令和4年度受験用 法改正トピックス(厚生年金保険法に関する主要改正点) Tome塾Homeへ
  改正後 改正ポイント
60歳台前半の
在職老齢年金
 60歳台前半の在職老齢年金 (附則11条) R04,04.01
 「附則8条(60歳台前半の老齢厚生年金)の規定による老齢厚生年金(43条1項(報酬比例部分の本来の老齢厚生年金)及び附則9条(の規定によりその額が計算させているものに限る)受給権者が被保険者である日又は国会議員若しくは地方公共団体の議会の議員(前月以前の月に属する日から引き続いて議員である者に限る)である日(以下被保険者等である日)が属する月において、
 その者の総報酬月額相当額と老齢厚生年金の額を12で除して得た額(基本月額)との合計額が46条3項の支給停止調整額を超えるときは、その月の分の当該老齢厚生年金について、総報酬月額相当額と基本月額との合計額から支給停止調整額を控除して得た額の2分の1に相当する額に12を乗じて得た額(支給停止基準額)に相当する部分の支給を停止する。
  ただし、支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部の(繰り下げ加算額を除く)の支給を停止するものとする」
@60歳台前半の在職老齢年金については、従来の低在老方式(28万円程度基準)をやめて、高在老方式(48万円程度基準)に一本化された。
Aよって、令和4年4月分の年金からは、支給停止額(月額)=(総報酬月額相当額+基本月額ー支給停止調整額(28万円程度基準)×1/2
B改正前条文
「総報酬月額相当額(標準報酬月額とその月以前の1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額とを合算して得た額)と老齢厚生年金の額を12で除して得た額(基本月額)との合計額が支給停止調整開始額(28万円程度基準)を超えるときは、次の各号に掲げる場合に応じ、各号に定める額に12を乗じて得た額(支給停止基準額)に相当する部分の支給を停止する
 ただし、・・・」
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 上記に連動して、以下についても、低在老から高在労化に伴う改正が行われた。
・障害者・長期加入者の60歳台前半の在職老齢年金(附則11条の2) (R04,04.01)
・坑内員・船員の60歳台前半の在職老齢年金(附則11条の3)(R04,04.01
・障害者・長期加入者の60歳台前半の在職老齢年金
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・坑内員・船員の60歳台前半の在職老齢年金
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繰上げ
に伴う減額
 支給の繰上げの際に減ずる額(施行令6条の3〉R04,04.01
 「法附則7条の3の4項(特別支給の老齢厚生年金がない者の繰上げ)に規定する政令で定める額は、同条1項の請求をした日(請求日)の属する月の前月までの厚生年金保険の被保険者期間(請求日前被保険者期間)を基礎として法43条1項の規定によつて計算した額(昭和60年改正法附則59条2項(経過的加算)の規定が適用される場合にあつては、請求日前被保険者期間を基礎として計算した同項に規定する加算額を加算した額)に減額率(1,000分の4に請求日の属する月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数を乗じて得た率)を乗じて得た額とする」
 特別支給の老齢厚生年金がない者
・減額率の元となる率を、0.5%から0.4%に変更した。
・本来の老齢厚生年金額についての減額される額
 =請求日前被保険者期間に基づく報酬比例の老齢厚生年金額×0.4%×(繰上げ請求月から65歳到達月の前月までの月数)
・経過的加算についても同様。
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 政令で定める額(施行令8条の2の3)(R04.04.01)
 「法附則13条の4(特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分支給開始前繰り上げ)の4項に規定する政令で定める額は、同条1項の請求をした日(請求日)の属する月の前月までの厚生年金保険の被保険者期間(請求日前被保険者期間)を基礎として法43条1項の規定によつて計算した額に減額率(1,000分の4に請求日の属する月から支給開始年齢に達する日の属する月の前月までの月数を乗じて得た率(請求日の属する月と支給開始年齢に達する日の属する月が同一の場合には零)を乗じて得た額とする」
 「2項 経過的加算が適用される場合にあつては、政令で定める額は、前項の規定にかかわらず、同項に規定する額に次に掲げる額を加算した額とする」(以下略)
 特別支給の老齢厚生年金があるもの
・減額率の元となる率を、0.5%から0.4%に変更した。
・特別支給老齢厚生年金報酬比例部分についての減額される額(1項)
 =請求日前被保険者期間に基づく特別支給老齢厚生報酬比例部分年金額×0.4%×(繰上げ請求月から支給開始年齢到達月の前月までの月数) 
・繰上げ調整額が加算されない場合は,経過的加算についても同様
・繰上げ調整額が加算される場合の
経過的加算についての減額される額(2項)
 =本来の経過的加算額×C(支給開始年齢到達月から65歳到達月前月までの月数)/A(繰上げ請求月から65歳到達月前月までの月数)+0.4%×B(繰上げ請求月から支給開始年齢到達月の前月までの月数 
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 繰上げに伴う減額に関する経過措置 (R04,04.01)
 「法附則7条の3の4項(特別支給のがない者の繰上げ)の改正後の厚生年金保険法施行令6条の3及び8条の2の3の規定は、施行日の前日において、60歳に達していない者について適用する」
 0.4%が適用されるのは、施行日(R04.04.01)の前日において、60歳に達していない者(即ち、昭和37年4月2日以後生まれの者)である。
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繰り下げ  支給の繰下げ(44条の3)
 「2項(R04,04.01) 1年を経過した日後に次の各号に掲げる者が前項の申出をしたときは、当該各号に定める日において、同項の申出があつたものとみなす」
@老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して10年を経過した日前に他の年金たる給付の受給権者となつた者:他の年金たる給付を支給すべき事由が生じた日
A10年を経過した日後にある者(前号に該当する者を除く):10年を経過した日
 繰下げ可能な上限年数を5年から10年に拡大した。(国年法に同じ)
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 繰下げ加算額の計算(施行令3条の5の2)(R04,04.01)
 「法44条の3の4項に規定する政令で定める額は、老齢厚生年金の受給権を取得した日の属する月(受給権取得月)の前月までの被保険者期間(受給権取得月前被保険者期間)を基礎として法43条条1項(老齢厚生年金額の計算)の規定によつて計算した額に平均支給率を乗じて得た額(経過的加算がある場合はその額を加算した額)に増額率(1000分の7に受給権取得月から繰下げの申出をした日の属する月の前月までの月数(当該月数が120を超えるときは、120)を乗じて得た率)を乗じて得た額とする」 
 「2項 前項の平均支給率は、受給権取得月(当該受給権取得月から申出日の属する月までの期間が10年を超える場合にあっては、当該申出日の10年前の日の属する月)の翌月から申出日の属する月までの各月の支給率(当該各月にのうち、老齢厚生年金の受給権を有する者が法46条1項(60歳台後半の在職老齢年金)に規定する属する月にあつては同項の規定によりその支給を停止するものとされた額を、受給権取得月前被保険者期間を基礎として法43条1項(老齢厚生年金額の計算)の規定によつて計算した額で除して得た率を1から控除して得た率とし、当該属する月でない月にあつては1とする)を合算して得た率を、受給権取得月の翌月から申出日の属する月までの月数で除して得た率をいう」
 繰下げの上限年数を5年から10年に拡大したことに伴い、
・1項:繰下げ増額期間(受給権取得月から繰下げ申出月の前月までの月数)の最長は60月から120月へ
・2項:受給権取得月翌月から繰下げ申出月までの期間(ただし10年を超える場合は、申出日の10年前の日の属する月の翌月から申出月までの各月の支給率について平均を取ることに。
 77歳の時に申し出た場合は、最後の10年である67歳から77歳までの間の平均支給率を採用。
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 繰下げ規定の経過措置
(1)老齢齢厚生年金の支給の繰下げに関する経過措置(令和2年法附則8条) 法改正(R04.04.01)
 「改正後の厚生年金保険法44条の3(繰下げ)の規定は、施行日の前日において、老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して5年を経過していない者について適用する」
(2)老齢齢厚生年金の繰下加算額に関する経過措置(令和3年経過措置政令附則4条)法改正(R04.04.01)
 「改正後の厚生年金保険法施行令3条5の2(繰下加算額)の規定は、施行日の前日において、老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して5年を経過していない者について適用する」
 改正後の左記にある繰下規定は、
 「(R04.04.01 )の前日において、老齢厚生年金の受給権を取得した日(通常は65歳到達日)から起算して5年を経過していない者について適用される」
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在職定時改定  在職定時改定(43条2項) 法改正(R04.04.01)
 「受給権者が毎年9月1日(「基準日」という)において被保険者である場合(基準日に被保険者の資格を取得した場合を除く)の老齢厚生年金の額は、基準日の属する月前の被保険者であつた期間をその計算の基礎とするものとし、基準日の属する月の翌月から、年金の額を改定する
 ただし、基準日が被保険者の資格を喪失した日から再び被保険者の資格を取得した日までの間に到来し、かつ、当該被保険者の資格を喪失した日から再び被保険者の資格を取得した日までの期間が1月以内である場合は、基準日の属する月前の被保険者であつた期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、基準日の属する月の翌月から、年金の額を改定する」
⇒「ただし書き」の意味はこちらを
 改正前は「 老齢厚生年金の額については、受給権者がその権利を取得した月以後における被保険者であった期間は、その計算の基礎としない 」とあった。
 そして、受給権取得後も被保険者者期間がある場合は、
・退職するまで
・70歳になるまで
以外に、年金額の被保険者月数に応じた増額の機会がなかった。
 新設された「在職定時決定」は、毎年定期的に、1年単位で年金額を見直すもので、
 「9月1日に被保険者である場合は、8月までの被保険者であった期間月数を、年金額計算の基礎とする被保険者期間に加えて、10月分から年金額を改定する」 
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 在職定時改定・退職改定の適用に関する特例(附則15条の2) (R04.04.01)
 「43条2項(在職定時改定)及び3項(退職改定)の規定の適用については、当分の間、
・同条2項中「受給権者」とあるのは、「受給権者(附則7条の3(特老厚がない者の繰上げ)又は附則13条の4(特老厚報酬比例部分の支給開始前の繰上げ)の規定による老齢厚生年金の受給権者にあつては、65歳に達しているものに限る)、
・同条3項中「受給権者」とあるのは、「受給権者(附則7条の3(特老厚がない者の繰上げ)の規定による老齢厚生年金の受給権者にあつては65歳に達しているものに限るとし、附則13条の4(特老厚報酬比例部分の支給開始前の繰上げ)の規定による老齢厚生年金の受給権者にあつては支給開始年齢に達しているものに限る)」
 新設された「在職定時決定」は、65歳前の者には適用されない。
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年金担保貸付事業
 厚生年金保険事業の円滑な実施を図るための措置(79条) 
 「4項 法改正(R04.04.01削除) 政府は、独立行政法人福祉医療機構法に規定する小口の資金の貸付けを、独立行政法人福祉医療機構に行わせるものとする」
 年金担保貸付事業の廃止
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 受給権の保護(41条) 
 「1項 法改正(R04.04.01) 保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。
 ただし、老齢厚生年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む)により差し押える場合は、この限りでない」
 年金担保貸付事業の廃止に伴い、41条ただし書きにあった「年金給付を受ける権利を別に法律で定めるところにより担保に供する場合」を削除。
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時効  時効(92条) 法改正(R04.04.01、1項部分修正、2項新規、3項から5項は項番繰下げ)
 「保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利は、これらを行使することができる時から2年を経過したとき、
 保険給付を受ける権利は、その支給すべき事由が生じた日から5年を経過したとき、
 当該権利に基づき支払期月ごとに支払うものとされる保険給付の支給を受ける権利は、当該日の属する月の翌月以後に到来する当該保険給付の支給に係る36条3項(偶数月払)本文に規定する支払期月の翌月の初日から5年を経過したとき、保険給付の返還を受ける権利は、これを行使することができる時から5年を経過したときは、時効によつて、消滅する」
 「2項 保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、若しくはその還付を受ける権利又は保険給付の返還を受ける権利の時効については、その援用を要せず、また、その利益を放棄することができないものとする」
1項:部分修正。 太字部分の
 「保険給付の返還を受ける権利は、これを行使することができる時から5年を経過したとき」を追加
2項:新規
 保険料・徴収金の徴収権、還付請求権、保険給付の返還請求権の時効については、援用しなくても必ず、期限が来たら失権する。また、この時効消滅による利益を放棄することも許されない。

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