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 児童扶養手当法
別ページ掲載:児童手当法子ども手当法
関連過去問 14-7A14_7B14_7C14-7D14-7E
 趣旨等
@離婚等によるいわゆる母子家庭で父と生計を同じくしていない児童を看護する母、
A父子家庭で母と生計を同じくしていない児童を看護しかつその児童と生計を同じくする父、
B父母とも、生計を同じくする児童を看護しているものの父(又は母)が一定の障害状態(施行令別表第2で定める障害で国民年金または厚生年金保険法1級相当)にある場合の母(又は父)、
⇒両親がいる場合でも、父又は母の一方が児童扶養手当法施行令で定める障害の状態にあるときは、「ひとり親家庭」とみなされ、障害を持っていない配偶者に対して児童扶養手当が支給される。
C上記の母(又は父)に代わって児童を養育する養育者
 に対して、生活の安定と自立の促進に寄与するために児童扶養手当を支給する。 
 参考 特別児童扶養手当等の支給に関する法律
 「1条 この法律は、精神又は身体に障害を有する児童について特別児童扶養手当を支給し、精神又は身体に重度の障害を有する児童に障害児福祉手当を支給するとともに、精神又は身体に著しく重度の障害を有する者に特別障害者手当を支給することにより、これらの者の福祉の増進を図ることを目的とする」
特別児童扶養手当:20歳未満で精神又は身体に障害を有する児童を家庭で監護・養育している父母等に支給。支給額はこちらを
障害児福祉手当:精神又は身体に重度の障害を有するため、日常生活において常時の介護を必要とする状態にある在宅の20歳未満の者に支給。支給額はこちらを
 特別障害者手当:精神又は身体に著しく重度の障害を有するため、日常生活において常時特別の介護を必要とする状態にある在宅の20歳以上の者に支給。支給額はこちら












1.目的(1条) 法改正(H22.08.01)
 「この法律は、父又は母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため、当該児童について児童扶養手当を支給し、もって児童の福祉の増進を図ることを目的とする」
 趣旨(2条) 法改正(2項と3項 H22.08.01)
 「児童扶養手当は、児童の心身の健やかな成長に寄与することを趣旨として支給されるものであって、その支給を受けた者は、これをその趣旨に従って用いなければならない」
 「2項 児童扶養手当の支給を受けた父又は母は、自ら進んでその自立を図り、家庭の生活の安定と向上に努めなければならない」
 「3項 児童扶養手当の支給は、婚姻を解消した父母等が児童に対して履行すべき扶養義務の程度又は内容を変更するものではない」
2.定義(3条)
 「この法律において「児童」とは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者、又は20歳未満で政令で定める程度(施行令別表第1で定める)の障害の状態にある者をいう」
3.支給要件(4条) 法改正(H22.08.01)
 「都道府県知事、市長及び福祉事務所を管理する町村長(以下都道府県知事等)は、次の各号にのいずれかに該当する場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める者に対し、児童扶養手当を支給する」
1

・母に対して
 次のイからホまでのいずれかに該当する児童の母が当該児童を看護する場合 ⇒ 当該母に
 父母が婚姻を解消した児童
 父が死亡した児童
 父が政令で定める程度(施行令別表第2で定めるもので、国民年金または厚生年金保険法1級相当)の障害の状態にある児童
 父の生死が明らかでない児童
 その他イからニまでに準ずる状態にある児童で政令で定めるもの
2号
・父に対して
 次のイからホまでのいずれかに該当する児童の父が当該児童を看護し、かつ、これと生計を同じくする場合 ⇒ 当該父に
 父母が婚姻を解消した児童
 母が死亡した児童
 母が前号ハの政令で定める程度の障害の状態にある児童
 母の生死が明らかでない児童
 その他イからニまでに準ずる状態にある児童で政令で定めるもの
3


養育者に対して
・1号イからホまでのいずれかに該当する児童を母が監護しない場合若しくは同号イからホまでのいずれかに該当する児童(同号ロに該当するものを除く)の母がない場合であつて、当該母以外の者が当該児童を養育するとき、
・2号イからホまでのいずれかに該当する児童を父が監護しないか、若しくはこれと生計を同じくしない場合(父がない場合を除く)若しくは同号イからホまでのいずれかに該当する児童(同号ロに該当するものを除く)の父がない場合であつて、当該父以外の者が当該児童を養育するとき、
・父母がない場合であつて、当該父母以外の者が当該児童を養育するとき、 
⇒当該養育者に
 3号において「養育する」とは、「児童と同居して、これを監護し、かつ、その生計を維持することをいう」 
 「2項 法改正(H26.12.01) 前項の規定にかかわらず、手当は、母又は養育者に対する手当にあっては、児童が@からCのまでのいずれかに該当するとき、 父に対する手当にあっては、児童が@、A、D又はEのいずれかに該当するときは、当該児童については支給しない。
@  日本国内に住所を有しないとき。
A  児童福祉法に規定する里親に委託されているとき。
B  父と生計を同じくしているとき。ただし、その者が1項1号ハに規定する政令で定める程度の障害の状態にあるときを除く。
C  母の配偶者(1項1号ハに規定する政令で定める程度の障害の状態にある父を除く)に養育されているとき。
D  母と生計を同じくしているとき。ただし、その者が1項1号ハに規定する政令で定める程度の障害の状態にあるときを除く
E  父の配偶者(1項1号ハに規定する政令で定める程度の障害の状態にある母を除く)に養育されているとき。
 
 「3項 法改正(H26.12.01) 1項の規定にかかわらず、手当は、母に対する手当にあっては当該母が、父に対する手当にあっては当該父が、養育者に対する手当にあっては当該養育者が、日本国内に住所を有しないときは、支給しない」
児童扶養手当と公的年金給付との併給調整(平成26年1月以降)
@公的年金給付との併給は認めない方針から、以下の対象家庭に限り、併給可能に。
・祖父母等に育てられている家庭
・両親がいても、一方が重度(1級程度)の障害者である家庭。
A母子家庭・父子家庭については、重複給付となるということで、原則として併給されない。
 ただし、子のみが遺族年金の受給権があるとき(当然のことながら片親)は、併給可能(子が年金、親が児童扶養手当)
B併給可能の場合であっても、年金給付の額が児童扶養手当の額より高い場合は、併給されず。
 年金給付の額の方が低い場合は、差額分を児童扶養手当として支給。(13条の2)
Cなお、障害基礎年金の子の加算と児童扶養手当の併給については、差額分を児童扶養手当として支給(こちらを参照)

 「児童扶養手当の支給対象となる場合における障害基礎年金の子の加算の支給事務の取扱いについて(要旨)」 年管管発0126第3号 法改正(H23.01.26)
 「児童扶養手当は、両親の一方が児童扶養手当法施行令別表第2で定める障害(国民年金または厚生年金保険法1級相当)であっても、その児童が障害基礎年金の子の加算の対象である場合は支給されないが、平成23年4月1日以降は、児童扶養手当額が障害基礎年金の子の加算額を上回る場合においては、年金受給権者と児童との間に生計維持関係がないものとして取り扱い、子の加算の対象としないことにより児童扶養手当を受給することが可能とする」
 すなわち、
・ 児童扶養手当と障害基礎年金の子の加算との間で受給変更できる場合:
 両親の一方が児童扶養手当法施行令別表第2で定める障害(国民年金または厚生年金保険法1級相当)の状態にあれば、その配偶者に支給される児童扶養手当と障害年金の子の加算で受給変更が可能
⇒たとえば、父が子の加算ありからなしの障害基礎年金の受給に変更することによって、配偶者が児童扶養手当を選択受給することが可能。(第1子、第2子・・・と個々の子について変更可能なので、児童扶養手当が子の加算額より高額な範囲で変更する)
・ 児童扶養手当と障害基礎年金の子の加算との間で受給変更ができない場合:
 母子世帯や父子世帯の場合は、唯一の生計維持者であるため、児童扶養手当と子の加算との間での受給変更はできない。
 障害基礎年金の子の加算( 平成26年12月1日以降の取扱い)
 
法改正(H26.12.01)後は、公的年金の給付額が児童扶養手当額より低い場合は、一定の対象家族に対して、その差額分の児童扶養手当が受給できるようになった。
 これを契機として、子の加算ありの障害年金を受給したままで、配偶者には、本来の児童扶養手当額と子の加算額の差額分があれば、その差額分が児童扶養手当として支給される。

 支給の調整(4条の2) 法改正(H22.08.01新規)
 「同一の児童について、父及び母のいずれもが手当の支給要件に該当するとき、又は父及び養育者のいずれもが手当の支給要件に該当するときは、当該父に対する手当は、当該児童については、支給しない」

 「2項 同一の児童について、母及び養育者のいずれもが手当の支給要件に該当するときは、当該養育者に対する手当は、当該児童については、支給しない」
⇒同一の児童について、複数の者が重複して手当を受け取ることはできない。
  優先順位は母、養育者、父の順。
4.手当額(5条)
 「手当は、月を単位として支給するものとし、その額は、1月につき、41,100円とする」
⇒実際には5条の2により毎年改定される。また、平成31年に「42,910円」に改定された。
 「2項 法改正(H28.08.01)、法改正(H22.08.01) 4条に定める要件に該当する児童であって、父が監護し、かつ、これと生計を同じくするもの、母が監護するもの又は養育者が養育するもの(以下「監護等児童」という)が2人以上である父、母又は養育者に支給する手当の額は、前項の規定にかかわらず、同項に定める額(基本額)に監護等児童のうちの一人(基本額対象監護等児童)以外の監護等児童につき、それぞれ次の各号に掲げる監護等児童の区分に応じ、各号に定める額を加算した額とする」  
@第1加算額対象監護等児童(基本額対象監護等児童以外の児童のうちの1人):1万円
A第2加算額対象監護等児童(基本額対象監護等児及び第1加算額対象監護等児童以外の児童):6千円
  手当額の改定(施行令2条の2)
 「平成31年4月以降の月分の児童扶養手当については、法5条1項「41,100円」とあるのは、「42,910円」と読み替えて、法の規定(他の法令において引用する場合を含む))を適用する」
 「2項 平成31年4月以降の月分の手当については、法5条2項@中「一万円」とあるのは、「10,140円」と読み替えて、法の規定を適用する」
 「3項 平成31年4月以降の月分の手当については、法5条2項A中「六千円」とあるのは、「6、080円」と読み替えて、法の規定を適用する」
 自動改定(5条の2)
 「基本額については、総務省において作成する年平均の全国消費者物価指数が平成5年(この項の規定による手当の額の改定の措置が講じられたときは、直近の当該措置が講じられた年の前年)の物価指数を超え、又は下るに至つた場合においては、その上昇し、又は低下した比率を基準として、その翌年の4月以降の当該手当の額を改定する」
  「同2項 法改正(H29.04。01) 前項の規定は、加算額について準用する」
⇒加算額についても、H29.04.01から、物価スライド制に。
 過去のデータはこちらを。
 ただし、所得に応じた支給制限がある。 
5.認定、支給
 「6条 手当の支給要件に該当する者(受給資格者)は、手当の支給を受けようとするときは、その受給資格及び手当の額について、都道府県知事等の認定を受けなければならない」
 「7条 手当の支給は、受給資格者が前条の規定による認定の請求をした日の属する月の翌月から始め、手当を支給すべき事由が消滅した日の属する月で終わる」
 「2項 受給資格者が災害その他やむを得ない理由により前条の規定による認定の請求をすることができなかった場合において、その理由がやんだ後15日以内にその請求をしたときは、手当の支給は、前項の規定にかかわらず、受給資格者がやむを得ない理由により認定の請求をすることができなくなった日の属する月の翌月から始める」
 「3項 法改正(H31) 手当は、毎年1月、3月、5月、7月、9月及び11月の6期に、それぞれの前月までの分を支払う。ただし、前支払期月に支払うべきであった手当又は支給すべき事由が消滅した場合におけるその期の手当は、その支払期月でない月であっても、支払うものとする」
⇒4月、8月、12月の年3回払いから、奇数月毎の年6回払いに。  
6.支給制限(9条)
 「手当は、受給資格者(父が死亡又は生死不明に該当しかつ母がない児童、母が死亡又は生死不明に該当しかつ父がない児童その他政令で定める児童の養育者を除く)の前年の所得が、その者の所得税法に規定する同一生計配偶者及び扶養親族(扶養親族等)並びに当該受給資格者の扶養親族等でない児童で当該受給資格者が前年の12月31日において生計を維持したものの有無及び数に応じて、政令で定める額以上であるときは、その年の11月から翌年の10月までは、政令の定めるところにより、その全部又は一部を支給しない」 
 「同2項 受給資格者が母である場合であつてその監護する児童が父から当該児童の養育に必要な費用の支払を受けたとき、又は受給資格者が父である場合であつてその監護し、かつ、これと生計を同じくする児童が母から当該児童の養育に必要な費用の支払を受けたときは、政令で定めるところにより、受給資格者が当該費用の支払を受けたものとみなして、前項の所得の額を計算するものとする」
 「9条の2 手当は、受給資格者(前条1項に規定する養育者。すなわち、父が死亡又生死不明に該当しかつ母がない児童、母が死亡又は生死不明に該当しかつ父がない児童その他政令で定める児童の養育者に限る)の前年の所得が、その者の扶養親族等及び当該受給資格者の扶養親族等でない児童で当該受給資格者が前年の12月31日において生計を維持したものの有無及び数に応じて、政令で定める額以上であるときは、その年の11月から翌年の10月までは、支給しない」
 「10条 父又は母に対する手当は、その父若しくは母の配偶者の前年の所得又はその父若しくは母の民法877条に定める扶養義務者(祖父母など)でその父若しくは母と生計を同じくしている者の前年の所得が、その者の扶養親族等の有無及び数に応じて、政令で定める額以上であるときは、その年の11月から翌年の10月までは、支給しない
 「11条 養育者に対する手当は、その養育者の配偶者の前年の所得又はその養育者の民法877条に定める扶養義務者(祖父母など)でその養育者の生計を維持するものの前年の所得が、その者の扶養親族等の有無及び数に応じて、前条に規定する政令で定める額以上であるときは、その年の11月から翌年の10月までは、支給しない」 
 「13条の2 法改正(H26.12.01新規) 手当は、母又は養育者に対する手当にあつては児童が@、A又はCのいずれかに該当するとき、父に対する手当にあつては児童が@、B又はC号のいずれかに該当するときは、当該児童については、政令で定めるところにより、その全部又は一部を支給しない」
@父又は母の死亡について支給される公的年金給付を受けることができるとき。ただし、その全額につきその支給が停止されているときを除く。
A父に支給される公的年金給付の額の加算の対象となつているとき。
B母に支給される公的年金給付の額の加算の対象となつているとき。
C父又は母の死亡について労働基準法の規定による遺族補償その他政令で定める法令によるこれに相当する給付(遺族補償等)を受けることができる場合であつて、当該遺族補償等の給付事由が発生した日から6年を経過していないとき。
 「2項 手当は、受給資格者が次に掲げる場合のいずれかに該当するときは、政令で定めるところにより、その全部又は一部を支給しない」
@改正前の国民年金法に基づく老齢福祉年金以外の公的年金給付を受けることができるとき。ただし、その全額につきその支給が停止されているときを除く。
A遺族補償等(父又は母の死亡について支給されるものに限る)を受けることができる場合であつて、当該遺族補償等の給付事由が発生した日から6年を経過していないとき。 
7.併給調整による支給停止額
 法13の2の1項の規定による手当の支給の制限(施行令6条の3) 法改正(H26.12.01新規)
 「法13の2の1項の規定による母又は養育者(「母等」)に対する手当の支給の制限は、月を単位として、次の各号に掲げる受給資格者の区分に応じ、公的年金給付等合算額(法13の2の1項@号に規定する公的年金給付の額、同項Aに規定する公的年金給付(同号に規定する加算に係る部分に限る)の額及び同項Cに規定する遺族補償等の額を合算して得た額)が当該各号に定める額未満であるときは、手当のうち公的年金給付等合算額に相当する部分について、公的年金給付等合算額が@に定める額以上であるときは手当のうち同号に定める額について、公的年金給付等合算額がAに定める額以上であるときは手当の全部について、行うものとする」
@法9条1項(所得制限)の規定の適用により手当の一部を支給しないこととされる母等(法10条又は11条の規定の適用を受ける母等を除く) :手当(法第9条1項の規定の適用によりその一部を支給しないこととされる部分を除く)の額
A法9条1項又は9条の2から11条までの規定の適用を受ける母等以外の母等:手当の額
 「3項 法13の2の1項の規定による父に対する支給の制限については、前二項の規定を準用する。この場合において、1項中「同項A」とあるのは「同項B」と、同項@中「母等」とあるのは「父」と、「10条又は11条」とあるのは「10条」と、同項A中「9条の2から11条まで」とあるのは「10条」と、「母等」とあるのは「父」と読み替えるものとする」

@法改正(H26.12.01)前までは、公的年金(遺族年金、障害年金、老齢年金、労災保険からの年金、労基法に基づく遺族補償など)を受給する父、母、養育者は児童扶養手当の受給資格者にはなれなかった。
A法改正後は、一定の対象家庭に該当すれば、公的年金の給付額が児童扶養手当額より低い場合は、その差額分が児童扶養手当として受給できるようになった。
8.費用の負担(21条 法改正H18.4.1施行) 
 「手当の支給に要する費用は、その3分の1に相当する額を国が負担し、その3分の2に相当する額を都道府県等(都道府県、特別区を含む市又は福祉事務所を設置する町村)が負担する」


14
7A
 児童手当法と児童扶養手当法において、児童の定義は両法とも18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者である。

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正しい 誤り


14
7B
 児童手当法と児童扶養手当法において、受給資格者が手当の支給を受けようとするときは、両法ともに、資格及び手当額の認定を、住所地の市町村長から受けなければならない。

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正しい 誤り


14
7C
 児童手当法と児童扶養手当法において、手当については両法とも毎年2月、6月及び10月の3期にそれぞれ前月までの分を支給される。

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正しい 誤り
14
7D
 児童手当法と児童扶養手当法において、所得額による支給制限は、児童手当では全額、児童扶養手当では全額又は一部の額となっている。(参考)

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費用負担 14
7E
 児童手当法と児童扶養手当法において、費用の国庫負担割合は児童手当では10分の2、児童扶養手当では4分の3となっている。(参考)

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