17年度 法改正トピックス(厚生年金の主要改正点)
 年金財政国庫負担保険料再評価率年金給付在職老齢年金脱退一時金短時間労働者への適用拡大問題厚生年金基金育児休業関連その他
  改正後 改正ポイント
年金財政 1.財政の均衡等(2条の3、2条の4)
 「2条の3 厚生年金保険事業の財政は、長期的にその均衡が保たれたものでなければならず、著しくその均衡を失すると見込まれる場合には、速やかに所要の措置が講ぜられなければならない」
 「2条の4 政府は、少なくとも5年ごとに、保険及び国庫負担の額並びにこの法律による保険給付に要する費用の額その他の厚生年金保険事業の財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における見通し(財政の現況及び見通し)を作成しなければならない」
 「同2項 前項の財政均衡期間は、財政の現況及び見通しが作成される年以降おおむね100年間とする」
国民年金と同様な改訂
2.調整期間(34条)
 「政府は、財政の現況及び見通しを作成するに当たり、厚生年金保険事業の財政が、財政均衡期間の終了時に保険給付の支給に支障が生じないようにするために必要な積立金(年金特別会計の厚生年金勘定に係る積立金並び責任準備金)を保有しつつ当該財政均衡期間にわたってその均衡を保つことができないと見込まれる場合には、保険給付の額を調整するものとし、政令で、保険給付の額を調整する期間(調整期間)の開始年度を定めるものとする」
 調整期間の開始年度は平成17年度、終了年度は別途政令で定める。
国民年金と同様な改訂
 調整期間中は、「マクロ経済スライド」を適用して、財政の均衡を保つように、給付額の伸びを調整する。
国庫負担 1.基礎年金拠出金に対する国庫負担
 「80条1項 国庫は、毎年度、厚生年金保険の管掌者たる政府が国民年金法の規定により負担する基礎年金拠出金の額の2分の1に相当する額を負担する」
 
 ただし実際には、基礎年金拠出金の国庫負担に関する経過措置(平成16年改正法附則32条)
 「3項 平成17年度から特定年度の前年度までについては、3分の1に1,000分の11を加えた率を乗じて得た額とする」
 「4項 国庫は、平成17年度における基礎年金拠出金の一部に充てるため、3分の1に1,000分の11を加えた率を乗じて得た額のほか、821億6,035万5,000千円を負担する
保険料 1.保険料率(81条4項)
 「平成16年10月から17年8月までは1,000分の139.34、その後毎年1,0000分の3.54づつ上がり、平成29年9月以降は1,000分の183で固定されることになっている」
2.標準報酬月額最高等級の改定基準
 「20条2項 毎年3月31日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額の100分の200に相当する額が標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の9月1日から、健康保険法に規定する標準報酬月額の等級区分を参酌して、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる」
現行の最高等級は30級で62万円。よって、全被保険者の標準報酬月額平均値が継続的に31万円を超える場合は、31等級が生まれる。
 「24条の3 社会保険庁長官は、被保険者が賞与を受けた月において、その月に当該被保険者が受けた賞与額に基づき、これに1,000円未満の端数を生じたときはこれを切り捨てて、その月における標準賞与額を決定する。この場合において、当該標準賞与額が150万円(20条第2項の規定による標準報酬月額の等級区分の改定が行われたときは、政令で定める額)を超えるときは、これを150万円とする」 
 ⇒ 標準賞与額の上限値は標準報酬月額の最高等級の人の年収の平均値をもとに算出している。よって、最高等級の改定があったときは賞与の上限額も改定される。
 健康保険法における「標準報酬月額上限の弾力的調整」に準じた規定を整備した。
 「2項 毎年3月31日における標準報酬月額等級の最高等級に該当する被保険者数の被保険者総数に占める割合が100分の1.5を超える場合において、その状態が継続すると認められるときは、その年の9月1日から、政令で、当該最高等級の上に更に等級を加える標準報酬月額の等級区分の改定を行うことができる」(健保法40条2項)
再評価率 1.老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給額(43条)
 「老齢厚生年金の額は、被保険者であった全期間の平均標準報酬額(被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額に、別表各号に掲げる受給権者の区分に応じた再評価率を乗じて得た額の総額を、当該被保険者期間の月数で除して得た額)の1000分の5.481に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額とする」
1.本則
 平均標準報酬額×支給乗率×被保険者期間月数×物価スライド率
 
から、
 
平均標準報酬額×再評価率×支給乗率×被保険者期間月数へ
  
 
すなわち、これまでは5年に1度の財政再計算のときに、法改正により再評価率の見直しを行い、途中年度は物価スライドで対応してきた方式を、再評価率を自動的に求める方式に改めた。
2.物価スライド特例措置(16年改正法27条)
 「改正後の厚生年金保険法等の規定により計算した額が、改正前の規定により計算した額×0.988(前年の全国消費者物価 が低下した場合はそれに応じて補正した率)を下回った場合は、後者とする」
 ⇒実際の年金額は当面、この物価スライド特例措置による。
2.再評価率 
 「43条の4 調整期間における再評価率の改定については、名目手取り賃金変動率に調整率(公的年金被保険者変動率×0.997)を乗じて得た率を基準とする。ただし、前年度の再評価率を下回ることとなるときは、1を基準とする」
 「43条の5 調整期間における基準年度(受給権者が65歳に達した年度の3年後の年度)以後再評価率の改定については、前条の規定にかかわらず、物価変動率に調整率を乗じて得た率を基準とする。ただし、前年度の 再評価率を下回ることとなるときは、1を基準とする」
 注:調整期間ではないときは、調整率は1と考えればよい。
   再評価率に関する上記すべての条項は原則論である。
3.特別支給の老齢厚生年金における定額部分の年金額(附則9条の2の2項)
 「1,628円に国民年金法27条に規定する改定率を乗じて得た額(その額に50銭未満の端数は切り捨て、50銭以上1円未満の端数は1円に切り上げる)に被保険者期間の月数(当該月数が480を超えるときは、480とする)を乗じて得た額」
4.従前額補償と物価スライド特例措置適用後における年金額(まとめ)
 現時点において、通常の場合最も高いと想定される年金額は以下の通り。
 報酬比例部分 (平均報酬月額(H12改正前値)×1000分の7.5(生年月日読替えあり)×H15.3までの月数+平均報酬額(H12改正前値)×1000分の5.569(生年月日読替えあり)×H15.4以降の月数)×1.031×0.985
 定額部分  1,676×生年月日調整率×被保険者期間月数×0.985
5.保険給付の自動改定の仕組み
 老齢厚生年金(報酬比例部分)  平均標準報酬額(各標準報酬額×再評価率の総額/被保険者期間月数)×5.481/1000×被保険者期間月数
 特別支給老齢厚生年金定額部分    1,628円×国民年金法による改定率×被保険者期間月数
 加給年金額(配偶者及び2人の子)  224,700円×国民年金法による改定率
 加給年金額(3人目以降)   74,900円×国民年金法による改定率
 配偶者特別加算  昭和9年4月2日以降の生年月日に応じた一定額×改定率
 障害厚生年金  老齢厚生年金(報酬比例部分)(ただし、1級はこの1.25倍)
 障害厚生年金最低保障額  障害基礎年金の額(780,900円×改定率)×3/4
 遺族厚生年金  老齢厚生年金(報酬比例部分)×3/4
 中高齢寡婦加算  遺族基礎年金の額(780,900円×改定率×3/4
 経過的加算  中高齢寡婦加算−780,900円×改定率×生年月日に応じた控除率
 障害手当金  老齢厚生年金(報酬比例部分)×200/100
 
(最低保障額は障害厚生年金最低保障額×2)
 脱退一時金  平均標準報酬額(再評価率は1)×保険料率×1/2×被保険者期間月数に応じた一定数
年金給付 1.給付水準下限値の設定(H16改正法附則2条)
 「国民年金法による年金たる給付及び厚生年金保険法による年金たる保険給付については、第1号に掲げる額と第2号に掲げる額とを合算して得た額の第3号に掲げる額に対する比率が100分の50を上回ることとなるような給付水準を将来にわたり確保するものとする」 
1  夫婦2人分の満額の老齢基礎年金の月額
2  男子の平均的標準報酬、480月加入の場合の老齢厚生年金の月額
3  前年度における男子被保険者の平均的標準報酬額から税金等を控除した額
2.障害厚生年金の最低額(50条3項)
 「障害厚生年金の給付事由となった障害について、障害基礎年金を受けることができない場合において、障害厚生年金の額が障害基礎年金の額に4分の3を乗じて得た額(50円未満の端数は切り捨て、50円以上100円未満の端数は100円に切り上げ)に満たないときは、当該額とする」
 ここで、最低保障額は
 本則:満額の基礎年金額×3/4 
 物価スライド特例:603,200円×0.985=594,200円
 障害厚生年金1級、2級の受給権者に対しても障害基礎年金が支給されない場合(65歳以上で国民年金2号被保険者から排除された者が2級以上になった場合など)には 最低保障額 制度を適用
  従来は3級のみ適用
在職老齢年金 1.60歳台前半の在職老齢年金2割カットの廃止(附則11条)
 「老齢厚生年金の受給権者が被保険者である日が属する月において、
 @総報酬月額相当額と、老齢厚生年金の額を12で除して得た額(基本月額)との合計額が支給停止調整開始額を超えるときは、次の各号に掲げる場合に応じ、各号に定める額に12を乗じて得た額(支給停止基準額))に相当する部分の支給を停止する
 Aただし、支給停止基準額が老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部の支給を停止するものとする」
基本月額=老齢厚生年金の額/12
  従来は、基本月額=老齢厚生年金の額×0.8/12
 すなわち、一律2割カットは廃止された

60歳台前半
 支給停止調整額
  =28万円×名目手取賃金変動率
 支給停止額
  =48万円×物価変動率×実質賃金変動率

60歳台後半

  支給停止額
  =48万円×物価変動率×実質賃金変動率

2.60歳台前半の在職老齢年金支給停止額の自動変更(附則11条)
 「2項 前項の支給停止調整開始額は、28万円とする。ただし、28万円に平成17年度以後の各年度の再評価率の改定の基準となる率であって政令で定める率をそれぞれ乗じて得た額(5,000円未満の端数は、5,000円以上1万円未満の端数は1万円に切り上げ)が28万円(あるいは直近の改定額)を超え、又は下るに至った場合においては、当該年度の4月以後の支給停止調整開始額を当該乗じて得た額に改定する」
 「3項 支給停止調整変更額は、48万円とする。ただし、48万円に平成17年度以後の各年度の物価変動率に実質賃金変動率を乗じた額(端数処理は同様)が48万円(あるいは直近の改定額)を超え、又は下るに至った場合においては、当該年度の4月以後の支給停止調整変更額を当該乗じて得た額に改定する」
3.60歳台後半の在職老齢年金支給停止額の自動変更(46条2項)
 
60歳台前半の在職老齢年金支給停止額と同じ
脱退一時金 1.脱退一時金の額の自動改定(附則29条)
 「脱退一時金の額は、被保険者であった期間に応じて、その期間の平均標準報酬額(被保険者期間の計算の基礎となる 各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、当該被保険者期間の月数で除して得た額)に支給率を乗じて得た額とする」
 「4項 前項の支給率は、最終月(最後に被保険者の資格を喪失した日の属する月の前月)の属する年の前年10月の保険料率(最終月が1月から8月までの場合にあっては、前々年10月の保険料率)に2分の1を乗じて得た率に、 一定の乗率を乗じた率とし、その率に少数点以下1位未満の端数があるときは、これを四捨五入する」
被保険者期間 新支給率

 改正前支給率
(被保険者期間がすべて17年4月前である場合に適用)

6月以上12月未満  6×保険料率×1/2  0.4
12月以上18月未満 12×保険料率×1/2  0.8
18月以上24月未満 18×保険料率×1/2  1.2
24月以上30月未満 24×保険料率×1/2  1.6
30月以上36月未満 30×保険料率×1/2  2.0
36月以上 36×保険料率×1/2  2.4
平均標準報酬額×新支給率(新定数×保険料率×0.5)   
 従来は、
  平均標準報酬額×支給率
 
 注 保険料率×0.5とは、本人が負担する保険料率のこと。
短時間労働者 1.短時間労働者に対する厚生年金保険法の適用(H16改正法附則3条3項)
 「短時間労働者に対する厚生年金保険法の適用については、就業形態の多様化の進展を踏まえ、被用者としての年金保障を充実する観点及び企業間における負担の公平を図る観点から、社会経済の状況、短時間労働者が多く就業する企業への影響、事務手続の効率性、短時間労働者の意識、就業の実態及び雇用への影響並びに他の社会保障制度及び雇用に関する施策その他の施策との整合性に配慮しつつ、企業及び被用者の雇用形態の選択にできる限り中立的な仕組みとなるよう、この法律の施行後5年を目途として、総合的に検討が加えられ、その結果に基づき、必要な措置が講ぜられるものとする」
現状
 「通常の就労者の所定労働時間及び所定労働日数のおおむね4分の3以上である就労者については、原則として健康保険及び厚生年金保険の被保険者として取り扱うべきものであること」(S55.6.6各都道府県保険課長あて内かん)
短時間労働者への適用拡大については、経営者側が強く反対し、該当労働者自身の 反対も結構多いことなどから、5年先送りになった。
厚生年金基金 1.基金の免除保険料率
 当分の間の措置とされている厚生年金基金の免除保険料率の凍結を解除し、算定方法が見直された結果
 改正後  改正前
 2.4%〜5.0%  2.4%〜3.0%
2.解散の特例措置
 「附則33条 4分の3以上の多数による代議員会の議決または、基金の事業の継続の不能により解散をしようとする基金(平成17年4月1日前に設立されたものに限る)であって、当該解散をしようとする日において年金給付等積立金の額が責任準備金相当額を下回っていると見込まれるもの(特定基金)は、厚生労働大臣に対して、責任準備金相当額の減額を申し出ることができる」
 「同2項 前項の申出は、平成17年4月1日から起算して3年を経過する日までの間に限り行うことができる」
  「同3項 政府は、1項の申出を行った特定基金であって、当該申出の日まで業務の運営について相当の努力をし、かつ、当該申出の日以後の事業の継続が困難であると見込まれるものとして政令で定める要件に適合すると厚生労働大臣が認めたものが解散したときは、責任準備金相当額に代えて、減額責任準備金相当額(加入員及び加入員であった者が加入員でなかったとしたときの積立金増加額の算定額又は当該特定基金の年金給付等積立金の額のうちいずれか大きい方の額)を、当該解散した特定基金から徴収する」
 「附則34条 特定基金は、責任準備金相当額の納付に関する計画(納付計画)を作成し、厚生労働省令で定めるところにより、これを厚生労働大臣に提出して、その納付計画が適当である旨の承認を受けることができる」
 「同4項 厚生労働大臣は、1項の承認の申請があった場合において、当該申請に係る納付計画が、前項の納付の猶予を受けようとする期間が5年以内(5年以内に納付することができないやむを得ない理由があると認められるときは、10年以内)であることその他厚生労働省令で定める要件に適合するものであると認めるときは、その承認をするものとする」
 「5項 政府は、前項の承認を受けた特定基金が解散したときは、当該納付計画に基づいて、責任準備金相当額納付の猶予をするものとする」
 年金給付等積立金が責任準備金相当額を下回っている厚生年金基金が、一定の要件を満たして解散する場合、責任準備金相当額の減額、納付の猶予(原則5年間)等の特例を、3年間の時限措置とし認めた。
3.健全化計画(178条の2)
 「年金給付等積立金の額が政令で定める額を著しく下回る基金であって、政令で定める要件に該当するものとして厚生労働大臣の指定を受けたもの(指定基金)は、政令で定めるところにより、その財政の健全化に関する計画(健全化計画)を定め、厚生労働大臣の承認を受けなければならな
い。これを変更しようとするときも、同様とする」
 「2項 前項の承認を受けた指定基金は、当該承認に係る健全化計画に従い、その事業を行わなければならない」
 「3項 厚生労働大臣は、1項の承認を受けた指定基金の事業及び年金給付等積立金の状況により、その健全化計画を変更する必要があると認めるときは、当該指定基金に対し、期限を定めて健全化計画の変更を求めることができる」  
政令で定める要件:
 連続する3事業年度中の各年度末における年金給付等積立金の額が、責任準備金相当額×9/10未満
健全化計画(指定日の翌年度からの5ヵ年計画):
 事業及び財産の現状、健全化目標、健全化のための具体的措置と収支の見通し
4.周知義務(115条)
 「4項 基金は、設立の認可を受けたとき、又は規約の変更をしたときは、遅滞なく、基金の規約を適用事業所に使用される被保険者に周知させなければならない」
育児休業関連 1.3歳に満たない子を養育する被保険者等の標準報酬月額の特例(26条)
 「3歳に満たない子を養育し、又は養育していた被保険者又は被保険者であった者が、厚生労働省令で定めるところにより社会保険庁長官に申出(被保険者にあっては、その使用される事業所の事業主を経由して行う)をしたときは、当該子を養育することとなった日の属する月から次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日の属する月の前月までの各月のうち、標準報酬月額が当該子を養育することとなった日の属する月の前月の標準報酬月額(従前標準報酬月額)を下回る月については、従前標準報酬月額を当該下回る月の平均標準報酬額の計算の基礎となる標準報酬月額とみなす」 
1  当該子が3歳に達したとき
2  被保険者資格を喪失するとき
3  当該子以外の子を養育することとなったとき、その他これに準ずる事実として厚生労働省令で定めるものが生じたとき。
4  当該子が死亡したとき、その他当該子を養育しないこととなったとき
5  81条の2により、育児休業期間中の保険料免除の適用を受ける育児休業等を開始したとき。
3歳に満たない子を養育する被保険者が、育児期間中に勤務時間短縮措置等によって、標準報酬月額が低下した場合でも、社会保険庁長官に申し出ることにより、従前標準報酬月額が 保障される。
 ⇒ 年金額は従前標準報酬月額とその期間の実際の標準報酬月額のうち、高い方で計算
 ⇒ 保険料の支払は、低下した実際の標準報酬月額に基づいて納付すればよい。
2.育児休業等終了後の標準報酬月額の改訂 (新設)
 「23条の2 社会保険庁長官は、育児・介護休業法に規定する育児休業、育児休業の制度に準ずる措置による休業(育児休業等)を終了した被保険者が、
 育児休業等を終了した日において育児休業に係る3歳に満たない子を養育し、
 事業主を経由して、社会保険庁長官に申出をしたときは、
 終了日の翌日が属する月以後3月間(終了日の翌日以降、継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払基礎日数が17日未満である月を除く)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として
 標準報酬月額を改定する」
 「同2項 前項の規定によって改定された標準報酬月額は、育児休業等終了日の翌日から起算して2月を経過した日の属する月の翌月からその年の8月(当該翌月が7月から12月までのいずれかの月である場合は、翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする」
 「24条 被保険者の報酬月額が、定時決定、資格取得時決定若しくは前条1項の規定によって算定することが困難であるとき又はこれらにより算定した額が著しく不当であるときは、これらの規定にかかわらず、社会保険庁長官が算定する額を当該被保険者の報酬月額とする」
 復帰後の保険料の支払は、
 復帰日の属する月とその翌月、翌々月の3か月間の実際の報酬によって標準報酬月額を改定し、翌々々月からは新保険料を適用する

 ⇒2等級以上の差がなくても改定される。
3.保険料の免除
 「81条の2 育児休業等をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、厚生労働省令の定めるところにより社会保険庁長官に申出をしたときは、当該被保険者に係る保険料であってその育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等終了する日の翌日が属する月の前月までの期間に係るものの徴収は行わない」
 「139条7項 育児休業等をしている加入員を使用する設立事業所の事業主が、厚生労働省令の定めるところにより基金に申出をしたときは、その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間に係る掛金のうち、免除保険料額を免除する」
 最大で3歳に到達するまでの育児休業あるいはこれに準ずる措置による休業期間中は保険料免除 
  従来は1歳まで
 
 基金加入員についても、国に納付する保険料は81条の2により、基金の掛金部分は139条7項により免除されるので、結局全額免除される。

 年金額は休業開始前の標準報酬月額で計算
その他 1.社会保障に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律
 「4条 厚生年金保険の適用事業所に使用される者であって次の各号のいずれかに掲げるものは、厚生年金保険の被保険者としない」
 @日本国内において就労する者であって、大韓民国年金法令の規定の適用を受けるもの
 A大韓民国域内において就労する者であって、大韓民国年金法令の規定の適用を受けるもの
2.公的年金制度の検討(H16附則3条)
 「政府は、社会保障制度に関する国会の審議を踏まえ、社会保障制度全般について、税、保険料等の負担と給付の在り方を含め、一体的な見直しを行いつつ、これとの整合を図り、公的年金制度について必要な見直しを行うものとする」
 「2項 前項の公的年金制度についての見直しを行うに当たっては、公的年金制度の一元化を展望し、体系の在り方について検討を行うものとする」
 「3項 短時間労働者に対する厚生年金保険法の適用については、就業形態の多様化の進展を踏まえ、被用者としての年金保障を充実する観点及び企業間における負担の公平を図る観点から、社会経済の状況、短時間労働者が多く就業する企業への影響、事務手続の効率性、短時間労働者の意識、就業の実態及び雇用への影響並びに他の社会保障制度及び雇用に関する施策その他の施策との整合性に配慮しつつ、企業及び被用者の雇用形態の選択にできる限り中立的な仕組みとなるよう、この法律の施行後5年を目途として、総合的に検討が加えられ、その結果に基づき、必要な措置が講ぜられるものとする」