改正 国民年金法
23年度 法改正トピックス( 国民年金法に関する主要改正点)
  改正後 改正ポイント
障害基礎年金の加算
 子の加算額(33条の2)(H23.4.1)
 「障害基礎年金の額は、受給権者によって生計を維持しているその者の子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子及び20歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にある子に限る)があるときは、 前条に定める額にその子一人につきそれぞれ74,900円に改定率を乗じて得た額(そのうち2人までについては、それぞれ224,700円に改定率を乗じて得た額)を加算した額とする」
 「2項 受給権者がその権利を取得した日の翌日以後にその者によつて生計を維持しているその者の子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子及び20歳未満であつて障害等級に該当する障害の状態にある子に限る)を有するに至つたことにより、前項の規定によりその額を加算することとなつたときは、当該子を有するに至った日の属する月の翌月から、障害基礎年金の額を改定する」

 

 


 

 「受給権者がその権利を取得した当時その者によって生計を維持していたその者の子」を
 「受給権者によって生計を維持してい るその者の子」に変更
 2項については
 「受給権者がその権利を取得した当時胎児であった子が生まれたときは、その子は、受給権者がその権利を取得した当時その者によって生計を維持していた子とみなし、その生まれた日の属する月の翌月から」を
 「受給権者がその権利を取得した 日の翌日以後にその者によつて生計を維持しているその者の子を有するに至つたことにより、前項の規定によりその額を加算することとなつたときは、当該子 を有するに至った日の属する月の翌月から」に変更
 よって、
  障害基礎年金の受給権を取得した日後
・18歳到達年度末までにある子をもつようになった
 ⇒子が生まれた(受給権取得時に胎児であったものに限らない)、養子をもらったなど
・20歳未満で2級以上の障害の子をもつようになった
 ⇒2級以上になった、養子をもらったなど。
 家族の状況に変化があったときは、その翌月から加算対象となり得る。
 また既に、受給権を取得した日後に上記のような子が発生している場合は、H23.03.31時点で生計維持を確認し、23年4月から加算対象になる。(H22国民年金改正法附則2条)
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 障害基礎年金の加算額に係る生計維持の認定(施行令4条の7)(H23.04.01)
 「法33条の2の1項に規定する障害基礎年金の受給権者によつて生計を維持している子は、当該障害基礎年金の受給権者と生計を同じくする者であつて厚生労働大臣の定める金額以上の収入を有すると認められる者以外のものその他これに準ずる者として厚生労働大臣が定める者とする」
 「受給権者がその権利を取得した当時その者によって生計を維持していた子」を「受給権者によって生計を維持している子」に、
 「受給権者がその権利を取得した当時その者と生計を同じくしていた者」を「「受給権者と生計を同じくする者」に、
 「収入を将来にわたって有する」を「収入を有する」に。基礎知識と過去問学習はこちらを
 子を有するに至ったときの届出(施行規則33条の3)(H23.04.01)
 「障害基礎年金の受給権者は、子(33条の2の2項に規定する新たに発生した加算対象の子)を有するに至つたときは、当該事実があつた日から14日以内に、次の各号に掲げる事項(本人の障害基礎年金証書年金コード、子の氏名、生年月日、子を有するに至った年月日とその事由など)を記載した届書を機構に提出しなければならない。
 「2項 前項の届書には、次の各号に掲げる書類(子の生年月日及びその子と受給権者との身分関係を明らかにすることができる市町村長の証明書又は戸籍の抄本、子が受給権者によつて生計を維持していることを明らかにすることができる書類、子が障害常態にあるときはその診断書等)を添えなければならない」
 障害基礎年金における子の加算額の改定に伴い、
 新たに加算対象になった子の届出として、
 従来の「胎児出生の届出」を、「子を有するに至つたときの届出」に変更
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 振替加算の経過措置(H22国民年金法等改正に伴う関係政令の整備及び経過措置7条)(H23.04.01施行)
「老齢基礎年金の額は、当該老齢基礎年金の受給権者が、大正15年4月2日から昭和21年4月1日までの間に生まれた者であって、施行日(平成23年4月1日)において、次の各号のいずれにも該当するその者の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)によって生計を維持しているときは、昭和60年改正法附則14条に規定する加算額(振替加算)を加算した額とする」
 @平成23年4月1日において現に障害厚生年金又は障害共済年金の受給権者(同一の支給事由に基づく障害基礎年金の受給権を有する者に限る)であること」
 A配偶者となった日が、障害厚生年金又は障害共済年金の権利を取得した日の翌日から、老齢基礎年金受給権者が65歳に達した日の前日までの間にあること。
「3項 1項の加算を開始すべき事由が生じた場合における老齢基礎年金の額の改定は、施行日の属する月(平成23年4月)から行うものとする」


 振替加算相当老齢基礎年金の経過措置(H22国民年金法等改正に伴う関係政令の整備及び経過措置8条)(H23.04.01施行)
 「大正15年4月2日から昭和21年4月1日までの間に生まれた者であって、65歳に達した日において、保険料納付済期間及び保険料免除期間を有さず、かつ、昭和60年改正法附則15条に該当するもの(本来の振替加算相当老齢基礎年金受給対象者)が、施行日(平成23年4月1日)において、次の各号のいずれにも該当するその者の配偶者によって生計を維持しているときは、老齢基礎年金の支給要件に該当するものとみなして、その者に老齢基礎年金を支給する」
 @平成23年4月1日において現に障害厚生年金又は障害共済年金の受給権者(同一の支給事由に基づく障害基礎年金の受給権を有する者に限る)であること。
 A配偶者となった日が、障害厚生年金又は障害共済年金の権利を取得した日の翌日から振替加算相当老齢基礎年金受給権者が65歳に達した日の前日までの間にあること 」


「5項 1項による老齢基礎年金の支給は、施行日の属する月から始めるものとする」 
 7条:
 従来は、2級以上の障害厚生年金・障害共済年金の受給者がその受給権取得後に婚姻しても、その配偶者に対して65歳になるまでの加給はなく従って65歳以降の振替加算もなかった。

 今回の法改正により、受給権取得後に婚姻した(婚姻の時期は、配偶者が65歳未満であったときに限る)場合も、平成23年4月からは加給対象となることになった。(厚生年金法の法改正)
 その場合、平成23年4月にはその配偶者が既に65歳に達している場合は、(それまでは加給があったとみなして)平成23年4月から振替加算が開始となる。  
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 8条:
 振替加算相当老齢基礎年金についても、上記と同じ趣旨による経過措置。
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届出  被保険者に関する届出(12条) H23.04.01
 「4項 市町村長は、1項又は2項までの規定による届出を受理したとき(氏名及び住所の変更に関する事項の届出であって厚生労働省省令で定めるものを受理したときを除く)は、厚生労働省令の定めるところにより、厚生労働大臣にこれを報告しなければならない」  
 「5項  第3号被保険者は、厚生労働省令の定めるところにより、その資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項並びに氏名及び住所の変更に関する事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。
 ただし、氏名及び住所の変更に関する事項であって厚生労働省令で定めるものについては、この限りでない

 4項:太字(  )部分を追加
 5項:太字(  )但し書き以降を追加
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 なお、「厚生労働省省令で定めるものを受理したときを除く」とあるが、具体的な内容は24年度以降。
 届出(105条4項) H23.04.01
 「被保険者又は受給権者が死亡したときは、戸籍法の規定による死亡の届出義務者は、厚生労働省令の定めるところにより、その旨を第3号被保険者以外の被保険者に係るものにあっては市町村長に、第3号被保険者又は受給権者に係るものにあっては 厚生労働大臣に届け出なければならない。
 ただし、厚生労働省令で定める被保険者又は受給権者の死亡について、同法の規定による死亡の届出をした場合(厚生労働省令で定める場合に限る)は、この限りでない
 太字但し書き以降を追加。
 被保険者の場合の基礎知識と過去問学習はこちらを
 受給権者の場合の基礎知識と過去問学習はこちらを
 
なお、「厚生労働省令で定める場合に限る」とあるが、具体的な内容はまだ決まっていない。
前納保険料の還付  前納期間中に被保険者を喪失した場合の保険料還付の取扱いについて(H22.11.29 年年発1129-1) (H22.12.01新設)
 「任意加入被保険者が保険料を前納したが、前納期間の途中で資格を喪失した後、引き続き第1号被保険者になった場合において、任意加入被保険者として納付する保険料と第1号被保険者として納付する保険料はどちらも国民年金の保険料であることから、未経過期間に係る保険料は第1号被保険者として前納された保険料として取扱い、前納期間に係る各月が経過した場合に、保険料納付済期間に参入されると、93条3項は解釈すべきである。
 よって、当該被保険者が希望した場合においては、未経過期間に係る前納保険料について還付の請求は求めず引き続き取得した被保険者資格(2号でも3号でもない被保険者、すなわち1号又は任意加入被保険者)として保険料納付済期間に算入することとする」 
 たとえば、海外に移住した際に国民年金の1号被験者資格を喪失したが、その時点で任意加入し、保険料を前納していた。
 その者が60歳未満で帰国して1号被保険者になった場合、従来は、前納保険料で未経過部分は還付となり、新たに1号被保険者として(割引額が異なる)保険料を納付し直さないといけないことになっていた。
 改正後は、本人が希望すれば、前納保険料はそのまま活きることになった。
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