発展講座 労働者派遣法(3)

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KeyWords  派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針
 (平成11年労働省告示第137号)
 (平成21年厚生労働省告示第244号 平成21.3.3)
 (平成24年厚生労働省告示第474号 平成24.10.01
 (平成28年厚生労働省告示第77号   平成28.04.01
 
 派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針
 第1 趣旨 
 この指針は、労働者派遣法24条の3(個人情報の取扱い)並びに3章1節(労働者派遣契約)及び2節(派遣元事業主の講ずべき措置)の規定により、派遣元事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な事項を定めたものである。
 また、労働者派遣法24条の3(個人情報の取扱い)の規定により派遣元事業主が講ずべき措置に関する必要な事項と併せ、個人情報保護法の規定に基づき派遣元事業主が個人情報を適正に取り扱うために講ずべき措置に関する必要な事項についても定めたものである。
第2 派遣元事業主が講ずべき措置
1 労働者派遣契約の締結に当たっての就業条件の確認
 派遣元事業主は、派遣先との間で労働者派遣契約を締結するに際しては、派遣先が求める業務の内容、当該業務を遂行するために必要とされる知識、技術又は経験の水準、労働者派遣の期間その他労働者派遣契約の締結に際し定めるべき就業条件を事前にきめ細かに把握すること。
2 派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置
(1) 労働契約の締結に際して配慮すべき事項 
 派遣元事業主は、労働者を派遣労働者として雇い入れようとするときは、当該労働者の希望及び労働者派遣契約における労働者派遣の期間を勘案して、労働契約の期間について、当該期間を当該労働者派遣契約における労働者派遣の期間と合わせる等、派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な配慮をするよう努めること。 
(2) 労働者派遣契約の締結に当たって講ずべき措置 
 イ 派遣元事業主は、労働者派遣契約の締結に当たって、派遣先の責に帰すべき事由により労働者派遣契約の契約期間が満了する前に当該労働者派遣契約の解除が行われる場合には、派遣先は当該労働者派遣に係る派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ること及びこれができないときには少なくとも当該労働者派遣契約の解除に伴い当該派遣元事業主が当該労働者派遣に係る派遣労働者を休業させること等を余儀なくされることにより生ずる損害である休業手当、解雇予告手当等に相当する額以上の額について損害の賠償を行うことを定めるよう求めること。
ロ 派遣元事業主は、労働者派遣契約の締結に当たって、労働者派遣の終了後に当該労働者派遣に係る派遣労働者を派遣先が雇用する場合に、当該雇用が円滑に行われるよう、派遣先が当該労働者派遣の終了後に当該派遣労働者を雇用する意思がある場合には、当該意思を事前に派遣元事業主に示すこと、派遣元事業主が職業安定法その他の法律の規定による許可を受けて、又は届出をして職業紹介を行うことができる場合には、派遣先は職業紹介により当該派遣労働者を雇用し、派遣元事業主に当該職業紹介に係る手数料を支払うこと等を定めるよう求めること。
(3) 労働者派遣契約の解除に当たって講ずべき措置
 派遣元事業主は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって労働者派遣契約の解除が行われた場合には、当該労働者派遣契約に係る派遣先と連携して、当該派遣先からその関連会社での就業のあっせんを受けること、当該派遣元事業主において他の派遣先を確保すること等により、当該労働者派遣契約に係る派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ること
 また、当該派遣元事業主は、当該労働者派遣契約の解除に当たって、新たな就業機会の確保ができない場合は、まず休業等を行い、当該派遣労働者の雇用の維持を図るようにするとともに、休業手当の支払等の労働基準法等に基づく責任を果たすこと。
 さらに、やむを得ない事由によりこれができない場合において、当該派遣労働者を解雇しようとするときであっても、労働契約法の規定を遵守することはもとより、当該派遣労働者に対する解雇予告、解雇予告手当の支払等の労働基準法等に基づく責任を果たすこと。
(4) 労働者派遣契約の終了に当たって講ずべき事項
イ 派遣元事業主は、無期雇用派遣労働者雇用の安定に留意し、労働者派遣が終了した場合において、当該労働者派遣の終了のみを理由として当該労働者派遣に係る無期雇用派遣労働者を解雇してはならないこと。
ロ 派遣元事業主は、有期雇用派遣労働者の雇用の安定に留意し、労働者派遣が終了した場合であって、当該
労働者派遣に係る有期雇用派遣労働者との労働契約が継続しているときは、当該労働者派遣の終了のみを理由として当該有期雇用派遣労働者を解雇してはならないこと。
ること。
3 適切な苦情の処理
 派遣元事業主は、派遣労働者の苦情の申出を受ける者、派遣元事業主において苦情の処理を行う方法、派遣元事業主と派遣先との連携のための体制等を労働者派遣契約において定めること。
 また、派遣元管理台帳に苦情の申出を受けた年月日、苦情の内容及び苦情の処理状況について、苦情の申出を受け、及び苦情の処理に当たった都度、記載すること。
 また、派遣労働者から苦情の申出を受けたことを理由として、当該派遣労働者に対して不利益な取扱いをしてはならないこと。

4 労働・社会保険の適用の促進
 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の就業の状況等を踏まえ、労働・社会保険の適用手続を適切に進め、労働・社会保険に加入する必要がある派遣労働者については、加入させてから労働者派遣を行うこと。
 ただし、新規に雇用する派遣労働者について労働者派遣を行う場合であって、当該労働者派遣の開始後速やかに労働・社会保険の加入手続を行うときは、この限りでないこと。
5 派遣先との連絡体制の確立
 派遣元事業主は、派遣先を定期的に巡回すること等により、派遣労働者の就業の状況が労働者派遣契約の定めに反していないことの確認等を行うとともに、派遣労働者の適正な派遣就業の確保のためにきめ細かな情報提供を行う等により派遣先との連絡調整を的確に行うこと。 
 特に、労働基準法36条1項の時間外及び休日の労働に関する協定の内容等派遣労働者の労働時間の枠組みについては、情報提供を行う等により、派遣先との連絡調整を的確に行うこと。
 なお、同項の協定の締結に当たり、労働者の過半数を代表する者の選出を行う場合には、労働基準法施行規則の規定に基づき、適正に行うこと。
 また、派遣元事業主は、割増賃金等の計算に当たり、その雇用する派遣労働者の実際の労働時間等について、派遣先に情報提供を求めること。
6 派遣労働者に対する就業条件の明示
 
派遣元事業主は、モデル就業条件明示書の活用等により、派遣労働者に対し就業条件を明示すること。
7 労働者を新たに派遣労働者とするに当たっての不利益取扱いの禁止
 派遣元事業主は、その雇用する労働者であって、派遣労働者として雇い入れた労働者以外のものを新たに労働者派遣の対象としようとする場合であって、当該労働者が同意をしないことを理由として、当該労働者に対し解雇その他不利益な取扱いをしてはならないこと。
8 派遣労働者の雇用の安定及び福祉の増進
(1) 無期雇用派遣労働者について留意すべき事項
 派遣元事業主は、無期雇用派遣労働者の募集に当たっては、「無期雇用派遣」という文言を使用すること等により、無期雇用派遣労働者の募集であることを明示しなければならないこと。
 (2)特定有期雇用派遣労働者等について留意すべき事項
イ 派遣元事業主が、労働者派遣法30条2項(同一組織単位の業務に継続して3年間派遣労働に従事する見込みがある場合の雇用安定措置)の規定の適用を避けるために、業務上の必要性等なく同一の派遣労働者に係る派遣先の事業所その他派遣就業の場所における同一の組織単位の業務について継続して労働者派遣に係る労働に従事する期間を3年未満とすることは、30条2項の規定の趣旨に反する脱法的な運用であって、義務違反と同視できるものであり、厳に避けるべきものであること。
ロ 派遣元事業主は、労働者派遣法30条1項(同一組織単位の業務に継続して1年以上派遣労働に従事する見込みがある場合)の規定により同条1項の雇用安定措置を講ずるに当たっては、当該雇用安定措置の対象となる特定有期雇用派遣労働者等( 近い将来に該当する見込みのある者を含む)に対し、キャリアコンサルティング(労働者の職業生活の設計に関する相談その他の援助を行うこと)や労働契約の更新の際の面談等の機会を利用し、又は電子メールを活用すること等により、労働者派遣の終了後に継続して就業することの希望の有無及び希望する雇用安定措置の内容を把握すること。
ハ 派遣元事業主は、雇用安定措置を講ずるに当たっては、当該雇用安定措置の対象となる特定有期雇用派遣労働者等の希望する雇用安定措置を講ずるよう努めること。
 また、派遣元事業主は、特定有期雇用派遣労働者が同項第1号の措置(派遣先への直接雇用の依頼)を希望する場合には、派遣先での直接雇用が実現するよう努めること。
ニ 派遣元事業主は、雇用安定措置を講ずるに当たっては、当該雇用安定措置の対象となる特定有期雇用派遣労働者等の労働者派遣の終了の直前ではなく、早期に当該特定有期雇用派遣労働者等の希望する雇用安定措置の内容について聴取した上で、十分な時間的余裕をもって当該措置に着手すること。
(3) 労働契約法の適用について留意すべき事項
イ 派遣元事業主は、派遣労働者についても労働契約法の適用があることに留意すること。
ロ 派遣元事業主が、その雇用する有期雇用派遣労働者について、当該有期雇用派遣労働者からの労働契約法18条1項(通算契約期間が5年を超えた場合の無期雇用契約への転換)の規定による期間の定めのない労働契約の締結の申込みを妨げるために、当該有期雇用派遣労働者に係る期間の定めのある労働契約の更新を拒否し、また、空白期間(6か月以上あれば通算契約期間に算定しない)を設けることは、同条の規定の趣旨に反する脱法的な運用であること。
ハ 有期雇用派遣労働者の通勤手当に係る労働条件が、期間の定めがあることにより同一の派遣元事業主と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の通勤手当に係る労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働契約法20条の規定により、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(職務の内容という) 、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないこと。
(4) 派遣労働者等の適性、能力、経験、希望等に適合する就業機会の確保等
 派遣元事業主は、派遣労働者又は派遣労働者となろうとする者について、当該派遣労働者等の適性、能力、経験等を勘案して、最も適した就業の機会の確保を図るとともに、就業する期間及び日、就業時間、就業場所、派遣先における就業環境等について当該派遣労働者等の希望と適合するような就業機会を確保するよう努めなければならないこと。
 また、派遣労働者等はその有する知識、技術、経験等を活かして就業機会を得ていることに鑑み、派遣元事業主は、労働者派遣法30条の2(段階的かつ体系的な教育訓練等)の規定による教育訓練等の措置を講じなければならないほか、就業機会と密接に関連する教育訓練の機会を確保するよう努めなければならないこと。
(5) 派遣労働者に対するキャリアアップ措置
イ 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者に対し、労働者派遣法30条の2(段階的かつ体系的な教育訓練等)の規定による教育訓練を実施するに当たっては、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則に基づき厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第391号)4号に規定する教育訓練の実施計画(派遣労働者のキャリアアップに資するものであって、有給かつ無償で行われることなど)に基づく教育訓練を行わなければならないこと。
ロ 派遣元事業主は、派遣労働者として雇用しようとする労働者に対し、労働契約の締結時までに教育訓練計画を周知するよう努めること。
 また、派遣元事業主は、当該教育訓練計画に変更があった場合は、その雇用する派遣労働者に対し、速やかにこれを周知するよう努めること。
ハ 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者が教育訓練計画に基づく教育訓練を受講できるよう配慮しなければならないこと。
 特に、教育訓練計画の策定に当たっては、派遣元事業主は、教育訓練の複数の受講機会を設け、又は開催日時や時間の設定について配慮すること等により、可能な限り派遣労働者が教育訓練を受講しやすくすることが望ましいこと。
ニ 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者のキャリアアップを図るため、教育訓練計画に基づく教育訓練を実施するほか、更なる教育訓練を自主的に実施するとともに、当該教育訓練に係る派遣労働者の費用負担を実費程度とすることで、派遣労働者が教育訓練を受講しやすくすることが望ましいこと。
ホ 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者のキャリアアップを図るとともに、その適正な雇用管理に資するため、当該派遣労働者に係る労働者派遣の期間及び派遣就業をした日、従事した業務の種類、労働者派遣法37条1項(派遣元管理台帳)9号に規定する教育訓練を行った日時及びその内容等を記載した書類を保存するよう努めること
(6) 派遣先の労働者との均衡に配慮した取扱い
イ 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の賃金の決定に当たっては、労働者派遣法30条の3の1項(均衡を考慮した待遇の確保)の規定の趣旨を踏まえ、当該派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派遣先に雇用される労働者の賃金水準との均衡を考慮しつつ、当該派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の賃金水準又は当該派遣労働者の職務の内容、能力若しくは経験等を勘案するよう努めること。
 また、派遣元事業主は、派遣労働者の職務の成果、意欲等を適切に把握し、当該職務の成果等に応じた適切な賃金を決定するよう努めること。
ロ 派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派遣先に雇用される労働者の賃金水準との均衡を考慮した結果のみをもって、当該派遣労働者の賃金を従前より引き下げるような取扱いは、労働者派遣法30条の3の1項(均衡を考慮した待遇の確保)の規定の趣旨を踏まえた対応とはいえないこと。
ハ 派遣元事業主は、労働者派遣に関する料金の額に係る派遣先との交渉が当該労働者派遣に係る派遣労働者の待遇の改善にとって極めて重要であることを踏まえつつ、当該交渉に当たるよう努めること。
ニ 派遣元事業主は、労働者派遣に関する料金の額が引き上げられた場合には、可能な限り、当該労働者派遣に係る派遣労働者の賃金を引き上げるよう努めること。
ホ 派遣元事業主は、労働者派遣法30条の3の1項(均衡を考慮した待遇の確保)2項(教育訓練、福利厚生等)の規定の趣旨を踏まえ、労働者派遣に係る業務を円滑に遂行する上で有用な物品の貸与や教育訓練の実施等を始めとする派遣労働者の福利厚生等の措置について、当該派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派遣先に雇用される労働者の福利厚生等の実状を把握し、当該派遣先に雇用される労働者との均衡に配慮して必要な措置を講ずるよう努めること。
ヘ 派遣元事業主は、派遣労働者が労働者派遣法31条の2の2項(均衡を考慮した待遇の確保に関し、配慮すべき事項に関する決定を行った際に考慮した事項の説明)の規定により説明を求めたことを理由として、当該派遣労働者に対して不利益な取扱いをしてはならないこと。
(7) 同一の組織単位の業務への労働者派遣
 派遣元事業主が、派遣先の事業所等における同一の組織単位の業務について継続して3年間同一の派遣労働者に係る労働者派遣を行った場合において、当該派遣労働者が希望していないにもかかわらず、当該労働者派遣の終了後3 月が経過した後に、当該同一の組織単位の業務について再度当該派遣労働者を派遣することは、派遣労働者のキャリアアップの観点から望ましくないこと。
(8) 障害者である派遣労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情の改善を図るための措置
 派遣元事業主は、障害者雇用促進法に規定する障害者 である派遣労働者から派遣先の職場において障害者である派遣労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情の申出があった場合又は派遣先から当該事情に関する苦情があった旨の通知を受けた場合等において、同法36条の3の規定による措置を講ずるに当たって、当該障害者である派遣労働者と話合いを行い、派遣元事業主において実施可能な措置を検討するとともに、必要に応じ、派遣先と協議等を行い、協力を要請すること。
9 関係法令の関係者への周知
 派遣元事業主は、労働者派遣法の規定による派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置の内容並びに労働者派遣法に規定する労働基準法等の適用に関する特例等、関係法令の関係者への周知の徹底を図るために、説明会等の実施、文書の配布等の措置を講ずること。
10 個人情報の保護
(1) 個人情報の収集、保管及び使用
イ 派遣元事業主は、派遣労働者となろうとする者を登録する際には当該労働者の希望、能力及び経験に応じた就業の機会の確保を図る目的の範囲内で、派遣労働者として雇用し労働者派遣を行う際には当該派遣労働者の適正な雇用管理を行う目的の範囲内で、派遣労働者等の個人情報を収集することとし、次に掲げる個人情報を収集してはならないこと。
 ただし、特別な業務上の必要性が存在することその他業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合はこの限りでないこと。
(イ) 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
(ロ) 思想及び信条
(ハ) 労働組合への加入状況
ロ 派遣元事業主は、個人情報を収集する際には、本人から直接収集し、又は本人の同意の下で本人以外の者から収集する等適法かつ公正な手段によらなければならないこと。
ハ 派遣元事業主は、高等学校若しくは中等教育学校又は中学校若しくは義務教育学校の新規卒業予定者であって派遣労働者となろうとする者から応募書類の提出を求めるときは、職業安定局長の定める書類によりその提出を求めること。
ニ 個人情報の保管又は使用は、収集目的の範囲に限られること。
 なお、派遣労働者として雇用し労働者派遣を行う際には、労働者派遣事業制度の性質上、派遣元事業主が派遣先に提供することができる派遣労働者の個人情報は、労働者派遣法35条1項(派遣先への通知)の規定により派遣先に通知すべき事項のほか、当該派遣労働者の業務遂行能力に関する情報に限られるものであること。
 ただし、他の保管若しくは使用の目的を示して本人の同意を得た場合又は他の法律に定めのある場合は、この限りでないこと。
(2) 適正管理
イ 派遣元事業主は、その保管又は使用に係る個人情報に関し、次に掲げる措置を適切に講ずるとともに、派遣労働者等からの求めに応じ、当該措置の内容を説明しなければならないこと。
(イ) 個人情報を目的に応じ必要な範囲において正確かつ最新のものに保つための措置
(ロ) 個人情報の紛失、破壊及び改ざんを防止するための措置
(ハ) 正当な権限を有しない者による個人情報へのアクセスを防止するための措置
(ニ) 収集目的に照らして保管する必要がなくなった個人情報を破棄又は削除するための措置
ロ 派遣元事業主が、派遣労働者等の秘密に該当する個人情報を知り得た場合には、当該個人情報が正当な理由なく他人に知られることのないよう、厳重な管理を行わなければならないこと。
ハ 派遣元事業主は、次に掲げる事項を含む個人情報適正管理規程を作成し、これを遵守しなければならないこと。
(イ) 個人情報を取り扱うことができる者の範囲に関する事項
(ロ) 個人情報を取り扱う者に対する研修等教育訓練に関する事項
(ハ) 本人から求められた場合の個人情報の開示又は訂正(削除を含む。以下同じ)の取扱いに関する事項
(ニ) 個人情報の取扱いに関する苦情の処理に関する事項
ニ 派遣元事業主は、本人が個人情報の開示又は訂正の求めをしたことを理由として、当該本人に対して不利益な取扱いをしてはならないこと。
(3) 個人情報の保護に関する法律の遵守等
(1)及び(2)に定めるもののほか、派遣元事業主は、個人情報の保護に関する法律に規定する個人情報取扱事業者に該当する場合には、同法に規定する義務を遵守しなければならないこと。
 また、個人情報取扱事業者に該当しない場合であっても、個人情報取扱事業者に準じて、個人情報の適正な取扱いの確保に努めること。
11 派遣労働者を特定することを目的とする行為に対する協力の禁止等
(1) 派遣元事業主は、紹介予定派遣の場合を除き、派遣先による派遣労働者を特定することを目的とする行為に協力してはならないこと。
 なお、派遣労働者等が、自らの判断の下に派遣就業開始前の事業所訪問若しくは履歴書の送付又は派遣就業期間中の履歴書の送付を行うことは、派遣先によって派遣労働者を特定することを目的とする行為が行われたことには該当せず、実施可能で
あるが、派遣元事業主は、派遣労働者等に対してこれらの行為を求めないこととする等、派遣労働者を特定することを目的とする行為への協力の禁止に触れないよう十分留意すること。
(2) 派遣元事業主は、派遣先との間で労働者派遣契約を締結するに当たっては、職業安定法3条(均等待遇)の規定を遵守するとともに、派遣労働者の性別を労働者派遣契約に記載し、かつ、これに基づき当該派遣労働者を当該派遣先に派遣してはならないこと。
(3) 派遣元事業主は、派遣先との間で労働者派遣契約を締結するに当たっては、派遣元事業主が当該派遣先の指揮命令の下に就業させようとする労働者について、障害者であることを理由として、障害者を排除し、又はその条件を障害者に対してのみ不利なものとしてはならず、かつ、これに基づき障害者でない派遣労働者を当該派遣先に派遣してはならないこと。
12 安全衛生に係る措置
 派遣元事業主は、派遣労働者に対する雇入れ時及び作業内容変更時の安全衛生教育を適切に行えるよう、当該派遣労働者が従事する業務に係る情報を派遣先から入手すること、健康診断等の結果に基づく就業上の措置を講ずるに当たって、派遣先の協力が必要な場合には、派遣先に対して、当該措置の実施に協力するよう要請すること等、派遣労働者の安全衛生に係る措置を実施するため、派遣先と必要な連絡調整等を行うこと。
13 紹介予定派遣
(1) 紹介予定派遣を受け入れる期間
派遣元事業主は、紹介予定派遣を行うに当たっては、6か月を超えて、同一の派遣労働者の労働者派遣を行わないこと。
(2) 派遣先が職業紹介を希望しない場合又は派遣労働者を雇用しない場合の理由の明示
 派遣元事業主は、紹介予定派遣を行った派遣先が職業紹介を受けることを希望しなかった場合又は職業紹介を受けた派遣労働者を雇用しなかった場合には、派遣労働者の求めに応じ、派遣先に対し、それぞれその理由を書面、ファクシミリ又は電子メールにより明示するよう求めること。 
 また、派遣先から明示された理由を、派遣労働者に対して書面、ファクシミリ又は電子メール( ファクシミリ又は電子メールによる場合にあっては、当該派遣労働者が希望した場合に限る) により明示すること。
(3) 派遣元事業主は、派遣先が障害者に対し、面接その他紹介予定派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為を行う場合に、障害者雇用促進法36条の2(障害者と障害者でない者との均等な機会の確保措置)又は36条の3(均等待遇等の支障にとなっている事項の改善措置)の規定による措置を講ずるに当たっては、障害者と話合いを行い、派遣元事業主において実施可能な措置を検討するとともに、必要に応じ、派遣先と協議等を行い、協力を要請すること。
14 情報の提供
 派遣元事業主は、派遣労働者及び派遣先が良質な派遣元事業主を適切に選択できるよう、労働者派遣の実績、労働者派遣に関する料金の額の平均額から派遣労働者の賃金の額の平均額を控除した額を当該労働者派遣に関する料金の額の平均額で除して得た割合(マージン率)、教育訓練に関する事項等に関する情報を事業所への書類の備付け、インターネットの利用その他の適切な方法により提供すること。
 特に、マージン率の情報提供に当たっては、常時インターネットの利用により広く関係者とりわけ派遣労働者に必要な情報を提供することを原則とすること。
 また、労働者派遣の期間の区分ごとの雇用安定措置を講じた人数等の実績及び教育訓練計画については、インターネットの利用その他の適切な方法により関係者に対し情報提供することが望ましいこと。