行政不服審査法(参考) Tome塾Homeへ
9C 行政不服審査法
関連過去問
 目的等  目的等(1条)
  「この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする」
 「同2項 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(以下単に「処分」という)に関する不服申立てについては、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる」 
 審査請求
 不服申立ての種類(旧3条)(H28.04.01除)
 「この法律による不服申立ては、行政庁の処分又は不作為について行なうものにあつては審査請求又は異議申立てとし、審査請求の裁決を経た後さらに行なうものにあつては再審査請求とする」
⇒ 「異議申立て」は不服申立ての手段としては削除。

 上記に代わって
 処分についての審査請求(2条)
 「行政庁の処分に不服がある者は、4条(審査請求をすべき行政庁)及び5条2項(再調査後の審査請求)の定めるところにより、審査請求をすることができる」
 不作為についての審査請求)(3条)
 「法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為(法令に基づく申請に対して何らの処分をもしないことをいう)がある場合には、次条の定めるところにより、当該不作為についての審査請求をすることができる」
 審査請求をすべき行政庁(4条)
 「審査請求は、法律(条例に基づく処分については、条例)に特別の定めがある場合を除くほか、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める行政庁に対してするものとする」
@処分庁等(処分をした行政庁又は不作為に係る行政庁)に上級行政庁がない場合又は処分庁等が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局の長等である場合:当該処分庁等
A宮内庁長官又は外局の長が処分庁等の上級行政庁である場合: 宮内庁長官又は当該庁の長
B主任の大臣が処分庁等の上級行政庁である場合(前二号に掲げる場合を除く):当該主任の大臣
C前三号に掲げる場合以外の場合:当該処分庁等の最上級行政庁
 代理人による審査請求(12条)
 「審査請求は、代理人によってすることができる」
 「同2項  前項の代理人は、各自、審査請求人のために、当該審査請求に関する一切の行為をすることができる。ただし、審査請求の取下げは、特別の委任を受けた場合に限り、することができる」
 審査請求期間(18条)
 「処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3月を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない」
 「同2項 処分についての審査請求は、処分(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定)があった日の翌日から起算して1年を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない」
再審査請求  再審査請求(6条)
 「行政庁の処分につき法律に再審査請求をすることができる旨の定めがある場合には、当該処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、再審査請求をすることができる」
 再審査請求期間(62条)
 「再審査請求は、原裁決があったことを知った日の翌日から起算して1月を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない」
  「同2項 再審査請求は、原裁決があった日の翌日から起算して1年を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない」
異議申立て  異議申立て(旧6条)(H28.04.01削除)
 「行政庁の処分についての異議申立ては、次の場合にすることができる。
 ただし、1号又2号の場合において、当該処分について審査請求をすることができるときは、法律に特別の定めがある場合を除くほか、することができない」
1  処分庁に上級行政庁がないとき
2  処分庁が主任の大臣又は宮内庁長官若しくは外局若しくはこれに置かれる庁の長であるとき。
3  前二号に該当しない場合であつて、法律に異議申立てをすることができる旨の定めがあるとき




 処分についての審査請求の却下又は棄却(45条)
 「処分についての審査請求が法定の期間経過後にされたものである場合その他不適法である場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する」
⇒却下:審査せず(審査に値しない)
 「2項 処分についての審査請求が理由がない場合には、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却する」
⇒棄却:不服を認めない。
 「3項 審査請求に係る処分が違法又は不当ではあるが、これを取り消し、又は撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、処分を取り消し、又は撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却することができる。
 この場合には、審査庁は、裁決の主文で、当該処分が違法又は不当であることを宣言しなければならない」
⇒不服はもっともであるが、不服を認めると公の利益に著しい損害があるなど特別な事情があるので、不風を認めない(処分を取り消さない)ことにする。(事情裁決)
  処分についての審査請求の認容(46条)
 「処分(事実上の行為を除く)についての審査請求が理由がある場合(前条3項の規定の適用がある場合を除く)には、審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。
 ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には、当該処分を変更することはできない」
⇒認容:不服はもっともであるので、これを認め、処分の取消し、変更を行う。
 「2項 前項の規定により法令に基づく申請を却下し、又は棄却する処分の全部又は一部を取り消す場合において、次の各号に掲げる審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該各号に定める措置をとる」
@処分庁の上級行政庁である審査庁:当該処分庁に対し、当該処分をすべき旨を命ずること
A処分庁である審査庁:当該処分をすること。
行政
事件訴訟法
 処分の取消しの訴えと審査請求との関係 (行政事件訴訟法8条)
 「処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することできない旨の定めがあるときは、この限りでない」
⇒「審査官による決定を経た後でなければ、処分の取消しの訴えを提起することできない」とある場合も同様である。(特別法は一般法に優先する)
 「同2項 前項ただし書の場合においても、次の各号の一に該当するときは、裁決を経ないで、処分の取消しの訴えを提起することができる」  
 @審査請求があつた日から3箇月を経過しても裁決がないとき
 A処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき。
 Bその他裁決を経ないことにつき正当な理由があると
⇒厚生年金法など各法における2審制の案件については、審査請求前置(審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することできない)の規定があるが、「3箇月を経過しても裁決がないときは棄却さfれた者とみなす」という規定が各法で個別に設けられている。
⇒厚生年金法など各法における1審制の案件では、審査請求前置はとられていないので、審査請求に対する裁決を経ないでも処分の取消しの訴えを提起することができる。