17年度 改正トピックス(社会保険に関する法律の主要改正点)

 健康保険法国民健康保険法児童手当法確定拠出年金法確定給付企業年金法船員保険法特別障害給付金
  改正後 改正ポイント
 健康保険法
支給停止 1.支給停止(118条)
 「被保険者又は被保険者であった者が、次の各号のいずれかに該当する場合には、疾病、負傷又は出産につき、その期間に係る保険給付(傷病手当金及び出産手当金の支給にあっては、厚生労働省令で定める場合に限る)は、行わない」
 @少年院その他これに準ずる施設に収容されたとき。
 A刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されたとき。
 ここで、
 「厚生労働省令で定める場合は、次の各号のいずれかに該当する場合とする」(施行規則32条の2 新設)
 @少年法による保護処分として少年院若しくは児童自立支援施設に送致され、収容されている場合又は売春防止法による補導処分として婦人補導院に収容されている場合
 A懲役、禁錮若しくは拘留の刑の執行のため若しくは死刑の言渡しを受けて刑事施設(少年院において刑を執行する場合における当該少年院を含む)に拘置されている場合、労役場留置の言渡しを受けて労役場に留置されている場合又は監置の裁判の執行のため監置場に留置されている場合    
 少年院等の施設に収容、あるいは 刑事施設、労役場等に拘禁された場合であっても、未決拘留者に対しては、傷病手当金、出産手当金の支給停止はないこととした。
 未決拘留者:「被告人を拘禁する強制処分のこと」無罪になる可能性もあり、無罪となった場合は刑事補償の対象となる。

国民年金法「20歳前傷病による障害基礎年金」についても同様の改正
 国民健康保険法
公費負担 1.国庫負担(70条)
 「国は、市町村に対し、療養の給付並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、特別療養費、移送費及び高額療養費の支給に要する費用並びに老人保健医療費拠出金及び介護納付金の納付に要する費用について、次に掲げる額の合算額の100分の34を負担する」
 「100分の40」から
  「100分の34」へ
2.国による調整交付金等(72条)
 「国は、国民健康保険の財政を調整するため、政令の定めるところにより、市町村に対して調整交付金を交付する」
 「2項 前項の規定による調整交付金の総額は、算定対象額の100分の9と、繰入金の総額の4分の1に相当する額の合算値とする」 、
 「100分の10]から
  「100分の9]へ
3.都道府県による調整交付金(72条の2)
 「都道府県は、当該都道府県内の市町村が行う国民健康保険の財政を調整するため、政令の定めるところにより、条例で、市町村に対して都道府県調整交付金を交付する」
 「2項 前項の規定による都道府県調整交付金の総額は、算定対象額の100分の7に相当する額とする」
 
 「100分の7」新規追加
  
 以上全部をあわせると、±0になる。
4.低所得者層の保険料軽減分の負担(72条の2の2)
 「市町村は、所得の少ない者についての保険料の減額賦課又は地方税に規定する国民健康保険税の減額に基づき、減額した額の総額を基礎とし、国民健康保険の財政の状況その他の事情を勘案して政令の定めるところにより算定した額を、国民健康保険に関する特別会計に繰り入れなければならない」(この項は改正点なし)
 「2項 都道府県は、政令の定めるところにより、前項の規定による繰入金の4分の3に相当する額を負担する」(国による負担は廃止)
 国の負担は、
 「繰入金の2分の1」から、
  「0」へ
 都道府県の負担は、
 「繰入金の4分の1」から、
  「4分の3」へ
 
 児童手当法
特例給付 1.3歳以上小学校第3学年終了前の児童に係る特例給付(附則7条)
 「当分の間、次の各号のいずれかに該当する者であって日本国内に住所を有するものに対し、児童手当に相当する給付を行う」
1  次のイ又はロに掲げる児童(小学校第3学年修了前特例給付支給要件児童)を監護し、かつ、これと生計を同じくするその父又は母
 3歳以上の児童であって9歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者(3歳以上小学校第3学年修了前の児童)
 3歳以上小学校第3学年修了前の児童を含む2人以上の児童
2  父母に監護されず又はこれと生計を同じくしない小学校第3学年修了前特例給付支給要件児童を監護し、かつ、その生計を維持する者
3  児童を監護し、かつ、これと生計を同じくするその父又は母であって、父母に監護されず又はこれと生計を同じくしない児童を監護し、かつ、その生計を維持するもの。ただし、これらの児童が小学校第3学年修了前特例給付支給要件児童であるときに限る。
 3歳以上小学校第3学年終了(9歳到達年度末)までに適用拡大)
  従来は、3歳以上義務教育就学前(6歳到達年度末)まで

 

 

 

2. 3歳以上小学校第3学年終了前の特例給付の費用負担(附則8条)
 「3歳以上小学校第3学年終了前の特例給付に要する費用については、一般事業主の負担はなく、公務員以外に対しては、6分の4を国庫負担、6分の1を都道府県 、6分の1を市町村が負担、公務員に対しては全額、国又は地方公共団体が負担する」
 負担比率が変ったわけではないが、適用拡大に伴う費用増は、全額公費負担である。
 確定拠出年金法
拠出金限度額 1.企業型年金(施行令11条)  
1  企業型年金加入者であって、2に掲げる者以外のもの  46,000円
2  企業型年金加入者であって、イからニまでに掲げるもの  23,000円
 私立学校教職員共済制度の加入者
 事業主が設立している厚生年金基金の加入員
 事業主が設立している石炭鉱業年金基金に係る坑内員
 事業主が実施している確定給付企業年金の加入者
2.個人型年金(施行令36条)
1  第1号加入者(国民年金1号被保険者)
 ただし、付加保険料又は国民年金基金の掛金の納付がある場合は、それらを含めた額の限度額
 68,000円
2  第2号加入者(厚生年金基金、企業型年金がない事業所に勤務する者)  18,000円
資産の移換 1. 資産の移換(54条)
 「企業型年金の資産管理機関は、政令で定めるところにより、当該企業型年金の実施事業所において実施される企業年金制度又は退職手当制度に係る資産の全部又は一部の移換を受けることができる」
 移換限度額が撤廃された。
 これにより、企業年金制度から既に資産の一部が確定拠出年金へ移換されている場合についても、未移換資産がある場合には、労使合意を得た上で規約変更し、当該資産を移換することが可能となった。
規約の変更  規約の変更(5条)
 「事業主は、企業型年金規約の変更(厚生労働省令で定める軽微な変更を除く)をしようとするときは、その変更について厚生労働大臣の承認を受けなければならない」
 「2項前項の変更の承認の申請は、実施事業所に使用される被用者年金被保険者等の過半数で組織する労働組合(ないときは過半数代表者)の同意を得て行わなければならない」
 「3項 前項の場合において、実施事業所が二以上であるときは、同項の同意は、各実施事業所について得なければならない。ただし、1項の変更がすべての実施事業所に係るものでない場合であって、規約において、あらかじめ、当該変更に係る事項を定めているときは、当該変更に係る実施事業所について前項の同意があったときは、当該変更に係る実施事業所以外の実施事業所についても同項の同意があったものとみなすことができる」
 
 3項の太線部分追加
 規約変更は、あらかじめ規約で定めてあれば、変更に関わりのある事業所についてのみ、過半数代表者等の同意があれば可能
  従来はすべての事業所について同意
罰則の強化  「120条次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」
 @事業主による実施状況報告等を報告をせず、若しくは虚偽の報告
 A運営管理業の登録登録申請書等に虚偽の記載  B運営管理機関による帳簿書類の作成・保存をせずまたは虚偽の記載
 C運営管理機関による業務報告書を提出せず、又は虚偽の記載
 D運営管理機関への質問の回答、実地検査などを拒否、妨害
 従来は、6月以下の懲役又は20万円以下の罰金
 確定給付企業年金法
規約  「6条 確定拠出年金法5条と同様」
罰則の強化  「118条 終了した規約型企業年金又は解散基金の清算事務の状況に関する報告、事業主による確定給付企業年金の実施状況報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又はこれらの規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の陳述をし、若しくはこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」  従来は、6月以下の懲役又は20万円以下の罰金
 船員保険法







付金
 「36条 育児休業基本給付金ハ被保険者ガ厚生労働省令ノ定ムル所ニ依リ其ノ1歳(其ノ子ガ1歳ニ達シタル日後ノ期間ニ付休業スルコトガ雇用ノ継続ノ為ニ特ニ必要ト認メラルル場合トシテ厚生労働省令ヲ以テ定ムル場合ニ該当スル場合ニ在リテハ1歳6箇月)ニ満タザル子ヲ養育スル為ノ休業ヲ為シタル場合ニ於テ当該休業ヲ開始シタル日前2年間ニ看做被保険者期間ガ通算シテ12月以上ナリシトキニ支給単位期間ニ付之ヲ支給ス」  育児・介護休業法の改正に伴い、雇用保険法と同様な改正が行われた。
 原文はカタカナであるが、内容は雇用保険法の改正と同様であるので、あえて原文を紹介してみた。
介護休業給付金 「38条7項 1項ノ規定ニ拘ラズ被保険者ガ対象家族ヲ介護スル為ノ休業ニ付本条ノ定ムル所ニ依リ介護休業給付金ノ支給ヲ受ケタルコトアル場合ニシテ当該休業ヲ開始シタル日ヨリ起算シテ93日ヲ経過スル日後ニ於テ当該被保険者ガ左ノ各号ノ一ニ該当スル休業ヲ為シタルトキハ介護休業給付金ハ之ヲ支給セズ」
 その他
特別障害給付金  特定障害者に対する特別障害給付金の支給
(1)対象者(特定障害者)
 「次のいずれかに該当する者で、障害等級1級又は2級に該当するが、国民年金に任意加入しなかったため、障害基礎年金の受給権を有していない者」
  @S61年3月31日以前に初診日がある、被用者年金各法被保険者の配偶者
  AH3年3月31日以前に初診日がある学生等、
(2)給付金の額
 「1級は5万円/月。2級は4万円/月。全国消費者物価指数による物価スライドあり」
(3)認定
 「65歳に達する日の前日までに、社会保険庁長官(現厚生労働大臣)に対し、その受給資格及び特別障害給付金の額について認定の請求をすること」
(4)支給調整等
 「以下のときは支給しない」
  @日本国内に住所を有しないとき。
  A刑事施設、労役場その他に拘禁されているとき(厚生労働省令で定める場合に限る)
 「特定障害者の前年の所得が、控除対象配偶者及び扶養親族の有無及び数に応じて、政令で定める額を超えるときは、その年の8月から翌年の7月までは、政令で定めるところにより、その額の全部又は2分の1に相当する部分を支給しない」
(5)不服申し立て
 「社会保険庁長官(現厚生労働大臣)のした特別障害給付金の支給に関する処分は、国民年金法に基づく処分とみなして、社会保険審査官及び社会保険審査会の規定を適用する」
(6)費用負担
 「特別障害給付金の支給に要する費用は、その全額を国庫が負担する」