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 年金生活者支援給付の支給に関する法律 法改正(H31.10.01新規)
関連過去問



























 目的(1条)
 「この法律は、公的年金等の収入金額と一定の所得との合計額が一定の基準以下の老齢基礎年金の受給者に国民年金の保険料納付済期間及び保険料免除期間を基礎とした老齢年金生活者支援給付金又は保険料納付済期間を基礎とした補足的老齢年金生活者支援給付金を支給するとともに、所得の額が一定の基準以下の障害基礎年金又は遺族基礎年金の受給者に障害年金生活者支援給付金又は遺族年金生活者支援給付金を支給することにより、これらの者の生活の支援を図ることを目的とする」
1.老齢年金生活者支援給付金
 老齢年金生活者支援給付金の支給要件(2条)
 「国は、国民年金法の規定による老齢基礎年金の受給権者であって当該老齢基礎年金を受ける権利について裁定の請求をしたもの(老齢基礎年金受給権者)が、その者の前年(1月から7月までの月分については、前々年とする)中の公的年金等の収入金額と前年の所得との合計額(前年所得額)が老齢基礎年金の額を勘案して政令で定める額以下であることその他その者及びその者と同一の世帯に属する者の所得の状況を勘案して政令で定める要件に該当するときは、当該老齢基礎年金受給権者に対し、老齢年金生活者支援給付金を支給する」
⇒補足
 政令で定める額(所得基準額):前年度の満額の老齢基礎年金相当額(31年度に適用する値は77万9,300円)(施行令1条)
 政令で定める要件:老齢基礎年金受給権者及び同一の世帯に属する者が、その年の市町村民税が課されていないこと(施行令2条)

 所得基準
 老齢基礎年金の受給権者の前年の公的年金等の収入金額+その他の所得(給与所得や利子所得等)合計額が、(前年の)満額の老齢基礎年金相当額以下であり、かつ、 同一世帯の全員が市町村民税非課税であること
 「同2項 前項の規定にかかわらず、老齢年金生活者支援給付金は、当該老齢基礎年金受給権者が次の各号のいずれかに該当するときは、支給しない」
@日本国内に住所を有しないとき。
A当該老齢基礎年金の全額につきその支給が停止されているとき。
B刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき(厚生労働省令で定めるときに限る)
 老齢年金生活者支援給付金の額(3条)
 「老齢年金生活者支援給付金は、月を単位として支給するものとし、その月額は、次に掲げる額(50銭未満の端数が生じたときはこれを切り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたときはこれを1円に切り上げる)を合算した額とする」
@給付基準額に、その者の保険料納付済期間の月数を480で除して得た数(その数が1を上回るときは1)を乗じて得た額
A(満額の)老齢基礎年金の額に、その者の保険料免除期間(学生納付特例期間を除く)の月数の6分の1(保険料4分の1免除期間にあっては、4分の1免除期間の月数の12分の1)に相当する月数(480−27条(老齢基礎年金の支給額を計算した月数)を限度とする)を480で除して得た数を乗じて得た額を12で除して得た額。

 給付基準額(4条)
 「給付基準額は、5千円とする」
 「同2項 給付基準額については、総務省において作成する年平均の全国消費者物価指数がこの法律の施行の日の属する年の前年(この項の規定による給付基準額の改定の措置が講じられたときは、直近の当該措置が講じられた年の前年)の物価指数を超え、又は下回るに至った場合においては、その上昇し、又は低下した比率を基準として、その翌年の4月以降の給付基準額を改定する」

・老齢年金生活者支援給付金の額(月額)は、
 基準額(5,000円)×納付済期間月数/480+前年度の満額の老齢基礎年金額×免除期間月数×1/6)(ただし、4分の1免除の場合に限り1/12)/480/12
 例1:納付済月数480月の場合:5,000円/月
 例2:納付済月数240月、保険料全額免除月数240月(2分の1国庫補助)の場合:5,000×240/480+前年度の満額の老齢基礎年金額×240×1/6/480/12)
⇒要するに、世帯全員が市町村税非課税である場合は、満額の老齢基礎年金額が60,000円(月額5,000円)アップするほか、保険料免除期間に対応した若干のプラスアルファがある。
・基準額5,000円は、消費者物価スライドに応じて毎年4月に自動改定される。
 認定(5条)
 「老齢年金生活者支援給付金の支給要件に該当する者(受給資格者)は、老齢年金生活者支援給付金の支給を受けようとするときは、厚生労働大臣に対し、その受給資格及び老齢年金生活者支援給付金の額について認定の請求をしなければならない」
 支給期間及び支払期月(6条)
 「老齢年金生活者支援給付金の支給は、受給資格者が前条の規定による認定の請求をした日の属する月の翌月から始め、老齢年金生活者支援給付金を支給すべき事由が消滅した日の属する月で終わる」
 「同2項 受給資格者が災害その他やむを得ない理由により前条の規定による認定の請求をすることができなかった場合において、その理由がやんだ後15日以内にその請求をしたときは、老齢年金生活者支援給付金の支給は、前項の規定にかかわらず、受給資格者がやむを得ない理由により認定の請求をすることができなくなった日の属する月の翌月から始める」
 未支払の老齢年金生活者支援給付金(9条)
 「受給資格者が死亡した場合において、その死亡した者に支払うべき老齢年金生活者支援給付金でまだその者に支払っていなかったものがあるときは、その者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の3親等内の親族であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支払の老齢年金生活者支援給付金の支払を請求することができる」
⇒いわゆる「未支給の年金」と同様の扱い。
2.補足的老齢年金生活者支援給付金
 補足的老齢年金生活者支援給付金の支給要件(10条)  「国は、老齢基礎年金受給権者が、その者の前年所得額が所得基準額を超え、かつ、所得基準額を勘案して政令で定める額以下であることその他その者及びその者と同一の世帯に属する者の所得の状況を勘案して政令で定める要件に該当するときは、当該老齢基礎年金受給権者に対し、補足的老齢年金生活者支援給付金を支給する」
⇒補足
・政令で定める額(補足的所得基準額):879,300円(施行令6条)
2条2項に該当するときは支給されない。
5条と同様に、認定の請求が必要である。

 補足的所得基準額
 老齢年金生活者支援給付金の所得基準を上回るが、前年の公的年金等の収入金額+その他の所得が、879,300円以下
 補足的老齢年金生活者支援給付金の額(11条)
 「補足的老齢年金生活者支援給付金は、月を単位として支給するものとし、その月額は、当該老齢基礎年金受給権者を受給資格者とみなして3条(老齢年金生活者支援給付金の額)の規定を適用するとしたならば3条1号に規定する額として算定されることとなる額から、その者の前年所得額の逓増に応じ、逓減するように政令で定める額とする」

・補足的老齢年金生活者支援給付金の額は、
 5,000円×保険料納付済月数/480×(879,300ー前年所得額)/(879,300−779,300)
⇒老齢年金生活者支援給付金を受ける者との所得の逆転を生じない範囲であって、所得の増加に応じて逓減する額。
 前年の老齢基礎年金額+前年所得額が779,300円+1円のときは、老齢年金生活者支援給付金の@の額に等しい(免除期間に対応する額はない)
 前年の老齢基礎年金額+前年所得額前年所得額が879,300円のときは0円
 補足的老齢年金生活者支援給付金の額の改定時期(13条)
 「補足的老齢年金生活者支援給付金の支給を受けている者につき、前年所得額の変動が生じた場合における補足的老齢年金生活者支援給付金の額の改定は、8月から行う」
⇒基準額5,000円は消費者物価スライドに応じて毎年4月に自動改定されるほか、前年所得額に応じて8月にも改定される。
3.障害年金生活者支援給付金
 障害年金生活者支援給付金の支給要件(15条)
 「国は、国民年金法の規定による障害基礎年金の受給権者であって当該障害基礎年金を受ける権利について裁定の請求をしたもの(障害基礎年金受給権者)が、その者の前年の所得(1月から7月までの月分については、前々年の所得とする)がその者の所得税法に規定する同一生計配偶者及び扶養親族(扶養親族等)の有無及び数に応じて、政令で定める額以下であるときは、当該障害基礎年金受給権者に対し、障害年金生活者支援給付金を支給する」
⇒補足
 所得制限(施行令8条):462万円+38万円(70歳以上配偶者又は老人扶養親族の場合は48万円、特定扶養親族の場合は63万円)×扶養親族等の人数
2条2項に該当するとき及び、少年院その他これに準ずる施設に収容されているとき(厚生労働省令で定めるときに限る)は支給されない。
5条と同様に、認定の請求が必要である。
6条(支給期間及び支払期月)、9条(未支払の支援給付)は準用される
 障害年金生活者支援給付金の額(16条)
 「障害年金生活者支援給付金は、月を単位として支給するものとし、その月額は、給付基準額(障害の程度が障害等級の1級に該当する者として障害基礎年金の額が計算されるものにあっては、給付基準額の100分の125に相当する額(50銭未満の端数が生じたときはこれを切り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたときはこれを1円に切り上げる)とする」

・障害年金生活者支援給付金の額は、月額5,000円(障害等級1級の場合は6,250円)
 ただし、消費者物価スライドに応じて毎年4月に自動改定
 障害年金生活者支援給付金の額の改定時期(18条)
 「障害年金生活者支援給付金の支給を受けている者につき、障害の程度が増進し、又は低下したことにより障害基礎年金の額が改定された場合における障害年金生活者支援給付金の額の改定は、当該障害基礎年金の額が改定された日の属する月の翌月から行う」
⇒基準額5,000円は消費者物価スライドに応じて毎年4月に自動改定されるほか、障害等級に変動があった場合は翌月から改定される。
4.遺族年金生活者支援給付金
 
遺族年金生活者支援給付金の支給要件(20条)
 「国は、国民年金法の規定による遺族基礎年金の受給権者であって当該遺族基礎年金を受ける権利について裁定の請求をしたもの(遺族基礎年金受給権者)が、その者の前年の所得(1月から7月までの月分については、前々年の所得とする)がその者の扶養親族等の有無及び数に応じて、政令で定める額以下であるときは、当該遺族基礎年金受給権者に対し、遺族年金生活者支援給付金を支給する」
⇒補足
・所得制限は障害年金生活者支援と同じ(施行令8条):
2条2項に該当するとき及び、少年院その他これに準ずる施設に収容されているとき(厚生労働省令で定めるときに限る)は支給されない。
5条と同様に、認定の請求が必要である。
6条(支給期間及び支払期月)、9条(未支払の支援給付)は準用される。
 遺族年金生活者支援給付金の額(21条)
 「遺族年金生活者支援給付金は、月を単位として支給するものとし、その月額は、給付基準額とする」

・遺族年金生活者支援給付金の額は、月額5,000円(ただし、消費者物価スライドに応じて毎年4月に自動改定)
⇒補足
・複数の子が遺族基礎年金を受給している場合は、給付基準額をその子の数で除して得た額とする」
・複数の子が遺族基礎年金を受給している場合で、子の数に増減を生じた場合の遺族年金生活者支援給付金の額の改定は、増減を生じた日の属する月の翌月から。
5. 認定・請求の特例
 老齢年金生活者支援給付金の支給要件に該当する者が補足的老齢年金生活者支援給付金の支給要件に該当することとなる場合等の認定の請求の特例(施行令11条)
 「各年の7月分の老齢年金生活者支援給付金の支給要件に該当している者であって、法5条の規定による認定(老齢年金生活者支援給付金の認定)を受けているものが、当該各年の8月分の補足的老齢年金生活者支援給付金の支給要件に該当するときは、当該各年の7月31日において同条の規定による認定の請求があったものとみなす」
⇒「補足的老齢年金生活者支援給付金」から「老齢年金生活者支援給付金」への切替も自動的に行われる。
 老齢基礎年金の受給権を有するに至った日から3月以内に老齢年金生活者支援給付金の認定の請求があった場合等の認定の請求の特例(施行令12条)
 「老齢基礎年金を受ける権利の裁定の請求をした者から法5条の規定による認定(老齢年金生活者支援給付金の認定)の請求があったとき(受給権を有するに至った日、繰下げの申出を行った者については当該申出を行った日から起算して3月以内に認定の請求があったときに限る)は、当該老齢基礎年金の受給権を有するに至った日に当該認定の請求があったものとみなす」
 補足
 ・補足的老齢年金生活者支援給付金、障害年金生活者給付金、遺族年金生活者給付金についても同様
⇒本来なら、年金生活者支援給付金の支給は、認定請求の翌月分からであるが、本体の年金の受給権発生日から3か月以内に認定請求すれば、本体の年金の受給権発生日の翌月分から支給される。