常時10人以上(労働基準法下労働法コンメンタールP869)
常時10人以上の労働者を使用するとは、時として10人未満になることがあっても、常態として10人以上の労働者をしようしているという意味である。常時は8人であっても、繁忙期等においてはさらに2、3人雇い入れるという場合は含まれない。また、この人数は企業単位ではなく事業場単位である。 |
就業規則に順ずるもの(重要)
常時10人未満の労働者を使用する使用者は、就業規則作成の義務はないが、就業規則を成文化することは望ましいことであり、当該使用者がこれを作成したときは、それも89条にいう就業規則として、91条(制裁規定の制限)、92条(法令及び労働協約との関係)、93条(効力
、現労働契約法12条)の規定は適用があると解すべきである」((労働基準法下労働法コンメンタールP870)
⇒ただし、作成義務がないということは届出の義務もなく、従って労働者代表等の意見聴取の義務もないということ。
⇒1か月単位の変形労働時間制、4週間に4日の休日に関する定めをした場合は、労働者への周知は必要。 |
別個の就業規則(H11.3.31基発168)
「同一事業場において、3条(均等待遇)に反しない限りにおいて、一部の労働者(注、たとえばパート、契約社員など)についてのみ適用される別個の就業規則を作成することは差し支えないが、この場合は、就業規則の本則において、別個の就業規則の適用対象となる労働者に係る適用除外規定または委任規定を設けることが望ましい。
なお、別個の就業規則を定めた場合には、当該2以上の就業規則を合したものが89条の就業規則であって、それぞれ単独に、同条に規定する就業規則となるものではない」
⇒ それぞれの規則の適用対象者を明確にし、全体をひとつの就業規則として取扱う。
⇒ 賃金、退職など個別の項目を別規則として定めた場合も、全体をひとつの就業規則としてとり扱う。
一部の労働者にみに適用される就業規則(S63.3.14基発150)
「一部の労働者についてのみ適用される別個の就業規則を作成する場合、これも当該事業場の就業規則の一部であるから、その作成、変更に際しての90条の意見聴取については、当該事業場の全労働者の過半数で組織する労働組合又は全労働者の過半数を代表する者の意見を聞くことが必要である。なお、これに加えて、当該一部の労働者で組織する労働組合等の意見を聞くことが望ましい」 |
派遣労働者の就業規則の作成義務(S61.6.6基発333)
「就業規則の作成義務を負うのは、派遣中の労働者とそれ以外の労働者を合わせて常時10人以上の労働者を使用している派遣元の使用者である」
派遣労働者の就業規則(通達H11.3.31基発168)
「派遣中の労働者について画一的な労務管理を行わない事項については、就業規則にその枠組み及び具体的な労働条件の定め方を規定すれば足りる。
なお、具体的な労働条件の定め方については、施行規則5条に掲げる事項について労働契約締結時に書面の交付により明示することはもとより、その他の労働条件についても、書面の交付により明示することが望ましい」 |
本社一括届出(H15.2.15基発0215002)
「36協定については、いわゆる本社機能を有する事業場の使用者が一括して本社の所轄署長に届出を行う場合には、同一内容の協定である限り、他の事業場の所轄署長に届出があったものとして差し支えない。しかしながら、協定の締結は、各事業場の実態に即して延長時間等を設定することが必要であり、実態によらず、単に協定の記載事項を同じにすることは望ましくない」(
⇒ 休日・時間外労働に関する36協定も同様である。 |
必要記載事項の一部が欠けている場合(通達H11.3.31基発168)
「絶対的必要記載事項の一部、または相対的必要記載事項であって当該事業場が当然適用を受けるべき事項が記載していない就業規則であっても、他の要件を具備する限り、その効力は有効である。ただし、このような就業規則を作成し届出ても、89条違反の責任(30万円以下の罰金)は免れない」 |
勤務時間等が異なる場合(H11.3.31基発168)
「同一事業場において、労働者の職種等によって始業および終業の時刻が異なる場合は、就業規則に職種等の別ごとに始業および終業時刻を規定しなければならない。しかし、パートタイム労働者等のうち、本人の希望等により、画一的に定めないこととする者については、就業規則には、基本となる始業および終業時刻を定めるとともに、具体的には個別の労働契約等で定める旨の委任規定を設けることで差し支えない。なお、個別の労働契約等で具体的に定める場合には、書面により明確にすること」 |
届出(施行規則49条)
「使用者は、常時10人以上の労働者を使用するにいたった場合においては、遅滞なく、就業規則の届出を所轄労働基準監督所長にしなければならない」
「平成11年4月より、電子媒体(フロッピーディスク等で原則としてHTML形式)による就業規則の届出の受理を開始することになった。この場合でも、添付すべき意見書は従来通り書面(労働者を代表する者の署名・記名押印は不要(R03.04.01))によらなければならない」(H11.3.18基発125) |