に該当改定されないといけない。(52条7項)
・1級、2級に増額、
・2級、3級に減額あるいは3級未満として支給停止
併合認定 ・2級以上になったことがある
・後発障害(1級又は2級)発生
併合認定表による併合認定により、新たな1級(2級の場合もありうる)の受給権が発生。
・先発障害による受給権は消滅(一つにまとめられる) 
その他障害との併合改定 ・2級以上になったことがある ・その他障害(3級以下)が発生し、
 65歳前日までに前後発障害とあわせて2級以上 
・先発障害による障害厚生年金は、併合認定表により増額
改定(1級、2級)あるいは3級による支給再開(その他障害による併合改定と支給停止の解除)
⇒65歳前日までに請求しなければならない)
障害基礎年金との併合改定

 

 

 

・2級以上になったことがあり、障害基礎年金の受給権もある。 ・退職後に後発障害により障害基礎年金のみ発生 ・障害基礎年金は、国年法の併合認定により、新たな1級(2級の場合もありうる)の受給権が発生し、一つにまとめられる。
・障害厚生年金は、障害基礎年金と合わせて自動的に増額(2級の場合もありうる)
退職後にその他障害(3級以下の障害)が発生し、65歳前日までに障害の程度が増進(悪化) ・障害基礎年金は、新たな受給権の発生はないが、併合認定表により増額改定(1級)あるいは2級による支給再開
⇒65歳前日までに請求しなければならない
・障害厚生年金は、新たな受給権の発生はないが、障害基礎年金と合わせて自動的に増額(2級の場合もありうる)
 注
 
・「2級以上になったことがある」には、現在は2級、3級に減額中、3級にも該当せず支給停止中も含む。
 この場合、通常は障害基礎年金の受給権もあると想定される。
・基準障害、その他障害にあっても、初診日要件、保険料納付要件は満足しなければならない
・事後重症、その他障害による改定は、65歳前日までに請求しなければならない。また、老齢基礎年金、老齢厚生年金の繰上げ受給者には適用されない。
・一度でも2級以上に該当すれば、併合認定、併合改定などが適用できるので、その後の展開も有利に働く。
・障害基礎年金と障害厚生年金は両方に受給権がある限り、原則として等級は同じにそろえる。(ただし、支給事由が異なる別の3級障害厚生年金が残っている例外もありうる)
1.改定
1.1 職権による改定(52条1項)
 「実施機関は、障害厚生年金の受給権者について、その障害の程度を診査し、その程度が従前の障害等級以外の障害等級に該当すると認めるときは、その程度に応じて、障害厚生年金の額を改定することができる」
 障害厚生年金の受給権者に係る障害の現状に関する届出(施行規則51条の4) 法改正(R01.08.01)
 「障害厚生年金の受給権者であつて、その障害の程度の診査が必要であると認めて厚生労働大臣が指定したものは、厚生労働大臣が指定した年において、指定日までに、指定日前3月以内に作成されたその障害の現状に関する医師又は歯科医師の診断書を機構に提出しなければならない。
 ただし、当該障害厚生年金の額の全部につき支給が停止されているときは、この限りでない」

 「施行規則51条の4の2項 法改正(R01.08.01) 前項の障害が別表に掲げる疾病又は負傷によるものであるときは、同項の書類に、指定日前3月以内に作成されたその障害の現状の程度を示すレントゲンフィルムを添えなければならない」
チョットつけたし
⇒法改正により、「1月以内」から「3月以内」に
@障害の程度・内容が半永久的なものである(永久固定)と認定された者は、診断書等の提出は不要。
Aそれ以外の者が指定日までに診断書等を提出しないと、年金は一時差止めになる.
B診断書のほか、呼吸器疾患等のため必要とされる場合はレントゲンフィルム、心疾患等のため必要とされる場合は心電図のコピーなどの添付が必要。
Cこの診断書等によって、定期的に障害の程度を診査し、
 ・悪化と認められた場合は、診断書等の提出日の属する月の翌月から増額
 ・改善と認められた場合は、提出日の翌日から起算して3か月が経過した日の属する月から減額、又は支給停止。

1.2 請求による改定(52条2項)
 「障害厚生年金の受給権者は、実施機関に対し、障害の程度が増進したことによる障害厚生年金の額の改定を請求することができる」
 「52条3項 法改正(H26.04.01) 前項の請求は、障害厚生年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除き、当該障害厚生年金の受給権を取得した日又は1項の規定による実施期間の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後でなければ行うことができない」
⇒実施機関による等級審査は受給権取得を判定するときはもちろんのこと、職権による改定を検討するとき、あるいは受給権者からの請求による改定を検討するときに行われる。

 厚生省令で定める場合(施行規則47条の2の2)(H26.04.01新規)
 「法52条3項に規定する厚生労働省令で定める場合であつて、障害の程度が障害等級の2級に該当する者に係るものは、障害厚生年金の受給権を取得した日又は同条1項の規定による実施機関の診査を受けた日のいずれか遅い日以後、次の各号に掲げるいずれかの状態に至つた場合とする」
 @からG 国民年金法施行規則に同じ。
 「施行規則47条の2の2の2項 法52条3項に規定する厚生労働省令で定める場合であつて、障害の程度が障害等級の3級に該当する者に係るものは、障害厚生年金の受給権を取得した日又は同条1項の規定による実施機関の診査を受けた日のいずれか遅い日以後、前項各号に掲げるいずれかの状態又は次の各号に掲げるいずれかの状態に至つた場合とする」
 @両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
 ・  
 C両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
 ・  
 J人工透析を3月を超えて継続して行つているもの
 K6月を超えて継続して人工肛門を使用し、かつ、人工膀胱を使用しているもの
 L工肛門を使用し、かつ、尿路の変更処置を行い、いずれも6月を超えて継続している者
 M人工肛門を使用し、かつ、排尿の機能に障害を残す状態で、いずれも6月を超えて継続している者
 
 従来は、障害の程度が悪化したとしても、受給権を取得した日または審査を受けた日から1年経過するまでは、増額請求ができなかった。
 改正後は、「障害の程度が増進したことが明らかである」として施行規則に該当する場合(2級の者が1級に、あるいは3級の者が2級以上に該当する可能性が高いことが明らかである場合)には、1年を待たずに直ちに請求が可能になった
 改定の請求(施行規則47条) 法改正(H31.04.15)
 「障害厚生年金の受給権者は、法52条2項及び3項の規定による障害厚生年金の額の改定を請求しようとするときは、次の各号に掲げる事項(・氏名、生年月日、住所、個人番号又は基礎年金番号、障害厚生年金の年金コード、障害の原因となった疾病又は負傷の傷病名、・障害を支給事由とする公的年金給付の受給権者にあっては、受給権発生日、年金コード等、配偶者があるときは、氏名、生年月日、生計を維持している旨、個人番号など)を記載した請求書を機構に提出しなければならない」
 「施行規則47条2項 法改正(R02.08.01) 前項の請求書には、次に掲げる書類等をの各号に掲げる書類等を添えなければならない」
@特定初診日以後において共済組合の組合員又は私学教職員共済制度の加入者であつた期間を有する者にあつては、当該共済組合又は日本私立学校振興・共済事業団が当該期間を確認した書類
A法改正(R04.04.01) 基礎年金番号を記載する者にあつては、基礎年金番号通知書その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類
⇒年金手帳の廃止に伴い、法令上はこれに代わるものとして「基礎年金番号通知書」を添付(ただし、年金手帳は基礎年金番号を明らかにすることができる書類として有効である)
B当該請求書を提出する日前3月以内に作成された次に掲げる書類
・障害の状態の程度に関する医師又は歯科医師の診断書
・上記の障害が別表に掲げる疾病又は負傷によるものであるときは、その障害の状態の程度を示すレントゲン
フィルム
⇒法改正により「1月以内」とあったのは「3月以内」に
Cその他障害の原因となつた疾病又は負傷に係る初診日を明らかにすることができる書類(当該書類を添えることができないときは、当該初診日を証するのに参考となる書類)
D配偶者があるときは、その者と受給権者との身分関係を明らかにすることができる市町村長の証明書又は戸籍の抄本(当該請求書を提出する日前一月以内に作成されたものに限る。)
⇒身分関係を証明する戸籍抄本等は、従来から引き続き1月以内である。
1.3 額の改定の年齢制限(52条7項)
 「52条1項(職権)、2項、3項(いずれも請求)による額の改定の規定は、65歳以上の者であって、かつ、障害厚生年金の受給権者(同一の支給事由に基づく国民年金法による障害基礎年金の受給権を有しないものに限る)については、適用しない」 
 当分の間(附則16条の3の2項)
 「52条7項の規定の適用については、当分の間、同項中「65歳以上の者」とあるのは、「65歳以上の者又は国民年金法による老齢基礎年金の受給権者」とする」

 障害基礎年金の受給権を有しない者(1度も2級以上になったことがないすなわち当初から3級の者)については、65歳以降(老齢基礎年金の繰上げ受給をしたときはその時以降)は支給額の改定(2級以上への増額)は行わない。
 65歳以降(老齢基礎年金の繰上げ受給をしたときはその時以降)は、事後重症により2級以上に該当しても障害基礎年金の受給権は発生しない。
  受給時 悪化・軽減 改定がなされた場合
 職権・請求に
よる改定
 3級以上  一度も2級以になったことがない者は65歳前日までに2級以上にならないと改定はない。  3級から2級や1級、
 2級から1級
 軽減の場合は、3級や2級への減額又は支給停止もある

1.4. 新しい年金額の支給(52条6項)
 「1項の規定により障害厚生年金の額が改定されたときは、改定後の額による障害厚生年金の支給は、改定が行われた月の翌月から始めるものとする」
13
3A
 障害厚生年金の受給権者は、実施機関に対し、障害の程度が増進したことによる障害厚生年金の額の改定を請求することができる。ただし、この請求は、障害厚生年金の受給権を取得した日から起算して1年6か月を経過した日後でなければ行うことができない。(基礎)

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16
1C
 障害厚生年金の受給権者が、障害の程度が増進したことにより障害厚生年金の額の改定を請求する場合には、障害厚生年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除き、受給権を取得した日又は実施機関の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後でなければならない。(H26改)(13-3Aの類型)

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令2
1D
 障害厚生年金の受給権者が障害厚生年金の額の改定の請求を行ったが、診査の結果、その障害の程度が従前の障害の等級以外の等級に該当すると認められず改定が行われなかった。この場合、当該受給権者は実施機関の診査を受けた日から起算して1年6か月を経過した日後でなければ再び改定の請求を行うことはできない。(13-3Aの類型)

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27
4D
 40歳の障害厚生年金の受給権者が実施機関に対し障害の程度が増進したことによる年金額の改定請求を行ったが、実施機関による診査の結果、額の改定は行われなかった。このとき、その後、障害の程度が増進しても当該受給権者が再度、額の改定請求を行うことはできないが、障害厚生年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合については、実施機関による診査を受けた日から起算して1年を経過した日以後であれば、再度、額の改定請求を行うことができる。(13-3Aの類型)

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21
9D

 

 65歳未満の障害厚生年金の受給権者は、障害の状態が増進したことによる障害厚生年金の額の改定の請求を当該障害厚生年金の受給権を取得した日又は実施機関の診査を受けた日から起算して1年6か月を経過した日後でなければ行うことができない。 (H22改)(13-3Aの類型)

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25
2C
 障害厚生年金の額の改定は、実施機関の職権によるほか、受給権者による額の改定の請求によって行うことができる。受給権者による額の改定の請求は、当該受給権者が65歳未満の場合はいつでもできるが、65歳以上の場合は、障害厚生年金の受給権を取得した日又は実施機関の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後でなければ行うことができない。(13-3Aの応用)

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2




65



16
1D
 2級の障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者が、その後、3級の障害の状態になり、65歳以降に再び障害の程度が増進して2級の障害の状態になったとき、2級の障害基礎年金及び障害厚生年金が支給される。(基礎)

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2
4C
 障害厚生年金の受給権者が、症状が軽減して障害等級3級の程度の障害の状態になったため当該2級の障害基礎年金は支給停止となった。その後、その者が65歳に達した日以後に再び障害の程度が増進して障害等級2級に該当する程度の障害の状態になった場合、障害等級2級の障害基礎年金及び障害厚生年金は支給されない。(16-1Dの類型)

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2






65




23
4E
 老齢基礎年金(繰上げ支給を含む)の受給権者又は65歳以上の者であって、かつ障害厚生年金の受給権者(当該障害厚生年金と同一事由に基づく障害基礎年金(障害の程度により支給停止となっているものを含む)の受給権を有しないものに限る)は、障害の程度が増進しても障害厚生年金の額の改定を請求することができない。

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3
4オ
 障害厚生年金の受給権者は、障害の程度が増進した場合には、実施機関に年金額の改定を請求することができるが、65歳以上の者又は国民年金法による老齢基礎年金の受給権者であって障害厚生年金の受給権者である者(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づく障害基礎年金の受給権を有しない者に限る)については、実施機関が職権でこの改定を行うことができる。 (23-4Eの類型)

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27
4B

 63歳の障害等級3級の障害厚生年金の受給権者(受給権を取得した当時から引き続き障害等級1級又は2級に該当したことはなかったものとする)が、老齢基礎年金を繰上げ受給した場合において、その後、当該障害厚生年金に係る障害の程度が増進したときは、65歳に達するまでの間であれば実施機関に対し、障害の程度が増進したことによる障害厚生年金の額の改定を請求することができる。 (23-4Eの類型)
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調



2.併合の調整
2.1 併合認定(48条)
 「障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く、以下同じ)の受給権者に対して更に障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金を支給する」

@「その権利を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者は除く」
 つまり、受給権を取得してから一度も2級以上になったことがない者には、併合認定・その他障害との併合改定はなされない。
A「更に障害厚生年金を支給すべき事由が生じたとき」とあるが、後発障害が2級以上に限って、併合認定がなされ、新しい障害年金(ほとんどの場合1級)が支給される。
・たとえば、2級以上の先発障害があった者で、現在は、3級にも該当せずに支給停止中であっても、 新たに2級以上の後発障害が発生した場合は、併合認定した新たな障害厚生年金の受給権が発生し、支給が始まる。
B併合認定により、年金額が下がってしまう場合は、50条4項により従前の額が保証される。
C併合認定表
 2級をその障害の部位や内容に応じて2号、3号、4号に分類、同じく3級を5号、6号、7号、それ以下の障害等級を8号から13号までに分類し、先発障害の号数と後発障害の号数を縦、横とする一覧表(併合認定表)から、併合認定後の号数(等級)を読みとって決める。
 たとえば、5号(3級、例えば両眼の視力がいずれも0.06以下)と4号(2級、例えば上肢の用を全く失った)を併合した場合は1号(すなわち1級)。
 また、5号(3級、例えば両眼の視力がいずれも0.06以下)と6号(3級、上肢のすべての指の用を失ったもの)を併合した場合は4号(すなわち2級)となる。
D後発障害が3級あるいはそれ以下のときは、52条4項(その他障害との併合改定)により、年金額の改定を請求することができる

 併合認定による失権(48条2項) 詳細はこちら
 「障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く)の受給権者が前項の規定により前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金の受給権を取得したときは、従前の障害厚生年金の受給権は、消滅する」

@後発障害が2級以上であるため「併合認定」されると、前の障害厚生年金は失権する。
A後発障害が3級以下であって、その他障害との併合改定を請求した場合、前の障害厚生年金の受給権はそのままで、年金額の改定がなされる。
B従前の障害厚生年金がずっと3級であれば、併合認定・併合改定はなく、もし、後発の障害厚生年金が2級以上の場合は、ふたつとも受給権があるので、どちらかを選択して受給することになる。

 支給停止中の年金との併合認定(49条)
 「(労基法との調整により)期間を定めて支給を停止されている障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く、以下同じ)の受給権者に対して更に(2級以上の)障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前条1項(併合認定)の規定により支給する前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金は、従前の障害厚生年金の支給を停止すべきであつた期間、その支給を停止するものとし、その間、その者に従前の障害を併合しない障害の程度による障害厚生年金を支給する」
 2項 障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く)の受給権者が、更に(2級以上の)障害厚生年金の受給権を取得した場合において、新たに取得した障害厚生年金が54条1項の規定(労基法との調整)によりその支給を停止すべきものであるときは、前条2項の規定にかかわらず、その停止すべき期間、その者に対して従前の障害厚生年金を支給する」

@1項:
・先発障害による障害厚生年金(たとえば2級)が労基法との調整により支給停止されている期間中に、新たな後発障害(たとえば2級)が発生して併合認定が行われ1級になったとしても、 先発障害による障害年金の労基法との調整による支給停止期間中は、後発障害単独の障害厚生年金のみが支給される。
・その後、支給停止期間が終了した時点から、併合認定された新しい障害厚生年金(1級)の支給が始まる
A2項:
・先発障害による障害厚生年金(たとえば2級)が支給されているときに、新たな後発障害(たとえば2級)が発生したが労基法による調整を受けるときは、併合認定が行われて1級になったとしても、先発障害の受給権は消滅せずに2級の支給が続く。
 併合された障害厚生年金(1級)は労基法による調整が行われている期間中は支給停止。
・その後、調整期間が終了した時点から、併合された障害厚生年金(1級)の支給が始まる。
2.2 その他障害との併合改定(52条4項)
 「障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く)の受給権者であって、
 疾病にかかり又は負傷し、かつその傷病(当該障害厚生年金の支給事由となった障害に係る傷病の初診日後に初診日があるものに限る)に係る当該初診日において被保険者であったものが、
 当該傷病によりその他障害(障害等級の1級又は2級に該当しない程度のものに限る)の状態にあり、
 当該傷病に係る障害認定日以後65歳に達する日の前日までの間において、当該障害厚生年金の支給事由となった障害とその他障害(その他障害が2以上ある場合は、全てのその他障害を併合した障害)とを併合した障害の程度が当該障害厚生年金の支給事由となった障害の程度より増進したときは、
 その者は、実施機関に対し、その期間内に障害厚生年金の額の改定を請求することができる」 
 「52条5項 47条1項ただし書き(保険料納付要件)の規定は、前項の場合に準用する」

@先発障害については、少なくとも1度は2級以上の障害厚生年金でないといけない。
Aその他障害について、初診日要件(厚生年金被保険者要件)と保険料納付要件を必要とする。
Bその他の障害の障害認定日もしくはそれ以降悪化して65歳到達前日までに、先発障害と併合して現在よりは級が上がる場合に適用。
C65歳到達前日までに請求しなければならない。(改定の効果は請求月の翌月から)
D先発障害について、障害基礎年金の受給権がある場合は、国年法34条4項により、障害基礎年金1級に増額改定される。
 補足:その他障害が3級であった場合
   先発障害で2級以上の障害厚生年金+2級の障害基礎年金の受給権があるものに、3級の後発障害が 発生した場合
@既存の障害厚生年金と障害基礎年金は1級に増額改定。
A新たに、3級の障害厚生年金の受給権が発生。
B結局、@とAのいずれかを選択して受給する。
2.3 障害基礎年金との併合改定(52条の2)
 「障害厚生年金の受給権者(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く)が、国民年金法による障害基礎年金(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づいで支給されるものを除く)の受給権を有するに至つたときは、
 当該障害厚生年金の支給事由となつた障害と当該障害基礎年金の支給事由となつた障害とを併合した障害の程度に応じて、当該障害厚生年金の額を改定する」 

@先発障害に対しては、少なくとも1度は2級以上であり、障害厚生年金と障害基礎年金の受給権があること。
A後発障害に対しては、@とは異なる傷病により、障害基礎年金の受給権のみが発生。
B上記Aにより、国民年金法の併合認定により、新たな1級(2級の場合もありうる)の障害基礎年金の受給権が発生し、一つにまとめられる。
C障害厚生年金は、障害基礎年金と合わせて自動的に増額(2級の場合もありうる)となる。
Dなお、先発障害と後発障害の内容が入れ替わった(障害基礎年金の受給権のみある⇒あらたに障害厚生年金と障害基礎年金の受給権が発生)場合も同様。

 「2項 障害厚生年金の受給権者が、国民年金法による障害基礎年金の受給権を有する場合において同法34条4項及び36条2項ただし書の規定(いずれもその他障害との併合改定)により併合された障害の程度が当該障害基礎年金の支給事由となつた障害の程度より増進したときは、これらの規定により併合された障害の程度に応じて、当該障害厚生年金の額を改定する」

@先発障害に対しては、少なくとも1度は2級以上であり、障害厚生年金と障害基礎年金の受給権があること。
A後発障害として、国民年金法によるその他障害(3級以下の障害)が発生。65歳前日までに障害の程度が増進(悪化)し、65歳前日までに請求。
B上記Aにより、障害基礎年金は、新たな受給権の発生はないが、国民年金法により増額改定(1級)あるいは2級による支給再開
C障害厚生年金は、障害基礎年金と合わせて自動的に増額(2級の場合もありうる)
各種の併合パターンと併給の調
  先発障害による従前の受給権 後発障害による
受給権の発生
併合後の受給権
 併合認定
 
(48条)

2級以上の障害厚生年金
・2級以上の障害厚生年金

併合認定表による併合認定により、新たな1級(2級もありうる)の受給権が発生。
・先発障害による受給権は消滅(一つにまとめられる) 
その他障害との併合改定
 (52条4項)
・3級以下のその他障害が発生し、65歳前日までに前後発障害とあわせて2級以上となる。 ・新たな受給権の発生はないが、併合認定表により増額改定(1級、2級)あるいは3級による支給再開)
⇒65歳前日までに請求しなければならない
障害基礎年金との併合改定
(52条の2の1項)
障害厚生年金+障害基礎年金  退職後に後発障害により障害基礎年金のみ発生
・障害基礎年金は、国年法の併合認定(31条)により、新たな1級(2級の場合もありうる)の受給権が発生し、一つにまとめられる。
・障害厚生年金は、新たな受給権の発生はないが、障害基礎年金と合わせて自動的に増額(2級ありうる)
障害基礎年金のみ発生(注2) 障害厚生年金+障害基礎年金
障害基礎年金との併合改定(52条の2の2項) 2級以上の障害厚生年金+障害基礎年金  退職後にその他障害(3級以下の障害)が発生、65歳前日までに障害の程度が増進 ・障害基礎年金は、新たな受給権の発生はないが、併合認定表により増額改定(1級)あるいは2級による支給再開⇒65歳前日までに請求しなければならない。
・障害厚生年金は、新たな受給権の発生はないが、障害基礎年金と合わせて自動的に増額(2級もありうる)
 注:「2級以上」とは、2級以上になったことがある(現在は2級、3級に減額Þ、あるいは3級にも該当せず支給停止中も含む)
 注2;条文に明記されていないが、この場合も該当する。














18
9B
 2級以上の障害厚生年金の受給権者が、その後別の傷病により障害が残り、その障害だけで2級以上の障害厚生年金の受給要件を満たしているときには、後の障害の障害認定日に前後の障害の程度を併せた障害の程度によって、新たな障害厚生年金が支給される。

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正しい 誤り
29
5D
 障害厚生年金の受給権を取得した当時は障害等級2級に該当したが、現在は障害等級3級である受給権者に対して、新たに障害等級2級の障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金を支給することとし、従前の障害厚生年金の受給権は消滅する。 (18-9Bの類型)

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正しい 誤り
20
1D
 障害等級3級に該当する障害厚生年金の受給権者(受給権を取得した当時から障害等級の1級又は2級に該当したことはなかったものとする)に、65歳に達する日以後に更に障害等級2級に該当する障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金が支給される。

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21
9A
 その権利を取得した当時から障害等級3級に該当する程度の障害により障害厚生年金を受給している者に対してさらに障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金を支給するが、従前の障害厚生年金の受給権は消滅する。(20-1Dの類型)

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27
4C
 障害等級3級の障害厚生年金の受給権者(受給権を取得した当時から引き続き障害等級1級又は2級に該当したことはなかったものとする)について、更に障害等級2級に該当する障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金が支給され、従前の障害厚生年金の受給権は消滅する。(20-1Dの類型)

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5
7D
  乙は、視覚障害で障害等級3級の障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にあるものとする)を受給している。
 現在も、厚生年金保険の適用事業所で働いているが、新たな病気により、障害等級3級に該当する程度の聴覚障害が生じた。
 後発の障害についても、障害厚生年金に係る支給要件が満たされている場合、厚生年金保険法第48条の規定により、前後の障害を併合した障害等級2級の障害厚生年金が乙に支給され、従前の障害厚生年金の受給権は消滅する。20-1Dの類型)

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支給停止中の年金との併合認定
3
4ウ
 期間を定めて支給を停止されている障害等級2級の障害厚生年金の受給権者に対して更に障害等級2級の障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、厚生年金保険法第48条第1項に規定する前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金は、従前の障害厚生年金の支給を停止すべきであった期間、その支給が停止され、その間、その者に従前の障害を併合しない障害の程度による障害厚生年金が支給される。(基礎)

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23
4B
 障害厚生年金(その権利を取得した当時から1級又は2級に該当しないものを除く。以下本肢において同じ)の受給権者が、更に障害厚生年金の受給権を取得した場合に、新たに取得した障害厚生年金が 、労働基準法第77条の規定 に定める障害補償を受ける権利を取得したことによりその支給を停止すべきものであるときは、その停止すべき期間、その者に対して従前の障害厚生年金を支給する。(令3-4ウの類型))

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30
5E
 障害等級2級に該当する障害厚生年金の受給権者が更に障害厚生年金の受給権を取得した場合において、新たに取得した障害厚生年金と同一の傷病について労働基準法第77条の規定による障害補償を受ける権利を取得したときは、一定の期間、その者に対する従前の障害厚生年金の支給を停止する。 (23-4Bの類型)

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27
4A
 障害等級2級の障害厚生年金と同一の支給事由に基づく障害基礎年金の受給権者が、国民年金の第1号被保険者になり、その期間中に初診日がある傷病によって国民年金法第34条第4項の規定による障害基礎年金とその他障害との併合が行われ、当該障害基礎年金が障害等級1級の額に改定された場合には、障害厚生年金についても障害等級1級の額に改定される。(基礎)

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5
7C
  甲は、厚生年金保険に加入しているときに生じた障害により、障害等級2級の障害基礎年金と障害厚生年金を受給している。現在は、自営業を営み、国民年金に加入しているが、仕事中の事故によって、新たに障害等級2級に該当する程度の障害の状態に至ったため、甲に対して更に障害基礎年金を支給すべき事由が生じた。この事例において、前後の障害を併合した障害の程度が障害等級1級と認定される場合、新たに障害等級1級の障害基礎年金の受給権が発生するとともに、障害厚生年金の額も改定される。(27-4Aの類型)

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11
4B
 昭和36年4月1日以後に支給事由の生じた旧厚生年金保険法による障害年金(障害等級2級に該当)の受給権者に、更に障害厚生年金(障害等級2級に該当)を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金が支給される。

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