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4C 受給資格期間の短縮特例
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1.短縮特例(60年改正法附則12条1項)
 「保険料納付済期間又は保険料免除期間(学生等の納付特例期間を除く)を有する者のうち、26条ただし書に該当する者(納付済期間と免除期間とを合算した期間が10年に満たない者)であって、2号から7号まで及び18号から20号までのいずれかに該当するものは、26条(老齢基礎年金の支給要件))並びに附則9条の2(全部繰上げ)、9条の2の2(一部繰上げ)、9条の3(旧陸軍共済組合員期間を有する者の老齢基礎年金の支給)及び9条の3の2(脱退一時金の支給)の規定の適用については、26条ただし書に該当しないものとみなし、保険料納付済期間と免除期間とを合算した期間が25年に満たない者であって、1号から19号までのいずれかに該当するものは、37条(3号、4号すなわち長期要件による遺族基礎年金)の規定の適用については、保険料納付済期間と免除期間とを合算した期間が25年以上であるものとみなす」

 厚生年金保険法関係についてはこちら
@納付済期間と免除期間とを合算した期間が10年に満たない者であっても、2号と3号(厚生年金保険等の加入期間の特例)、4号と5号(中高齢の特例・3種被保険者の特例)、6号7号18号、19号20号の短縮特例に該当する者は、老齢基礎年金の支給要件を満たす者とされ、繰上げも可能である。
 よって、旧陸軍共済組合員期間を有する者の老齢年金、脱退一時金は対象外となる(支給されない)
A1号(生年月日特例)、2号と3号(厚生年金保険等の加入期間の特例)、4号と5号(中高齢の特例・3種被保険者の特例)、6号7号18号、19号の短縮特例に該当する者は、「保険料納付済期間と免除期間とを合算した期間が25年以上」とみなされ、長期要件による遺族基礎年金に結びつくことができる。(20号は除かれている)
B「保険料納付済期間と免除期間とを合算した期間が25年以上とみなされる」とは、長期要件による遺族基礎年金、遺族厚生年金の受給資格の有無を判定するときだけの話であって、老齢基礎年金額を計算するに際に適用されるものではない。
 生年月日特例(1号)
 「大正15年4月2日から昭和5年4月1日までに生まれたものであって、保険料納付済期間、保険料免除期間(含む学生等の納付特例期間)及び合算対象期間を合算した期間が、それぞれ同表の下欄に掲げる期間以上あること」
⇒保険料納付済期間と免除期間とを合算した期間が25年以上とみなされ長期要件による遺族基礎年金に結びつくことができる。
生年月日

 保険料納付済期間+免除期間+合算対象期間

加入可能年数注1

大正15年4月2日から昭和2年4月1日まで 21年 25年
昭和2年4月2日から昭和3年4月1日まで 22年 26年
昭和3年4月2日から昭和3年4月1日まで 23年 27年
昭和4年4月2日から昭和5年4月1日まで 24年 28年
⇒年配者(S36.4.1に31歳以上であった人)には、長期要件による遺族基礎年金・遺族厚生年金の結びつく受給資格期間25年が少し短縮(加入可能年数-4年)とされている。
 注1 加入可能年数とは、保険料納付済年数がその年数あれば、老齢基礎年金は満額となる年数のこと。
 ただし、実際に加入可能なのは、誕生月によって上記の加入可能年数+1〜11月となる。しかし、その+1〜11月は保険料を納付しなくても、満額支給となる。
この規定の出だしに「学生等の納付特例期間を除く」とあり、1号に関する表においては「学生等の納付特例期間は含まれる」となっている。
 学生等納付特例はときどき取扱において厄介なことがおきる。出だしにある「除く」の意味は、「学生等納付特例期間以外の期間が1月でもある者が対象である」ということ。つまり、国民年金の全期間が学生等納付特例期間であれば、たとえ受給資格を取得しても年金額は0円となってしまう。よって、このような事態を避けるために、このようなただし書きをわざわざ書くことがよくある。
22
4A
 昭和15年4月1日以前に生まれた者は、保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を合計した期間が21年から24年あれば、これらの合計期間が25年を満たしたものとして取り扱われる。(H30改)(基礎)

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正しい 誤り
16
4C
 昭和5年1月1日に生まれた者は保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を合計した期間が20年あれば、これらの合計期間は25年を満たしたものとなる。(H30改)(22-4Aの応用)

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正しい 誤り
厚生年金保険等の加入期間の特例 2.厚生年金保険等の加入期間の特例(旧被用者年金各法(厚生年金、船員保険、共済組合等)の加入期間の特例(60年改正法附則12条1項2号、3号)
 「大正15年4月2日から昭和31年4月1日までに生まれたものであって、旧被用者年金各法の被保険者期間が下欄に掲げる期間以上であること」
⇒保険料納付済期間と免除期間とを合算した期間が25年以上とみなされ長期要件による遺族基礎年金・遺族厚生年金に結びつくことができる。
生年月日

 旧被用者年金被保険者期間注2

大正15年4月2日から昭和27年4月1日まで 20年
昭和27年4月2日から昭和28年4月1日まで 21年
昭和28年4月2日から昭和29年4月1日まで 22年
昭和29年4月2日から昭和30年4月1日まで 23年
昭和30年4月2日から昭和31年4月1日まで 24年
⇒年配者(S61.4.1に30歳以上であった人)には、長期要件による遺族基礎年金、遺族厚生年金に結びつくことができる受給資格期間(25年以上)が最大で5年間短縮されている。
注2
・国民年金1号、3号期間は除く。
・厚生年金、船員保険被保険者期間については、36年4月以降に国民年金の保険料納付済・免除期間がある場合あるいは厚生年金・船員保険・共済組合の加入期間がある場合は、36年4月前の期間も通算できる。
・共済組合員期間については、36年4月1日をまたいでいる36年4月前の期間であれば通算できる。         
施行日に30歳以上の者と31歳以上の者の違いから、1.の表とは25年ずれでなく26年ずれになっている。なお、最大で5年の短縮は、改正前の老齢厚生年金の受給資格年数が25年でなく、20年であったことによる。
23
3A
 昭和25年4月1日に生まれた者で、地方公務員共済組合の組合員期間が20年以上ある者は、保険料納付済期間と保険料免除期間を合計した期間が25年以上を満たしたものとして取り扱われる。(H30改)(基礎)

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正しい 誤り
18
3E

 

 昭和27年5月1日に生まれた者で、厚生年金保険の被保険者期間が21年ある者は、保険料納付済期間と保険料免除期間を合計した期間が25年以上を満たしたものとして取り扱われる。(H30改)(23-3Aの類型)

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正しい 誤り
23
7D
 昭和31年4月1日以前に生まれた者については、旧被用者年金各法の加入期間が、生年月日に応じて20年から24年以上あれば、保険料納付済期間と保険料免除期間を合計した期間が25年以上を満たしたものとして取り扱われる。(H30改)(23-3Aの類型)

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正しい 誤り
28
9A
 昭和25年4月2日生まれの男性が、20歳から23歳までの3年間厚生年金保険の被保険者であった。その後、40歳から55歳までの15年間再び厚生年金保険の被保険者であった場合、この者は、保険料納付済期間と保険料免除期間を合計した期間が25年以上を満たしているものとして取り扱われる。
 ただし、問題文において記載のない20歳から60歳までの期間は、全て国民年金の第1号被保険者期間であり、かつ、保険料が未納であったものとし、他の公的年金加入期間及び合算対象期間はないものとする。また、厚生年金保険の被保険者は、厚生年金保険法に規定する第1号厚生年金被保険者(坑内員又は船員ではない)とする。(H30改)(23-7Dの類型)

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正しい 誤り
28
9C
 昭和28年4月2日生まれの男性が、24歳から27歳までの3年間共済組合の組合員であった。その後、40歳から60歳までの20年間厚生年金保険の被保険者であった。この者は、保険料納付済期間と保険料免除期間を合計した期間が25年以上を満たしているものとはみなされない。
 ただし、問題文において記載のない20歳から60歳までの期間は、全て国民年金の第1号被保険者期間であり、かつ、保険料が未納であったものとし、他の公的年金加入期間及び合算対象期間はないものとする。(H30改)(23-7Dの類型)

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正しい 誤り

3.厚生年金保険の中高齢特例第3種被保険者の特例(S60法附則12条4号、5号)
 「4号 大正15年4月2日から昭和26年4月1日までに生まれたものであって、40歳以降(女子については35歳以降)の厚生年金保険被保険者期間(そのうち、7年6月以上は、第4種被保険者又は船員任意継続被保険者以外の厚生年金保険被保険者期間)が下欄に掲げる期間以上でること」
 「5号 大正15年4月2日から昭和26年4月1日までに生まれたものであって、35歳以降の船員・坑内員被保険者又は船員任意継続被保険者期間(そのうち、10年以上は、船員任意継続被保険者以外の厚生年金保険の被保険者期間)が下欄に掲げる期間以上あること」
⇒いずれの場合も、保険料納付済期間と免除期間とを合算した期間が25年以上とみなされ長期要件による遺族基礎年金・遺族厚生年金に結びつくことができる。
 
年月日

 40歳到達月(女子、船員、坑内員は35歳到達月)以後の厚生年金のみの被保険者期間)

大正15年4月2日から昭和22年4月1日まで 15年
昭和22年4月2日から昭和23年4月1日まで 16年
昭和23年4月2日から昭和24年4月1日まで 17年
昭和24年4月2日から昭和25年4月1日まで 18年
昭和25年4月2日から昭和26年4月1日まで 19年
 注意:昭和26年4月2日以降は2の表につながっていくので連続して覚える。
    ただし、この特例には年齢制限があることを忘れないように。

19
8
B

 昭和24年12月21日に生まれた男子であって、40歳以後の厚生年金保険の被保険者期間が18年(このうち7年6か月以上は第4種被保険者又は船員任意継続被保険者としての厚生年金保険の被保険者期間以外のものであることとする)である者は、保険料納付済期間と保険料免除期間を合計した期間が25年以上を満たしているものとして取り扱われる。 (H30改)(応用)

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正しい 誤り
23
7E
 昭和26年4月1日以前に生まれた男子については、40歳以後の厚生年金保険の被保険者期間が、生年月日に応じて15年から19年以上あれば、保険料納付済期間と保険料免除期間を合計した期間が25年以上を満たしているものとして取り扱われる。ただし、この特例を受けるためには、この期間のうち、7年6か月以上は、第4種被保険者又は船員任意継続被保険者としての厚生年金保険の被保険者期間以外の期間でなければならない。 (H30改)(19-8Bの類型)

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正しい 誤り
21
9A
 昭和26年4月1日以前に生まれた女子であって、35歳に達した日以後の厚生年金保険の被保険者期間が生年月日に応じて15年から19年(このうち 7年6か月以上は第4種被保険者又は船員任意継続被保険者としての厚生年金保険の被保険者期間以外のものでなければならない)あれば、保険料納付済期間と保険料免除期間を合計した期間が25年以上を満たしているものとして取り扱われる。 (H30改)(基礎)

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正しい 誤り
その他の短縮特例  共済組合期間の特例
 衛視等・警察職員の特例(S60法附則12条8号と12号)
 「国家公務員共済組合法による衛視等(看守、保安官、自衛官などでいずれも一定の位以下の者)、地方公務員共済組合法による警察職員(一定の位以下の者)で、昭和55年1月1日前に衛視等・警察職員であった組合員期間が15年以上あるか、またはそれ以降の期間をあわせて下欄に掲げる期間以上あること」
⇒昭和55年1月1日の法改正により、衛視等・警察職員の退職共済年金の受給資格が15年から20年に延長されたことに伴う経過措置であり、以下の年数をみたすものであれば、保険料納付済期間と保険料免除期間を合計した期間が25年以上を満たしているとみなされる
⇒この場合に限り、36年4月1日をまたいでいない衛視等・警察職員の期間も通算できる。
昭和55年1月1日前の衛視等・警察職員であった組合員期間

 保険料納付済期間と保険料免除期間を合計した期間が25年以上を満たしているとみなされるための必要な期間

12年以上15年未満 15年
9年以上12年未満 16年
6年以上9年未満 17年
3年以上6年未満 18年
3年未満 19年

 40歳以上15年の特例(S60法附則12条8号と13号)
 「昭和56年6月11日に国家公務員共済組合員(あるいは昭和56年11月20日に地方公務員等共済組合員)であって、定年(60歳)まで引き続き組合員であった者で、40歳に達した日の属する月以後の共済組合員期間が15年あって退職共済年金が支給される者は、受給資格期間(25年)を満たすものとする」
⇒ 昭和56年6月11日(地方公務員にあっては昭和56年11月20日)に60歳定年となったことに伴い、その時点で組合員であった者に限り、中高齢の特例(40歳以上15年の特例)が適用され、保険料納付済期間と保険料免除期間を合計した期間が25年以上を満たしているとみなされる。
 その他の主なる短縮特例(20号を除き、保険料納付済期間と保険料免除期間を合計した期間が25年以上を満たしているとみなされる。
 20号は、保険料納付済期間と保険料免除期間を合計した期間が10年をみたすとされる。
 「6号 継続した15年間における3種被保険者であつた期間とみなされた期間と3種被保険者であつた期間とに基づく厚生年金保険の被保険者期間が、16年以上であること」
⇒坑内員であった期間が昭和29年4月以前であれば「3種被保険者であった期間とみなされる期間」、29年5月以降であれば「3種被保険者であった期間」
⇒16年以上とは実期間は12年以上で、旧厚生年金保険法により受給資格ありとされてきたものを引き継いだ。
 「7号 昭和27年4月1日以前に生まれた者であつて、施行日の前日において、船員保険の被保険者として漁船に乗り組んだ期間が11年3か月以上であること」
⇒「11年3か月以上」とは、その4/3は180月(15年)以上となり、旧船員保険法により受給資格ありとされてきたものを引き継いだ。
 「18号 施行日の前日において、共済組合が支給する退職年金又は減額退職年金の受給権を有していたこと」

 「19号 旧通則法に掲げる年金たる給付のうち、老齢又は退職を支給事由とする給付を受けることができること。
 「20号 法改正(H29.08.01新規)共済組合又は日本私立学校振興・共済事業団が支給する退職共済年金を受けることができること(大正15年4月2日以後に生まれた者に限り、2号から7号まで、18条、19条のいずれかに該当する場合を除く)」
⇒退職共済年金を受給できる者(組合員期間が10年以上)であっても、昭和36年4月1日をまたいでいない場合の、36年3月31日以前の組合員期間は、保険料納付済期間でも合算対象期間でもないので、昭和36年4月1日以後に保険料納付済期間等が1か月以上10年未満の者は老齢基礎年金の受給権が発生しないことになる。
 この20号は、退職共済年金を受給できるそのようなものであっても、老齢基礎年金を受給できるように設けられたのである。
     
   
沖縄特例  沖縄短縮特例
 昭和45年1月1日に沖縄厚生年金(昭和33年7月発足)の被保険者であった者で、同日前の5年間引き続き沖縄に住所を有して者の、昭和45年1月1日以後の厚生年金被保険者期間(第4種被保険者又は船員任意継続被保険者期間が2分の1に満たない者に限る)が、生年月日に応じて以下の期間以上ある場合は、「厚生年金保険の中高齢者の特例」に該当するものとみなし、保険料納付済期間と保険料免除期間を合計した期間が25年以上を満たしているとみなされる」
 ・大正15年4月2日から昭和2年4月1日生まれ   :   12年
 ・昭和  2年4月2日から昭和3年4月1日生まれ : 13年 
 ・昭和  3年4月2日から昭和4年4月1日生まれ : 14年
⇒それ以降は中高齢の特例に続く。たとえば、昭和4年4月2日生まれであれば、昭和45年1月1日は40歳であるから、それ以降の厚生年金被保険者期間が15年あれば、中高齢の特例と同等である。 
⇒沖縄国民年金が発足したのが45年4月1日、沖縄厚生年金保険が発足したのが昭和33年7月。その後47年5月15日に本土に復帰し国民年金、厚生年金保険に統合された。
 沖縄特例(みなし免除期間)はこちらを。 
 
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