28年度法改正トピックス(国民年金法に関する主要改正点)
  改正後 改正ポイント
   定義
 「5条8項 H27.10.01) この法律において、政府及び実施機関とは、厚生年金保険の実施者たる政府及び実施機関たる共済組合等をいう」
 「5条9項 この法律において、「実施機関たる共済組合等」とは、厚生年金保険の実施機関たる国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会又は日本私立学校振興・共済事業団をいう」
 5条1項 「被用者年金各法」の定義は被用者年金の一元化に伴い削除。以下2項以降が順に繰り上げられた。
 5条8項(旧5条9項)
 被用者年金の一元化に伴い、かっての被用者年金はすべて厚生年金に統合され、共済年金等の保険者であった共済組合連合会などは、厚生年金保険の実施機関になった。
 これにより、政府(厚生労働省、厚生労働大臣)も厚生年金保険の一つの実施機関(条文上では実施者)になった。
 これらにより、旧5条9項「この法律において、被用者年金保険者とは、厚生年金保険の管掌者たる政府又は年金保険者たる共済組合等をいう」は左記のとおりに。基礎知識と過去問学習はこちらを
 5条9項(旧5条10項)
 「年金保険者たる共済組合等」から「実施機関たる共済組合等」へ。
 基礎知識と過去問学習はこちらを
    被保険者(7条1項)(H27.10.01)
  「次の各号のいずれかに該当する者は、国民年金の被保険者とする」
@日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者であつて次号及び3号のいずれにも該当しないもの(厚生年金保険法に基づく老齢を支給事由とする年金たる保険給付その他の老齢又は退職を支給事由とする給付であつて政令で定めるもの(厚生年金保険法に基づく老齢給付等)を受けることができる者を除く。以下「第1号被保険者」という)
A厚生年金保険の被保険者(以下「第2号被保険者」という)
B第2号被保険者の配偶者であつて主として第2号被保険者の収入により生計を維持するもの(第2号被保険者である者を除く。以下「被扶養配偶者」という)のうち20歳以上60歳未満のもの(以下「第3号被保険者」という)
 被用者年金の一元化に伴って
@「被用者年金各法に基づく老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付」は「厚生年金保険法に基づく老齢を支給事由とすり年金たる保険給付」に

A「被用者年金各法の被保険者、組合員又は加入者」は「厚生年金保険の被保険者」に
 基礎知識と過去問学習はこちらを 
端数処理  端数処理(17条)(H27.10.01)
 「年金たる給付を受ける権利を裁定する場合又は年金給付の額を改定する場合において、年金給付の額に50銭円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたときは、これを1円に切り上げるものとする」
 2月期支払の年金の加算(18条の2) (H27.10.01新規)
 「前条3項(偶数月支払い)の規定による支払額に1円未満の端数が生じたときは、これを切り捨てるものとする」
 「同2項 毎年3月から翌年2月までの間において前項の規定により切り捨てた金額の合計額(1円未満の端数が生じたときは、これを切り捨てた額)については、これを当該2月の支払期月の年金額に加算するものとする」
・被用者年金の一元化に伴って、年金額の端数処理方法を共済年金にあわせ、
 100円単位から円単位に。
 基礎知識と過去問学習はこちらを
・毎偶数月支払いの額は年金額を6で割り、1円未満の端数は切り捨て
・ただし、3月(通常であれば4月)から翌年2月まで(通常であれば6回分)について、切り捨て値の合計が1円以上となれば2月に精算される。
 基礎知識と過去問学習はこちらを
   併給調整(20条1項) (H27.10.01)
 「遺族基礎年金又は寡婦年金は、その受給権者が他の年金給付(付加年金を除く)又厚生年金法による年金たる保険給付(当該年金給付と同一の支給事由に基づいて支給されるものを除く)を受けることができるときは、その間、その支給を停止する。
 老齢基礎年金の受給権者が他の年金給付(付加年金を除く)又は同法による年金たる保険給付(遺族厚生年金を除く)を受けることができる場合における当該老齢基礎年金 及び、
 障害基礎年金の受給権者が他の年金給付(付加年金を除く)を受けることができる場合における当該障害基礎年金についても、同様とする」
 一元化により、「退職共済年金、障害共済年金、遺族共済年金」は「老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金」になったことに伴い、
 「被用者年金各法による年金たる給付」から「厚生年金保険法による年金たる保険給付」に、
 「被用者年金各法による年金たる給付(遺族厚生年金並びに退職共済年金及び遺族共済年金を除く)」から「同法(厚生年金保険法のこと)による年金たる保険給付(遺族厚生年金を除く)」に。基礎知識と過去問学習はこちら
   基礎年金拠出金(94条の2) (H27.10.01)
 「厚生年金保険の実施者たる政府は、毎年度、基礎年金の給付に要する費用に充てるため、基礎年金拠出金を負担する
 「同2項 実施機関たる共済組合等は、毎年度、基礎年金の給付に要する費用に充てるため、基礎年金拠出金を納付する」
 「管掌者たる政府」から、「実施者たる政府」に、
 「年金保険者たる共済組合等」から「実施機関たる共済組合等」へ
 基礎知識と過去問学習はこちらを 
   全額免除申請の事務手続に関する特例(109条の2)(2707.01.新規)
 「90条1項の申請(全額免除申請)に関する事務を適正かつ確実に実施することができると認められる者であつて、厚生労働大臣が当該者からの申請に基づき指定するもの(指定全額免除申請事務取扱者」)は、同項各号のいずれかに該当する被保険者又は被保険者であつた者(厚生労働省令で定める者に限る。以下「全額免除要件該当被保険者等」という)の委託を受けて、全額免除要件該当被保険者等に係る全額免除申請をすることができる」
 「2項 以下略」
 罰則規定(113条の2)
 4号追加:
・全額免除要件該当被保険者等は自らが市区町村に出向いて免除申請するほか、指定全額免除申請事務取扱者に免除申請を委託することができるように。。
・全額免除要件該当被保険者等とは、90条1項の1号(全額免除の所得要件)、3号(障害者であって所得が125万円以下)、4号(寡婦であって所得が125万円以下)のいずれかに該当していることを厚生労働大臣が確認できた者
・若年者納付猶予についても委託可能。
 学生納付特例、一部免除申請は対象ではない。
 基礎知識と過去問学習はこちらを 
 なお、これに伴い、従来からあった「学生納付特例の事務手続に関する特例」は109条の2から109条の2の2に。
 指定全額免除申請事務取扱者の秘密保持遵守に違反した者に罰則規定を設けた。
 基礎知識と過去問学習はこちらを
不服申立て  不服申立て(101条) 
 「同2項 (28.04.01) 審査請求をした日から2月以内に決定がないときは、審査請求人は、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる」
2項:
・「60日以内」を「2月以内に
・「社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる」を削除
 基礎知識と過去問学習はこちらを

 審査請求と訴訟との関係(101条の2)
 「101条1項に規定する処分(被保険者の資格に関する処分又は給付に関する処分(共済組合等が行った障害基礎年金に係る障害の程度の診査に関する処分を除く)に限る)の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する社会保険審査官の決定を経た後でなければ、提起することができない」
タイトルを「処分取消しの訴え」から、「審査請求と訴訟との関係」に。
・社会保険審査会の採決から社会保険審査官の決定に。(再審査会前置主義」から、「審査官前置主義」に
・(   )を追加
⇒被保険者の資格又は給付に関する処分について、審査官の決定に不服がある場合は、再審査請求を経ないで、訴訟を提起することもできる。
⇒保険料、徴収金に関する処分も2審制ではあるが、この場合は、審査請求を経ないで、直ちに訴訟を提起することもできる。
 基礎知識と過去問学習はこちらを
   新後納制度ー5年後納制度ー(国民年金の保険料の納付の特例)H26改正法附則(10条)(27.10.01新規)
 「平成27年10月1日から平成30年9月30日までの間、国民年金の被保険者又は被保険者であった者(国民年金法による老齢基礎年金の受給権者を除く)は、厚生労働大臣の承認を受け、その者の国民年金の被保険者期間のうち、国民年金の保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の期間(承認の日の属する月前5年以内の期間であって、当該期間に係る国民年金の保険料を徴収する権利が時効によって消滅しているものに限る)の各月につき、当該各月の国民年金の保険料に相当する額に政令で定める額を加算した額の国民年金の保険料(後納保険料)を納付することができる」 
 平成24年10月1日から平成27年9月30日までの間行われていた10年後納制度の終了を受けて、新たに平成27年10月1日から平成30年9月30日までの間の、5年後納制度がもうけられた。
 ⇒未納の保険料のうち、申し出た月より2年前から5年前までの保険料を納付することができる制度。
 基礎知識と過去問学習はこちらを