発展講座 厚生年金保険法(最新更新日2014/03/24 13:30)

KK01

年金額の決定

 
KeyWords  物価スライド特例措置(厚生年金)
 国民年金の物価スライド特例措置についてはこちらを。
 
1.物価スライド特例措置(16年改正法27条)
 「厚生年金保険法による年金たる保険給付については、平成16年改正後の厚生年金保険法、平成12年改正法等の規定により計算した額が、 これらの改正前の規定により計算した額に特例による物価スライド率(H16を0.988とし、前年の消費者物価指数が直近の当該改定が行われた年の前年の物価指数を下回るに至つた場合においては、改定前の率にその低下した比率を乗じて得た率)を乗じて得た額に満たない場合は、改正前の厚生年金保険法等の規定はなおその効力を有するものとし、改正後の厚生年金保険法等の規定にかかわらず、当該額をこれらの給付の額とする」  
 16年度値
 16年度値は0.988とする。
 ここで0.985とは、平成12年度から16年度(実際の物価水準からいうと11年から15年)の物価下落率合計値2.9%(物価水準は0.971)から、年金額が特例により据置きとなった12年度から14年度(実際は11年から13年)の物価下落率合計値1.7%をかさ上げした値。
 17年度値は0.988
 16年の物価変動率は0.0であったので、スライド率は0.988のままである。
 18年度値は0.985
 17年の物価下落率は0.3%(物価水準は0.997)であったので、スライド率は0.988×0.997=0.985
 19年度値は0.985(不変)
 
18年の物価変動率は+0.3%、すなわち物価は若干上昇した。
 しかし、この特例措置によれば、物価が上がっても据置きである。
 よって、平成19年度に適用する物価スライド率は0.985(不変)である。
 20年度値は0.985(不変)
 
19年の物価変動率は0.0%。
 よって、平成20年度に適用する物価スライド率は0.985(不変)である。
  21年度値は0.985(不変)
 
20年の物価変動率は指数はプラス1.4%であった。
 しかし、物価が上がっても据置きである。
 よって、平成21年度に適用する物価スライド率は0.985(不変)である。
 22年度値は0.985(不変)
 前年度の物価変動率はマイナス1.4%であった。
 よって、平成22年度の年金額は、 この物価変動率に応じて減額になるはずであるが、
 物価スライド特例措置(16年改正法27条)の適用により、
 「減額改定が発生する場合には、直近の減額改定がなされた年度(平成18年度)の前年(平成17年)の物価水準と比較して、この水準を下回った場合に限り、その下回った分を減額する」ことになるが、
 18年度後は19年度(18年)に+0.3%、20年度(19年)は0%、21年度(20年)は+1.4%、22年度(21年)年は-1.4%であって、結局は17年に比べてまだ0.3%高いのことから、
 平成22年度に適用する物価スライド率は0.985(不変)である。
 23年度値は0.981(0.4%ダウン)
 前年度の物価変動率はマイナス0.7%であった。
 よって、平成23年度の年金額は、この物価変動率に応じて減額になるはずであるが、
 物価スライド特例措置(16年改正法27条)の適用により、
 「減額改定が発生する場合には、直近の減額改定がなされた年度(平成18年度)の前年(平成17年)の物価水準と比較して、この水準を下回った場合に限り、その下回った分を減額する」ことになるが、
 18年度後は19年度(18年)に+0.3%、20年度(19年)は0%、21年度(20年)は+1.4%、22年度(21年)は-1.4%、23年度(22年)は−0.7%であって、結局は17年に比べて0.4%ダウンした。
 よって、平成23年度に適用する物価スライド率は0.981(0.4%ダウン)
 これにより、23年度の年金額は0.4%のダウンとなる。
   24年度値は0.978(0.3%ダウン)
 前年度の物価変動率はマイナス0.3%(0.997)であった。
 物価スライド特例措置(H16改正法附則7条)の適用により、
 「減額改定が発生する場合には、直近の減額改定がなされた年(平成23年度)の前年(平成22年)の物価水準と比較して、この水準を下回った場合に限り、その下回った分を減額する」ことになる。
 よって、平成24年度に適用する物価スライド率は0.978(0.3%ダウン)
 これにより、24年度の年金額は0.3%のダウンとなる。
 特別支給老齢厚生年金定額部分

 1,676円×0.978×被保険者期間月数

 加給年金額(配偶者及び2人の子)  226,300円
 (231,400円×0.978)
 加給年金額(3人目以降)    75,400円
 ( 77,100円×0.978)
 障害厚生年金最低保障額  589,900円 
 (603,200×0.978)
 中高齢寡婦加算

 589,900円 
 (603,200×0.978)


 今後の展開
@今後も物価が下がる限り、この物価スライド特例による減額改定で進む。 
A今後もし物価が上昇しても、この物価スライド特例による年金額は変わらない。
 しかしながら、今後物価・賃金が上昇した場合は、本来の計算方法によるみかけの年金額はあがっていく。
 やがて、本来の年金額が物価スライド特例値を超えたとき
 (16年の年金額が本来値よりも1.7%かさあげになっているので、これが解消されたとき)に初めて、本来水準の計算式による年金額の改定がなされることになる。
 
年度 前年の対前年物価変動率
(備1)
前年の物価水準
(11年度(10年)を1.0)
年金額の物価スライド特例水準
(=物価スライド率)
年金額の
本来水準(備2)
本来の改定率(備3) (参考)
従前額保障改定率
(備4)
12 -0.3% 0.997 1.0(注1) 0.997
(1.0×0.997)
  1.028
(1.031×0.997)
13 -0.7% 0.990 1.0(注1) 0.980
(0.997×0.993)
  1.021
(1.028×0.993)
14 -0.7% 0.983 1.0(注1) 0.983
(0.980×0.993)
  1.013
(1.021×0.993)
15 -0.9% 0.974 0.991 0.974
(0.983×0.991)
  1.004
(1.013×0.991)
16 -0.3% 0.971 0.988 0.971
(0.974×0.997)
1.0 1.001
(1.004×0.997)
17 0% 0.971 0.988 0.971 1.0 1.001
18 -0.3% 0.968 0.985 0.968
(0.971×0.997)
0.997
(1.0×0.997)
0.998
(1.001×0.997)
19 +0.3% 0.971 0.985(注2) 0.968
(0.968×1.0)(注5)
0.997
(0.997×1.0)(注5)
0.998
(0.998×1.0)(注5)
20 0% 0.971 0.985 0.968 0.997 0.998
(0.998×1.0)
21 +1.4% 0.985 0.985(注2) 0.977
(0.968×1.009)(注5)
1.006
(0.997×1.009)(注5)
1.007
(0.998×1.009)(注5)
22 -1.4% 0.971 0.985(注3) 0.963
(0.977×0.986)(注6)
0.992
(1.006×0.986)(注6)
0.993
(1.007×0.986)
23 -0.7% 0.964 0.981(注4) 0.956
(0.963×0.993)(注6)
0.985
(0.992×0.993)(注6)
0.986
(0.993×0.993)
24 -0.3% 0.961 0.978(注4') 0.953
(0.956×0.997)(注6)
0.982
(0.985×0.997)(注6)
0.983
(0.986×0.997)

備1:たとえば平成12年度の年金額は11年の物価水準((10年との比較)によって改定の要否を判断する。
備2:年金額の本来水準とは、平成11年度を1.0とし、12年度から16年度までは、前年度値×物価変動率
   17年度以降は、前年度値×改定率としたときの年金額(物価スライド特例水準とこの水準との差が常に問題になっている)
備3:本来は新規裁定者(賃金で改定)と既裁定者(物価で改定)に分割すべきであるが、現在までのところ、新規裁定者、既裁定者いずれも、同じ値(賃金あるいは物価)で改定されてきた。
備4:従前額保障改定率は、11年度値1.031とし、12年度から16年度までは、前年度値×物価変動率
   17年度以降は、前年度値×既裁定者の改定率
  (ここで、1.031とは6年度を基準とした11年度の物価水準)

注1:特例措置により物価スライドは実施せず。
注2:物価が上昇した場合は、改定せず。
注3:物価は下がったが、改定された至近年度18年度(17年の物価水準)よりもまだ0.3%高いので改定せず。
注4:物価が下落し、改定された至近年度18年度(17年の物価水準)より0.4%ダウンとなったので、0.4%ダウンの改定。
注4':物価が下落し、改定された至近年度23年度(22年の物価水準)より0.3%ダウンとなったので、0.3%ダウンの改定
注5:物価は上がったが、賃金上昇率の方が少なかったので、賃金で改定(19年度は0.0%、21年度は0.9%)
注6:物価も賃金も下がったが、物価の下がり方の方が小さいので、物価で改定。
 
 
 @年金額の物価スライド特例水準と本来水準の差は、前者が24年度で2.5%(23年度では2.5%、22年度では2.2%)ほど高い。
 Aよって当面、実際の年金額は特例物価スライド率によって改定される。