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R22

  労働基準法36条1項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針(H30.0907)
 労働基準法36条1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(H31.04.01廃止)
 
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  目的(1条)
 「この指針は、労働基準法36条1項の協定(時間外・休日労働協定)で定める労働時間の延長及び休日の労働
について留意すべき事項、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項を定めることにより、労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとすることを目的とする」
 労使当事者の責務(2条)
 「法36条1項の規定により、使用者は、時間外・休日労働協定をし、これを行政官庁に届け出ることを要件として、労働時間を延長し、又は休日に労働させることができることとされているが、労働時間の延長及び休日の労働は必要最小限にとどめられるべきであり、また、労働時間の延長は原則として同条3項(通常予見される時間外労働)の限度時間(5条、8条及び9条において「限度時間」という)を超えないものとされていることから、時間外・休日労働協定をする使用者及び当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者(以下「労使当事者」という)は、これらに十分留意した上で時間外・休日労働協定をするように努めなければならない」
 使用者の責務(3条)
 「使用者は、時間外・休日労働協定において定めた労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間の範囲内で労働させた場合であっても、労働契約法5条の規定に基づく安全配慮義務を負うことに留意しなければならない」
 「同2項 法改正(R03.09.14) 使用者は、「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」(R03.09.14 基発0914-1厚生労働省労働基準局長通達)において、1週間当たり40時間を超えて労働した時間が一箇月においておおむね45時間を超えて長くなるほど、業務と脳血管疾患及び虚血性心疾患(負傷に起因するものを除く。以下この項において「脳・心臓疾患」という)の発症との関連性が徐々に強まると評価できるとされていること並びに発症前1箇月間におおむね100時間又は発症前2箇月間から6箇月間までにおいて1箇月当たりおおむね80時間を超える場合には業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が強いと評価できるとされていることに留意しなければならない」
 業務区分の細分化(4条)
 「労使当事者は、時間外・休日労働協定において労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる業務の種類について定めるに当たっては、業務の区分を細分化することにより当該業務の範囲を明確にしなければならない」
 限度時間を超えて延長時間を定めるに当たっての留意事項(5条)
 「労使当事者は、時間外・休日労働協定において限度時間を超えて労働させることができる場合を定めるに当たっては、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合をできる限り具体的に定めなければならず、「業務の都合上必要な場合」、「業務上やむを得ない場合」など恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものを定めることは認められないことに留意しなければならない」
 「同2項 労使当事者は、時間外・休日労働協定において次に掲げる時間を定めるに当たっては、労働時間
の延長は原則として限度時間を超えないものとされていることに十分留意し、当該時間を限度時間にできる限り近づけるように努めなければならない」
・法36条5項(臨時的な限度時間)に規定する1か月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間
・法36条5項(臨時的な限度時間)に規定する1年について労働時間を延長して労働させることができる時間
 「同3項 労使当事者は、時間外・休日労働協定において限度時間を超えて労働時間を延長して労働させる
ことができる時間に係る割増賃金の率を定めるに当たっては、当該割増賃金の率を、法36条1項項の規定により延長した労働時間の労働について法37条1項の政令で定める率を超える率とするように努めなければならない」
 1か月に満たない期間において労働する労働者についての延長時間の目安(6条)
 「労使当事者は、期間の定めのある労働契約で労働する労働者その他の1か月に満たない期間において労働する労働者について、時間外・休日労働協定において労働時間を延長して労働させることができる時間を定めるに当たっては、別表の上欄に掲げる期間の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる目安時間を超えないものとするように努めなければならない」 
 別表
期間 目安時間
1週間 15時間
2週間 27時間
4週間 43時間

 休日の労働を定めるに当たっての留意事項(7条)
 「労使当事者は、時間外・休日労働協定において休日の労働を定めるに当たっては労働させることができる休日の日数をできる限り少なくし、及び休日に労働させる時間をできる限り短くするように努めなければならない」
 健康福祉確保措置(8条)
 「労使当事者は、限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置について、次に掲げるもののうちから協定することが望ましいことに留意しなければならない。
@労働時間が一定時間を超えた労働者に医師による面接指導を実施すること。
A法37条4項に規定する時刻の間において労働させる回数を1か箇月について一定回数以内とすること。
B終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保すること。
C労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、代償休日又は特別な休暇を付与すること。
D労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、健康診断を実施すること。
E年次有給休暇についてまとまった日数連続して取得することを含めてその取得を促進すること。
F心とからだの健康問題についての相談窓口を設置すること。
G労働者の勤務状況及びその健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署に配置転換をすること。
H必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、又は労働者に産業医等による保健指導を受けさせること。
 適用除外等(9条)
 「法36条11項(適用除外)に規定する業務に係る時間外・休日労働協定については、5条、6条及び前条の規定は適用しない」
 「同3項 前項の時間外・休日労働協定をする労使当事者は、労働時間を延長して労働させることができる
時間を定めるに当たっては、限度時間を勘案することが望ましいことに留意しなければならない」
 「同3項 1項の時間外・休日労働協定をする労使当事者は、一か月について45時間又は1年について360時間(法32条の4(1年単位の変形労働時間制)の1項2号の対象期間として3か月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあっては、1か月について42時間又は1年について320時間)を超えて労働時間を延長して労働させることができることとする場合においては、当該時間外・休日労働協定において当該時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置を定めるように努めなければならず、当該措置については、前条各号に掲げるもののうちから定めることが望ましいことに留意しなければならない」
 
 「1条 労働基準法36条1項の協定(時間外労働協定)をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者(以下、「労使当事者」)は、時間外労働協定において労働時間を延長する必要のある業務の種類について定めるに当たっては、業務の区分を細分化することにより必要のある業務の範囲を明確にしなければならない
 「2条、労使当事者は、時間外労働協定においては、1日を超える一定期間についての延長することができる時間を定めるにあたっては、当該一定期間は1日を超え3ヶ箇月以内の期間及び1年改としなければならない」
⇒要するに、1日、1日を超え3ヶ箇月以内、1年における延長の限度を定めなければならない。
 「3条 労使当事者は、時間外労働協定において、一定期間についての延長時間を定めるに当たっては、当該一定期間についての延長時間は、期間の区分に応じ、それぞれ別表1に掲げる限度時間を超えないものとしなければならない。
 ただし、あらかじめ、限度時間以内の時間の一定期間についての延長時間を定め、かつ、限度時間を超えて労働時間を延長しなければならない特別の事情(臨時的なものに限る)が生じたときに限り、一定期間についての延長時間を定めた当該一定期間ごとに、労使当事者間において定める手続きを経て、限度時間を超える一定の時間まで労働時間を延長することができる旨及び限度時間を超える時間の労働に係る割増賃金の率を定める場合(特別条項付き36協定を締結した場合)は、この限りでない」 
⇒特別条項付き時間外協定を締結して、臨時的に限度時間を超える時間外労働を行わせる場合は、同協定に、限度時間を超える時間外労働に対する割増賃金の率(できるだけ2割5分以上の値)を定めること。  
⇒就業規則にも記載する義務がある。
 「2項 労使当事者は、前項ただし書きの規定により限度時間を超える一定の時間まで労働時間を延長することができる旨を定めるに当たっては、当該延長することができる労働時間をできるだけ短くするように努めなければならない
 「3項 労使当事者は、1項ただし書きの規定により限度時間を超える時間の労働に係る割増賃金の率を定めるに当たっては、当該割増賃金の率を、基準法36条1項の規定により延長した労働時間の労働について基準法37条1項の政令で定める率(2割5分以上)を超える率とするように努めなければならない」 
⇒限度時間を超える時間外労働に対する割増賃金率は、できるだけ2割5分を超えるように努めること。
 これは努力義務である。中小事業主にも適用する。
 「4条 労使当事者は、時間外労働協定において基準法32条の4(1年単位の変形労働時間制)の規定による労働時間により労働する労働者(3箇月を超える期間をの対象期間として定める協定の労働者の範囲に属する者に限る)に係る一定期間についての延長時間を定める場合は、前条の規定にかかわらず、当該労働者に係る一定期間についての延長時間は、期間の区分に応じ、それぞれ別表2に掲げる限度時間を超えないものとしなければならない」
 「2項 前条1項ただし書、2項及び3項の規定は、基準法32条の4(1年単位の変形労働時間制)の協定が締結されている事業場の労使当事者について準用する」  
⇒1年単位の変形労働時間制の場合の限度時間はさらに短い時間が定められているが、それらに対しても、3条2項、3項の規定が準用される。  
 
  別表1 原則(時間) 別表2 1年単位の変形労働時間制の場合
1週間 15 14
2週間 27 25
4週間 43 40
1か月 45 42
2か月 81 75
3か月 120 110
1年 360 320

 「5条 次に掲げる事業又は業務に係る時間外労働協定については、前2条の規定(4号に掲げる事業又は業務に係る時間外労働協定については、厚生労働省労働基準局長が指定する範囲に限る)は適用しない」
 @工作物の建設等の事業  
 A自動車の運転の業務  
 B新技術、新商品等の研究開発の業務  
 C季節的要因等により事業活動若しくは業務量の変動が著しい事業若しくは業務又は公益上の必要により集中的な作業が必要とされる業務として厚生労働省労働基準局長が指定するもの