基礎講座 労働基準法   Tome塾Homeへ

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 記録等  
KeyWords  労働者名簿賃金台帳記録の保存   
 労働者名簿、賃金台帳、記録の保存は特に追加解説を要するものはないが、社労士実務にとっても重要なものであり、正確に記憶しておこう。 (ただし、様式番号を覚える必要はない)
 なお、実務においては、法律上最低限義務づけられている事項以外に、社会保険・労働保険の関連情報も記録しておくことが多い。
 
1.労働者名簿(107条)
 「使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日日雇い入れられる者を除く)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない」
 「施行規則53条 労働者名簿(様式19号)に記入しなければならない事項は、1次に掲げるものとする」
   氏名、生年月日、性別、住所
   従事する業務の種類
   雇入の年月日
   退職の年月日及びその事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む)
   死亡の年月日及びその原因
 「同2項 常時30人未満の労働者を使用する事業においては、従事する業務の種類を記入することを要しない」
 
 派遣労働者
 「労働者名簿、賃金台帳及び労働者派遣法37条に基づく派遣元管理台帳については、法令上記載しなければならない事項が具備されていれば、必ずしも別個に作成しなければならないものでなく、労働者名簿等を合わせてひとつの台帳を作成することとしても差し支えない。
 派遣元の使用者は、労働者派遣法42条(派遣先管理台帳)に基づき派遣先から通知された事項により、賃金台帳に必要事項を記載する」(S61.6.6基発333)
2.賃金台帳(108条)
 「使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない」
 「施行規則54条 使用者は、108条の規定によって、次に掲げる事項を労働者各人別に賃金台帳に記入しなければならない」
   氏名、性別 
   賃金計算期間
   労働日数、労働時間、数時間外延長時間数、休日労働時間数、深夜労働時間数
   基本給、手当その他賃金の種類毎にその額(通貨以外のものについてはその評価額)
   24条1項の規定によって賃金の一部を控除した場合には、その額
 「同4項 日々雇い入れられる者(1か月を超えて引続き使用される者を除く)については、賃金計算期間は記入するを要しない」
 「同5項 41条による労働時間等の適用除外者(いわゆる管理者など)は、5の労働時間数、6の時間外延長時間数及び休日労働時間数は、これを記入することを要しない(注:深夜労働時間数は記入)」  
 
 様式(施行規則55条)
 「常時使用される労働者((1か月を超えて引続き使用される日々雇い入れられる者を含む)については様式20号、日々雇い入れられる者(1か月を超えて引続き使用される者を除く)については様式21号による」
⇒ ただし、「申請、届出、報告、労働者名簿または賃金台帳に用いるべき様式(預金の管理状況報告24号を除く)は、必要な事項の最小限度を記載すべきことを定めるものであって、横書、縦書その他の異なる様式を用いることを妨げるものではない」(施行規則59条の2)
 合併調整(施行規則55条の2)
 「使用者は、労働者名簿及び賃金台帳をあわせて調整することができる」
 年次有給休暇の記入
 「年次有給休暇の日数及び時間を実際に労働に従事した日数及び労働時間数とみなしてそれぞれ該当欄に記入するが、その日数及び時間をそれぞれ該当欄に別掲し括弧を持って囲んで記入するよう指導されたい」(S23.11.2基収3815)
 遡りベースアップがあったとき
 「8月にベースアップの協定が成立し、4月に遡って一括支給することを約定した場合、平均賃金においては、追加額は各月に支払われたものとして計算する。賃金台帳の記載に当たっては、過去4か月分の賃金であることを明記して、8月分の台帳の該当欄に記入する」(S22.11.5基発233)

 
3.記録の保存(109条)
 「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない」
 また、3年間の起算日については、 
 労働者名簿  労働者の死亡、退職又は解雇の日
 賃金台帳  最後の記入をした日
 雇入れ又は退職に関する書類  労働者の退職又は死亡の日
 災害補償に関する書類  災害補償の終った日
 賃金その他労働関係に関する重要な書類  その完結の日